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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
ここ最近の近況。元気でやってます。
このBlogも、3月22日に更新してからすっかり休眠状態になってしまった。コロナ感染で死んだのではと思われても困るので(笑)更新を再開。勿論、これはCOVIT-19の社会に与える影響が3月から顕著になり、3月末頃から原則在宅勤務に移行して、毎日の生活が変わりドタバタしていた為。この2ヶ月に起こったことのアップデイトを備忘の為に、これからあれこれ記録しておこう。

(大相撲関連)

3月は大相撲大阪場所遠征を予定していたのだが、無観客興行になり大阪行きは中止。4月の巡業も全てキャンセルになり、4/25の横浜アリーナ場所のチケットを取っていたのだが、これもキャンセル。こちらは発券したセブンイレブンに行くと返金してくれた。そして、五月本場所のチケット発売も一旦延期になり、初日の日程も一旦5/24からに日程変更になったのだが、緊急事態宣言発令や力士からの陽性者発見もあって、結局国技館での本場所開催自体が中止に。7月は名古屋場所開催が東京開催に変更になり、無観客開催を目指すことに。秋巡業は全て中止決定。

7月は無観客を目指すとして、9月秋場所に東京で大相撲が通常に開催できる状況になっているかどうかは、今回の緊急事態宣言が解除されてから、感染が抑え込めるかどうかによる。しかし国技館での興行は、溜席も枡席も椅子席も全体的に「密」が発生する。席は狭い、隣とも近い、客は歓声も上げるし飲み食いもする、年寄りも多い、そして開場が朝8時から打出しが夕方6時と滞在時間が長いのも感染制御をするのには問題だろうなあ。

(歌舞伎関連)

歌舞伎については、三月大歌舞伎の昼夜のチケットを取っていたのだが、これも初日が何度か延期され開催を最後まで探るも結局全日程中止に。チケット代はカードに返金されたし、無観客で収録された最終稽古の映像が、松竹からYouTubeに期限を限って4月下旬に公開されたので、ちょっと得した気分。

前に「新薄雪物語」見たのは2015年。仁左衛門、魁春は今回と同じ役だが実に良かった。伊賀守が当時幸四郎、現白鸚。でも今回の吉右衛門のほうが印象的かな。「合腹」は吉右衛門、仁左衛門、魁春3人揃って圧巻。夜の部「沼津」は客席に降りる演出があるのだが、歌舞伎座、無人の客席にきちんと段取り通りエッサホイサと降りて行くのが実に珍しかった。

四月大歌舞伎は新橋演舞場での興行であり、これも2月にチケット押さえていたのだが、公演中止、チケット代はカードに返金。そして、5月から3ヶ月に渡って行われるはずであった市川海老蔵の「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」公演も、チケット一般発売前に延期決定。そもそもオリンピック前のお祭りという感じであったから、やはり1年延期か。しかし東京オリンピックにしても、ワクチンが普及しなければ、日本だけでなく海外でのウイルス感染抑制は難しく、来年の開催も難しいのでは。

歌舞伎座での興行は、換気はきちんと行われていると思うものの、座席の前後左右の間隔は近い。上演中の観客同士の会話は無いが、大向うは禁止したほうが良いのでは。コロナ対策クラスタ対策班の発見したクラスタ成立の条件には「3密」以外に「大声」と「歌唱」がある。座席にしても1列おきに空席にして、しかも両横を開けると、一等席の売上が4分の1くらいになる訳で、これでは興行として成り立たないのでは。あとは、歌舞伎座では年寄りが多いせいか、普段から咳をする客が多い。歌舞伎座での公演のDVDやYouTube見たら、幕開きの前など観客の咳の音が随分入っているものなあ。昔は気にしなくとも、この時節では誰も心配になるだろう。コロナウイルスが綺麗サッパリ消え去って日本全国での感染が何ヶ月もゼロになれば別だが、そんな日がすぐに来るだろうか。

寿司関連についてはまた別途。

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「新橋鶴八」訪問。
先週の水曜は「新橋鶴八」。その前の週に、コロナ関連でキャンセル多発してるだろうとメッセージ送ると、早い時間は全部埋まっていると。商売順調じゃないか。ただ翌週は空いているというので予約しておいたのだった。

仕事帰り6時に入店すると、カウンタにはまだ誰も居ない。後で満席になるとか。大常連O氏は居ないので一番奥の席で。居ないとダラダラと飲みや喋りに付き合わなくて良いのでなんだか楽だな(笑)

客足を聞くと、やはり仕事からみでのキャンセルは多いとの事。電話もジャンジャン掛かってくるのだが、入る予約は少ないのだと妙な話。ニュー新橋ビル2階は中国人比率高いから、クラスタ感染のリスクも高いからなあ(笑) 4月は特に予約はあまり入っていないとのこと。飲食業も常連が居ない所は2月、3月から客足は鈍っているようだが、諸外国の慌てたパニック対応を見ると、日本で良い常連の多い店でも、この自粛モードが続くと営業はどうだろうか。

まず冷酒を。東京芝の純米吟醸「江戸開城」。ふっくら甘い飲み口。西郷どんと勝海舟の故事に由来する東京の酒。

お通しは前にも出た「スペシャル」。マグロ血合の炙り。「良い赤身が入ったので」と。「美味いでしょう」と言うが、まかないで食えるかどうかの瀬戸際の味わいと思うが(笑)

つまみは、まずヒラメ。〆てから早く、まだ活かった身の感じがあり美味い。サバは生の感触を残した柔らかい触感で美味い。カツオは土佐だとか。もうそこまで上がって来ているのだろうか。分厚い身の皮身を炙って。身肉には爽やかな初夏のカツオ旨味がある。

アナゴの炙り。握りに使うアナゴとは違う、分厚く大きなアナゴを一夜干しにして塩で炙る。これはこれでつまみとして美味い。だが、種札にはアナゴ無し。握りに使うアナゴは今の時期良いものが無く、流通しているのは一番良い時期に冷凍した物なのだとか。

その後、カウンタには3組6名ほどお客が段々と入ってきて満席に。コロナの影響はあまりないのかな。

お酒のお替りは「農口研究所」の純米吟醸。最近、酒屋の飛び込みの営業が来て、真面目に頑張って来るので、話を聞いて取引する事にしたのだとか。そういえば、「すきやばし次郎」小野禎一 父と私の60年を読んだ時、「すきやばし」の二郎親方も、出入りの人間には素っ気ないのだが、真面目に来る人間は好きになって、取引してやる事があったという。「二郎は鮨の夢を見る [DVD]」の監督、David Gelbも最初は無視していたのだが、熱心にやっているのを見て、次第に「まかない食って行けよ」とか「来シーズンも取材に来いよ」と言うようになったのだとか。

鶴八伝来、漬け込みのシャコもつまみで。卵を持っていないほうが柔らかくて好きだ。ミル貝も炙ってもらってつまみで。

マグロ血合の「スペシャル」を、あっちの客にも出せよと言ってみると、五十嵐親方の言うには「あれは、お客さんには出せませんよ」というのであった(笑) まあ、大常連O氏には出しても大丈夫。逆に、これが出てこないと常連ではない。真面目な「新橋鶴八」ファンは、これが出てくるまで熱心に通わないといけないと思うなあ(笑) 

その後、焼酎の水割り、ロックとお替りして、この辺りで握りに。

酢飯は6時過ぎに切ったばかり。しかしきちんと温度はコントロールされている。アジは肉厚でふっくらした旨味あり。コハダは鶴八伝来のネットリした〆。酢飯も米の旨味を残すふっくらした出来。マグロのヅケ、中トロも、ふっくらした酢飯に実によく合って美味い。漬け込みのハマグリも鶴八の仕事。ツメが酢飯に溶けて実に美味い。

「鶴八」伝来の仕事を堪能して、新橋駅からタクシー帰宅。



神保町「鶴八」訪問。
先週の木曜日は神保町「鶴八」。夕方に電話すると、女将さんが出て7時までなら空いているとの事。早目に入店。

既に2組3名のお客さんがカウンタに。座ると石丸親方が「時間は大丈夫ですから」との事。まあしかし大常連O氏ではないので、3時間もダラダラ居たりしないのである(笑)お酒飲んでつまみ取って握ってもらって、急げば1時間でも大丈夫。1時間20分あればゆったりできる感じか。逆に最初からお茶で握りだけだと30分くらいが適正寿司屋滞在時間だと思うが。

その後でもう一組2名入店してカウンタはほぼ満席。コロナの影響もあろうに、早い時間も混んでいるし大繁盛。親方によると、キャンセルもあるが、殆ど初めての客。予約帳見ると「この人キャンセルだよ」とピンと来るのだとか。逆に新橋からずっと続く常連さんは、客足は大丈夫かと顔を出して頂いてありがたいとの事。しかし飲食業全体はやはり冷え込んでおり、豊洲の市場も閑散としていると。

お酒は菊正の冷酒。お通しはハマグリの柱ヅケ。旨味が凝縮している。

親方と大阪場所が無観客興行になった事など。親方も相撲好きなのでよく相撲談義をしているが、「無観客になったニュースで真っ先にお客さんの顔が浮かびましたよ(笑)」と。そういえば、大阪場所初日に遠征する事も前に会話したなあ。

つまみはまずヒラメ。肉厚で身に旨味あり。塩蒸しも身の旨味を炒りつけたような濃厚さ。サバは生の風味を残す柔らかさなのだが塩はしっかりと効いて旨味を引き出している。サヨリはもう閂の大きさでは無いのだがまだ肉厚。皮は串に打って炙る。漬け込みハマグリもつまみで。肝臓の薬になる気がする滋味。

この辺りでお茶を貰って握りに。まず中トロ。米の旨味をふっくら残す酢飯に旨味が溶ける。コハダは肉厚ネットリした旨味。アナゴは軽く炙るのだがこれまたトロトロ。最後はカンピョウ巻。何時ものものが何時ものように美味い「鶴八」を堪能。

親方が「うちももう、あと何年できるか」というので「すきやばし」なんか90歳を超えてもやっているし、まだまだ現役で大丈夫ですよと激励(笑)弟子に寿司種を切らせて握るだけでやればよいのではと言うと、「いやいや、切りつけが一番難しいんで、それを自分でやらないと握った事にならないんですよ」との返事。

その後で「すきやばし」の長男の話になり、親父がずっと元気だと大変だなあと雑談。「もう70歳くらいになるんじゃないんですか」と石丸親方が言うのだが、エッ? そんなに年取ってたっけ。60歳くらいじゃなかったっけと言うと、親方は「いやいや、もう70歳くらいのはずですよ」と。そうなんだと一応納得。

家に帰って、「すきやばし」長男を取材した本を引っ張り出すと(そうなんです、好事家なので、そんな妙な本も買ってるのでした)、すきやばし、小野二郎さんの長男は1959年生まれで昨年が還暦とのこと。本人が預かり知らぬ所で、勝手に70歳にされてちょっとお気の毒であった(笑)




「新ばし しみづ」訪問。
コロナ対策で、仕事の会食や宴会、出張は自粛で個人的には大いに結構だが、かといって国民全員が家に引きこもり、やるのはトイレットペーパーの買い占めだけというのでは経済がどんどん縮小してゆく。特に小体な店はキャンセルが出ているのではと土曜日の昼に「新ばし しみづ」に電話。カウンタ空いてるとのこと。

夜は5時半の開店と同時に入店。全般に新橋界隈も人通りは少なかったが、店には既に3組7名入店しており、カウンタは満席。人気店は違いますな。

常温のお酒を貰い始めてもらう。お通しは菜の花辛子和え。

清水親方にコロナ禍の影響を問うと、やはり会食や出張の自粛でキャンセルが多発しており、特に先週末などが酷かったとのこと。まあこればかりはこのご時世。キャンセルされても、あまり文句は言えないか。

歌舞伎も公演中止、野球のオープン戦も無観客、汐留の大会社でも次々在宅勤務と、他のお客さんも交えて昨今の大混乱をあれこれと総括する。女将さんもチケットを取った明治座花形歌舞伎の2日が中止だとか。私の場合は歌舞伎座の観劇日はまだ中止になっていないが、大相撲大阪場所の初日が問題だなあと。

何時も通りつまみからおまかせで。

ヒラメは生と昆布〆。上質な旨味。昆布〆はネットリした旨味。春子は酢〆された白身がホロホロと口中で崩れる。タコも歯ごたえある旨味。

ナマコ酢が供される。子供の頃は何が美味いのかと思ったが、大人になって食すると、独特の歯ごたえがある乙な味なのだよなあ。サバはしっかりと〆られているがネットリした旨味。しかし、そろそろシーズンも終わりなのだとか。

アナゴの稚魚であるノレソレもポン酢で。確かに微かに舌に当たるヒレの感触などにアナゴの気配あり。そろそろ白魚も出てくる季節になってきた。白浪五人男ですな。北寄貝もつまみで。ここで北寄貝を食するのは珍しいかもしれない。金目鯛は切り身を軽く炙って煮切を塗る。これも旨味あり。

ウニもつまみで貰ってお酒終了。お茶を貰って握りに。

握りは何時も通り。中トロは力強いここの酢飯に旨味が溶け崩れる。しっかり〆られたコハダも美味い。アナゴは塩とツメと。最後はカンピョウ巻を半分。いつもの「しみづ」を堪能した。

勘定を済ませて「P.M.9」。やはりこのところ人が少ないとの事。バーテンダーM氏と雑談しながら、アイラのシングルモルトを二杯ほど飲んで酩酊。少しだけお金を回して経済に貢献した(笑) 新橋からタクシー帰宅。


銀座「鮨 み富」訪問。
先週、金曜日の夜は、銀座「鮨 み富」で一杯。当日夕方に電話すると席が空いていた。

カウンタは他に一組4名。入店して昨今の景気を三橋親方に聞いてみると、どうもコロナの影響で銀座の人出が少ないのではないかとのこと。出張や会食の自粛などが客足に影響ある模様と。確かに、金曜の夜というのに、銀座を歩く人出は何時もより明らかに少ない気がする。

この店は「食べログ」でのネット予約も受け付けているのだが、これも最近キャンセルが多いらしい。やはり世間の自粛ムードか。

豊洲の市場でも、中国人の団体で賑わっていた店に打撃があり、仕入が減っているのだという。「み富」は中国人依存比率が殆どないので、まだ大丈夫との事であったが。

お酒はお勧めの純米吟醸の新酒を貰う。爽やかな飲み口。

まずお好みでつまみを。ヒラメは大振りの個体。シマアジ。タイラギ。ミル貝。ヒモは炙ってスダチを添える。香ばしくてなかなか美味い。サヨリ。まだ産卵はしていないが最近閂の大きさがあまり出てこないと。皮は串に巻いて炙って供される。

煮たヤリイカもつまみで。ツメ、煮切りを半分ずつつけて。大きいのは大味な気がするので、小ぶりなのを選んでもらった。

このあたりでお茶を貰い握りに以降。まずタイ昆布〆。昆布の旨味が良く効いている。マグロヅケも一貫。軽めの酢飯に良く合う。カスゴ、コハダと〆ものを。酢〆の仕事は古式を残す新富寿司伝来。漬け込みのハマグリも1貫。これも江戸前特有の仕事。ツメが効いて美味い。最後はこの店名物のカンピョウ巻。甘辛の味にしっかり煮られたカンピョウがたっぷりと入る。この店に来た客の8割は最後に頼むのだとか。

店を出て銀座を歩いてもやはり人出は少ない気が。ほろ酔い気分でタクシー帰宅。




今年初。「新橋鶴八」訪問でダラダラ喋る。
金曜の夜は「新橋鶴八」で一杯。前の週にショートメッセージを送るとこの日が空いていると返事が返って来ていた。

早目の時間に入ると、既に大常連O氏が一番奥でトグロを巻いている。カウンタには他にお客なし。5時から飲んでいるらしい。だからこの日に空いていると呼んだんだな。O氏は、いつも9時半くらいまでは居るらしい。本日のカウンタは7時半まで他のお客が来ないとか。

O氏が「コロナウイルスの巣窟にようこそ」と言うのだが、確かにこのニュー新橋ビルは中国人経営のマッサージ屋や地下の居酒屋の呼び込みも中国人と、中国人比率が実に高いものなあ。

五十嵐親方によると、隣のマッサージ屋で働いていた雇われの女性は春節で故郷の武漢に帰省して、それきり帰って来てないのだとか。今頃、隔離施設のベッドに居るとしたら気の毒だが。まあ、無理して武漢から脱出して、出稼ぎに帰って来てもらっても困るけれども。しかし寿司屋が感染したら、手で握るから、あっという間にアウトブレイク。ニュー新橋ビルで感染者が出たら、ビル全体が封鎖ではないかなどと、五十嵐親方、大常連O氏と物騒な話をしながら。

お酒は「久保田」純米吟醸で始めてもらう。

裏でゴソゴソやっていると思ったら、お通しが出てきた。O氏によるとこれは最近開発した、常連にしか出ない特別な物だという。箸をつけてみると、アッ!「マグロ血合い」の煮付けじゃないか。普段なら捨てる部位だろう。五十嵐親方によると寿司には使わないが煮付けにすると美味いのだと。

「神田鶴八鮨ばなし」によると、「柳橋美家古」加藤親方の兄弟子、「千束町の親方」と呼ばれた内田市之進は、天才と呼ばれた職人で口の奢った高給取り。あちこち美味いものも食べ歩いていたが、自分が独立して店を開いたら、商売が軌道に乗るまで、飲む酒は安い泡盛、つまみは普通は捨てるマグロの血合いだけしか食わず「血合偏に泡盛と書いて内田市之進と読む」と言われたと書いてある。

大トロだ中トロだと、美味いものばかり食っていたら人間駄目になるという教訓を含んだ一品ですな。勿論、煮付けると、なんだか美味い。

生の血合は握りには使っていないと(当たりまえか)。昔シカゴで通っていた日本飯屋の親方が、韓国人経営の寿司屋に行ってマグロを注文すると血合を握ってきた。「あのな、この部位は、握りには使わないんだ」と教えると「これがうちの寿司だ。嫌なら出て行け」と言われた話も思い出した(笑)

つまみは、まずヒラメ。上品な脂。旨味もあり。ブリの腹側のブロックを切りつけているのかと思ったら、メジマグロだと。魚体の大きさは似ているがメジの腹側トロ部分は身がブリより柔らかく脂はあるもすっきりした旨味。

他のお客さんはまだ居ないので3人であれこれ雑談。五十嵐親方が、最近行われた「鶴八一門会」の話など。石丸親方を筆頭に「しみづ「新橋鶴八」以下、「まつもと」「ほしやま」まで集まるらしい。破門を解く話などしたというから、まるで「コーサ・ノストラ(血の盟約)」、「ゴッドファーザー」の如き話(笑) 「しみづ」の弟子がデンマークに今回進出したし、一門は世界へ広がる(笑) ちなみに「しみづ」出身と称して水天宮で売出し中の某店は、破門ですらなくクビだと五十嵐親方が。O氏と私以外はお客さんがいないので、他にも色々と書くのはどうかと思う話も聞いて面白かった。

ホタテは煮切りを塗って軽く炙りつまみに。磯辺焼き風に海苔も添えて。子持ちヤリイカの煮付け。個人的には、つまみには小さなヤリイカをアナゴ風に煮付けるのが好きなのだが、この店の仕事は塩味で煮付けて醤油をつけるやり方。肉厚で卵もびっしり入っているが。

タコとカツオもつまみで。カツオは鹿児島で揚がったもの。「み富」でもカツオが好きな仲卸があって年中置くと言っていたが、今頃でも南のほうでウロウロしてるカツオがあるんですな。

この辺りで握りに。普段なら5時の開店直後から握りを食する客がいるのだが、この日はつまみでダラダラやるO氏以外に他のお客はおらず、7時位にようやく酢飯を切り始める。硬めの炊き上がりながら、米の旨味を残したふっくらした酢飯だが、普段よりも若干温度が高いかな。勿論、この温度辺りが好きなお客もいるだろう。

握りの最初は昆布〆。昆布の旨味が染みたヒラメの身と酢飯の相性が実に良い。温度計で酢飯の温度を測る寿司屋もあると聞くが、いつもより若干だが温かい酢飯と合わさった種の美味さも、またあるなあとしみじみ感じた。

マグロヅケ。赤身の旨味が十分ある。仲卸は「内藤」だとか。頭を下げてようやく良いものを分けて貰うようなマグロ屋では買いたくないとか。「マグロを売り物にする寿司屋にはなりたくありません」という、師匠の現「神保町鶴八」石丸親方の哲学とちょっと似ている。

五十嵐親方によると「寿司屋で儲けるやり方は分かっている。だけど「鶴八」の暖簾を継いでいる以上、それはやらないですよ」との事。石丸親方の教えが伝わっているのは実に良い事。儲けるには、高い種を仕入れて開始時間と終了時間も設定した、おまかせのコースだけを、高い値段でやればよいのだ。

もっとも一人で仕込みから寿司の提供までやるのは大変。師匠の石丸親方も弟子を雇えと言っているが、なかなか実現していない。「鮨竹」の二番手やってるような奴なら何時でも雇いますけどねえ、などと言っていたが、これまた縁もある。

出禁になった客の話も聞いたし、せっかく横に大常連O氏もいて他の客が居ないので言っておいたのだが、ここの店はO氏が長時間滞在するので、頼まなくても長居して良いのだと了見違いをしているような一人客がたまにいる。「お好み」で頼んで長時間以上居るのは本来おかしな話。サッと腰を上げるのが粋だと思うけどなあ。

ここに来ると私も他の店よりは長い時間いるのだが、それは何時も大常連O氏の隣に座らされて、注文ができず店のペースで「おまかせ」しかないから。これは私の責任ではないのだ(笑)

赤貝は肉厚。コハダは大型を鶴八伝来の技でネットリと仕上げる。これまた酢飯との相性良し。最後はツメを塗った漬け込みのハマグリ。本家よりも若干軽めの味付けか。しかし大ぶりのなかなか良いハマグリだ。

お茶を貰う頃にもまだ他のお客さんは来ない。親方、大常連O氏とずっと雑談していて、握りに以降しても、ガリが出てないよとか、まるで居酒屋営業の如しであったが、まあ、これはこれで面白かった。6時前に入って、勘定したのは7時半位かな。ちょっと居過ぎた。大常連O氏は、まだまだカウンタ一番奥で居座る気配。年も年なのに、元気で凄いよなあ。

歌舞伎座「二月大歌舞伎」、夜の部。
さきの土曜日は、歌舞伎座「二月大歌舞伎」夜の部。

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十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言。昼の部、夜の部に、片岡我當、秀太郎、当代仁左衛門の三兄弟とさらにその子息、松嶋屋一門の俳優が揃った公演。夜の部は短い演目が多く、バラエティに富んでいる。

最初の演目は、十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言「八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)」 湖水御座船の場

加藤清正が徳川家康から毒酒を賜ったが、豊臣秀吉への忠義を見せて生き抜いたという伝説に題材を取った一幕。十三世仁左衛門が最後に出演した名残の演目を長男の我當さんが演じる。

毒が回ってきているのだが、琴の音を愛で、更に悠々と酒を飲み、武将の品格と大きさを見せる。我當さんの右手はまだ不自由なようだが船上にしっかりと立ち、役を務める。声も以前より出ている印象。豊臣方の武将が何度も様子を見に舟で漕ぎ寄せ、元気なのを見て「はて面妖な」と首を傾げて戻って行くのが滑稽で面白い。

父の十三世が亡くなった際、松竹は営業政策として、長男の我當さんではなく人気者の三男孝夫に仁左衛門の名跡を継がせた。勿論、嬉しい訳は無かったろうが恬淡と受け入れたのは、身内で争いをしたくないという、長男としての責任感だったのではないだろうか。大病を得たが親父の追善狂言に出る事ができた。舞台では毒の回るのを隠す豪胆な武将に不自由な身体の自分を投影して。最後は大きく船が回転して客席近いところで幕切れの見得。立派に成立して万雷の拍手。

次の演目は能由来の所作事、「羽衣(はごろも)」

三保の松原の「羽衣伝説」に題材にしている。勘九郎も踊りは達者。羽衣を返してもらってからの天女は玉三郎ならではの幽玄な境地で花道の引っ込みまで観客をひきつけた。

ここで35分の幕間。花篭で芝居御膳。この日は客が何故か少なかったな。

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次は世話物。三遊亭円朝の落語を歌舞伎化した「人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)」

博打好きで宵越しの金を持たない江戸っ子だが、めっぽう善人の左官が繰り広げる人情噺のドタバタ。菊五郎はやはり下町の江戸っ子を演じると秀逸。成立は明治だが江戸生世話物の雰囲気を濃厚に残している。

吉原角海老の手代藤助を演じる團蔵は、酸いも甘いも噛み分けた男の人情を見せて好演。角海老の間では、寺嶋眞秀が登場。親父を救うために自ら身売りに来てしょげている、悲しい境遇の莟玉のお久が実に可憐に見える。立役もこなすが、若手の女形として、莟玉の今後の活躍に大いに期待。

菊五郎の左官長兵衛は、菊五郎が掌中に納めた役。娘が身を売った50両を、身投げしようとしている小間物屋の手代に投げつけてくれてやるというのは、よく考えると逆ギレした非合理な行動なのだが、世話焼きで粗忽者で根っから善人の江戸っ子というこの人物造形を菊五郎が見事に演じて成立している。

大詰めの長兵衛内の場、雀右衛門の女房お兼と菊五郎長兵衛の漫才のような喧嘩のやり取りも傑作で客席が沸く。雀右衛門は、お姫様や花魁などの色気ある役よりも、世話物で町場の女房役が合っているのではないかな。

最後は万事が上手く収まってハッピーエンド。前にも菊五郎で見たが、今回のほうがずっと面白く感じたのが不思議。

最後の演目は、「十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言」として、「道行故郷の初雪(みちゆきこきょうのはつゆき)」

上方歌舞伎の名作「恋飛脚大和往来」。「封印切」で公金横領した主人公が取り手に追われ、雪の中を故郷に落ち延びて行く「新口村」の段は歌舞伎でも有名。これを清元による所作事にしたのがこの作品。実父十三世の忠兵衛で梅川を何度も演じた秀太郎が実父を偲んで演じる。忠兵衛役は梅玉。これも風格があって上手い。秀太郎はさすがの芸力で、道行に落ちぶれ果てても、まだ匂い立つような傾城の色香をきちんと感じさせるのであった。

歌舞伎座「二月大歌舞伎」昼の部
先週日曜は、歌舞伎座「二月大歌舞伎」昼の部に。この日が初日。

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この月は「十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言」が並ぶ。昼の部は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」から、「加茂堤」、「筆法伝授」、「道明寺」の段。以前も仁左衛門で見たが、その時は「寺子屋」まで通した公演だったっけ。

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「寺子屋」は様々な役者が演じているが、「筆法伝授」「道明寺」の菅丞相は、この役を当たり役とした父親の十三世に続き、当代の仁左衛門の独壇場。演じるのは6度目。太宰府にお参りし肉を断って精進潔斎して役に挑むのだというが、仁左衛門以外に菅丞相は考えつかない気がする。

「加茂堤」は長閑な春満面の景色を背景に斎世親王と苅屋姫の恋を描く。千之助の苅屋姫は可憐に成立。ここが全ての悲劇の始まりではあるのだが、場面にはそのような雰囲気が無いのが良い。米吉の立役は珍しいが若い高貴な公家役は良く似合う。桜丸役の中村勘九郎と八重役の片岡孝太郎も、息のあった軽妙な演技で座を沸かせる。

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お昼の幕間は、花篭で刺身御膳。この後は次の段「筆法伝授」。

大きな動きや見得のある役ではないが、仁左衛門の菅丞相は高貴で威厳ある姿として端正に舞台に屹立する。まさに学問の神様が座っているという存在感。

梅玉の武部源蔵は、勘当を受けた身の緊張や筆法伝授を受けた喜び、しかし勘当は解けない落胆と達者に演じて印象的。片岡秀太郎も厳しさの中に深い同情を漂わせて熟練の演技。

最後の段は「道明寺」。

太宰府へ流される菅原道真にひと目会おうとする苅屋姫と、道真を亡き者にしようとする陰謀。魂の入った木像と菅原道真公が入れ替わる一種オカルトじみた趣向も面白い。この場での仁左衛門も神々しい高貴さと重厚さで見事に成立している。

玉三郎の老婆、覚寿の杖打ちや、悪漢を討つ立ち回りも実に迫力あり。歌六と彌十郎が演じる悪漢は珍妙な滑稽味もありなかなか達者。

太宰府に出発するラスト、生き別れる前に一目娘の姿を見たいという親の情と、自らの立場の葛藤に迷う菅丞相の姿は心を打つ。悲痛な叫びで裾にすがりつく苅屋姫の千之助も良かった。


西大島「與兵衛」訪問。
2月1日、「豪風引退相撲」の日、夜に西大島「與兵衛」訪問。

1月中に顔を出す予定だったが、大相撲初場所観戦などもあり、結局、2月になってしまった。しかし本年初めてであるから「本年もよろしく」とご挨拶。親方によると1月は店を結構休んだとのことなので、無理に都合つけても予約が入らなかったかもしれない。

お客は他に3組5名でカウンタはほぼ満席。だいたい同じ時間にスタート。

飲み物はまず、本日の大吟醸。「明鏡止水」長野の酒。仄かな甘味がすっと消え、澄み切った味わいが残る。

まず供されるのは、玄妙にして複雑な味わいの牡蠣スープ。寒い日には有難い。お通しの一皿は、ヒラメ縁側づけ、マグロ中トロ炙りづけ、ホタテ煮浸し、エビ頭づけ、スミイカゲソ、タラ白子など。どれも酒のアテに結構。

お酒はその後、「十四代本丸」、「醸し人九平次」とお代わりを。

コロナウイルスの話やなんやらで、親方や女将さんも入れて話は盛り上がったが、やたら大声でずっと喋り続ける常連の恰幅の良い親父が一人居て、面白かったけれども若干の迷惑でもあった(笑)

握りは、何時も通り固めに仕上がって、若干温度の低い酢飯。この酢飯の独特の風味が大変によろしい。理想の酢飯があり、種には酢飯に合わせた仕事をするのだというのが鈴木親方の持論通りの出来。

まずマグロ赤身漬け。ヒラメはまず甘酢づけ。一味を噛ませ酢飯にあさつきをつけて握る。胡麻醤油づけはワサビで。スミイカも軽くづけに。

シマアジは皮目を香ばしく炙ったづけで、薄く切りつけた3枚をつけるこの店の素晴らしい必殺技。エビは才巻の大きさだが、軽く酢を潜らせてオボロをかませる古式の仕事。

北寄貝は軽く火を通して甘酢につけてある。甘味と身肉の歯ごたえが最高。この店でしか食べた事がない仕事。

光物は脂の軽いものから脂の乗ったものへと、サヨリ、コハダ、サバ、イワシと4連発。イワシは脂が蜜蝋のようにびっしりと酢〆で固まった濃厚な脂が口中で溶ける。

煮ヤリイカを一貫。漬け込みのハマグリは古式を残すツメの風味が美味い。白くふっくらと煮あがったアナゴは、保温して暖かいままでツメをつけて供される。これまた他の店では食した事のないこの店の必殺技。小柱すり身を入れた玉子焼きを最後に貰って〆。

他のお客さんは更に二巡目に行って様々な種をお代わりするのだが私は一通り出してもらったらもう十分。お勘定をお願いした。

店を出る際、女将さんから、「毎年渡しているお年賀の手拭いは、発注していたはずなのに、何故か注文が通ってなくて、今、再発注してるの。今度来た時あげるね」との事。店名入りで染めてあるから時間がかかるのだろう。しかし、そんな事があるんだねえ。


本年最初の神保町「鶴八」訪問。
すっかり更新するのが遅れてしまった。大相撲初場所が終了した次の日。月曜の夜は、神保町「鶴八」。当日の夕方電話したのだが女将さんが出て入れると。

入店するとカウンタには先客1名だが、もう握りも終わりかけの様子。直後に入って来たお客さんは、二階の個室に上がって行く。今日のカウンタは何故かガラガラ。

もう松の内も過ぎてしまったが、今年初めての訪問なので「本年もよろしくお願いします」とご挨拶。酒はいつもの菊正冷酒。お通しはさっと湯通ししたスミイカのゲソ。何時も淡い甘みが素晴らしい。石丸親方に「相撲行きましたか」と聞かれたので、天覧相撲や驚愕のびっくりした徳勝龍幕尻優勝の事など、あれこれ相撲談義。

「遠藤は序盤が素晴らしくて優勝するかと思ったけど、後半崩れましたよねえ」と親方は残念がる。炎鵬に負けてから、ガタガタと調子が悪くなった。元々怪我の事は何も言わない力士だが、またどこか痛めたのか心配ではある。

最初に白身を切ってもらう。まずタイ。「海が荒れていて、ヒラメは留め置きのものしか無かったので、今日は鯛です」と。皮目を湯引きして塩を当ててあるので皮目の旨味が引き立つ。

先客が帰った後はカウンタはガラガラで、「こんな日はゆっくりしていってくださいよ」と言われて、女将さんや鶴八最後の弟子も入れてあれこれ雑談ばかりしてなかなか面白かった。

塩蒸しは香りよし。ブリもまだ大丈夫だと。腹の脂の乗った身。サヨリもつまみで。漬け込みハマグリもつまみで。肝臓に良い気がするなあ(笑)

お茶を貰って、握りは中トロ2、コハダ2、アナゴ2。〆はカンピョウ巻。マグロは甘い脂が乗っている。コハダもネットリした鶴八系独特の〆具合。アナゴは脂が溶ける程度に炙るが、トロトロで美味い。

のんびりと雑談ばかりで飲み食いしたので、勘定を済ませたのは8時ちょっと前位になってしまった。しかしそれでも、大常連O氏がトグロを巻く「新橋鶴八」に行くよりもずっと早く終わるので助かるなあ(笑) 

入店前はまだ、大関豪栄道引退のニュースが流れておらず、店を出てスマホ見てビックリ。大関陥落が決まって即引退。豪栄道らしく実に潔い進退であるが、こうなると大阪場所を見に行く興が削がれるのであった。