97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座「二月大歌舞伎」、夜の部。高麗屋三代同時襲名披露公演。
日曜の夜は、歌舞伎座「二月大歌舞伎」、夜の部。

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歌舞伎座百三十年を寿ぎ、松本幸四郎改め 二代目松本白鸚、市川染五郎改め十代目松本幸四郎、松本金太郎改め 八代目市川染五郎の高麗屋三代同時襲名興行の二ヶ月目。

出かける前に録画していた、新幸四郎と草間彌生の対談番組を録画で。草間は今回の襲名祝幕の作者である前衛芸術家。

草間彌生の語りはパワフルで実に壮大だ。小さい頃から幻覚や幻聴に襲われていたというが、普通の人間が忘れ去った、神秘で原初な異世界とのチャネルが開いていたのだろう。既に老境に入った今でも、その存在感と作品の力強さには圧倒される。草間と新幸四郎が選んだデザインだという祝い幕に草間がつけたテーマは「愛を持って人生を語ろう」。歌舞伎座の大舞台でも違和感なく「歌舞いて」いる。

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この日は団体客が多く入場前から歌舞伎座前はごった返している。入場後も実に劇場のあちこちが賑やか。三階食事所「花篭」も予約受付直後から既に借り切り状態で食事予約が入れられなかった。後の幕間で確認すると、旅行会社のツアー、農協の団体、なんとかフレンド会などで満杯。

最初の幕が開く前に、二階の売店で弁当を買い早めの腹ごしらえ。

最初の演目は、一谷嫩軍記「熊谷陣屋(くまがいじんや)」。人形浄瑠璃から歌舞伎に移された名作。幕が開く前、「ウニャワラワ~」という鶏が絞められる断末魔のような鶏爺さんの声。久々だな(笑) NHKの高麗屋三代襲名ドキュメント、お練りの場面での「高麗屋あ~ぁぁぁぁぁ」という声も、この鶏爺さんだと聞いたが、あれはカメラの近くだったからか結構声は聞こえた。しかし広い歌舞伎座では、蚊の鳴くような声にしか聞こえないのだよなあ。

「熊谷陣屋」は菊五郎の義経、魁春の相模、雀右衛門の藤の方、左團次の弥陀六、鴈治郎の堤軍次、芝翫の景高と超弩級のラインアップが脇で新幸四郎の熊谷を支える。襲名披露ならではの豪華な配役で悪かろうはずはない。余談ながら、子供の頃から神戸は須磨の隣、塩屋と御影に住んだ身としては、舞台設定がなんだか懐かしいな。まあ源平合戦の名所でもあるのだが。

菊五郎は柔らかく高貴ながらも「一子を切らせる」侍の顔を描く。相手への同情と母の情が交錯する雀右衛門と魁春も堂々たる出来。脇が揃い過ぎると主役が食われるものだが、幸四郎は隈取りの迫力ある顔での出も印象的。見得も立派でしっかりとこなした印象。

二ヶ月続けての襲名披露公演、新幸四郎は、先月は「車引」に「勧進帳」。今月は「一條大蔵譚」、「熊谷陣屋」と、高麗屋のみならず播磨屋の持ち役にまで芸域を広げる気概を見せて実に多才なラインアップ。器用な「歌舞伎職人」ぶりを観客に見事にアピールした。どうせなら「暫」もやったらよかったのでは。それは海老蔵が怒るか(笑)

この日、ちょっと困ったのは、上演中、後ろの婆さん二人がずっとヒソヒソと喋っている事。そもそも話す者などいないから、声を潜めているつもりでも回りに随分と聞こえる。聞こえた話の内容では、歌舞伎役者の血筋や家系など結構詳しいのだが、観劇のマナーだけは、お気の毒に誰にも教わらなかったものと見える。

30分の幕間の後、「壽三代歌舞伎賑(ことほぐさんだいかぶきのにぎわい)」木挽町芝居前

木挽町の芝居小屋前、高麗屋三代襲名披露を楽しみに待つ座頭や鳶衆、手古舞が並ぶ中、高麗屋3名が到着。男伊達と女伊達が両花道に並び、ツラネを渡り台詞で朗々と語って見せる。江戸奉行も登場して賑やかに観客と手締めをして襲名披露を寿ぐ。

菊五郎、仁左衛門、玉三郎、左團次、又五郎、鴈治郎、錦之助、松緑、海老蔵、彌十郎、芝翫、歌六、魁春、時蔵、雀右衛門、孝太郎、梅枝、東蔵、秀太郎、猿之助、楽善、我當、梅玉、吉右衛門、藤十郎、綺羅星の如く大看板が揃って襲名を祝う祝祭の一幕。今回の襲名披露興行は、新歌舞伎座開業以来一番出演俳優が多いのだとか。

番頭役の猿之助はずっと左手に風呂敷を持っていたが、やはりまだリハビリが続いているのだろうか。もっとも4月のワンピースでは復活するようであるが。役者魂には頭が下がる。我當さんも久しぶりに見た。退場は左右を人に介助されるが、それをそっと隠すように手古舞の二人が後ろに続くのも粋な気配りの演出。

賑やかな祝祭が終わると、舞台は一点して木挽町芝居小屋の内部の想定。二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎の3名だけが静かに舞台に現れ、襲名披露の挨拶を。賑やかな芝居前と対照的に、飾り気の無いすっきりした口上が良かった。

最後の演目は「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)祇園一力茶屋の場」。いわゆる「七段目」。実は見物するのは初めて。

祇園花見小路入り口にある一力茶屋は、以前「鮨まつもと」を訪問した時に前を通ったが、史実で大石内蔵助が遊んで居たのは別の場所であったとのこと。

奇数日と偶数日で「七段目」の平右衛門/お軽の役者が「仁左玉」と「海老菊」と交代になる趣向。実は何の考えもなく偶数日を押さえたのだが、年期の入った観巧者は両方観るのだろう。人気としては奇数日の「仁左玉」のほうで、既に席は空いていないのであった。

白鴎の襲名披露演目であるが、「七段目」は、白鴎自家薬籠中の本役。祇園で風雅に遊ぶ酔態に色気も気品も感じられ、酸いも甘いも噛み分けた大人物であるが、実は討ち入りの本心をひたすら隠すという重厚な腹もある。秘密を悟られてはお軽を殺さねばならぬという暗い決断、しかし平右衛門の妹、勘平の妻であると知って夫の敵討ちをさせる侍としての大きさ。古今の名作であるから作品も良く出来ているが、白鴎の役者としての骨格の大きさも見事に舞台に映える作品。

お座敷遊びの部分は実に賑やかで昔の観客は自分もお座敷遊びをしているような感覚を楽しんだのだろう。「見立て」のお座敷遊びでは高麗屋三代同時襲名をもじった楽屋落ちが。

お軽は、一心に夫の早野勘平を思い続ける恋女房であり、夫の本懐の為と郭に売られて今は遊女であり、そして平右衛門の可愛い妹でもある。これは結構難しい役であるが、菊之助は可憐に、柔らかく、印象的に成立している。

平右衛門、海老蔵は、腰の軽い奴で軽妙な役どころ。可愛い妹と再会した嬉しい思いもあるが、討ち入りの事情を知った妹を、忠義のためには殺さねばという、暗い感情も湧き出る。海老蔵の眼力はなかなか印象的。

菊之助も海老蔵も、きちんと成立していたと思う。ただ、お軽を菊之助ではなく玉三郎がやる所は、なんとなくイメージできるが、仁左衛門が平右衛門やると海老蔵とどう違うかというのは、ちょっと想像できない気が(笑)勿論、二左衛門のほうが唸るほど巧いのに決まっているとは思うけれども。

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「新橋鶴八」訪問。
先週金曜日は「新橋鶴八」。夕方に電話したので既に予約は立て込んでおり、しばし内部で検討の時間があったが(笑)早い時間なら大丈夫とのこと。しかし神保町に移転したら、当日電話して早めに入店なんてする事は難しくなるかね。

菊正の冷酒を貰い、お通しは湯通ししたスミイカゲソ。

石丸親方に移転の進捗を聞くと、「店の改築のほうは休みに見にゆく程度だから、あんまり分かりませんねえ」と。ただこちらの店は3月30日で閉店。年季の入ったつけ台も、冷蔵庫も、内装ごと居抜きで置いて行く契約なのだそうである。次も寿司屋が入るかね。

3月までも結構予約が入っており、既に神保町に行った4月以降の予約も入っているのだとか。「顔見世興行みたいなもんですよ」と石丸親方。今の電話番号は地域が違うので持って行けない。前の「鶴八」の番号ではなく、新たに変えるのだとか。取材も受けず、グルメサイトなどにも掲載拒否して、隠れ家のような店にしようかと。

つまみはまずヒラメ。大ぶりの個体を熟成せずに活かった身を切りつけるこの店の白身は、甘い煮切りではなく爽やかな普通の醤油によく合う。塩蒸しもつまみで。蝦夷アワビだが大きな物。他のお客の注文も立て続けに入ったので、遅い時間のお客に塩蒸しを何時も頼む常連が居ないかチェックしている。勿論、良い物から使い、ネタが切れたら札を返すのがここの流儀なのだが、注文すると分かっている常連にはやはり取り置きを考えているのだよなあ。

ブリ。噛み心地の良い新鮮な身に、くどくない脂。まだ海水温が低いので大丈夫、だが3月になるとそろそろ終わりか。つまみで漬込みのシャコも。

この辺りで握りに。まず中トロ。米の滋味が染み染みとした固めの酢飯が結構。コハダも何時もながらネットリとした旨味あり。アナゴも何時もの鶴八流。この店で仕事を施した種を食すると、産地がどうとか旬がどうとかのウンチクはどうでも良くなる。何時もの物が何時ものように旨い。いぶし銀のような江戸前仕事だ。最後はこれまたいつもの干瓢巻。

そういえば4月になっての予約をするのを忘れたな。今度訪問する際には忘れないようにしないと(笑)




「二月大歌舞伎」昼の部。高麗屋三代同時襲名披露公演
土曜日は歌舞伎座で、「二月大歌舞伎」昼の部。

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歌舞伎座百三十年記念公演であると共に、先月に続いて高麗屋三代同時襲名披露公演でもある。

松本幸四郎改め 二代目 松本白 鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎

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襲名祝い幕も先月とは変わり、草間彌生作、生の息吹を感じる大胆奇抜で力のあるデザイン。襲名披露役者の名前が入らない祝幕も珍しいが、確かにこのデザインは自己完結しており、作者の名前以外を入れる余地は無いかな。

仮花道が設定されている。昼の部では、最初の舞踊で一瞬使っただけ。夜の演目に使うのかな。熊谷陣屋や七段目で両花道使わないか。だとすると、襲名披露の挨拶演目? 今月も綺羅星の如き大物俳優総出演である。

この日、昼の部は団体客が多く、あまり歌舞伎座に慣れていない様子の人々が連れ立っている場面多数。三階花篭食堂は貸し切り状態のようで予約できなかった。

夜の部は、奇数の日が仁左衛門、玉三郎の組、偶数の日が、海老蔵と菊之助の組と交互に役を演じる。奇数日のほうが先に完売で人気あり。2月の歌舞伎座は、寸前まで予約を忘れており、チケット松竹にアクセスした際、奇数日と偶数日の意味が分からず、リンクも訳が分からなかったので、奇数日を昼の部、偶数日に夜の部という、なんだか妙な観劇予定になってしまった(笑) 奇数日の週末夜はなかなか戻らない。

最初の演目は、「春駒祝高麗(はるこまいわいのこうらい)」。新春の祝に江戸時代からよく演じられた曽我物。襲名を祝う祝祭の賑やかな舞踊。いつか討たれてやろうと、敵役が敵討ちの若者に将来自分が討たれる場所の通行手形を渡し、再会を約しての大団円。如何にも歌舞伎のお約束で様式的なストーリーだが、それが型にはまって良いのだよなあ。

梅玉の工藤祐経、又五郎の小林朝比奈が舞踊の力点となり、芝翫、梅枝、米吉、錦之助と華やかにかつ目出度く踊る。

二番目の演目は、新幸四郎が一條大蔵長成を演じる襲名披露演目、「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」。檜垣、奥殿の場。

イヤホンガイドを聞き、再度筋書きをチェックして気づいたが、この演目は高麗屋は殆ど演じていない。初代の吉右衛門が当たり役として、新白鴎の弟にして新幸四郎の叔父、二代目吉右衛門に継承された演目。

一條大蔵卿を演じる俳優になりたいというのは、新幸四郎の叔父さんへの尊敬と配慮であろうか。染五郎時代に最初に演じた際、当代吉右衛門は、最後の作り阿呆の場面で、「一條大蔵卿は、この先二度と本心を現す事なく生きてゆくのだ」と教えたという。確かに以前見た吉右衛門の大蔵卿には、討った首を弄ぶ中に、哀しき狂気の萌芽さえ見えている気がした。

新幸四郎も、作り阿呆の部分と本心を現す部分のコントラストはきちんと演じて端正に成立している。時蔵は流石に大物で、凛として堂々たる常盤御前。

秀太郎が成瀬、孝太郎がお京、松緑が鬼次郎、歌六が八剣勘解由と、芸達者が揃う襲名披露演目らしい堂々たる布陣。ただ、座った場所が悪かったのか、奥の御簾から長刀がゾワワと出て来る所は見落としたな。

30分の幕間は食事予約できなかったので、館内をブラブラと。

三番目の演目は、「歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)」

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成田屋、家の芸。DVDで見た事はあるのだが、舞台で観るのは初めて。ストーリーは殆ど無く、ただただ派手で賑やかで痛快な荒事。祝祭劇としても実に目出度いのだが、近年の上演は殆ど成田屋によるもの。歌舞伎座での前の上演は平成21年の海老蔵。それは観ていない。

海老蔵演じる鎌倉権五郎。花道での雄弁な台詞術を用いた「つらね」には、高麗屋三代襲名を寿ぐ台詞を巧みに埋め込んで客席を沸かせる。派手でサイケデリックで、江戸の小屋で大衆が熱狂した呪術性のある「荒事」が眼前に繰り広げられるのは、やはり圧巻というしかない。型がどうのとか鹿爪らしい仔細を気にするのが野暮の骨頂に思える。

鴈治郎、孝太郎、右團次、彦三郎、坂東亀蔵、尾上右近、九團次、男女蔵、左團次など、これまた襲名披露に相応しい豪華な布陣で。成田屋でなければ出来ない演目。海老蔵は途轍もない財産を承継している。

最後の演目は、「井伊大老(いいたいろう)」

新国劇から歌舞伎に移されてから、幸四郎と吉右衛門しか主演していない、まさに高麗屋と播磨屋の兄弟芸。吉右衛門演じる井伊大老は、流石に自家薬籠中の持ち役で、大老にまで登り詰めたが、貧しい彦根で暮らしを思い出し、お前だけが妻だとお静の方を労る情愛を情け深く演じる。死を覚悟して、時ならぬ雪を見ながら静かに酌み交わす故郷の酒が印象的な切り。二人きりの場面の時に上のほうから小さな声で「音羽屋」と大向うが聞こえた気がしたのだが空耳かな。時折、デタラメに「音羽屋」って言ってる人いない?(笑)

お静の方、雀右衛門も可憐で良い。井伊大老の書に死の運命を読み取り、風のように去ってゆく雲水、仙英禅師も、正に歌六の当たり役。梅玉の長野主膳も、腐ったものは深く抉り取らねばならぬと、安政の大獄を断行する鋼のような決意を語って要所を締めていた。自分の信じる正義のためには鬼にならんと言う台詞は、来世は決して大老にはならぬと言う、大詰めでの伊井大老の涙ながらの述懐と対称的に響きあう。本が良くできている。

打出しで外に出るとまだ明るい。銀座松屋上の鰻屋で一杯。うな丼も頼むと、「鰻は中国産ですが、よろしいですか?」と。4000円のうな丼で中国産。いよいよそんな事態になってきた。鰻絶滅を防ぐために食うなと言うのはたやすいが、本当は、スーパーの安売りや牛丼屋の鰻を規制して、良い物を昔からの仕事で供給する老舗の鰻屋を助けてほしいもの感あり。鰻は気軽に牛丼屋で食う物ではなく、4~5000円払って鰻職人のいる専門店で偶に食べるもので良いと思うけれども。

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メニューにも「中国産のため何時もと形が違う場合があります。ご了解ください」と書いてある。確かに身が分厚くて太い。これはかなり蒸して脂を落としているのではと思う仕事。それでも、そんなに悪くない。やはり蒸しや焼きの仕事で大分持ち上げているのだろうと、鰻職人の苦労が忍ばれる。夏場の土用の丑にかけて、果たして今年は大丈夫か。

「新橋鶴八分店」訪問
金曜日は「新橋鶴八分店」で一杯。ちょっと前から予約してあった。本日は大常連O氏はおらず、一番奥の席に。新潟の純米大吟醸を。鯛の酒盗がお通し。

「新橋鶴八」は3月31日まで営業とのこと。隣のお客は本店の古い客らしく、最終日は手伝いに行くのだと。ほお。まあ私はそこまでの太い常連じゃないからなあ(笑) 大常連O氏も最後だけくらい入れてあげれば、泣いて喜ぶと思うけど。和解を勧めたい所だけれども若輩が割って入ってもねえ。

この店の名前も「分店」が外れて、契約書から銀行口座から、「ニュー新橋鶴八」になるので、手続きが大変ですと五十嵐親方が冗談を。その名前は私が提案したので、本当に使うなら手数料払ってもらわないと(笑)

食べましたものは、最後にメモをくれたので、こちらを参照。O氏が居ないとカラオケに誘われる心配なくノンビリやれるので快適である(笑)

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つまみでは、この時期蝦夷アワビの塩蒸しがあったのが珍しい。子持ちヤリイカもそろそろ出て来たと。ただ身はどちらかというとスカスカかな。解読すると、つまみのその次はヅケ。ネットリした旨味。サバも甘味あり。タコも香りがよい。

握りでは、アナゴ、ハマグリ、コハダなど鶴八系の仕事を堪能。中国からの客がカウンタ端におり、「はまち」というので、「How much?」で、勘定の事を言ってるのではと親方に教えてあげたら、実は魚の「ハマチ」を頼んだだけであった(笑) 日本の江戸前寿司では、ハマチは養殖でどちらかというとグレードの低い魚なので、良い江戸前の店では置いていないところも多いからねと、おせっかいながら解説。というか、最初に聞き間違えたのは私なんですが。いったい何やってるんだ。ははは。

ホロ酔いでタクシー帰宅。

2018年、大相撲初場所千秋楽観戦写真日記
大相撲初場所千秋楽を国技館で観戦したので、備忘のために写真日記を。

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千秋楽は10時半頃から取組開始。今日は右翼の街宣車はおらず平穏なもの。幕内最高優勝と幕下優勝は昨日決まってしまったのだが、他の各段優勝は本日の優勝決定戦に。楽日の協会御挨拶、三役揃い踏み、幕内優勝に三賞の表彰式、出世力士手打ち式、神送りの儀などイベントは盛り沢山。

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本日は向正面と西側の境界近い二階席から観戦。4列目なので、前列が居ないのが助かるが、ただ通路を隔てた3列目の土俵方面には、背の低い女性だが強烈な「前ノメラー」が居て、写真を撮ると頭が入るなあ(笑) しかし、土俵はなかなか良く見えて結構。

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二横綱が途中休場した場所。大関が大活躍すると思ったが、豪栄道はなあ(笑)

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本日もまず二階「雷電」で腹ごしらえ。本日は入り口に、何時もの着物姿の綺麗なお姉さんが居て「アラ? 今場所はお会いするのは初めてですよね? 私、今場所は何度か休んでしまって」と。勘定する時には、栃ノ心優勝について会話。「また来場所も宜しくお願い致します」と愛想が良い。そうか、今度は5月だ。1月のちゃんこ定食は、餅も入って、鍋のうどん、添えられたご飯と、なかなか旨いのだが、ちょっと炭水化物過多か(笑)

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寒波襲来中だからか、国技館二階に、ひよの山と赤鷲が登場。二階で見るのは珍しいかな。赤鷲は、松鳳山がモデルだと思うが。

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妙義龍は逆転の十両優勝。まあ三役経験あり、幕内上位に定着していた実力者であるから、怪我で落ちた今の地位では当たり前といえば当たり前。

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千秋楽協会御挨拶では、八角理事長が昨今の不祥事について謝罪。こう言ってはなんだが、喋るだけならタダなので、初日の挨拶でも不祥事への謝罪を入れて置けば良かったのでは。ちゃんとした参謀役が、回りに居ないのかなあ。しかし千秋楽で触れないよりもきちんと触れて良かった。

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鶴竜は盤石の10連勝で横綱進退の話題を吹っ飛ばした後、疲れが蓄積したかビックリするくらい調子を落として4連敗。しかし一人横綱で連日の横綱土俵入りを勤め、場所を良く締めてくれた。横綱土俵入りの無い本場所など気が抜けてしまうもの。

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逸ノ城は今場所は見違えるような相撲。馬力だけではなく前さばきの技も別人かと思うほど上手かった。技能賞に該当したと思うが平幕優勝の栃ノ心に。来場所は三役復帰。見違える「ニュー逸ノ城」を見せてほしい。

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栃ノ心は体幹の力が強いが、あの体重で腹筋が割れていることが分かる所が凄い。今場所は立合いから厳しく前に突いて出る攻めで、今まで時として批判された「ユルフン」もあまり気にならなかった。来場所も頑張ってほしい。

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千秋楽、これより三役揃い踏み。

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高安は、最後の塩でいつも通り、フンガーっと気合を入れる。序盤で幾つか負けたので話題にならず損をしたが、終わってみれば鶴竜よりもよい成績。しかし印象的には、綱取りの足掛かりにはなるまい。やはり序盤で取りこぼしてはいけない。栃ノ心に負けたのは、元隆三杉の西方審判がきちんと土俵際を見ておらず、物言いをつけなかった怠慢のせいもあると思うが、今更言っても詮無い事か。

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立呼び出し拓郎。

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いよいよ初場所千秋楽、結びの一番。

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負けが込んだが、前日にギリギリ勝ち越していた豪栄道らしい、潔い負けっぷり。鶴竜は最後をなんとか白星で締めて良かった。

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栃ノ心は、嬉しい初優勝と賜盃拝戴、優勝旗授与、その他の外国、諸団体からの優勝賞品授与式が続く。しかし素晴らしい達成であった。

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出世力士手打ち式には、大鵬の孫、納谷君と、朝青龍の甥、豊昇龍が。そして新序出世力士が行司を胴上げする神送りの儀。毎場所千秋楽恒例だが、初場所はまた格別の趣きあり。打出しの後、もうすっかり暗い外に出ると、千秋楽は跳ね太鼓が鳴らない。早くも相撲ロスを感じながら、しかし千秋楽の感慨を胸に帰路に。


2018年大相撲初場所、7日目、中日観戦写真日記
大相撲初場所7日目は、会社同僚の枡席に便乗して一階で観戦。二階も見やすいけれども、やはり枡で飲み食いしながら見ると江戸情緒が感じられますな。歌舞伎も時折は、枡席を設定した特設会場で観客が飲んだり騒いだりしながら見物するという、江戸回顧のイベントをやれば良いのに。まあ、眼前で宴会やられたら、役者は迷惑だろうけれども。

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昼前に到着するとまだ誰も居ないので、豪栄道弁当など食す。焼肉、串かつにコロッケと結構カロリーあるね。まあ肉食系弁当というと、なんといっても鶴竜弁当だが。

持ち込みの日本酒やワインを飲んだり、贔屓力士を応援して騒いだり、紙コップを倒したりして、なかなかの大騒ぎでござった。

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後ろの枡席には東北弁の御一行がおり、錦木が登場すると大声援。折角の地元応援団だから手伝ってあげようと此方の枡でも「錦木~!」と大声援を送る。結果的には善戦したものの、阿炎のすくい投げに敗れて残念。しかし錦木応援団の男性は、「どうも応援ありがとうございました」と手拭とホテルのパンフレットを全員にくれた。皆さんも岩手旅行の際は是非どうぞ。

打出しの後は、全員でちゃんこ屋に移動して大宴会。酩酊してタクシー帰宅。この時には、鶴竜の失速や、栃ノ心が勝ち続ける事など、誰も予想していなかったなあ。

そして翌日も国技館で観戦。

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中日は二階の椅子席。タクシーで国技館に向かうと、清澄通りを一本入った裏道を選択した運転手が、「この辺りに昔北の湖部屋があったんですよね」と教えてくれる。その頃は朝稽古を見る相撲好きが大勢集まっていたとのこと。昔、小錦を乗せた話など聞いて面白かった。

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国技館前に到着すると、右翼の街宣車が止まっており、「式守伊之助の人権ガ〜! 」、「八角理事長は即座に辞任せよ~!」と大音声でガナリ立てている。楽しく相撲見物したいご見物観客の全員の人権を、頭の悪いお前達が踏みにじっているんだよ。

相撲取りが相撲取りだけで運営している古いしきたりも多々残る組織なのだから、それは問題もあるだろうが、部外者が目を三角にして正義の鉄槌を振るう必要がどこにあろうか。

八角親方を解任して後はどうする。力士としては偉大だったが、人付き合いも頭も悪く、隠蔽体質で、家族とも絶縁し、回りから洗脳されやすい奇人変人の貴乃花なんかが相撲協会のトップになったら、相撲協会は、大相撲利権にたかる色んな魑魅魍魎が跋扈する、壮大な伏魔殿になる気がするけれどもね。

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何時もの雷電でちゃんこ定食。今場所は、入り口に着物の綺麗なお姉さん居ないな。

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水戸龍が、ゲハハと付き人と談笑しながら場所入り。「頑張って」と声を掛けると、小さくウム、と頷く。まだスレてないねえ。良いねえ。

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前日七日目に幕下筆頭で勝ち越しを決め、再十両を確実にした矢後どんに「再十両おめでとう!」と声を掛けると、「ウイッス」と小さく頷く。

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中日は新序出世披露。大鵬の孫である納谷と朝青龍の甥である豊昇龍が話題。前相撲では納谷が勝ったが、大阪場所では序ノ口として番付に載っての正式対戦が実現する。観戦したいものだね。

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大砂嵐は何か浮かない顔での場所入りだったのだが、既に事件の発覚を予想していたのか。何も知らない調子乗りだけの落語家崩れやタレントが、昼のワイドショーで正義の味方の如く偉そうにコメントして、何でもすぐに大バッシングになる昨今だが、過ちを犯しても再挑戦を許す社会でなくてはならないのでは。

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新序出世見た後で外に出て、国技館で力士の入り待ちを再開していると、後ろからざわめきが。豊昇龍だった。名前が咄嗟に出なかったが「アッ!朝青龍の甥だ!」と口をつくと、彼は自分が呼ばれた事に気づいて、人懐こい笑顔で手を自分から差し出して近づいて来た。「頑張ってね」「はい」と固い握手。これからずっと応援しよう。

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「ヌスクグ~! 頑張れ~!」

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栃煌山は前半戦好調だったのだが、まさか左大胸筋損傷で休場することになろうとは、この時点では誰も予想できない。

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鶴竜も中日までは盤石の相撲。まさか10連勝の後であんなガタガタになるとは。一人横綱の重圧か。この時点では、栃ノ心はなかなか調子が良いな程度の印象しかなかった。

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二階から見ていると、豪栄道と千代大龍の仕切りは、ダンスのポーズ決めているようにテンポが妙に合っているのだよなあ(笑)

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仕切りの時はあんなにテンポが合って仲良くしていたのに、千代大龍の野郎は(笑)立合いでは強烈な両手突きで豪栄道を吹っ飛ばす。なんて事するんだ(笑)

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中日の鶴竜はまだ盤石の相撲が続いており、危なげなく正代を投げ捨てる。この相撲がずっと続けばよかったのだがなあ。

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この日も満員御礼でござった。

2018年、大相撲初場所初日観戦写真日記
2018年初場所初日を両国国技館にて観戦。

タクシーで「国技館まで」と告げると、「今日は何かやってるんですか?」と運転手が聞くので、大相撲初場所が始まるんだと教えてあげる。「なんでこんなに早く行かれるんです?」とまた聞くので、開場は8時、下っ端の取組は8時半頃からやってるんだよとこれまた教える。大相撲は、夕方の4時くらいからやってるんだと思っている人が世間には意外に多いよなあ。

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国技館に到着したのは10時頃。やはり東京での本場所は独特の雰囲気があって良い。

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取組表には立行司、式守伊之助の名前無し。処分が出たのは前日土曜だが、今場所の出場停止は既に金曜に割が出る時から決まっていた。優秀な立行司であったとは思わないが、しかしもう土俵でもう見る事ができないとは。人生無常なり。

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九月場所優勝の日馬富士の優勝額は、本人引退につき、初日の優勝杯・優勝旗返還式は無く、優勝額除幕式も無し。既に序幕されている。本人が居なくとも、除幕式くらいやってあげてもよかったのになあ。

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初場所初日は天覧相撲の場合が多いのだが、今場所は不祥事が続くからと相撲協会が既に出していたご招待を辞退したとか。宮内庁は天皇陛下を不祥事が続いた悪い風評の場所に出したくない。しかし宮内庁から断るとカドが立つ。相撲協会に辞退するように言ったと思うのだが。初場所初日なのに寂しいな。

永六輔は、「貴賓席のある国技館なんて行きたくない」と言った。私は、貴賓席があって、天覧相撲があっての、国技館での大相撲興行だと思うけれども。今上天皇陛下が天覧する機会は来年の初場所のみ。それまでに、宮内庁に天覧を断られないような状況になっているとよいのだが。

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国技館来たら、やはり「雷電」でちゃんこ定食ですな(笑)

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今場所は大関二人が引っ張る場所になってほしいと思ったけれども、結局、そんな展開にはならなかったのであった。

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優勝旗に掲げられた日馬富士の名前が、なんとも虚しくも哀しい。現役を続ける道はあったと思うけれども。

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日馬富士弁当も無くなっている。横綱大関弁当では一番好きだったけれどもなあ。

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宇良は休場なんだよなあ。豊響も休場とは。貴ノ岩は師匠の判断なので、どうしようもないが。

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あれこれ不祥事はあったけれども、本日も満員御礼とは、ありがたい話ではないか。チケットが取りやすくなるのは歓迎なのだが。

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初日は三横綱揃い踏み。土俵入りも見ることが出来て実によかった。四横綱揃い踏みは、結局、大阪巡業でしか見たことなかったなあ。

そして、初日、貴景勝のとったりに敗れ、負け残りで控えに座る稀勢の里の何とも言えない憂いに満ちた表情。もう既に今場所の途中休場を告げるような暗雲が漂っていた。式守伊之助を代理で引き継いだ、三役格行司式守勘太夫が、軍配を最初は稀勢の里に挙げたが物言いがつき、行司差し違えに。立行司の代理で初めて裁いた本場所結びの一番が差し違えというのは、珍奇にして気の毒なスタートである。

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稀勢の里はこの後途中休場したが、やはり左大胸筋損傷との事。確かに力は初日から入っていなかった。もうワンチャンスはある。しかし無理して出場し、また途中休場では、今度は本当に引退だ。三月も休んでよいから、次の出場場所に全てをかけて再起を図ってもらいたいなあ。

「新橋鶴八分店」、今年初訪問。
昨日の夜は「新橋鶴八分店」。前日夕方に、空いている夜があるかと親方の携帯にショートメッセージを入れておいたのだが、金曜朝に「本日夜は7時までなら空いております」と返信あり。早速予約。今年最初の訪問だ。

ニュー新橋ビルの2階に上がって行くと、店の前で五十嵐親方が手を振って歓迎のお出迎え。本日口開きの客となった。冷酒を注文すると酒のラインアップが増えている。持ち込みの客も多くなったので、最初からラインアップ増やしたほうが面倒無いとのこと。九平次純米大吟醸を最初に。お通しは鯛の酒盗。二杯目は加賀鳶。もう一種聞きなれない酒を飲んだが、忘れてしまった。

立て込むと遅くなるので、「早く早く」と親方を急かしてつまみから。まずヒラメ。前日〆た2キロ超とのことだが、ネットリ熟成感あり。これからは神保町に通うので、ここにも来れなくなるなあ、などと冗談を言っていると、大常連O氏が登場。

最近のO氏は、あまり体調良くなく、殆ど酒を飲まず短い時間で帰るとの事。やはり新橋の昭和スナックに、タイム・トンネル潜って頻繁に出入りしていると、時空の歪みが蓄積して身体に悪いんじゃないかな(笑)

O氏と五十嵐親方を入れて、「新橋鶴八」名跡相続一門総選挙の票読みの話題など。馬鹿話すると面白いなあ(笑)「新橋鶴八」が神保町の「鶴八」を継ぐともう「分店」ではなくなる。「ニュー新橋鶴八」に店名変えるように推奨。O氏の案は「寿司居酒屋いがらし」。こっちも良いな(笑)

ミル貝は軽く炙って。甘味が増す。シャコは実に立派なもの。久々に食したが、鶴八系独特漬込みの仕事がしっかりしてあって旨いよね。立派なタコは煮上がったばかり。まだ温かい身肉は柔らかく甲殻類を思わせる香りが良い。煮上がりすぐなので塩も付けなくても十分味がある。最後につまみでヅケを所望。ネットリした旨みあり。

時間になっても来ない客がいて、手伝いの女性が何度か電話を入れている。携帯の番号なのだが、英語のアナウンスが流れて先方が出ないとか。平気でドタキャンするこんな輩が居るから普通の客も予約が取れなくなったりする。人気店になるとドタキャンする輩も寄って来るんだよなあ。

そろそろ退散しなくてはならないのでおまかせで握りを1貫ずつ。サヨリは分厚く立派な身。爽やかな旨みが酢飯と良く合う。酢飯は水分が少なく硬めで、米の甘味と幽かに香ばしさも感じて実に美味い。中トロも旨みが酢飯に溶け崩れる。漬け込みのハマグリ。ツメが濃厚。アナゴは厳しい時期だが、鶴八伝来の仕事でトロトロに煮上がっている。コハダも1貫。最近海が荒れて不漁というが、これまた鶴八伝来、ネットリした旨み。最後にカンピョウ巻を半分だけ貰って〆。

いつもならずっとトグロを巻いて何時間も居る大常連O氏は、来週の予約を何件か入れると、なんと握りをサッと食して「じゃあな」と先に帰っていった。珍しいな。その背中に、老いてゆく男の哀愁を感じる(笑) 

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勘定を頼むと、ブログに書いてくださいと親方が食べた物のメモをくれた。後でチェックすると、つまみで最後に貰ったマグロヅケが脱落していた。サービスかな。どうも御馳走様(笑)

駅からタクシー帰宅。風邪薬を飲んでいたので酒がむやみに回って酩酊。バタンキューで就寝。

本日は国技館に相撲観戦に行くので、何時になく早めに寿司日記をアップ。しかし稀勢の里が休場してしまったし、豪栄道は既に2敗だし、優勝はやはり鶴竜かな。幕尻朝乃山奇跡の平幕優勝、大関取りに名乗りを上げる御嶽海の優勝もあり得るか。栃ノ心が突っ走ったら驚愕だけれども。



一月歌舞伎座、「壽 初春大歌舞伎」高麗屋三代同時襲名の宴。
1月の歌舞伎座は「壽 初春大歌舞伎」。「歌舞伎座百三十年」と銘打って、

松本幸四郎改め 二代目 松本白 鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎

の同時襲名披露公演が賑々しく行われている。江戸に歌舞伎座が出来て130年。高麗屋が前に三代同時襲名を行ってから、1代若返って再び3代同時襲名が37年ぶり。誠におめでたい話である。大物幹部俳優が揃って出演。

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松の内に昼の部も夜の部も観劇したのだが、それから風邪を引いたりして、更新をスッカリ忘れていた。

昼の部はまず「箱根霊験誓仇討(はこねれいげんちかいのあだうち)」

初代白鸚が演じた高麗屋ゆかりの仇討ち狂言だというが、新歌舞伎座になってから初演。イヤホンガイドを借りていなかったので、筋書きで筆助が愛之助だとは知っていたが、滝口上野と二役とは知らず、この役者は誰だったっけとしばし混乱した。同じ役者が二役を演じるには、善悪をコントラスト深く演じ分けて役者を目立たせるなど、興行上の理由があるはずなのだが、愛之助の二役には不思議とあまり理由を感じない出来。

勘九郎と七之助は、夫婦役で好演。七之助の初花は最後の亡霊もなかなか美しい凄みがあって感心した。

歌舞伎座も正月の雰囲気。襲名御膳もちょっとおせち風味あり。

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新染五郎が出て襲名披露の勧進帳や口上がある夜の部のほうが人気あるようだが、最初の観劇が正月3日だったのでさすがに翌日仕事で夜の部はねえ。1月は大相撲初場所観戦もあるので、歌舞伎の予定もなかなか立てづらいのだった。

「七福神(しちふくじん)」は、正月の目出度い雰囲気にもぴったりあった、賑やかでゆったりと新春を寿ぐ祝祭の舞踊劇。又五郎、扇雀、彌十郎、門之助、高麗蔵、芝翫、鴈治郎と豪華メンバー。大黒天の鴈治郎がのんびり酒を飲むさまが、春風駘蕩、旦那然としてよい。

25分の幕間を挟んで、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」、「車引」と「寺子屋」。

車引でも中村屋兄弟が奮闘。最後の場面は錦絵のようで荒事の豪快さと歌舞伎の様式美に満ちで実に見事であるが、幕が開いてしばらくは、梅王丸と桜丸が笠をかぶっての台詞のやり取りが続く。何度か観たが、演目としてはこの辺りが若干長くてダレるか。彌十郎の時平は、大柄なのはよいとして、役者によっては、憎々しい怪異さがもっと際立つ時があると思うのだけれども。

「寺子屋」では、猿之助が涎くり与太郎役で歌舞伎座に復活。親父に引かれて帰る花道。左手は治ったのかいと聞かれて「目出度い高麗屋さんの襲名披露に間に合わせようと、精出してリハビリに励んだんだい」と言って観客を大いに笑わせ盛大な拍手が沸き起こる。手はちょっと不自然さは感じられない事もないが、ちゃんと動かせている。どうしても早く舞台に戻りたいという役者魂。早い完治を祈りたい。

忠義のためには自らの子を身代わりに討たせなければならない葛藤。しかも付いてきている春藤玄蕃に気取られぬ算段。そんなせめぎ合いと、最後に自分の子供が自らが身替わりになることを受け入れ従容と笑顔を見せて討たれた事を聞いた泣き笑い。義太夫狂言の名作。新白鸚の松王丸、最後の見得が大きく決まる。荒事役者の貫禄あり。高麗屋、大高麗、二代目と次々に大向こうの声が掛かる。

梅玉、魁春、雀右衛門、藤十郎と襲名ならではの豪華な布陣が脇を固める。

次の週末は、「夜の部」。

最初の狂言は、「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」、角力場。ちょうど大相撲初場所観戦を控えているので、舞台は大阪とは言え相撲興行の風情が良い(笑)芝翫演じる濡髪長五郎は、鷹揚にして大きい。愛之助は昼の部に続けて、つっころばし与五郎と素人力士放駒を二役で演じるのだが、上方世話の柔らかい可笑しみは十分あるものの、昼の部同様、二役の意味はあんまり良く分からない出来だったなあ。

そして「襲名披露 口上(こうじょう)」。藤十郎を中心に幹部俳優が列席してなかなか壮観。吉右衛門は、この後、「勧進帳」を御覧くださいと割と淡々とした挨拶であるが、要は舞台を観てくれという自信か。

そして新染五郎、新幸四郎、襲名披露狂言の「勧進帳」。弱冠12歳の染五郎が義経。歌舞伎の御曹司に生まれたら12歳で歌舞伎座で義経が出来る。駄馬はいくら演技が巧くとも出来ない。歌舞伎のこの非合理ではあるが予定調和の如き、しかし観客は喜んで愛でる美しき伝統。

偉大なる人間国宝にして怖い叔父貴(笑)、吉右衛門が富樫を付き合う。富樫の出は、実に口跡が朗々と響き、まさに主役降臨の如し。新幸四郎が染五郎として歌舞伎座で始めて弁慶をやった時は吉右衛門が義経。花道の出で並ぶと義経のほうが弁慶よりも背が高いという面白い現象があったが、富樫はいくら立派でも「勧進帳」は成り立つのであった。

新幸四郎の弁慶は、染五郎の時の一点一画を疎かにしない楷書の如き弁慶から、若干自分のニンに引き寄せている印象。悪く言えば崩れているのだが、良く言えば新幸四郎らしい弁慶を模索し始めているのだろう。新染五郎の義経は良い。初々しくも凛々しい高麗屋、12歳の御曹司が、歌舞伎役者として生きてゆく運命を従容と受け入れて歌舞伎座の舞台に立つ。観客はそれを一種、運命の物語として眼前に受け入れる。悪いはずがないではないか。

弁慶と富樫との山伏問答は、台詞ではあるのだがまるでアドリブのように感じる掛け合いのテンションがうねるように高まって行くところが見所なのだが、今回は新幸四郎が若干「置きに行っている」ところがあるのか、幾分迫力に欠けただろうか。四天王軍団は、鴈治郎、芝翫、愛之助、歌六と貫禄十分。

吉右衛門、富樫は弁慶の通行を許してから上手戸口への引っ込みの前、一瞬弁慶を振り返る。そして、涙を堪えて天を向く所作。これがなかなか良い。前回の染五郎弁慶で義経を勤めた時、吉右衛門は、花道引っ込みの際七三で、笠を上げて遠くを一瞬見つめてみせた。安宅の関は弁慶の機転で乗り切ったが、これから本当に陸奥まで落ち延びる事ができるだろうか。吉右衛門義経は自らの未来を遠い花道の先に一瞬幻視して、そしてまた笠を深くかぶり花道を走って行く。吉右衛門は細かい工夫が凄いよなあ。

新幸四郎弁慶の飛び六方は染五郎の時とちょっと違う。荒事風味が若干薄れた新幸四郎風味がする。海老蔵とも違う。しかし、それはそれでなかなか良い。まあ、おそらく一つは襲名を寿ぐ披露演目だというアドバンテージもあるのだろうけれども。

「新橋鶴八」、移転話あれこれの夜
先週木曜は、会社帰りに「新橋鶴八」。夕方に電話すると「新橋鶴八最後の弟子」君が出て、「新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い致します」と礼儀正しい。後ろが立て込んでいるということで、早めに入店。

入店するとカウンタにはまだ誰もおらず本日一番乗りの客。奥から2番めの席に着席。

石丸親方が「もうご存知と思いますが」と店舗移転の葉書を差し出す。

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twitterで既に知っていた。このニュー新橋ビルの店を閉店し、育ててもらった恩人である師匠、諸岡親方の「鶴八」を、最後のご奉公として引き継ぐ為に、再び神保町に戻るのだとか。いくら弟子でもなかなか出来る事ではない。なんて凄い話。

最初はカウンタに私だけだったので、あれこれ移転やら今後の話やら雑談。そもそもはこの店を畳んだらマンションの一室を借りて4~5席だけの小さな会員制の店でもやると言う構想を以前にも伺った事があるのだが、今回「鶴八」引き継ぎの話は急に決まったのだと。

「新橋鶴八歳後の弟子」に、移転を機に暇を出されるのかと冗談で聞くと「いやいや、ちゃんと神保町に連れて行ってもらうんです」と言う(笑)やはり仕込みもあるので弟子が居ないと、との石丸親方コメント。

今のこの店はどうするのかと聞くと、「大家がまた別に貸すのじゃないですか」と恬淡としたものである。屋台を模した寿司屋伝統の造作であり、カウンタにも年季が入っている。勿体ない気もするけど。

神保町の店にはもう下見に行ったらしい。やる事が早いですな。36年ぶりに戻る神保町は、店界隈も結構変わっている。「鶴八」のカウンタはかなり使い込んでおり、新しく張り替える予定。二階の四畳半やトイレなども改築するのだが、工事の進捗では開店が若干遅れることもあるかもしれないらしい。

師匠の師岡親方が引退したのと、今の石丸親方が同じ年。不思議な巡り合わせ。「神田鶴八鮨ばなし」は、読んで感銘を受け、後年、寿司屋通いをするようになった私の寿司遍歴の原点だが、残念ながら師岡親方が現役の時には訪問はかなわなかった。「新橋鶴八」や「しみづ」に通うようになっていたから、代替わりした本店には一度も訪問した事が無いが、師岡親方には「新橋鶴八30周年」でお会いしてライブで本物の「鮨ばなし」を伺う事ができたのも良い思い出。結局、客としても神保町に行けることになって感無量である。

神保町から新橋にまで通っているお客はもう数人。今のニュー新橋ビルのお客さんの半分くらい来てくれれば、後は近所の人だって来るでしょうと。もっとも席数が少ないので、当日夕方電話ではちょっと難しいかもしれませんよと石丸親方。これからはちょっと早めに予約して行くか。

本店が無くなると、「分店」はどうなるのか。私の案としては「ニュー新橋鶴八」に改名したらよいと思う(笑)

この日のお通しはコハダ細切り、大葉と胡麻和え。これが妙に酒に合って旨い。冷酒を飲んで、つまみは、ヒラメ、塩蒸し、ブリ、サバ。握りはいつも通り。あれこれ移転の話などゆっくり聞けて実に面白い夜であった。