9月の国立劇場大劇場では「妹背山女庭訓」のいわゆる「山の段」「吉野川の場」を上演。今まで実は国立で歌舞伎を見た事がなかったのだが、初めてチケットを取ってみた。「国立劇場さよなら公演」と称し、9月10月とこの演目が通しで出て、その後国立劇場は閉館し建て替えに入るのだとか。おそらくこれが今の施設への最初で最後の訪問になろうか。
以前、吉右衛門、玉三郎で歌舞伎座秀山祭に出た時には、実に素晴らしい演技と演目の構成に感心してブログに書いた。今回この演目の定高、女形最高峰の役に中村時蔵が挑むにあたり、松緑を相手役の大判事清澄に指名したのだという。現役の歌舞伎役者で定高を演じた事があるのは玉三郎、そして大判事清澄を演じた事があるのは白鸚しかいない。歌舞伎の重要な演目の継承としても重要な公演。
チケット買うのが面倒なんじゃないかと先入観があったのだが、国立劇場のサイトで直ぐに購入できる。場所が不便なのではとこれまた先入観があったが、有楽町線の永田町駅で降りて4番出口から出て劇場まで数分。


確かに外構部分と内装設備は少々古びてはいるが、館内のロビーは静かで広々と落ち着いた雰囲気。2階の食堂も昭和の大食堂の風情を残して、これまた広々としている。なかなか良い劇場。もっと前から来ればよかったなあ。後悔先に立たず。
今回の「妹背山女庭訓」は有名な「吉野川の場」の前に「春日野小松原の場」と「太宰館花渡しの場」がつく。これは悲劇に見舞われる久我之助清舟と太宰息女雛鳥の若き恋人たちがお互いを見初める場面と彼らを過酷な運命に追い込む蘇我入鹿の無理難題を描いた説明的な場面。そしてこれがあると次の「吉野川」の悲劇が一層身に染みて感じられるのであった。
座組は、太宰後室定高に中村時蔵。太宰息女雛鳥は中村梅枝、久我之助清舟に中村萬太郎と時蔵の息子たちを配し、大判事清澄が尾上松緑。
時蔵は初役とはいえ、さすがに手練れの女形だけあって、定高の品格、腹の座った覚悟、子供への深い情愛を余すところなく演じ切って見事なもの。松緑もこの大判事清澄という王代物屈指の大役に覚悟を決め、祖父の台本や音声を参照し、白鸚に助言を求めて臨んだだけあって、人物の懐の大きさ、子への情愛、主従の論理を受け入れる苦渋、そして肚の重さを見せて見事に成立していた。お互いを思いやる雛鳥と久我之助の清冽な恋、皮肉な運命に翻弄された悲恋の受容も見事。中村梅枝、中村萬太郎は2016年秀山祭の吉右衛門ー玉三郎「吉野川」に腰元役で出演していたのだそうで、奇しくもこの演目の継承に大変役立ったという事になる。
妹山側と背山側に居室を配し中央に吉野川が流れるシンメトリーな舞台装置も実に印象的。台本そのものも実によくできている。まだ初日なので、これから更に良くなるであろう。折しも歌舞伎座9月秀山祭は吉右衛門三回忌追善興行。2016年9月秀山祭の吉右衛門も鮮やかに思い出した。今月は国立劇場もまるで吉右衛門追善の如し。

以前、吉右衛門、玉三郎で歌舞伎座秀山祭に出た時には、実に素晴らしい演技と演目の構成に感心してブログに書いた。今回この演目の定高、女形最高峰の役に中村時蔵が挑むにあたり、松緑を相手役の大判事清澄に指名したのだという。現役の歌舞伎役者で定高を演じた事があるのは玉三郎、そして大判事清澄を演じた事があるのは白鸚しかいない。歌舞伎の重要な演目の継承としても重要な公演。
チケット買うのが面倒なんじゃないかと先入観があったのだが、国立劇場のサイトで直ぐに購入できる。場所が不便なのではとこれまた先入観があったが、有楽町線の永田町駅で降りて4番出口から出て劇場まで数分。




確かに外構部分と内装設備は少々古びてはいるが、館内のロビーは静かで広々と落ち着いた雰囲気。2階の食堂も昭和の大食堂の風情を残して、これまた広々としている。なかなか良い劇場。もっと前から来ればよかったなあ。後悔先に立たず。
今回の「妹背山女庭訓」は有名な「吉野川の場」の前に「春日野小松原の場」と「太宰館花渡しの場」がつく。これは悲劇に見舞われる久我之助清舟と太宰息女雛鳥の若き恋人たちがお互いを見初める場面と彼らを過酷な運命に追い込む蘇我入鹿の無理難題を描いた説明的な場面。そしてこれがあると次の「吉野川」の悲劇が一層身に染みて感じられるのであった。
座組は、太宰後室定高に中村時蔵。太宰息女雛鳥は中村梅枝、久我之助清舟に中村萬太郎と時蔵の息子たちを配し、大判事清澄が尾上松緑。
時蔵は初役とはいえ、さすがに手練れの女形だけあって、定高の品格、腹の座った覚悟、子供への深い情愛を余すところなく演じ切って見事なもの。松緑もこの大判事清澄という王代物屈指の大役に覚悟を決め、祖父の台本や音声を参照し、白鸚に助言を求めて臨んだだけあって、人物の懐の大きさ、子への情愛、主従の論理を受け入れる苦渋、そして肚の重さを見せて見事に成立していた。お互いを思いやる雛鳥と久我之助の清冽な恋、皮肉な運命に翻弄された悲恋の受容も見事。中村梅枝、中村萬太郎は2016年秀山祭の吉右衛門ー玉三郎「吉野川」に腰元役で出演していたのだそうで、奇しくもこの演目の継承に大変役立ったという事になる。
妹山側と背山側に居室を配し中央に吉野川が流れるシンメトリーな舞台装置も実に印象的。台本そのものも実によくできている。まだ初日なので、これから更に良くなるであろう。折しも歌舞伎座9月秀山祭は吉右衛門三回忌追善興行。2016年9月秀山祭の吉右衛門も鮮やかに思い出した。今月は国立劇場もまるで吉右衛門追善の如し。

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今月の歌舞伎座は、「秀山祭九月大歌舞伎」。歌舞伎座新開場十周年と共に二世中村吉右衛門三回忌追善公演。

土曜日は、昼に国立劇場で「妹背山女庭訓」吉野川を見てから歌舞伎座に移動して夜の部。この日が初日。

最初の演目は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」のうち、「車引」。歌舞伎の様式美にあふれた一幕。
松王丸を又五郎、息子の歌昇が梅王、種之介が桜丸。又五郎一家で三兄弟役を務める。
種之介桜丸は柔らかく品のある発声。艶やかに声が響く。歌昇梅王は力強く、声が割れんばかりの大音声で、荒事らしい人物造形。眼光鋭く見得は低く、どっしりとした安定感。以前、松緑が配信で、吉右衛門が若手につける厳しい稽古について述べながら、「大体、いつも一番怒られるのは歌昇なんだ(笑)」と冗談を言っていた事があったが、次世代の播磨屋を支える一番上の若手として、歌昇には目をかけていたんだ、きっと。
そして又五郎松王は、流石に堂々たる貫禄。そしてラスボスとして歌六が藤原時平。重厚で大きい。人間国宝にして今や播磨屋の大黒柱である。追善に、実に目出度い播磨屋の揃い踏み。「播磨屋」「播磨屋」と大向こうが大忙し。吉右衛門も何処かで「まだまだ」と言いながら、影ではにやりと笑っていたのでは。
そして次の演目、「連獅子」は、秀山祭初日夜の部の白眉。
菊之介の親獅子は剛より柔にして包容力のある親獅子。しかしその艷やかで優美な所作は、寸分の隙もない動きの正確性で裏打ちされている。
丑之助も眼差しをキリリと決めて一点一画をおろそかにしない端正な子獅子。出て来た時に随分小さいなと思ったが、まだ9歳。連獅子では最年少記録なのでは。
隈取のせいもあるが、後ジテでは亡き二世吉右衛門が乗り移ったかのような凛々しい顔。親子連獅子も色々見たが、やはり親に食いついて行くかのような子獅子が多い。しかし丑之助、菊之助の連獅子は、子が親を見据えるのではなく、お互いにここではない更なる高みに視線を送っているような素晴らしい出来。今まであまり見た事がないような、ストーンと見晴らしがよくなったような、清々しい連獅子だった。
今は泉下の吉右衛門は、目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた孫の凛々しい舞台を、きっと何処かで相好を崩して見ていたに違いない。
夜の部最後は「一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)」
長谷川伸の名作。幸四郎が初役で駒形茂兵衛を演じる。序幕「取手の宿」。相撲取りを目指す純朴な田舎者だった駒形茂兵衛が酌婦のお蔦と出会う。身の上話をするうちに、母親を思う茂兵衛の情にほだされたお蔦が、一文無しの茂兵衛に「しっかりやりな」と意見して、巾着ごとのありったけと櫛も簪もくれてやる。
ただ、幸四郎はこの序盤で、茂兵衛を若干阿呆寄りに作りすぎているのではないかと感じた。以前見た白鸚はこのあたりさすがのバランスだったが、茂兵衛は、若く世間を知らず人擦れしていない若者であって、別に阿呆ではないと思うんだなあ。でないと、後半でまた取手にやってくる、目端が利く渡世人で昔の恩を忘れていないという設定の人物と同じと思えなくなるのだが。しかし幸四郎も、後半の渡世人になってからは素晴らしい出来。
お蔦の雀右衛門は、何度も演じているだけあって、まさに自分の役にしている印象。序盤は、捨て鉢になった酌婦というよりも、根底にある情の深さ、人の好さのほうがにじみ出ているのがこの人の持ち味なのだろう。吉右衛門の相手役としても長年一緒に様々な演目で支えて来たベテランの女形。
力士にも横綱にもなれず渡世人になった茂兵衛が、恩人のお蔦を訪ねる。そして、その博打狂の旦那がしでかした不始末で悪漢たちに追われる家族の窮地を救ってやる。横綱になってみせるという約束は果たせなかったが、落ち延びるお蔦たちを遠目に見送りながら、「しがねえ姿の、横綱の土俵入りでござんす」とつぶやく最後が泣かせる。これも吉右衛門の当たり役。
松緑は、初日の国立劇場で「吉野川」大判事という大役をこなし、指導を受けた白鸚を自宅に訪ねて挨拶し、歌舞伎座でお蔦旦那の辰三郎を演じるために歌舞伎座入りしたのだという。「吉右衛門のおじに受けた恩は語り尽くせるものではありません。せめて夜の部の最後の演目だけでも出演させていただき、少しでも恩返しができれば」と筋書きで語っている。由縁ある人々が集まり、素晴らしい追善公演になった。

土曜日は、昼に国立劇場で「妹背山女庭訓」吉野川を見てから歌舞伎座に移動して夜の部。この日が初日。


最初の演目は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」のうち、「車引」。歌舞伎の様式美にあふれた一幕。
松王丸を又五郎、息子の歌昇が梅王、種之介が桜丸。又五郎一家で三兄弟役を務める。
種之介桜丸は柔らかく品のある発声。艶やかに声が響く。歌昇梅王は力強く、声が割れんばかりの大音声で、荒事らしい人物造形。眼光鋭く見得は低く、どっしりとした安定感。以前、松緑が配信で、吉右衛門が若手につける厳しい稽古について述べながら、「大体、いつも一番怒られるのは歌昇なんだ(笑)」と冗談を言っていた事があったが、次世代の播磨屋を支える一番上の若手として、歌昇には目をかけていたんだ、きっと。
そして又五郎松王は、流石に堂々たる貫禄。そしてラスボスとして歌六が藤原時平。重厚で大きい。人間国宝にして今や播磨屋の大黒柱である。追善に、実に目出度い播磨屋の揃い踏み。「播磨屋」「播磨屋」と大向こうが大忙し。吉右衛門も何処かで「まだまだ」と言いながら、影ではにやりと笑っていたのでは。
そして次の演目、「連獅子」は、秀山祭初日夜の部の白眉。
菊之介の親獅子は剛より柔にして包容力のある親獅子。しかしその艷やかで優美な所作は、寸分の隙もない動きの正確性で裏打ちされている。
丑之助も眼差しをキリリと決めて一点一画をおろそかにしない端正な子獅子。出て来た時に随分小さいなと思ったが、まだ9歳。連獅子では最年少記録なのでは。
隈取のせいもあるが、後ジテでは亡き二世吉右衛門が乗り移ったかのような凛々しい顔。親子連獅子も色々見たが、やはり親に食いついて行くかのような子獅子が多い。しかし丑之助、菊之助の連獅子は、子が親を見据えるのではなく、お互いにここではない更なる高みに視線を送っているような素晴らしい出来。今まであまり見た事がないような、ストーンと見晴らしがよくなったような、清々しい連獅子だった。
今は泉下の吉右衛門は、目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた孫の凛々しい舞台を、きっと何処かで相好を崩して見ていたに違いない。
夜の部最後は「一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)」
長谷川伸の名作。幸四郎が初役で駒形茂兵衛を演じる。序幕「取手の宿」。相撲取りを目指す純朴な田舎者だった駒形茂兵衛が酌婦のお蔦と出会う。身の上話をするうちに、母親を思う茂兵衛の情にほだされたお蔦が、一文無しの茂兵衛に「しっかりやりな」と意見して、巾着ごとのありったけと櫛も簪もくれてやる。
ただ、幸四郎はこの序盤で、茂兵衛を若干阿呆寄りに作りすぎているのではないかと感じた。以前見た白鸚はこのあたりさすがのバランスだったが、茂兵衛は、若く世間を知らず人擦れしていない若者であって、別に阿呆ではないと思うんだなあ。でないと、後半でまた取手にやってくる、目端が利く渡世人で昔の恩を忘れていないという設定の人物と同じと思えなくなるのだが。しかし幸四郎も、後半の渡世人になってからは素晴らしい出来。
お蔦の雀右衛門は、何度も演じているだけあって、まさに自分の役にしている印象。序盤は、捨て鉢になった酌婦というよりも、根底にある情の深さ、人の好さのほうがにじみ出ているのがこの人の持ち味なのだろう。吉右衛門の相手役としても長年一緒に様々な演目で支えて来たベテランの女形。
力士にも横綱にもなれず渡世人になった茂兵衛が、恩人のお蔦を訪ねる。そして、その博打狂の旦那がしでかした不始末で悪漢たちに追われる家族の窮地を救ってやる。横綱になってみせるという約束は果たせなかったが、落ち延びるお蔦たちを遠目に見送りながら、「しがねえ姿の、横綱の土俵入りでござんす」とつぶやく最後が泣かせる。これも吉右衛門の当たり役。
松緑は、初日の国立劇場で「吉野川」大判事という大役をこなし、指導を受けた白鸚を自宅に訪ねて挨拶し、歌舞伎座でお蔦旦那の辰三郎を演じるために歌舞伎座入りしたのだという。「吉右衛門のおじに受けた恩は語り尽くせるものではありません。せめて夜の部の最後の演目だけでも出演させていただき、少しでも恩返しができれば」と筋書きで語っている。由縁ある人々が集まり、素晴らしい追善公演になった。
今月の歌舞伎座は、「秀山祭九月大歌舞伎」。歌舞伎座新開場十周年と共に二世中村吉右衛門三回忌追善公演でもある。

先週末に昼夜とも見物したので備忘録を。
昼の部最初は、「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)」。いわゆる「金閣寺」
前半の浄瑠璃は竹本葵太夫。太く渋い声で場面を締める。
米吉の雪姫は可憐で美しい。そして強さが必要な場面ではそれもきちんと出ている。「爪先鼠」でどっと桜の花びらが落ちた中で演じる場面でも、魅惑的な不思議な魅力があった。今回の公演では児太郎とのダブルキャスト。時分の花というが、三姫も若手がどんどん演じて当然の時代になっているのだなあ。
慶寿院尼の福助は、体調不良で児太郎が代演と当日アナウンスあり。ちょっと心配。児太郎が雪姫を演じる日程の時までには復帰できる目途が立っているのだろうか。
歌六の松永大膳は押し出しよく大きな存在として成立。人間国宝にもなり、二世吉右衛門がこの世を去った今では播磨屋の大黒柱だ。歌昇、種之助の播磨屋勢が脇を固める。よい追善演目となった。
客演格の勘九郎、此下東吉は4度目とあって手慣れたもので颯爽として演じる。
昼の部次の演目は、新古演劇十種の内 「土蜘(つちぐも)」。
松羽目の舞台。幸四郎が吉右衛門の当たり役、叡山の僧智籌実は土蜘の精を初役で演じる。明かりも音も消した僧智籌、花道の登場はなかなか不気味。
又五郎が源頼光。息子の歌昇が番卒。その息子の種太郎は太刀持ち、秀乃介は式神でそれぞれ出演。爺様の又五郎は、孫の活躍が嬉しいやら、ちゃんとできるか心配やらで大変だろう。
土蜘の精の正体を現してからの幸四郎は、それほどの怪異さは感じない。
蜘蛛の糸は役者の家によって作るお弟子さんが決まっており、それぞれやり方が違うらしい。今回は高麗屋のお弟子さんが作ったのかな。縮れ系もあるのだが、今回のは細く直線的な糸。スープの絡みは悪いかな<ラーメンの麺じゃないんだよw
公演2日目の日曜、糸投げは、最初の登場の場と土蜘になっての花道で2度失敗したような。年中やっている訳ではないから、もう少し練習が必要だろう。しかし一度くらい投げてみたいねえ、あの蜘蛛の糸。
最後の演目は、秀山十種の内 「二條城の清正(にじょうじょうのきよまさ)」。淀川御座船の場。
老境に達した忠臣加藤清正と秀頼が心を通わせる一場面。
白鸚は、吉右衛門三回忌追善にあたり、弟と口三味線で歌舞伎の真似事をして遊んだ子供の頃を思い出すのだと筋書に。前の公演を体調不良で休演して8か月舞台から離れている。しかし、たった一人の弟の追善なので、どうしても出演したかったのだと。
お互いに血気盛んな頃は仲違いもあったと聞くが、老境に達した今、もはや全ては恩讐の彼方に消え去っているのでは。そして役者としてのバトンは息子の幸四郎、そしてこの演目で共演した孫の染五郎へと渡されようとしている。役者としての人生が二重写しになるような短い一幕。しかし見れてよかった。昼の部追善の素晴らしい締めくくり。

先週末に昼夜とも見物したので備忘録を。
昼の部最初は、「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)」。いわゆる「金閣寺」
前半の浄瑠璃は竹本葵太夫。太く渋い声で場面を締める。
米吉の雪姫は可憐で美しい。そして強さが必要な場面ではそれもきちんと出ている。「爪先鼠」でどっと桜の花びらが落ちた中で演じる場面でも、魅惑的な不思議な魅力があった。今回の公演では児太郎とのダブルキャスト。時分の花というが、三姫も若手がどんどん演じて当然の時代になっているのだなあ。
慶寿院尼の福助は、体調不良で児太郎が代演と当日アナウンスあり。ちょっと心配。児太郎が雪姫を演じる日程の時までには復帰できる目途が立っているのだろうか。
歌六の松永大膳は押し出しよく大きな存在として成立。人間国宝にもなり、二世吉右衛門がこの世を去った今では播磨屋の大黒柱だ。歌昇、種之助の播磨屋勢が脇を固める。よい追善演目となった。
客演格の勘九郎、此下東吉は4度目とあって手慣れたもので颯爽として演じる。
昼の部次の演目は、新古演劇十種の内 「土蜘(つちぐも)」。
松羽目の舞台。幸四郎が吉右衛門の当たり役、叡山の僧智籌実は土蜘の精を初役で演じる。明かりも音も消した僧智籌、花道の登場はなかなか不気味。
又五郎が源頼光。息子の歌昇が番卒。その息子の種太郎は太刀持ち、秀乃介は式神でそれぞれ出演。爺様の又五郎は、孫の活躍が嬉しいやら、ちゃんとできるか心配やらで大変だろう。
土蜘の精の正体を現してからの幸四郎は、それほどの怪異さは感じない。
蜘蛛の糸は役者の家によって作るお弟子さんが決まっており、それぞれやり方が違うらしい。今回は高麗屋のお弟子さんが作ったのかな。縮れ系もあるのだが、今回のは細く直線的な糸。スープの絡みは悪いかな<ラーメンの麺じゃないんだよw
公演2日目の日曜、糸投げは、最初の登場の場と土蜘になっての花道で2度失敗したような。年中やっている訳ではないから、もう少し練習が必要だろう。しかし一度くらい投げてみたいねえ、あの蜘蛛の糸。
最後の演目は、秀山十種の内 「二條城の清正(にじょうじょうのきよまさ)」。淀川御座船の場。
老境に達した忠臣加藤清正と秀頼が心を通わせる一場面。
白鸚は、吉右衛門三回忌追善にあたり、弟と口三味線で歌舞伎の真似事をして遊んだ子供の頃を思い出すのだと筋書に。前の公演を体調不良で休演して8か月舞台から離れている。しかし、たった一人の弟の追善なので、どうしても出演したかったのだと。
お互いに血気盛んな頃は仲違いもあったと聞くが、老境に達した今、もはや全ては恩讐の彼方に消え去っているのでは。そして役者としてのバトンは息子の幸四郎、そしてこの演目で共演した孫の染五郎へと渡されようとしている。役者としての人生が二重写しになるような短い一幕。しかし見れてよかった。昼の部追善の素晴らしい締めくくり。
先週金曜の祝日は夏休み初日。「新ばし しみづ」訪問。お盆シーズンは例年台風が多く、寿司屋に行くのは良い時期ではないのだが、OMAKASEで見ると空きがあるので事前予約。
5時からの予約。入店すると手前の2席を除く全員が揃っている。この日の日本酒は冷酒を所望。普通は常温で頼むのだがこう暑くては。清水親方も「暑いですからねえ」と。
お通しはワカメに煎り酒。
この日は祝日だと知らなくて、豊洲に行ったら人があまりいなくてビックリしたと親方。もうお盆休み突入だ。
冷酒の銘柄を聞くと「石鎚」だと。神保町の「鶴八」でも置いてあった四国の酒。
一人は最初から握りだが、後はつまみから一斉にスタート。台風が九州南に長く滞留した天候で、魚は仕入れが大変だと。ブリが珍しく種札にあったが、これは東京湾の天然物で、イナダのサイズなんだとか。
白身はアラ。これは煎り酒で。タコは塩で。アオリイカは細かく包丁を入れてある。
アワビ塩蒸し。香り高く滋味も深い。添えられた肝はみりん漬けにしてある。仕入れは高いらしいですねと聞くと親方は「この季節は嫌になります」と。しかし江戸前の寿司屋として入れない訳にはいかない。「ニュー新橋鶴八」が置くかどうか迷っていたので、今年置かなくても来年はもっと高くなるかもしれない、ずっと置かずに商売するつもりかと諭したと。漁期は9月の中旬くらいまでらしい。
お酒のお代わりをもらうと今度は「雨後の月」。盃を替えてくれる。翡翠で作った玉杯。この店のごく初期から使っていると記憶しているが懐かしいな。漢詩にも「夜光杯」
として出てくる。
カツオは玉ねぎ醤油を添えて。アナゴは付け焼きで炙ってキュウリと酢の物にして供する。関西で出る鱧皮の酢の物のような。
サワラは皮目を炙って〆てつまみで供する。昔、中野新橋時代の「さわ田」でも押し寿司風にしていたなあと懐かしく思い出した。
北寄貝紐の串焼き。漬け込みのハマグリ。最後はウニを小皿に。ここまでは天塩皿に一切醤油を使わずに済んだのだが、貰って思わす手元の醤油差しからちょっとだけ醤油をかけると、後から塩が出てきて、本当はこのウニは塩で食してほしかったらしい。その点ではつまみ全品で醤油が要らないように組み立てているのだなあ。
カウンタのお客が進行している間に、予約の2名が見えないとの事でちょっとトラブル。必ずしも5時ジャストでなくてもある程度は連絡すれば許容の範囲と言うが、30分過ぎるとちょっとまずいね。
で35分頃に現れたお客は中国人女性2名。OMAKASWの名義とは違うようだったが、友達に予約を頼んだと。「OMAKASE」の契約条件では、予約名義と違う客が来た時点でキャンセル扱いになっても仕方ないのだが、なかなかそこまで出来ないんだな。客は一応、日本語を喋れるので、「予約を売買してませんね」と確認して店は入店を認めた。なんでも人気店の予約を売買している者がいるんだとか。
「しかし時間は守って下さいね」と親方が言うと、中国人は「チョト間違えた」と。中国人は口争いに大変に強いのだが、このロジックがあるんだよなあ。
まあそれはそれで、基本的に全員同じタイミングで握りに以降。但し私は握りについてはいつも決まった種と貫数しか食しないので、つまみでもその分はある程度調整してくれている。
マグロは何時もながらしっとりと柔らかく旨味がある。コハダ1貫は片身づけ。身は厚く旨味十分。そしてイワシ。脂が乗ったものを強めの締めで。小骨をほとんど抜いていると思うがまるで口に触らず、身肉がまるでとろけるよう。西大島「與兵衛」のイワシにも似ている。
アナゴは塩とツメで1貫ずつ。鶴八系伝来のふっくらした肉厚のアナゴ。最後はカンピョウ巻半分で〆。最後にシャインマスカット 冷たくて結構。
遅れて来た中国人2名であるが、握りになると「ひとつはご飯少なめ、もう一つはご飯要らない」と。酢飯がないと握りではなくなるのだが。
私も勘定を頼む直前だったので、「酢飯無しのエア握りで対応しないといけないな。あれを握るのは年季がいる」と馬鹿な冗談を言ったが親方は憮然たる表情。すぐ勘定して店を出たのだが、その後はどうなったのか。そのうち中国人は出入り禁止になるのでは。
「P.M.9」は休日との事でそのままタクシー帰宅した。
5時からの予約。入店すると手前の2席を除く全員が揃っている。この日の日本酒は冷酒を所望。普通は常温で頼むのだがこう暑くては。清水親方も「暑いですからねえ」と。
お通しはワカメに煎り酒。
この日は祝日だと知らなくて、豊洲に行ったら人があまりいなくてビックリしたと親方。もうお盆休み突入だ。
冷酒の銘柄を聞くと「石鎚」だと。神保町の「鶴八」でも置いてあった四国の酒。
一人は最初から握りだが、後はつまみから一斉にスタート。台風が九州南に長く滞留した天候で、魚は仕入れが大変だと。ブリが珍しく種札にあったが、これは東京湾の天然物で、イナダのサイズなんだとか。
白身はアラ。これは煎り酒で。タコは塩で。アオリイカは細かく包丁を入れてある。
アワビ塩蒸し。香り高く滋味も深い。添えられた肝はみりん漬けにしてある。仕入れは高いらしいですねと聞くと親方は「この季節は嫌になります」と。しかし江戸前の寿司屋として入れない訳にはいかない。「ニュー新橋鶴八」が置くかどうか迷っていたので、今年置かなくても来年はもっと高くなるかもしれない、ずっと置かずに商売するつもりかと諭したと。漁期は9月の中旬くらいまでらしい。
お酒のお代わりをもらうと今度は「雨後の月」。盃を替えてくれる。翡翠で作った玉杯。この店のごく初期から使っていると記憶しているが懐かしいな。漢詩にも「夜光杯」
として出てくる。
カツオは玉ねぎ醤油を添えて。アナゴは付け焼きで炙ってキュウリと酢の物にして供する。関西で出る鱧皮の酢の物のような。
サワラは皮目を炙って〆てつまみで供する。昔、中野新橋時代の「さわ田」でも押し寿司風にしていたなあと懐かしく思い出した。
北寄貝紐の串焼き。漬け込みのハマグリ。最後はウニを小皿に。ここまでは天塩皿に一切醤油を使わずに済んだのだが、貰って思わす手元の醤油差しからちょっとだけ醤油をかけると、後から塩が出てきて、本当はこのウニは塩で食してほしかったらしい。その点ではつまみ全品で醤油が要らないように組み立てているのだなあ。
カウンタのお客が進行している間に、予約の2名が見えないとの事でちょっとトラブル。必ずしも5時ジャストでなくてもある程度は連絡すれば許容の範囲と言うが、30分過ぎるとちょっとまずいね。
で35分頃に現れたお客は中国人女性2名。OMAKASWの名義とは違うようだったが、友達に予約を頼んだと。「OMAKASE」の契約条件では、予約名義と違う客が来た時点でキャンセル扱いになっても仕方ないのだが、なかなかそこまで出来ないんだな。客は一応、日本語を喋れるので、「予約を売買してませんね」と確認して店は入店を認めた。なんでも人気店の予約を売買している者がいるんだとか。
「しかし時間は守って下さいね」と親方が言うと、中国人は「チョト間違えた」と。中国人は口争いに大変に強いのだが、このロジックがあるんだよなあ。
まあそれはそれで、基本的に全員同じタイミングで握りに以降。但し私は握りについてはいつも決まった種と貫数しか食しないので、つまみでもその分はある程度調整してくれている。
マグロは何時もながらしっとりと柔らかく旨味がある。コハダ1貫は片身づけ。身は厚く旨味十分。そしてイワシ。脂が乗ったものを強めの締めで。小骨をほとんど抜いていると思うがまるで口に触らず、身肉がまるでとろけるよう。西大島「與兵衛」のイワシにも似ている。
アナゴは塩とツメで1貫ずつ。鶴八系伝来のふっくらした肉厚のアナゴ。最後はカンピョウ巻半分で〆。最後にシャインマスカット 冷たくて結構。
遅れて来た中国人2名であるが、握りになると「ひとつはご飯少なめ、もう一つはご飯要らない」と。酢飯がないと握りではなくなるのだが。
私も勘定を頼む直前だったので、「酢飯無しのエア握りで対応しないといけないな。あれを握るのは年季がいる」と馬鹿な冗談を言ったが親方は憮然たる表情。すぐ勘定して店を出たのだが、その後はどうなったのか。そのうち中国人は出入り禁止になるのでは。
「P.M.9」は休日との事でそのままタクシー帰宅した。
先週土曜日の夕は、銀座「鮨 み富」。
親方の修行先であった「銀座新富寿し」は店をたたんでしまったが、夏の暑い日に訪問すると、広い店内は客が少なく静かで、冷房がいつもよく効いていて涼しかったなあ。

近くに来ると店が入るビルは工事中のようなシートで覆われている。
店に入って三橋親方に聞いてみると、先日の台風の日、雨が内装にまで染み出して来て、他の店舗でも同様のトラブルがあり、ビル全体の外壁の補修をやっているのだとか。このビルは築40年以上というから、まああちこち定期的に営繕が必要なのだろう。
窓際のカウンタに座ったが、外に見える保護シートは薄い素材でこれが風にはばたいており、なんだか涼し気な雰囲気がする(笑)
いつも通り、お勧めの季節の日本酒一升瓶を並べて見せてくれる。白龍と不動は試したので、この日は幻の復活米「八反草」で醸されたという「富久長」の純米吟醸。ふくやかで柔らかな口当たり。旨味はあるが切れもある。食中酒に結構。
お通しは枝豆ともずく。枝豆は香りがよい。
本日の種を聞きながらつまみを注文。
白身はマコガレイと縁側。夏らしい軽やかな白身の旨さ。スズキの昆布締めもつまみで。昆布の旨味がスズキの身肉に染みている。
久々に石垣貝。果物のようなジューシーな酸味。甘みもあり。トリ貝にも似ている。「新富」では昔から使っていた由。平貝もつまみで。
昨今の店の景気を親方と雑談。暑い日が続くと予約無しでフラッと来る客があまりいないとの事。路面店ではないけれど、昼から遠しで営業していると店の名前は既に知れて、結構予約なしでも普段はお客が来るらしいが。
ホテルからの紹介で外国人の客も受け入れるが、誰か日本語がしゃべれる人がいたらとのこと。この辺りは「しみづ」と同じ。まあそれはそうだろうなあ。
コハダは新子が入っており2枚付の大きさとか。値段は既に落ち着いてきたようだ。新イカもあるのだが、何故か値段がとても高く、おきまりのコースには使わないとのこと。
アジもつまみで。夏らしい脂が乗っている。
このあたりでお茶を貰って握りに。
マコガレイ、スズキの昆布締め。この店のすっきり目の酢飯に昆布締めの白身はよく合う。新イカも貰う。ちょうど1匹丸づけの大きさ。身はまだ薄いがもう既にスミイカらしい歯応えがある。身肉の癖のない甘みがよい。
コハダの新子。2枚づけの大きさ。これも雑味がないすっきりした旨味を感じる季節の味。
ここから光り物を続けて。酢締めのアジ、キス、イワシ。新富の頃から仕事をした光り物は種類をたくさん置いてある。締めは古式を残して若干甘いが、すっきりした味わいの酢飯によく合う。光り物を全部握ってくれという客がいるというのも頷ける。
ウリとキュウリのお新香が出る。
煮物はアナゴを貰い、最後はカンピョウ巻で〆。ほろ酔い加減でのんびり帰宅した。
親方の修行先であった「銀座新富寿し」は店をたたんでしまったが、夏の暑い日に訪問すると、広い店内は客が少なく静かで、冷房がいつもよく効いていて涼しかったなあ。

近くに来ると店が入るビルは工事中のようなシートで覆われている。
店に入って三橋親方に聞いてみると、先日の台風の日、雨が内装にまで染み出して来て、他の店舗でも同様のトラブルがあり、ビル全体の外壁の補修をやっているのだとか。このビルは築40年以上というから、まああちこち定期的に営繕が必要なのだろう。
窓際のカウンタに座ったが、外に見える保護シートは薄い素材でこれが風にはばたいており、なんだか涼し気な雰囲気がする(笑)
いつも通り、お勧めの季節の日本酒一升瓶を並べて見せてくれる。白龍と不動は試したので、この日は幻の復活米「八反草」で醸されたという「富久長」の純米吟醸。ふくやかで柔らかな口当たり。旨味はあるが切れもある。食中酒に結構。
お通しは枝豆ともずく。枝豆は香りがよい。
本日の種を聞きながらつまみを注文。
白身はマコガレイと縁側。夏らしい軽やかな白身の旨さ。スズキの昆布締めもつまみで。昆布の旨味がスズキの身肉に染みている。
久々に石垣貝。果物のようなジューシーな酸味。甘みもあり。トリ貝にも似ている。「新富」では昔から使っていた由。平貝もつまみで。
昨今の店の景気を親方と雑談。暑い日が続くと予約無しでフラッと来る客があまりいないとの事。路面店ではないけれど、昼から遠しで営業していると店の名前は既に知れて、結構予約なしでも普段はお客が来るらしいが。
ホテルからの紹介で外国人の客も受け入れるが、誰か日本語がしゃべれる人がいたらとのこと。この辺りは「しみづ」と同じ。まあそれはそうだろうなあ。
コハダは新子が入っており2枚付の大きさとか。値段は既に落ち着いてきたようだ。新イカもあるのだが、何故か値段がとても高く、おきまりのコースには使わないとのこと。
アジもつまみで。夏らしい脂が乗っている。
このあたりでお茶を貰って握りに。
マコガレイ、スズキの昆布締め。この店のすっきり目の酢飯に昆布締めの白身はよく合う。新イカも貰う。ちょうど1匹丸づけの大きさ。身はまだ薄いがもう既にスミイカらしい歯応えがある。身肉の癖のない甘みがよい。
コハダの新子。2枚づけの大きさ。これも雑味がないすっきりした旨味を感じる季節の味。
ここから光り物を続けて。酢締めのアジ、キス、イワシ。新富の頃から仕事をした光り物は種類をたくさん置いてある。締めは古式を残して若干甘いが、すっきりした味わいの酢飯によく合う。光り物を全部握ってくれという客がいるというのも頷ける。
ウリとキュウリのお新香が出る。
煮物はアナゴを貰い、最後はカンピョウ巻で〆。ほろ酔い加減でのんびり帰宅した。
先週の金曜日は久々に「新ばし 笹田」。前の週に電話してみたらこの日が空いていた。猛暑が続くがこの日は少しだけ暑さはまし。
6時前に入店してみると、まだ他のお客さんはいない。笹田氏や奥さんと昨今の暑さや景気の事など雑談しながらボチボチ始めてもらう。「しみづ」は先日水曜日に来たとの事で、定休日変更の事は知っていたようだ。オンライン予約の事なども話題に。
お酒は「醸し人九平次 純米大吟醸」。爽やかな口当たり、ほんのりとした甘味を感じるがすぐにさっぱりした後口に。ま、酒の事は詳しくは分からないのでラインアップから飲んだことがある銘柄を選ぶだけなのだが。
最初に鮎が並んだバットを見せてくれて、まだ他のお客さんもいないし、お好きなのをどうぞ選んでくださいと。鮎は、岐阜の馬瀬、奈良の天川産の2種類、どちらも天然。まあしかし、並んでいるのを見てもどれが良いかなんて分からないなあ(笑) 中くらいの大きさのを食べ比べする事に。最近、雨があちこちで大量に降ったので、鮎も駄目かと思ったが、獲れるところでは獲れるらしい。
先付けが何品か供される。
湯葉とウニの冷製ゼリーかけ。ゼリーは何時も通り鯛の出汁。
万願寺とうがらしの煮煮浸し。じゃこを添えて。これも季節だよなあ。
サゴシの押し寿司。サゴシはサワラの子供。酢飯は関西風の甘味が強いものだが押し寿司の酢飯にはこれが合っている。
魚そうめんは温泉卵を添えて。キリキリに冷やした出汁が実に旨い。鱧で出来ているのだそうである。
壬生菜と油揚げの煮物。いつもながらほっとする味。胡麻の香りよし。
お作りは明石の鯛、石川のアラ皮目炙り、鹿児島のシマアジ。鯛はまず塩で、そしてわさび醤油でも旨味が濃厚。アラは大きなものではないそうだが、ゼラチン質が多くあぶった香ばしい皮と身肉が溶ける旨さ。シマアジは天然独特、ぷるんとした舌触り。どれも素晴らしかった。
お椀は、鱧と新玉ねぎ、九条ねぎ。鱧の旨味が出汁に溶ける。新玉ねぎの香りと口触りがまたよい。
鮎はじっくり焼かれて頭からバリバリといける。岐阜の馬瀬、奈良の天川の食べ比べだが、どちらも鮎独特の香りがあって旨いし、 私にもあまり違いは判らないのだが、。馬瀬川産のほうが脂が若干あり、はらわたの苦味は天川よりも若干強い気がする。ふっくらした身は天川産のほうが印象的。まあ、個体差もあるだろうけど。蓼酢がまた良くできている。今までどこの店の蓼酢でもつけて旨いと思った事がないが、この店の蓼酢は鮮烈な香りでしかも鮎の香りを引き立てる。今年も鮎に出会えて幸せ。まあ年1回食えればよいかな。
煮物は鴨と冬瓜の治部煮。鴨は滋味深く、冬瓜はこっくりと出汁を含んで煮上がっている。
ほうじ茶が出て食事に。炊き立ての薫り高い白米。ちりめん山椒、お新香、わさび漬け、牛肉しぐれ煮を添えて。ご飯はお焦げを入れてもらって軽くおかわり一杯。
煎茶が出て何時もの冷製の白玉ぜんざい。甘いものは食さないほうだが、これは豆の旨味を感じられて好きだ。
夏の味を満喫。気を衒った料理や素材をひけらかす料理はないが、笹田氏の確かな調理技術と真面目な仕事ぶりが随所に感じられる店。お弟子さんが一人病欠だそうで、調理場のオペレーションはちょっと大変そうであったが。
お勘定をしてもらって、笹田ご夫妻の見送りをうけて岐路に。酷暑が続いたせいか30度くらいだと涼しい気がするのは、やはりちょっと感覚がおかしくなっているのかな。
6時前に入店してみると、まだ他のお客さんはいない。笹田氏や奥さんと昨今の暑さや景気の事など雑談しながらボチボチ始めてもらう。「しみづ」は先日水曜日に来たとの事で、定休日変更の事は知っていたようだ。オンライン予約の事なども話題に。
お酒は「醸し人九平次 純米大吟醸」。爽やかな口当たり、ほんのりとした甘味を感じるがすぐにさっぱりした後口に。ま、酒の事は詳しくは分からないのでラインアップから飲んだことがある銘柄を選ぶだけなのだが。
最初に鮎が並んだバットを見せてくれて、まだ他のお客さんもいないし、お好きなのをどうぞ選んでくださいと。鮎は、岐阜の馬瀬、奈良の天川産の2種類、どちらも天然。まあしかし、並んでいるのを見てもどれが良いかなんて分からないなあ(笑) 中くらいの大きさのを食べ比べする事に。最近、雨があちこちで大量に降ったので、鮎も駄目かと思ったが、獲れるところでは獲れるらしい。
先付けが何品か供される。
湯葉とウニの冷製ゼリーかけ。ゼリーは何時も通り鯛の出汁。
万願寺とうがらしの煮煮浸し。じゃこを添えて。これも季節だよなあ。
サゴシの押し寿司。サゴシはサワラの子供。酢飯は関西風の甘味が強いものだが押し寿司の酢飯にはこれが合っている。
魚そうめんは温泉卵を添えて。キリキリに冷やした出汁が実に旨い。鱧で出来ているのだそうである。
壬生菜と油揚げの煮物。いつもながらほっとする味。胡麻の香りよし。
お作りは明石の鯛、石川のアラ皮目炙り、鹿児島のシマアジ。鯛はまず塩で、そしてわさび醤油でも旨味が濃厚。アラは大きなものではないそうだが、ゼラチン質が多くあぶった香ばしい皮と身肉が溶ける旨さ。シマアジは天然独特、ぷるんとした舌触り。どれも素晴らしかった。
お椀は、鱧と新玉ねぎ、九条ねぎ。鱧の旨味が出汁に溶ける。新玉ねぎの香りと口触りがまたよい。
鮎はじっくり焼かれて頭からバリバリといける。岐阜の馬瀬、奈良の天川の食べ比べだが、どちらも鮎独特の香りがあって旨いし、 私にもあまり違いは判らないのだが、。馬瀬川産のほうが脂が若干あり、はらわたの苦味は天川よりも若干強い気がする。ふっくらした身は天川産のほうが印象的。まあ、個体差もあるだろうけど。蓼酢がまた良くできている。今までどこの店の蓼酢でもつけて旨いと思った事がないが、この店の蓼酢は鮮烈な香りでしかも鮎の香りを引き立てる。今年も鮎に出会えて幸せ。まあ年1回食えればよいかな。
煮物は鴨と冬瓜の治部煮。鴨は滋味深く、冬瓜はこっくりと出汁を含んで煮上がっている。
ほうじ茶が出て食事に。炊き立ての薫り高い白米。ちりめん山椒、お新香、わさび漬け、牛肉しぐれ煮を添えて。ご飯はお焦げを入れてもらって軽くおかわり一杯。
煎茶が出て何時もの冷製の白玉ぜんざい。甘いものは食さないほうだが、これは豆の旨味を感じられて好きだ。
夏の味を満喫。気を衒った料理や素材をひけらかす料理はないが、笹田氏の確かな調理技術と真面目な仕事ぶりが随所に感じられる店。お弟子さんが一人病欠だそうで、調理場のオペレーションはちょっと大変そうであったが。
お勘定をしてもらって、笹田ご夫妻の見送りをうけて岐路に。酷暑が続いたせいか30度くらいだと涼しい気がするのは、やはりちょっと感覚がおかしくなっているのかな。
先週土曜日は、歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部。

最初の演目は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」
「エレキテル」の平賀源内が書いた人形浄瑠璃が原作。
「太平記」の時代が背景。矢口の渡し守りの家に、宿を求めてやって来た新田義峯に、その家の娘お舟が一目惚れする。しかしその親父である家の主、頓兵衛こそが義峯の兄、義興を殺した犯人であり、報奨を求めて更に義峯をも殺そうとするという物語。
主役のお舟は児太郎。純朴な娘が一心に相手の気を引こうとする「クドキ」は可憐に成立。赤面悪漢の父親に瀕死の傷を負わされても、好いた相手の命を助けたい一心で、なんとか櫓の太鼓を叩いて逃げる時間を与えようとする。死を賭けた娘の真っ直ぐな決意と情念を児太郎が見事に演じている。舞台が回り矢口の渡しの川面が広がった大詰めが実に印象的。
このお舟は若手の女形には大役。前に歌舞伎座で見た時には、梅枝が演じていたが、その時の脇が児太郎の傾城うてな。いつかは自分もと勉強していたに違いない。
最後まで悪漢を貫く渡し守頓兵衛は男女蔵。藪から怪異に登場して、家に鍵がかかっていると見るや壁をバリバリ壊して入っていく無法な様子や、鳴鍔を鳴らしながらの「蜘蛛手蛸足の引っ込み」など、随所に堂々たる迫力あり。大きく、サマになっている。
父親の四世左團次は先頃亡くなったが、物事に拘らない恬淡とした飾らない性格でファンも多かった。ただ、自伝の『いい加減、人生録』であっけらかんと語る自らの出自や離婚経験を読んでも、肉親への情は薄かった印象。
男女蔵が親父に教わった話を聞いても「目立つな」「変わった事をやるな」程度であって、息子に特に役を与えて引き立てる事もなかったような。それでもやはり頭の上の重しであったには違いなく、今回の好演には、なんだかあれこれ吹っ切れたような明るい力強さを感じる。
今更白塗りの二枚目という訳にも行くまいが、親父譲りのニンを生かして、「毛抜」の粂寺弾正、「助六」の髭の意休、「俊寛」の瀬尾、「身替座禅」の奥方玉ノ井などなど、悪役、老け役に活路を見出せば、今後は歌舞伎での前途洋々ではないか。更なる活躍を祈りたい。
次の演目は、「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩」。

鳶と相撲取りの喧嘩を題材に、江戸の風俗が印象的な世話物。團十郎演じる「め組」辰五郎は青光りするような眼光が印象的な鳶頭。眼光が鋭すぎる所が音羽屋が演じる時と若干トーンが違うけれども、これはこれで粋で鯔背な鳶に仕上がっている。
四ツ車大八は右團次、男女蔵はこの演目にも九竜山浪右衛門で登場。次の日曜は大相撲名古屋場所の初日で名古屋遠征を計画していただけに、舞台に相撲取りが登場すると相撲観戦の前触れのようで楽しい。
辰五郎の女房お仲は、相撲取りへの仕返しをためらっているように見える辰五郎に、仕返しをして男を上げないのなら離縁すると啖呵を切る鉄火な江戸の女だが、ちょっと雀右衛門には似合わない感じがあるかな。
大詰め、いよいよ衝突になった際の立ち回りは大勢人が出て実に派手で賑やかなもの。新之助も登場。いよいよ雌雄を決する場面に。舞台にこれだけ大勢の役者が出るのは、コロナ禍が始まってから久しくなかったのでは。
最後は焚出し喜三郎が後方から梯子につかまり上方から、ギリシャ劇の「デウス・エクス・マキナ」の如き「裁定者」として群衆を分けて舞台に登場。町奉行、寺社奉行からぞれぞれ賜った法被を見せて見事にこの喧嘩を鎮める。又五郎の登場で、2時間の長い演目がきちんと締まった。
ここで30分の幕間。「花篭」で「花かご御膳」。

最後の演目は、「九世市川團十郎歿後百二十年」。
新歌舞伎十八番の内 「鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)」。
「新歌舞伎十八番」は、歌舞伎十八番を制定した七世團十郎が更に自分の当たり役を網羅しようとして果たせず、その後を継いだ九世團十郎が制定。実際には40演目あって内容が伝わっていない演目も多い。この「静の法楽舞」は2018年に当時の海老蔵が復活上演した演目の再演。
助六でも登場する「河東節」に加え、常磐津、清元、竹本、長唄が勢ぞろいして掛け合いをするという大変豪華な演奏。
。
團十郎が、静御前、源義経、老女、白蔵主、油坊主など早変わりで何役も演じる。團十郎の子供、新之助、ぼたんも登場。歌舞伎らしい演出が随所にあってあれよあれよという間に最後は花道の「押し戻し」まで。気楽に見物できて、なかなか面白かった。

最初の演目は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」
「エレキテル」の平賀源内が書いた人形浄瑠璃が原作。
「太平記」の時代が背景。矢口の渡し守りの家に、宿を求めてやって来た新田義峯に、その家の娘お舟が一目惚れする。しかしその親父である家の主、頓兵衛こそが義峯の兄、義興を殺した犯人であり、報奨を求めて更に義峯をも殺そうとするという物語。
主役のお舟は児太郎。純朴な娘が一心に相手の気を引こうとする「クドキ」は可憐に成立。赤面悪漢の父親に瀕死の傷を負わされても、好いた相手の命を助けたい一心で、なんとか櫓の太鼓を叩いて逃げる時間を与えようとする。死を賭けた娘の真っ直ぐな決意と情念を児太郎が見事に演じている。舞台が回り矢口の渡しの川面が広がった大詰めが実に印象的。
このお舟は若手の女形には大役。前に歌舞伎座で見た時には、梅枝が演じていたが、その時の脇が児太郎の傾城うてな。いつかは自分もと勉強していたに違いない。
最後まで悪漢を貫く渡し守頓兵衛は男女蔵。藪から怪異に登場して、家に鍵がかかっていると見るや壁をバリバリ壊して入っていく無法な様子や、鳴鍔を鳴らしながらの「蜘蛛手蛸足の引っ込み」など、随所に堂々たる迫力あり。大きく、サマになっている。
父親の四世左團次は先頃亡くなったが、物事に拘らない恬淡とした飾らない性格でファンも多かった。ただ、自伝の『いい加減、人生録』であっけらかんと語る自らの出自や離婚経験を読んでも、肉親への情は薄かった印象。
男女蔵が親父に教わった話を聞いても「目立つな」「変わった事をやるな」程度であって、息子に特に役を与えて引き立てる事もなかったような。それでもやはり頭の上の重しであったには違いなく、今回の好演には、なんだかあれこれ吹っ切れたような明るい力強さを感じる。
今更白塗りの二枚目という訳にも行くまいが、親父譲りのニンを生かして、「毛抜」の粂寺弾正、「助六」の髭の意休、「俊寛」の瀬尾、「身替座禅」の奥方玉ノ井などなど、悪役、老け役に活路を見出せば、今後は歌舞伎での前途洋々ではないか。更なる活躍を祈りたい。
次の演目は、「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩」。


鳶と相撲取りの喧嘩を題材に、江戸の風俗が印象的な世話物。團十郎演じる「め組」辰五郎は青光りするような眼光が印象的な鳶頭。眼光が鋭すぎる所が音羽屋が演じる時と若干トーンが違うけれども、これはこれで粋で鯔背な鳶に仕上がっている。
四ツ車大八は右團次、男女蔵はこの演目にも九竜山浪右衛門で登場。次の日曜は大相撲名古屋場所の初日で名古屋遠征を計画していただけに、舞台に相撲取りが登場すると相撲観戦の前触れのようで楽しい。
辰五郎の女房お仲は、相撲取りへの仕返しをためらっているように見える辰五郎に、仕返しをして男を上げないのなら離縁すると啖呵を切る鉄火な江戸の女だが、ちょっと雀右衛門には似合わない感じがあるかな。
大詰め、いよいよ衝突になった際の立ち回りは大勢人が出て実に派手で賑やかなもの。新之助も登場。いよいよ雌雄を決する場面に。舞台にこれだけ大勢の役者が出るのは、コロナ禍が始まってから久しくなかったのでは。
最後は焚出し喜三郎が後方から梯子につかまり上方から、ギリシャ劇の「デウス・エクス・マキナ」の如き「裁定者」として群衆を分けて舞台に登場。町奉行、寺社奉行からぞれぞれ賜った法被を見せて見事にこの喧嘩を鎮める。又五郎の登場で、2時間の長い演目がきちんと締まった。
ここで30分の幕間。「花篭」で「花かご御膳」。

最後の演目は、「九世市川團十郎歿後百二十年」。
新歌舞伎十八番の内 「鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)」。
「新歌舞伎十八番」は、歌舞伎十八番を制定した七世團十郎が更に自分の当たり役を網羅しようとして果たせず、その後を継いだ九世團十郎が制定。実際には40演目あって内容が伝わっていない演目も多い。この「静の法楽舞」は2018年に当時の海老蔵が復活上演した演目の再演。
助六でも登場する「河東節」に加え、常磐津、清元、竹本、長唄が勢ぞろいして掛け合いをするという大変豪華な演奏。
。
團十郎が、静御前、源義経、老女、白蔵主、油坊主など早変わりで何役も演じる。團十郎の子供、新之助、ぼたんも登場。歌舞伎らしい演出が随所にあってあれよあれよという間に最後は花道の「押し戻し」まで。気楽に見物できて、なかなか面白かった。
先週の火曜日は「新橋鶴八」。前の週に空きを聞いてみると、木曜から土曜まで出張握りの予定が入っているとのことで火曜日に予約。「新ばし しみづ」訪問の次の日だったがまあ仕方ない。
入店すると、カウンタ一番奥には大常連O氏がとぐろを巻いている。顔を合わせるのは1年ぶり位か。いやひょっとして2年くらい経つかな。カウンタにはもう一人お客あり。
出張握りの事を聞いてみると、師匠の神保町「鶴八」石丸親方と一緒に徳島の山奥まで100人前握りに行くそうである。地名は聞いたのだが忘れたな。なんでも高知に行ってから車で移動なのだそうで。
魚は現地調達ではなく豊洲で買って持って行くのだとか。まあ確かに知らない場所でいきなり市場で仕入れと言っても困難だろう。それにしても2軒の寿司屋を3日休ませて呼び寄せるのだから、相当お金がかかるだろう。田舎のお大尽か。お金というのはある所にはあるなあ(笑)
冷酒は「白龍」純米。その後で「高尾の天狗」。
つまみは頼まないのにいつも通り勝手に切って来る(笑)。白身はカレイ。肉厚の身で旨味があり旨い。アワビの塩蒸し。鶴八流の煎り付けるように水分を飛ばして味を含ませた仕上げだが、身に弾力と香りがあり、何時もながら結構。
何か色々と雑談したはずだが、あんまり覚えてないなあ(笑)
そうそう、「しみづ」でタカベを使っていた事を伝えると、「うちが最初に使いだしたんです」と自慢する。焼いてつまみで供したらしいので使い方は若干違うが。今まで寿司屋であまり聞いた事がなかったが、最近は魚河岸でも流通するようになっているのかね。
カツオは生姜醤油で。これも大きな身。皮目を炙ってある。サバはこの季節どうかと思ったが、三浦半島(だっけ)辺りの寝付きのサバ。浅めの締めだがなかなか旨味がある。
あと一品何か貰ったはずだが記憶が定かではない(笑) 勘定の時にくれたメモによると「マグロ」とあるのだが、マグロの刺身はつまみで食べた事がないしなあ。何かつけ焼きにしたのを貰ったんだっけ。大常連O氏と話をしていたので失念した。
芋焼酎の水割りを頼んで握りに。メモによると、キス、昆布〆、赤貝、アジ、中トロと貰った。「しみづ」に比べるとつまみのポーションも大きいし、握りも大きいから、食べる量としてはこんなものかな。酢飯の具合はいつもながら良いと思う。
次のお客も来てそろそろ忙しくなりそうだったので頃合いで勘定を。タクシー帰宅。
入店すると、カウンタ一番奥には大常連O氏がとぐろを巻いている。顔を合わせるのは1年ぶり位か。いやひょっとして2年くらい経つかな。カウンタにはもう一人お客あり。
出張握りの事を聞いてみると、師匠の神保町「鶴八」石丸親方と一緒に徳島の山奥まで100人前握りに行くそうである。地名は聞いたのだが忘れたな。なんでも高知に行ってから車で移動なのだそうで。
魚は現地調達ではなく豊洲で買って持って行くのだとか。まあ確かに知らない場所でいきなり市場で仕入れと言っても困難だろう。それにしても2軒の寿司屋を3日休ませて呼び寄せるのだから、相当お金がかかるだろう。田舎のお大尽か。お金というのはある所にはあるなあ(笑)
冷酒は「白龍」純米。その後で「高尾の天狗」。
つまみは頼まないのにいつも通り勝手に切って来る(笑)。白身はカレイ。肉厚の身で旨味があり旨い。アワビの塩蒸し。鶴八流の煎り付けるように水分を飛ばして味を含ませた仕上げだが、身に弾力と香りがあり、何時もながら結構。
何か色々と雑談したはずだが、あんまり覚えてないなあ(笑)
そうそう、「しみづ」でタカベを使っていた事を伝えると、「うちが最初に使いだしたんです」と自慢する。焼いてつまみで供したらしいので使い方は若干違うが。今まで寿司屋であまり聞いた事がなかったが、最近は魚河岸でも流通するようになっているのかね。
カツオは生姜醤油で。これも大きな身。皮目を炙ってある。サバはこの季節どうかと思ったが、三浦半島(だっけ)辺りの寝付きのサバ。浅めの締めだがなかなか旨味がある。
あと一品何か貰ったはずだが記憶が定かではない(笑) 勘定の時にくれたメモによると「マグロ」とあるのだが、マグロの刺身はつまみで食べた事がないしなあ。何かつけ焼きにしたのを貰ったんだっけ。大常連O氏と話をしていたので失念した。
芋焼酎の水割りを頼んで握りに。メモによると、キス、昆布〆、赤貝、アジ、中トロと貰った。「しみづ」に比べるとつまみのポーションも大きいし、握りも大きいから、食べる量としてはこんなものかな。酢飯の具合はいつもながら良いと思う。
次のお客も来てそろそろ忙しくなりそうだったので頃合いで勘定を。タクシー帰宅。
今週月曜は「新ばし しみづ」。先日は電話で予約したのだが、一度「OMAKASE」で予約してみよう、それも今まで休みだった月曜にするかと予約。元々が定休日だったからか予約開始からしばらくは比較的空いていた。
会社を早めに退社。開店時間と同時に入店。奥の3席は前回もそうだったが外国人連れなるも日本語ができるメンバーがいる。タイからなんだって。もう没落しかけの日本より、タイのほうが羽振りがよくなりつつあるかもなあ。
この日は新橋3丁目のビルでガス爆発があり、現場もこの店の近く。爆音も聞こえたし現場は消防車が何台も着て規制線が張られて大変だったと親方が。ニュースを見た「祇園まつもと」からも電話があったと。しかしこの店がある通りは木造の古い店が多いから、ガス爆発があったら大変だ。
今日は外が暑かったのでお酒は冷たいのを所望。この店では銘柄は聞いた事がない。実際には何種類かあるらしいが。
お通しは、汲み豆腐。オリーブオイルと塩をかけて。まずつまみから。白身はタイ。煎り酒で食する。皮目に旨味あり。タコ。ここのタコは割と歯応えを感じる煮上がりだが噛みしめると何時もながら独特の旨味を感じる。
アワビ塩蒸しは馥郁たる海の滋味。肝は苦みのあるソースとして添える。ウニと新イクラは大きめのぐい呑みに盛り付けて供する。
タカベと言ったっけ。はっきりしないが、種札にない魚。親方によると伊豆半島でよく釣れるイサキとアジの中間の魚。細切りにしてゴマ醤油の漬けにして供する。柔らかい身に脂はよく乗っており旨味もある。「初めて食べるなあ」と言うと、最近の大雨のせいで魚が揃わない事もあってライナップに登場したと親方。この時期は天候で寿司屋も仕入れが大変だ。
甘鯛の酒蒸しが供される。身肉から溶け出した上品な脂。親方と雑談していると、この店も開店してからもう25年だと。考えてみればアメリカ駐在で5年ばかりブランクがあるけれども、私自身もこの店に通いだしてもう20年以上になるものなあ。祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。違うかw
北寄貝紐の串焼き。軽く七味を振って供する。シャコとハマグリもつまみで。この辺りで親方からそろそろ握りますと声が掛かる。飲み物はお茶に切り替え。
おまかせコースのお客さんはこれからあれこれ本格的に握りが出る訳だが、私のほうはいつも通り限定した握りのみでやってもらう。まず中トロを2。しっとりした舌触り、口中で旨味のあるマグロが解け崩れる。実に旨い。
コハダは片身づけ。2貫。しっかり〆た厚めの身肉が強めの酢飯にホロホロと崩れるような。これまた旨い。アナゴは良いものがないとアナゴ巻にして塩とツメで。
酢飯は以前に比べると軽くなった気がするが親方に尋ねると、どの時期と比較するかにもよるが、最近は強めの酢飯で握る店が増えてきたので、それとの比較でそう思うのではないかとのこと。そうかなあ(笑)思い返してみると、大分前からややマイルドになっていた気もしないでもないのだが。
最後にカンピョウ巻を半分もらって握りは〆。最後にスイカが出た。親方から、「OMAKASEにプレゼントが届いているはずなんで後で見てください」と。そういえばスマホでなにやらやっていた。
店を出て向かいの「P.M.9」に。
ジン・マティーニを一杯。普通は食前酒だがすきっ腹で飲んでは倒れてしまう。寿司の後で飲むと胃がカッと暖かくなって好きだなあ。バーテンダーM氏は帰宅して夕食の前に自分で作って飲むのだと。
その後でアイラ島のシングル・モルト、北スコットランドのシングル・モルトをそれぞれ一杯ずつ貰ってちびちびと。ビルのガス爆発の話はここでも。ウィスキーの芳醇なる香りをのんびりと愛でてから帰宅。
部屋に戻ってから確認すると、1週間前しか取れなかった「OMAKASE」の予約が1ヵ月前から取れるようになっている。顧客単位で設定の変更が可能らしい。清水親方が顧客管理にも便利なんですよと言ってたのはこういう事か。なるほどねえ。
会社を早めに退社。開店時間と同時に入店。奥の3席は前回もそうだったが外国人連れなるも日本語ができるメンバーがいる。タイからなんだって。もう没落しかけの日本より、タイのほうが羽振りがよくなりつつあるかもなあ。
この日は新橋3丁目のビルでガス爆発があり、現場もこの店の近く。爆音も聞こえたし現場は消防車が何台も着て規制線が張られて大変だったと親方が。ニュースを見た「祇園まつもと」からも電話があったと。しかしこの店がある通りは木造の古い店が多いから、ガス爆発があったら大変だ。
今日は外が暑かったのでお酒は冷たいのを所望。この店では銘柄は聞いた事がない。実際には何種類かあるらしいが。
お通しは、汲み豆腐。オリーブオイルと塩をかけて。まずつまみから。白身はタイ。煎り酒で食する。皮目に旨味あり。タコ。ここのタコは割と歯応えを感じる煮上がりだが噛みしめると何時もながら独特の旨味を感じる。
アワビ塩蒸しは馥郁たる海の滋味。肝は苦みのあるソースとして添える。ウニと新イクラは大きめのぐい呑みに盛り付けて供する。
タカベと言ったっけ。はっきりしないが、種札にない魚。親方によると伊豆半島でよく釣れるイサキとアジの中間の魚。細切りにしてゴマ醤油の漬けにして供する。柔らかい身に脂はよく乗っており旨味もある。「初めて食べるなあ」と言うと、最近の大雨のせいで魚が揃わない事もあってライナップに登場したと親方。この時期は天候で寿司屋も仕入れが大変だ。
甘鯛の酒蒸しが供される。身肉から溶け出した上品な脂。親方と雑談していると、この店も開店してからもう25年だと。考えてみればアメリカ駐在で5年ばかりブランクがあるけれども、私自身もこの店に通いだしてもう20年以上になるものなあ。祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。違うかw
北寄貝紐の串焼き。軽く七味を振って供する。シャコとハマグリもつまみで。この辺りで親方からそろそろ握りますと声が掛かる。飲み物はお茶に切り替え。
おまかせコースのお客さんはこれからあれこれ本格的に握りが出る訳だが、私のほうはいつも通り限定した握りのみでやってもらう。まず中トロを2。しっとりした舌触り、口中で旨味のあるマグロが解け崩れる。実に旨い。
コハダは片身づけ。2貫。しっかり〆た厚めの身肉が強めの酢飯にホロホロと崩れるような。これまた旨い。アナゴは良いものがないとアナゴ巻にして塩とツメで。
酢飯は以前に比べると軽くなった気がするが親方に尋ねると、どの時期と比較するかにもよるが、最近は強めの酢飯で握る店が増えてきたので、それとの比較でそう思うのではないかとのこと。そうかなあ(笑)思い返してみると、大分前からややマイルドになっていた気もしないでもないのだが。
最後にカンピョウ巻を半分もらって握りは〆。最後にスイカが出た。親方から、「OMAKASEにプレゼントが届いているはずなんで後で見てください」と。そういえばスマホでなにやらやっていた。
店を出て向かいの「P.M.9」に。
ジン・マティーニを一杯。普通は食前酒だがすきっ腹で飲んでは倒れてしまう。寿司の後で飲むと胃がカッと暖かくなって好きだなあ。バーテンダーM氏は帰宅して夕食の前に自分で作って飲むのだと。
その後でアイラ島のシングル・モルト、北スコットランドのシングル・モルトをそれぞれ一杯ずつ貰ってちびちびと。ビルのガス爆発の話はここでも。ウィスキーの芳醇なる香りをのんびりと愛でてから帰宅。
部屋に戻ってから確認すると、1週間前しか取れなかった「OMAKASE」の予約が1ヵ月前から取れるようになっている。顧客単位で設定の変更が可能らしい。清水親方が顧客管理にも便利なんですよと言ってたのはこういう事か。なるほどねえ。
先週水曜は会社帰りに銀座「鮨 み富」訪問。
まだ早い時間だったので、カウンタには私だけ。何時ものように親方が裏から夏酒の一升瓶を出して来て銘柄を説明してくれる。ここが取引している酒屋は広島の酒が中心で、特に「福久長」の銘柄がよく揃っている。それ以外にこの店の注文で、親方の出身である千葉の酒も揃えており、特に東京では他にはあまり見かけない「不動」についも各種のラインアップあり。
最近の酒蔵は季節ごとに「春の酒」やら「夏の酒」など様々なラインアップの酒を醸しているようだ。最初はまず「不動」の大吟醸生酒、「夏の酒」。清冽で澄んだ味わい。白身の刺身などにはよく合うような。
お通しはもずく酢。まずつまみを切ってもらう。白身はスズキ。独特の風味を感じる夏の白身。たまに食すると夏を感じてよろしい。イサキなんかも夏には刺身でよいなあなどと三橋親方と雑談。
昔の銀座「新富寿し」は店が広く冷房が効いていたので、暑い時にはフラッとよく行った。昼から休憩なしで夜まで開けていたし、いつも空いていたのがよかったよなあ、などと懐かしい話も。
シマアジもつまみで。お酒は広島の酒「神雷 生酛造り純米酒」に切り替えてみた。若干色味があるが、こちらも爽やかな呑み口。米の旨味はこちらがより深く感じる。独特の酒造米を使用しているとのこと。親方は自分でも試飲しながら、酒屋と相談してなるべくリーズナブルな値段で、あまり他の店に置いていない酒を置くようにしているとのこと。
貝はトリ貝を。そろそろシーズンも終わり。青柳や小柱も終わった。赤貝はそろそろ禁漁だとか。平貝はまだあるが、この店はつぶ貝やほたてを使わないので、夏場の貝類は石垣貝に期待とのこと。ミル貝もつまみで。紐は軽く炙って酢橘を絞ってこれもつまみで貰った。
アジは表面に細かく包丁を入れ生姜醤油で。漬け込みのハマグリもつまみで。お店の火曜日定休日はまだしばらく継続とのこと。三井さんはまだ体調が戻らないようだ。
この辺りでお茶を貰って握りに。
マコガレイ、スズキの昆布〆。この店の酢飯には昆布〆がよく合う気がする。コハダはもうナカズミの大きさか。身が厚く脂がよく乗っている。カスゴ、稚鮎と光り物を。
水ナスを貰った。アナゴは古式を残すコクのあるツメが結構。最後はこの店の名物、カンピョウ巻で〆。梅雨の晴れ間だったが、もう夏を思わせる暑さ。この日は地下鉄で帰宅。
まだ早い時間だったので、カウンタには私だけ。何時ものように親方が裏から夏酒の一升瓶を出して来て銘柄を説明してくれる。ここが取引している酒屋は広島の酒が中心で、特に「福久長」の銘柄がよく揃っている。それ以外にこの店の注文で、親方の出身である千葉の酒も揃えており、特に東京では他にはあまり見かけない「不動」についも各種のラインアップあり。
最近の酒蔵は季節ごとに「春の酒」やら「夏の酒」など様々なラインアップの酒を醸しているようだ。最初はまず「不動」の大吟醸生酒、「夏の酒」。清冽で澄んだ味わい。白身の刺身などにはよく合うような。
お通しはもずく酢。まずつまみを切ってもらう。白身はスズキ。独特の風味を感じる夏の白身。たまに食すると夏を感じてよろしい。イサキなんかも夏には刺身でよいなあなどと三橋親方と雑談。
昔の銀座「新富寿し」は店が広く冷房が効いていたので、暑い時にはフラッとよく行った。昼から休憩なしで夜まで開けていたし、いつも空いていたのがよかったよなあ、などと懐かしい話も。
シマアジもつまみで。お酒は広島の酒「神雷 生酛造り純米酒」に切り替えてみた。若干色味があるが、こちらも爽やかな呑み口。米の旨味はこちらがより深く感じる。独特の酒造米を使用しているとのこと。親方は自分でも試飲しながら、酒屋と相談してなるべくリーズナブルな値段で、あまり他の店に置いていない酒を置くようにしているとのこと。
貝はトリ貝を。そろそろシーズンも終わり。青柳や小柱も終わった。赤貝はそろそろ禁漁だとか。平貝はまだあるが、この店はつぶ貝やほたてを使わないので、夏場の貝類は石垣貝に期待とのこと。ミル貝もつまみで。紐は軽く炙って酢橘を絞ってこれもつまみで貰った。
アジは表面に細かく包丁を入れ生姜醤油で。漬け込みのハマグリもつまみで。お店の火曜日定休日はまだしばらく継続とのこと。三井さんはまだ体調が戻らないようだ。
この辺りでお茶を貰って握りに。
マコガレイ、スズキの昆布〆。この店の酢飯には昆布〆がよく合う気がする。コハダはもうナカズミの大きさか。身が厚く脂がよく乗っている。カスゴ、稚鮎と光り物を。
水ナスを貰った。アナゴは古式を残すコクのあるツメが結構。最後はこの店の名物、カンピョウ巻で〆。梅雨の晴れ間だったが、もう夏を思わせる暑さ。この日は地下鉄で帰宅。