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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
アメリカ人連れて「新橋鶴八」
今週火曜日はアメリカ人の弁護士2名つれて「新橋鶴八」。前回連れて来てから1年ぶりくらいか。カウンタ3名なので、かなり前に予約してあった。

ニュー新橋ビル前で待ち合わせ。ちゃんと時間前に来ている。

入店して五十嵐親方に景気を聞くと、毎日一回転は必ずする予約状況とのこと。商売繁盛で結構ですな。そろそろ税務署が調査に来るかな(笑)

飲み物を何にするかアメリカ人に聞くと、私に合わせるというので、では寒いから最初は燗酒を飲もうというと、冷酒で飲む酒より質が悪いのではないかと、余計な警戒してうるさい事を言う。

まあ確かに純米大吟醸を燗にしたりはあまりしないが、別に燗酒だから酒の質が悪い訳じゃないんだよと解説。まったくうるせえな(笑)

熱いのをぐっと飲ませて「胃袋のありどこを知る熱い酒」という俳句を英訳して紹介。両名とも、アメリカではあまり燗酒は飲んだ事がなくどうも感心しなかったようだ。まあ私も普通は冷酒だけれども。

最初はおまかせでつまみから。

慣れたほうのアメリカ人は年下の部下に手塩皿に醤油を次ぐ際、「あまりたくさん入れてはいけないのだ」と教えている。これは私が前に指導した(笑) 

注意しないと普通のアメリカ人は、アメリカのジャパレスでやってるように、親の仇のように醤油をドブドブに手塩皿に次いで、その醤油が黄緑になるほど粉ワサビを溶いて、寿司をドップリつけるからねえ。4人で来たらキッコーマンの卓上瓶が空になる。


握りにも、酢飯のほうにはあまり醤油をつけるな。アナゴや漬け込みのハマグリなどツメがついている種は醤油につけるなと、前から指導しているのが大分実ってきた(笑)

つまみはまずヒラメ。脂と旨味がよく乗っている。タコは香りよし。カツオは生姜醤油で。アナゴ一夜干しの炙り。平貝も炙って。アメリカ人だけ玉子。寿司種を英語で解説しなければいけないから疲れる。途中で新潟の純米大吟醸に切り替え。

五十嵐親方と雑談していると、今何を話ししていたのだとうるさく聞くので落ち着かないなあ。この辺りで握りに。

昆布〆、サヨリ、鯖、金目鯛、ヅケ、中トロ、ウニ、アナゴ、ハマグリ、鉄火巻。

私はウニと鉄火巻は抜きで。アメリカ人はサヨリがとても旨いとお代わり。これはなかなか正しい選択。アナゴもお代わり。鶴八伝来の仕事のようなアナゴはアメリカではまず食えないだろう。これまたなかなか正しい選択である。何度もここに連れてきて指導した甲斐があったな。ははは。

二次会でバーに行こうと言うのだが断ってタクシー帰宅。疲れたw 




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歌舞伎座「十二月大歌舞伎」、夜の部
先週日曜日は歌舞伎座、「十二月大歌舞伎」、昼の部に。午前の部は壱太郎が、玉三郎の監修で「お染の七役」に挑む。そしてこの夜の部は、梅枝、児太郎が、玉三郎の教えを受けて「阿古屋」に挑む。玉三郎が若手女形を鍛える月間。

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夜の部の最初は、「壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)」、すなわち「阿古屋」。

玉三郎が遊君阿古屋を演じるAプロと、梅枝、児太郎が交代で阿古屋を演じるBプロの日程に分かれており、この日は児太郎が阿古屋を演じる日。

2017年歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」で出た「「秋の色種(あきのいろくさ)」。 玉三郎に従えられて踊る梅枝と児太郎が、まず二人で琴を弾いた。「玉三郎に厳しく鍛えて貰って、いつかは阿古屋を伝授して貰えたらよいね」とblogに書いたが、こんなに早く実現するとは。

筋書に「阿古屋」は「女形の大役」とあるが、昭和の初期から平成まで、歌舞伎座での興行で阿古屋を務めたのは、六世歌右衛門と玉三郎のたった2人のみ。琴、三味線、胡弓を舞台で弾きこなし同時に唄うという、かなりケレンの効いた「特異」な役とも言える。楽器演奏の蓄積が無ければ誰にでもできる役ではない。

玉三郎の阿古屋は、2015年の10月に歌舞伎座で観た。今回は、梅枝、児太郎が志願して玉三郎が伝授する場を歌舞伎座の興行として設けたという印象的な興行。

席は1階A3ブロックの3列目。演奏している阿古屋が真ん前に見える迫力あるポジション。

花道からの阿古屋の出。児太郎は華やかで気品ある登場。 裁きの場に出ての「琴責め」。 嘘をついていれば楽器の演奏に乱れが出るだろうという詮議方法は、いわゆるポリグラフ、うそ発見器の原理ですな。

児太郎「阿古屋」は大健闘して、大きな破綻なくやり終えたのに感心。琴や三味線のリズム感はなかなか良い。三味線や胡弓はギターと違いフレットがないから音階を取るのはなかなか大変だろう。独奏ならよいが、伴奏の楽器があるから、微妙な音階のずれも結構目立つ。もちろんプロの演者ではないので危ういバランスの所もあったように思うが、それでも児太郎の「阿古屋」としてきちんと成立している。演技についても、詮議を逃れるというよりも、愛する男の行方を自らも知らないという呆然とした哀しみも伝わってくる良い出来。

玉三郎が岩永左衛門役で同じ舞台に立って見守っているというのは、児太郎にとっては心強くもあり、緊張もする状況。玉三郎が赤っ面の悪人に扮するのも珍しいが、この容貌が怪異で、これが玉三郎かとびっくり。人形浄瑠璃を模した「人形振り」で演じる面白い役だが、ベリベリした、いかにも人形という大きな動きは無く、動作が心なしか控えめで柔らかいように感じるのはこちらが女形を投影して見ている故か。玉三郎が演じるAプロでは松緑が演じるようなので後日比較してみよう。彦三郎は、同情深く理性的な裁き役、重忠を楷書の輪郭で明快に演じて印象的。

最後の場面、疑いが晴れ放免となり、阿古屋が立ち上がりきまった絶妙のタイミングで三階席から子供の声で「なりこまや~!」と声がかかり、客席がどっと沸いた後は暖かい万雷の拍手が長く続いた。あのちびっこ大向うはいったい誰だったのだろう(笑)

伸び盛りの若手が玉三郎の胸を借りて果敢に挑戦した大役「阿古屋」は、今後の歌舞伎人生にとって貴重な財産になるだろう。

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ここで30分の幕間。花篭で「おでん御膳」で一杯。珍しいメニューなので頼んでみたが、見る限りでは他に頼んでいる客無し。やはり幕間は弁当系か。しかしこのおでんは土鍋で温度も保たれており、出汁もなかなか旨かった。

次の演目は「あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」

元々はラジオドラマで、出来が良いのに感心した十七世勘三郎が新作歌舞伎として歌舞伎にかけたのだそうである。中車はあんま役だが、歌舞伎での汚い親父役は任せとけというくらいに掌中のもの。達者で滑稽な演技に客席が沸く。泥棒役の松緑も軽妙なやり取り。悪人に徹しきれない人の好さはきっとニンにあるのだろう。完成された台詞劇を舞台で面白く見せた。深みは無いが良く出来た小品の喜劇。

最後は、新作歌舞伎舞踊、「傾城雪吉原(けいせいゆきのよしわら)」。Aプロで玉三郎が「阿古屋」をやる場合には、梅枝と児太郎の「二人藤娘」がかかるのだが、Bプロでは玉三郎の舞踊。

紗になった幕の向う、ひな壇に長唄連中が並ぶ。雪が降りしきる吉原の怜悧な冬の景色の中、幻想的かつ優美に絢爛たる衣装をまとって傾城玉三郎が舞う。小品ではあるが実に美しい幽玄の舞踊。玉三郎は相変わらず美しい。

何の事情かは知らねど、歌舞伎座夜の部打ち出しが8時前というのは、早く帰れて日曜には特に良いのだった(笑)


「新ばし しみづ」訪問。
先週の木曜夜は「新ばし しみづ」。当日の朝に電話すると親方が出て、なんとか一席空いていた。

6時前に入店。既にカウンタには6名ほど。相変わらずの繁盛ぶり。

お酒は常温でもらっていつも通りに始めてもらう。お通しはナメコおろし。奥の客はワインを飲んでおり清水親方もワイン談義に忙しい。個人的には寿司屋のカウンタでワイン飲んで薀蓄語る気にはならないなあ。ま、語る薀蓄も持ち合わせないけれども(笑)人は人、我は我。

いつも通りにつまみから。白身はヒラメ。かなり濃厚に脂が乗っているがしっかりした旨味もあり。タコはしっかりした身肉の旨味。カツオは生姜醤油で。炙った皮目の身に旨味あり。サヨリは細切りで。香りが良い。タラ白子は熱を通した後で常温の煮浸しで。ブリは切りつけた後軽く炙り、辛子を添える。漬け込みのハマグリ。スミイカとウニも小さな器に盛り合わせて。

この辺りでお酒終了。お茶を貰って握りに。

マグロ2貫。シットリと香り良く、木目の細かい脂と旨味が乗る。コハダは小ぶりの1匹づけと肉厚の片身づけと1貫ずつ。しっかりと〆て余計な水分を飛ばしてあり、しっかりした酢飯と良く合う。アナゴは鶴八系独特のトロトロに煮上がったもの。塩とツメで1貫ずつ。最後にカンピョウ巻を半分。重厚でしっかりした「しみづ」の味を堪能した。

勘定済ませて女将さんに見送りを受けて店を出る。女将さんは歌舞伎好きだが中村屋の追っかけで、今月は観劇お休みだとか。ホロ酔いでタクシー帰宅。


上海ー深センー香港出張、写真日記
先月の終わりに上海に一泊出張したのだが、何の巡り合わせか、また中国に出張。今までの会社生活では、米国中心に欧米出張ばかりで、実は中国には一度も出張した事がなかった。今回は、なぜかひと月に二度も。物事重なる時には重なる。

日程でいうと、大相撲九月場所の3日目から7日目。上海ー深センー香港と移動。中国はしかし実に興味深い国である。特にこの30年の発展は凄まじい。殆ど仕事で夜も会食。観光はほどんどしてないのだが、備忘のために撮った写真をアップ。

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前回は夜景だったTV塔と巨大ビル群を、今度は日があるうちに。旧租界だった市街は昔のヨーロッパ風の建物が数多く残る。その対岸には昔のSF未来社会で見たような超高層ビル群が。エアカーが飛んでないのが不思議なほど。地上には欧米の高級車と電動バイクが走り回り、これまた妙なブレードランナー感があるのだった。

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泊まったホテルの部屋は46階だったか。こんな高い所に泊まった経験無いなあ。地震が無いせいか、建物がやたらに超高層化している。

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上海一高いビルはあれこれインフラ面で整備されていないところあり、上の方は全部入居していないと聞いたが、それにしても巨大。日本の耐震基準を適用すると多分建築にはもっとコストがかかるのだろう。

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上海から深センには中国の航空会社利用。しかしアテンド役がいないと、どこでチェックインしてよいやら、ゲートがどっちやらサッパリ分からない。いたる所中国語。国内線のFAは英語がまったく通じないのだった。中には話せる者もいるとは聞くが。英語できずにアメリカ旅行する人の心細さが分かったような気がする(笑)

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なんだかんだで中国国内飛行機移動もあったし、深センから香港は車での移動。結構疲れた。

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香港からはANAで日本帰国。渋滞を考えて早めにホテルからタクシーに乗ったが、早く着き過ぎた。チェックインとイミグレを通った後、ターミナルのオイスターとシーフードのカウンタ・レストランで、白ワインにオイスター。トムヤム風味のシーフード・スープも。香港ドルだったので、あまり気にしてなかったが、後で円換算すると、これが日本の寿司屋クラスの結構な値段。中国から日本に来た観光客が飲食店巡って、安い安いと喜ぶのが分かる気がする。デフレが続いた日本は、経済成長をまだ続けている国からすると、没落してなんでも安いようにも見えるのだろう。複雑な心境である(笑)

という訳で、つかの間の中国縦断出張完了。
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食事は毎晩大勢で中華料理の晩餐であったが実に結構。ホテルも欧米と遜色ない。得難い経験であった。しかし、中国語もサッパリ話せないし、観光も含めて、多分もう来ないかな(笑)





大相撲十一月場所、初日観戦写真日記
upするのをすっかり忘れていたが、大相撲九州場所、初日観戦に九州遠征したので、備忘の写真日記など。

初日前日に空路で博多入り。 博多は空港から市内まで地下鉄ですぐだし、PASMOがそのまま使えるから実に便利。

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この時期、博多駅前のイルミネーションは何時も美しい。私見ながら、大相撲が開催される都市で、街行く女性に美人が一番多いのは博多だ。一番少ないのはダントツで名古屋ね(笑)←オイコラ、殺されるぞ(笑)

この日の夜は、博多座横、「たつみ寿司 総本店」で一杯。予約せずにフラっと入ったので時間が限られていたが、ちゃんと職人が見計らって出してくれる。つまみでは鯛、あらの腹身の塩焼きなど美味なり。


日曜日はのんびり起床。今回は社内相撲好きの枡席に一席混ぜてもらったのだが、九州は全般に観客の場所入りが遅い。まあ昼飯でも食べてから行くかと、博多駅前「KITTE」、9階にあるもつ鍋の店で昼鍋など。握りは薬味など創意を凝らした創作系。サービス、気配りなど大変よし。

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両国国技館でもそうだが、相撲場に行くというと、飯はいくら食ってもよい気がするのが怖い所なんだなあ。

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地下鉄で中洲川端駅まで行き、大相撲開場である国際センターまで。しかし時間配分を誤り、三段目宇良の取組に間に合わない事がわかり、路上でAbemeTVで観戦するなど。何やってんだ(笑)

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九州場所は箱が小さく、土俵がとても近くに見える。

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初日恒例、協会ご挨拶。既に、白鵬、鶴竜、魁聖が休場。魁聖は後に出場したが、まさか稀勢の里と豪栄道が休場してしまうとは。

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初日の相撲は大いに楽しんだが、まさか稀勢の里が敗北するとは。そしてこの時は、翌日から更に黒星を重ねて、ついに休場するとは、誰も思って居なかったのであった。

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この場所は全員に入場時に大入り袋が配られたのが珍しい。場所がはねてから空港まで地下鉄で行き、東京に帰京。スイスイ行けば7時5分のフライトでもギリギリ間に合ったと思うが、余裕を見てもう少し遅い便で。面白かったが疲れた。



「新ばし 笹田」訪問。
水曜の夜は「新ばし 笹田」。 月曜午後に電話したら水曜が空いていた。

「いや~、寒いですねえ」と女将さんに語りながら入店。 この日は朝から寒かったので、最初は開運の燗酒で始めてもらう。

まだお客はカウンタ奥に一組だけ。ちょっとだけ笹田氏と雑談。豊洲の市場通いは環状2号が開通して便利になったが、魚市場と青果市場、築地に残る場外も寄るので、バイクで店に戻るのは昼前頃になるとのこと。結構大変ですな。

カラスミが完成したとの事で、真空パックしたのを何本か見せてもらい、年末用に1本を取り置きしておいてもらう事に。年内の営業は27日までとのこと。新年の魚河岸初商いは例年通り5日なのだが、その日は開けてもしかたないので、週末開けから新年営業とのこと。

いつものようにまず酒肴の何品かが供される。小さな器でスッポン茶碗蒸し。癖が無く澄んだスッポンの旨味が口中に広がる。スッポンの玄妙な出汁というのも比類が無い。

今月から解禁となった香箱蟹。綺麗に身を解体してあり、内子と外子、脚の肉が殻の中に詰めてある。まさに宝石箱の如し。先週は上海で上海蟹も食したけれど、やはり海の蟹のほうが旨い気がする。

自家製のカラスミは、一片は炙り一片は生で。自然薯のムカゴを添えて。カラスミの熟成香と旨味も冬の至福。

小さな器で軽く湯通ししたフグの身と皮がポン酢で供される。細かく切ったネギと白菜を添えて。小さな器の何口かに、ふぐ刺しとふぐちりの記憶が脳裏をよぎる一品。ふぐの旨味を立たせるポン酢も実に良い出来。

この辺りでお酒は九平次純米大吟醸に。ふくよかな甘みがサラリと口中に溶けてゆく。壬生菜と油揚げの煮物はいつもの定番。しかし、何度食しても飽きない、ほっとする味。

お造りは、竜飛の本マグロ、淡路の鯛、福岡の剣先イカ。マグロは上質。鯛も身がしっかりして脂が乗り旨味が強い。剣先イカはネットリとした旨味。この店が入れる魚の上質さにはいつも感心する。

白甘鯛のお椀。椎茸を添えて。香り良い品格ある出汁が張られた椀の中に、艶やかに横たわる白甘鯛のふっくらした身肉を食するうちに、その濃厚な脂が出汁に溶け崩れ、お椀の出汁が複雑な旨味を増してゆく。これまた至福の一椀。

焼き物は、最近出始めたのでという、琵琶湖産のモロコの山椒焼き。青菜の白和えも添えて。モロコは独特の野趣あふれる香り。身肉には癖が無く、よく脂が乗っている。小さな魚だが、いったん背開きにして骨を取り去ってから焼き上げる丹念な仕事。

普段ならここで最後に煮物が出るのだが、番茶が出て食事の支度になったので不思議に思っていると、笹田氏が、「今、鯖がとても脂が乗っているので味噌煮にしてみました。ご飯のおかずに最適なので、食事と一緒にどうぞ」と。たまにはこんな趣向も楽しい。豊後水道の鯖だとか。

炊き立て艶々のご飯に赤出汁。ちりめん山椒、お新香、ワサビ漬け、イクラしょうゆ漬けを脇付けに。そしておかずメインは、鯖味噌煮大根添えと、お盆の上は至福の満艦飾。こんな定食を毎日食えたら最高だがなあ(笑)

勿論、鯖味噌煮といっても、定食屋で食する物とはまったく違う。人生で今まで食した中でも一番旨いと称してもおかしくない鯖味噌煮であった。下ごしらえもきちんとしてあって、小骨も鰭もまったく触らない。大根も素晴らしい旨味。そういえば、前にここで食した秋刀魚も、腹の小骨を強火の遠火でしっかり焼き切って、普通に居酒屋で食する秋刀魚とは異次元の出来であった。

何倍でもご飯が食べられる気がするが、我慢して、おかわりは軽目の一膳にして、お焦げを添えてもらう。人間、節制が肝心でござる(笑)

最後は、冷製の白玉ぜんざいに煎茶。甘いものは苦手だが、ここのは小豆の旨味がある。

年末取りに来るからすみの分も勘定済ませて、笹田夫妻の見送りを受けて帰路に。奇をてらったり、希少な素材の高価さで押し出してくるようなケレンのある料理は無いが、どんな小さな一品にも手を抜かない笹田氏の真面目な仕事が、質の良い素材の旨味をしっかりと引き出している。

何時もながら、旨いものを食べたという実感がしみじみこみあげてくる素晴らしい夜。


歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部
中国出張から帰国したのが先週の土曜日夜。次の日曜は、歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部。顔見世興行の時だけ建てられる櫓が歌舞伎座の玄関に。さすがに出張疲れがありどうも調子悪し。

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最初の演目は「お江戸みやげ」。川口松太郎作、昭和36年初演の新作歌舞伎。湯島天神に隣接した芝居小屋と芝居茶屋が舞台。行商を終えて郷里に帰ろうとやってきた女商人二人が、江戸のみやげに芝居見物をする。

酒好きで陽気なおゆうを又五郎が演じる。又五郎の女形は、あまり見た記憶がないが、芸達者だけに、時蔵演じるお辻との滑稽で軽妙なやりとりは板についている。尾上右近のお紺もよい。

細かい性格だが酒を飲むと気が大きくなる酒乱のお辻が、芝居の女形、市川紋吉に一目惚れし、寡婦の淡い恋心も相まって、酒の勢いで行商で得た全ての金をはたいて紋吉の恋を成就させてやる。滑稽さの中にもほろ苦い、役者への叶わぬ恋がからむ。軽い演目だが、時蔵と又五郎の存在感で成立している。

30分の幕間は花篭で芝居御膳。

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次の演目は、「新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)」

茂山千五郎家の「お豆腐狂言」がYouTubeに上がっており、見た事がある。歌舞伎では松羽目物にして、那須与一の物語を「入れ事」として全体を舞踊劇に。




滑稽な表情で太郎冠者を演じる松緑はさすがに踊りが達者で軽妙に舞う。しかし歌舞伎版は長い舞踊劇だけに、途中でダレる感あり。中国出張疲れもあり、ところどころ意識不明に(笑) 演目自体の滑稽さ、面白さとしては狂言のほうに軍配が上がるだろうか。

最後の演目は、「花街模様薊色縫 十六夜清心(いざよいせいしん)」

鎌倉が舞台とはなっているが、濃厚なまでの江戸の雰囲気。朧月夜に白魚漁は隅田川の風情。七五調の名セリフ。懐に手を入れてふと気づいた金のために女犯坊主が相手を殺し、殺人者の闇へと堕ちてゆく。「しかし待てよ」からの転換も実に鮮やか。「三人吉三」も思い出す河竹黙阿弥の世界。

菊五郎の清心に時蔵の十六夜。大ベテラン同士の揃い踏みで実に安定している。身投げした十六夜を助ける俳諧師白蓮は、世を忍ぶ仮の姿に隠れた悪党の重さを吉右衛門が大きく演じる。大幹部の共演だけあって安定した、江戸の香りが濃厚かつ鮮やかな仕上がり。

清元の浄瑠璃方の名跡を襲名した尾上右近が、親父の横で、清元栄寿太夫として初お目見得。清元だけの本職と比しても見劣りしない。昼の部は「お江戸みやげ」の女形に清元。歌舞伎でもMLBの大谷同様に二刀流が出現。




歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部
すっかり忘れていたのだが、今月4日の日曜、歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部を見物したのだった。

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最初の演目は、「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」

吉右衛門と菊五郎の同じ演目は前にも見た。15分の短い演目であるが、最初の5分は大薩摩の演奏であるから、わずか10分程度。しかし満面の桜の中、絢爛豪華な南禅寺の山門がせり上がり、吉右衛門と菊五郎が上下に分かれて対面する。吉右衛門圧巻の台詞回し。錦絵のような豪華さ。歌舞伎の様式美に溢れた舞台。

夜の部、大幹部はこれで退場。その他の演目では全体に座組が軽い気もするが、浅草では平成中村座、南座でも顔見世、博多座でも花形歌舞伎、国立劇場でも大岡越前と、歌舞伎役者もあちこちに散っているから、まあ大変なんでしょうな。

次は短い舞踊劇、「文売り(ふみうり)」。雀右衛門が、恋文売りに扮して、せりふと清元のかけあいで人物を演じ分けるというのだが、当方に素養が無いもので、一体どうやって人物が演じ分けられているのだが、あんまり良く分からないのであった。興行的にはもうちょっと他の演目もあったんじゃないかな。

夜の部メインは、猿之助が主演を張る、「隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)」、いわゆる「法界坊」。

有名な演目でもあり、多くの役者が演じているから、それぞれの家でも練り込まれた演出があるようだ。今回は澤瀉屋版。

猿之助の法界坊は、勘三郎版も思い出す、憎めない軽妙な小悪党。だが、考えてみると、実際には殺人も辞さない凄みのある大悪党のはず。もっとも「加賀鳶」の道元もそうだが、人を殺す極悪坊主であっても、歌舞伎で人気の役になると、やはり憎めない軽妙な面が強調されてゆくのだろう。

猿之助の楽屋落ちなどの笑わせる部分を見ていると、時折、中車が演じてるのかと思う錯覚が。親戚だけに、声や仕草が結構似ているもんだなあ。

法界坊というのは、あのキャラがしっかりと確立しているので、結構、中車がやっても大丈夫な気がする。歌舞伎ではさんざん汚い爺さん役の経験も積んだ訳だし。まあ、大役でもあり、やりたくともやらせてもらえるかどうかは別だけれども(笑)

霊となった法界坊の舞台上での宙乗りがあるのはやはり澤瀉屋流。舞踊「双面」では、法界坊と野分姫の霊を猿之助が一人で演じ分ける。女形もやる猿之助ならではの凄みあり。なかなかおもしろかった。


久々に「新ばし しみづ」訪問。
火曜日の夜は「新ばし しみづ」。たまたま今週は割と予定が自由になるので、どこか空いた日があれば訪問しようと電話してみると、当日入れるとのことで早速予約。

随分久しぶりで懐かしさを感じるほど(笑)清水親方によると、あまり先の予約を取らずに当日枠も残してあると。先の予約ばかりで満員続きだと、キャンセルも出るだろう。寿司屋は、やはり当日電話してフラっと入れなければ。

今週から環状2号が通れるようになって、豊洲行きは楽になったらしい。バイク置き場は月極め料金制の場所が一杯で、臨時の所が開設されたらしいねと聞くと、「スーパーに買い物に行くんだって駐車場タダですよ。市場に買い物に行って駐車料金取るなんて、あんなもの誰も払いませんよ」と清水親方。築地では発泡スチロールのトロ箱も好き放題に捨てる人も居たが、拾って行く人もいて、そんな風にうまくリサイクルしてのだが、あまり綺麗な場所だと調子が出ないのではと。

「サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う」を読んでも魚河岸は鉄火な場所。今後の運営にも大分問題が出そうだな。

つけ場奥で、洗い物やお酒の準備などしている「しみづの錦木」は、ちょっと頬がこけて錦木らしさが薄れたなと思ったら、歯の具合が悪くて2週間流動食だからですよとの由。大変ですな(笑)

「笹田」や「神保町鶴八」「新橋鶴八」の話などしながら始めてもらう。お通しは、なめこおろし。お酒を常温で所望。球形の結構大きな徳利。1.3~14合くらい入るのではとのこと。なら2本が限界だな。

何も言わずとも、見計らってつまみが供される。まずヒラメ。肉厚で上品な脂。昆布〆の甘鯛も一切れ。水分が随分抜けてネットリとした旨味。タコは頭の部分と足と。スミイカは、細かく包丁を入れて。

蒸した牡蠣は塩味に乗った旨味が素晴らしい。サバもだんだんと冬の脂が乗ってきた。漬け込みのシャコ。ブリは軽く煮切りを塗って炙り、辛子を添える。まだ北海道かな。

小柱、青柳、ミル貝、漬け込みハマグリと貝類を少しづつつまみで。小柱と青柳はやはり同じ貝とは思えないほど風味が違う。

ウニとイクラをぐい呑に盛り合わせて。エゾバフンウニの爽やかな旨味。

この辺りでお茶をもらって握りに。握りは、ブリを1貫。マグロ中トロの部位を1貫。シットリしたマグロがここの強めの酢飯に良く合う。コハダは何時もより軽めの〆に思えたが肉厚で旨味あり。アナゴは塩とツメと。これもトロトロ。最後はカンピョウ巻を半分。

先に食べ終わって勘定を終えた隣のカップルの、知らない男性が話しかけてくる。私の名前を挙げて、何時もブログを読んでますと。寿司屋は常連を名前で呼ぶし、話題からでも分かってしまうけれどねえ。

寿司日記だけではなく、大相撲の記事も歌舞伎観劇の記事も読んでいるんです、旅行記もいつも読んでますとエラク熱心に、本ブログのファンであることをアピール。「この前は盛岡行かれてましたね。その前は愛媛」と、確かに良く覚えている。 寿司日記だけ読んでいる人がいるのは知っているが、こんなに他の記事も丹念に読む熱心な人は実に珍しい。

しかしこの「ブログ・ファン」氏は、勘定が終わった後、あまりに熱心に話し続けたため、連れの女性から、「まるでストーカーじゃない。もう行こうよ。そっちの人も引いてるよ~」とイエローカードを出される。まあ、寿司屋で声かけられるのは、たまに事なので、引いてはいないけれども(笑)

去り際に、最後にお願いがあるのですとこの男性。 「変なファンに会った、でも結構ですから、 とにかく1行だけでも私の事をブログに書いてくれませんか」 との」こと。実に貴重、奇特なブログ読者の方であるから、要望を聞くにやぶさかではない。

という訳で、そんな人に会いましたと、特記するのであった(笑)



上海写真日記
仕事の関係でたった1泊の上海出張。備忘の写真日記。実は中国本土に行くのは初めて。羽田から3時間ちょっとだから距離的には随分と近い気がする。

到着後のイミグレーションは、アメリカ同様、両手の指紋を撮影するやりかた。私の前に並んでいたのは日本人だと思ったが、なにやら時間を要していると思っていたら、別の係員が来て別室に連れて行かれる。なんだか穏やかじゃないな(笑)

auの海外データ定額はちゃんと使える。出迎えの車に乗って走り出した後で、Google Maps で確認すると位置もキチンと出る。しかし地名が分からないので自分がどこに居るのかはサッパリ不明なのであった。真新しい欧米車がたくさん走っている。

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高速から見る高層のビル群は、やはり日本とはちょっと印象が違い、台湾のビルに似ているのだった。

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午後の会議の後、移動して会食。なかなか立派なレストラン。上海蟹を上海で食した(笑) 勿論結構ではあるが、自分で解体するのは結構面倒。脚肉まで全てむいてくれて、内子と外子両方の食感が楽しめる日本の香箱ガニのほうが個人的には好きかなあ。日本でもそろそろ解禁なのでまた「笹田」に行かねば。

巨大なビルが建ち並ぶ川向うは、上海出身の社員に言わせると、30年ちょっと前は2階建ての建物くらいしかなかったそうだが、今やブレードランナーの世界に(笑)

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ホテルは超高層だったが、火災の時のマスクが置いてある。こんなものが置いてあるとかえって不安になるなあ。しかし室内は快適。フロントは日英どちらの言葉でも使える。快適な滞在だったが、たった一日。結局のところ、何処を移動して何処に泊まったのか、さっぱり不明なのであった(笑)

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搭乗待ちの上海の空港ラウンジで、中華系を中心に様々な料理が並んでいる中「Kanto Cooking」というポットあり。なんじゃこれはと開けてみると、おでんであった。おでんを「関東煮」というのは多分関西でしか使わないが、それを英語に直訳したんだなw

帰りのANA飛行時間は3時間足らず。B-787は快適な飛行。

機内では、最近公開されて話題担った映画、「カメラを止めるな」を見た。最初のワンカット30分は、「映画として」プロットも陳腐で、脚本も演出も撮影もありえないほどつまらない。不必要な長回し、意味のないセリフのやり取り、辻褄の合わない人物の登場など、撮影と演出に多大の難がある。しかしそこに違和感を抱けば抱くほど、後半の伏線回収に大笑い。アイデアが良くできている。冒頭30分の難に気づけずに最初の30分をフ〜ンと見ていた人は、映画全体もつまらなかったんじゃないかな。

映画が終了するともう飛行機は着陸態勢に移るところであった。