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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
今年初。「新橋鶴八」訪問でダラダラ喋る。
金曜の夜は「新橋鶴八」で一杯。前の週にショートメッセージを送るとこの日が空いていると返事が返って来ていた。

早目の時間に入ると、既に大常連O氏が一番奥でトグロを巻いている。カウンタには他にお客なし。5時から飲んでいるらしい。だからこの日に空いていると呼んだんだな。O氏は、いつも9時半くらいまでは居るらしい。本日のカウンタは7時半まで他のお客が来ないとか。

O氏が「コロナウイルスの巣窟にようこそ」と言うのだが、確かにこのニュー新橋ビルは中国人経営のマッサージ屋や地下の居酒屋の呼び込みも中国人と、中国人比率が実に高いものなあ。

五十嵐親方によると、隣のマッサージ屋で働いていた雇われの女性は春節で故郷の武漢に帰省して、それきり帰って来てないのだとか。今頃、隔離施設のベッドに居るとしたら気の毒だが。まあ、無理して武漢から脱出して、出稼ぎに帰って来てもらっても困るけれども。しかし寿司屋が感染したら、手で握るから、あっという間にアウトブレイク。ニュー新橋ビルで感染者が出たら、ビル全体が封鎖ではないかなどと、五十嵐親方、大常連O氏と物騒な話をしながら。

お酒は「久保田」純米吟醸で始めてもらう。

裏でゴソゴソやっていると思ったら、お通しが出てきた。O氏によるとこれは最近開発した、常連にしか出ない特別な物だという。箸をつけてみると、アッ!「マグロ血合い」の煮付けじゃないか。普段なら捨てる部位だろう。五十嵐親方によると寿司には使わないが煮付けにすると美味いのだと。

「神田鶴八鮨ばなし」によると、「柳橋美家古」加藤親方の兄弟子、「千束町の親方」と呼ばれた内田市之進は、天才と呼ばれた職人で口の奢った高給取り。あちこち美味いものも食べ歩いていたが、自分が独立して店を開いたら、商売が軌道に乗るまで、飲む酒は安い泡盛、つまみは普通は捨てるマグロの血合いだけしか食わず「血合偏に泡盛と書いて内田市之進と読む」と言われたと書いてある。

大トロだ中トロだと、美味いものばかり食っていたら人間駄目になるという教訓を含んだ一品ですな。勿論、煮付けると、なんだか美味い。

生の血合は握りには使っていないと(当たりまえか)。昔シカゴで通っていた日本飯屋の親方が、韓国人経営の寿司屋に行ってマグロを注文すると血合を握ってきた。「あのな、この部位は、握りには使わないんだ」と教えると「これがうちの寿司だ。嫌なら出て行け」と言われた話も思い出した(笑)

つまみは、まずヒラメ。上品な脂。旨味もあり。ブリの腹側のブロックを切りつけているのかと思ったら、メジマグロだと。魚体の大きさは似ているがメジの腹側トロ部分は身がブリより柔らかく脂はあるもすっきりした旨味。

他のお客さんはまだ居ないので3人であれこれ雑談。五十嵐親方が、最近行われた「鶴八一門会」の話など。石丸親方を筆頭に「しみづ「新橋鶴八」以下、「まつもと」「ほしやま」まで集まるらしい。破門を解く話などしたというから、まるで「コーサ・ノストラ(血の盟約)」、「ゴッドファーザー」の如き話(笑) 「しみづ」の弟子がデンマークに今回進出したし、一門は世界へ広がる(笑) ちなみに「しみづ」出身と称して水天宮で売出し中の某店は、破門ですらなくクビだと五十嵐親方が。O氏と私以外はお客さんがいないので、他にも色々と書くのはどうかと思う話も聞いて面白かった。

ホタテは煮切りを塗って軽く炙りつまみに。磯辺焼き風に海苔も添えて。子持ちヤリイカの煮付け。個人的には、つまみには小さなヤリイカをアナゴ風に煮付けるのが好きなのだが、この店の仕事は塩味で煮付けて醤油をつけるやり方。肉厚で卵もびっしり入っているが。

タコとカツオもつまみで。カツオは鹿児島で揚がったもの。「み富」でもカツオが好きな仲卸があって年中置くと言っていたが、今頃でも南のほうでウロウロしてるカツオがあるんですな。

この辺りで握りに。普段なら5時の開店直後から握りを食する客がいるのだが、この日はつまみでダラダラやるO氏以外に他のお客はおらず、7時位にようやく酢飯を切り始める。硬めの炊き上がりながら、米の旨味を残したふっくらした酢飯だが、普段よりも若干温度が高いかな。勿論、この温度辺りが好きなお客もいるだろう。

握りの最初は昆布〆。昆布の旨味が染みたヒラメの身と酢飯の相性が実に良い。温度計で酢飯の温度を測る寿司屋もあると聞くが、いつもより若干だが温かい酢飯と合わさった種の美味さも、またあるなあとしみじみ感じた。

マグロヅケ。赤身の旨味が十分ある。仲卸は「内藤」だとか。頭を下げてようやく良いものを分けて貰うようなマグロ屋では買いたくないとか。「マグロを売り物にする寿司屋にはなりたくありません」という、師匠の現「神保町鶴八」石丸親方の哲学とちょっと似ている。

五十嵐親方によると「寿司屋で儲けるやり方は分かっている。だけど「鶴八」の暖簾を継いでいる以上、それはやらないですよ」との事。石丸親方の教えが伝わっているのは実に良い事。儲けるには、高い種を仕入れて開始時間と終了時間も設定した、おまかせのコースだけを、高い値段でやればよいのだ。

もっとも一人で仕込みから寿司の提供までやるのは大変。師匠の石丸親方も弟子を雇えと言っているが、なかなか実現していない。「鮨竹」の二番手やってるような奴なら何時でも雇いますけどねえ、などと言っていたが、これまた縁もある。

出禁になった客の話も聞いたし、せっかく横に大常連O氏もいて他の客が居ないので言っておいたのだが、ここの店はO氏が長時間滞在するので、頼まなくても長居して良いのだと了見違いをしているような一人客がたまにいる。「お好み」で頼んで長時間以上居るのは本来おかしな話。サッと腰を上げるのが粋だと思うけどなあ。

ここに来ると私も他の店よりは長い時間いるのだが、それは何時も大常連O氏の隣に座らされて、注文ができず店のペースで「おまかせ」しかないから。これは私の責任ではないのだ(笑)

赤貝は肉厚。コハダは大型を鶴八伝来の技でネットリと仕上げる。これまた酢飯との相性良し。最後はツメを塗った漬け込みのハマグリ。本家よりも若干軽めの味付けか。しかし大ぶりのなかなか良いハマグリだ。

お茶を貰う頃にもまだ他のお客さんは来ない。親方、大常連O氏とずっと雑談していて、握りに以降しても、ガリが出てないよとか、まるで居酒屋営業の如しであったが、まあ、これはこれで面白かった。6時前に入って、勘定したのは7時半位かな。ちょっと居過ぎた。大常連O氏は、まだまだカウンタ一番奥で居座る気配。年も年なのに、元気で凄いよなあ。

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歌舞伎座「二月大歌舞伎」、夜の部。
さきの土曜日は、歌舞伎座「二月大歌舞伎」夜の部。

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十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言。昼の部、夜の部に、片岡我當、秀太郎、当代仁左衛門の三兄弟とさらにその子息、松嶋屋一門の俳優が揃った公演。夜の部は短い演目が多く、バラエティに富んでいる。

最初の演目は、十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言「八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)」 湖水御座船の場

加藤清正が徳川家康から毒酒を賜ったが、豊臣秀吉への忠義を見せて生き抜いたという伝説に題材を取った一幕。十三世仁左衛門が最後に出演した名残の演目を長男の我當さんが演じる。

毒が回ってきているのだが、琴の音を愛で、更に悠々と酒を飲み、武将の品格と大きさを見せる。我當さんの右手はまだ不自由なようだが船上にしっかりと立ち、役を務める。声も以前より出ている印象。豊臣方の武将が何度も様子を見に舟で漕ぎ寄せ、元気なのを見て「はて面妖な」と首を傾げて戻って行くのが滑稽で面白い。

父の十三世が亡くなった際、松竹は営業政策として、長男の我當さんではなく人気者の三男孝夫に仁左衛門の名跡を継がせた。勿論、嬉しい訳は無かったろうが恬淡と受け入れたのは、身内で争いをしたくないという、長男としての責任感だったのではないだろうか。大病を得たが親父の追善狂言に出る事ができた。舞台では毒の回るのを隠す豪胆な武将に不自由な身体の自分を投影して。最後は大きく船が回転して客席近いところで幕切れの見得。立派に成立して万雷の拍手。

次の演目は能由来の所作事、「羽衣(はごろも)」

三保の松原の「羽衣伝説」に題材にしている。勘九郎も踊りは達者。羽衣を返してもらってからの天女は玉三郎ならではの幽玄な境地で花道の引っ込みまで観客をひきつけた。

ここで35分の幕間。花篭で芝居御膳。この日は客が何故か少なかったな。

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次は世話物。三遊亭円朝の落語を歌舞伎化した「人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)」

博打好きで宵越しの金を持たない江戸っ子だが、めっぽう善人の左官が繰り広げる人情噺のドタバタ。菊五郎はやはり下町の江戸っ子を演じると秀逸。成立は明治だが江戸生世話物の雰囲気を濃厚に残している。

吉原角海老の手代藤助を演じる團蔵は、酸いも甘いも噛み分けた男の人情を見せて好演。角海老の間では、寺嶋眞秀が登場。親父を救うために自ら身売りに来てしょげている、悲しい境遇の莟玉のお久が実に可憐に見える。立役もこなすが、若手の女形として、莟玉の今後の活躍に大いに期待。

菊五郎の左官長兵衛は、菊五郎が掌中に納めた役。娘が身を売った50両を、身投げしようとしている小間物屋の手代に投げつけてくれてやるというのは、よく考えると逆ギレした非合理な行動なのだが、世話焼きで粗忽者で根っから善人の江戸っ子というこの人物造形を菊五郎が見事に演じて成立している。

大詰めの長兵衛内の場、雀右衛門の女房お兼と菊五郎長兵衛の漫才のような喧嘩のやり取りも傑作で客席が沸く。雀右衛門は、お姫様や花魁などの色気ある役よりも、世話物で町場の女房役が合っているのではないかな。

最後は万事が上手く収まってハッピーエンド。前にも菊五郎で見たが、今回のほうがずっと面白く感じたのが不思議。

最後の演目は、「十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言」として、「道行故郷の初雪(みちゆきこきょうのはつゆき)」

上方歌舞伎の名作「恋飛脚大和往来」。「封印切」で公金横領した主人公が取り手に追われ、雪の中を故郷に落ち延びて行く「新口村」の段は歌舞伎でも有名。これを清元による所作事にしたのがこの作品。実父十三世の忠兵衛で梅川を何度も演じた秀太郎が実父を偲んで演じる。忠兵衛役は梅玉。これも風格があって上手い。秀太郎はさすがの芸力で、道行に落ちぶれ果てても、まだ匂い立つような傾城の色香をきちんと感じさせるのであった。

歌舞伎座「二月大歌舞伎」昼の部
先週日曜は、歌舞伎座「二月大歌舞伎」昼の部に。この日が初日。

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この月は「十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言」が並ぶ。昼の部は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」から、「加茂堤」、「筆法伝授」、「道明寺」の段。以前も仁左衛門で見たが、その時は「寺子屋」まで通した公演だったっけ。

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「寺子屋」は様々な役者が演じているが、「筆法伝授」「道明寺」の菅丞相は、この役を当たり役とした父親の十三世に続き、当代の仁左衛門の独壇場。演じるのは6度目。太宰府にお参りし肉を断って精進潔斎して役に挑むのだというが、仁左衛門以外に菅丞相は考えつかない気がする。

「加茂堤」は長閑な春満面の景色を背景に斎世親王と苅屋姫の恋を描く。千之助の苅屋姫は可憐に成立。ここが全ての悲劇の始まりではあるのだが、場面にはそのような雰囲気が無いのが良い。米吉の立役は珍しいが若い高貴な公家役は良く似合う。桜丸役の中村勘九郎と八重役の片岡孝太郎も、息のあった軽妙な演技で座を沸かせる。

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お昼の幕間は、花篭で刺身御膳。この後は次の段「筆法伝授」。

大きな動きや見得のある役ではないが、仁左衛門の菅丞相は高貴で威厳ある姿として端正に舞台に屹立する。まさに学問の神様が座っているという存在感。

梅玉の武部源蔵は、勘当を受けた身の緊張や筆法伝授を受けた喜び、しかし勘当は解けない落胆と達者に演じて印象的。片岡秀太郎も厳しさの中に深い同情を漂わせて熟練の演技。

最後の段は「道明寺」。

太宰府へ流される菅原道真にひと目会おうとする苅屋姫と、道真を亡き者にしようとする陰謀。魂の入った木像と菅原道真公が入れ替わる一種オカルトじみた趣向も面白い。この場での仁左衛門も神々しい高貴さと重厚さで見事に成立している。

玉三郎の老婆、覚寿の杖打ちや、悪漢を討つ立ち回りも実に迫力あり。歌六と彌十郎が演じる悪漢は珍妙な滑稽味もありなかなか達者。

太宰府に出発するラスト、生き別れる前に一目娘の姿を見たいという親の情と、自らの立場の葛藤に迷う菅丞相の姿は心を打つ。悲痛な叫びで裾にすがりつく苅屋姫の千之助も良かった。


西大島「與兵衛」訪問。
2月1日、「豪風引退相撲」の日、夜に西大島「與兵衛」訪問。

1月中に顔を出す予定だったが、大相撲初場所観戦などもあり、結局、2月になってしまった。しかし本年初めてであるから「本年もよろしく」とご挨拶。親方によると1月は店を結構休んだとのことなので、無理に都合つけても予約が入らなかったかもしれない。

お客は他に3組5名でカウンタはほぼ満席。だいたい同じ時間にスタート。

飲み物はまず、本日の大吟醸。「明鏡止水」長野の酒。仄かな甘味がすっと消え、澄み切った味わいが残る。

まず供されるのは、玄妙にして複雑な味わいの牡蠣スープ。寒い日には有難い。お通しの一皿は、ヒラメ縁側づけ、マグロ中トロ炙りづけ、ホタテ煮浸し、エビ頭づけ、スミイカゲソ、タラ白子など。どれも酒のアテに結構。

お酒はその後、「十四代本丸」、「醸し人九平次」とお代わりを。

コロナウイルスの話やなんやらで、親方や女将さんも入れて話は盛り上がったが、やたら大声でずっと喋り続ける常連の恰幅の良い親父が一人居て、面白かったけれども若干の迷惑でもあった(笑)

握りは、何時も通り固めに仕上がって、若干温度の低い酢飯。この酢飯の独特の風味が大変によろしい。理想の酢飯があり、種には酢飯に合わせた仕事をするのだというのが鈴木親方の持論通りの出来。

まずマグロ赤身漬け。ヒラメはまず甘酢づけ。一味を噛ませ酢飯にあさつきをつけて握る。胡麻醤油づけはワサビで。スミイカも軽くづけに。

シマアジは皮目を香ばしく炙ったづけで、薄く切りつけた3枚をつけるこの店の素晴らしい必殺技。エビは才巻の大きさだが、軽く酢を潜らせてオボロをかませる古式の仕事。

北寄貝は軽く火を通して甘酢につけてある。甘味と身肉の歯ごたえが最高。この店でしか食べた事がない仕事。

光物は脂の軽いものから脂の乗ったものへと、サヨリ、コハダ、サバ、イワシと4連発。イワシは脂が蜜蝋のようにびっしりと酢〆で固まった濃厚な脂が口中で溶ける。

煮ヤリイカを一貫。漬け込みのハマグリは古式を残すツメの風味が美味い。白くふっくらと煮あがったアナゴは、保温して暖かいままでツメをつけて供される。これまた他の店では食した事のないこの店の必殺技。小柱すり身を入れた玉子焼きを最後に貰って〆。

他のお客さんは更に二巡目に行って様々な種をお代わりするのだが私は一通り出してもらったらもう十分。お勘定をお願いした。

店を出る際、女将さんから、「毎年渡しているお年賀の手拭いは、発注していたはずなのに、何故か注文が通ってなくて、今、再発注してるの。今度来た時あげるね」との事。店名入りで染めてあるから時間がかかるのだろう。しかし、そんな事があるんだねえ。


本年最初の神保町「鶴八」訪問。
すっかり更新するのが遅れてしまった。大相撲初場所が終了した次の日。月曜の夜は、神保町「鶴八」。当日の夕方電話したのだが女将さんが出て入れると。

入店するとカウンタには先客1名だが、もう握りも終わりかけの様子。直後に入って来たお客さんは、二階の個室に上がって行く。今日のカウンタは何故かガラガラ。

もう松の内も過ぎてしまったが、今年初めての訪問なので「本年もよろしくお願いします」とご挨拶。酒はいつもの菊正冷酒。お通しはさっと湯通ししたスミイカのゲソ。何時も淡い甘みが素晴らしい。石丸親方に「相撲行きましたか」と聞かれたので、天覧相撲や驚愕のびっくりした徳勝龍幕尻優勝の事など、あれこれ相撲談義。

「遠藤は序盤が素晴らしくて優勝するかと思ったけど、後半崩れましたよねえ」と親方は残念がる。炎鵬に負けてから、ガタガタと調子が悪くなった。元々怪我の事は何も言わない力士だが、またどこか痛めたのか心配ではある。

最初に白身を切ってもらう。まずタイ。「海が荒れていて、ヒラメは留め置きのものしか無かったので、今日は鯛です」と。皮目を湯引きして塩を当ててあるので皮目の旨味が引き立つ。

先客が帰った後はカウンタはガラガラで、「こんな日はゆっくりしていってくださいよ」と言われて、女将さんや鶴八最後の弟子も入れてあれこれ雑談ばかりしてなかなか面白かった。

塩蒸しは香りよし。ブリもまだ大丈夫だと。腹の脂の乗った身。サヨリもつまみで。漬け込みハマグリもつまみで。肝臓に良い気がするなあ(笑)

お茶を貰って、握りは中トロ2、コハダ2、アナゴ2。〆はカンピョウ巻。マグロは甘い脂が乗っている。コハダもネットリした鶴八系独特の〆具合。アナゴは脂が溶ける程度に炙るが、トロトロで美味い。

のんびりと雑談ばかりで飲み食いしたので、勘定を済ませたのは8時ちょっと前位になってしまった。しかしそれでも、大常連O氏がトグロを巻く「新橋鶴八」に行くよりもずっと早く終わるので助かるなあ(笑) 

入店前はまだ、大関豪栄道引退のニュースが流れておらず、店を出てスマホ見てビックリ。大関陥落が決まって即引退。豪栄道らしく実に潔い進退であるが、こうなると大阪場所を見に行く興が削がれるのであった。

豪風引退押尾川襲名披露大相撲、写真日記
昨日、土曜日は国技館で行われた豪風引退相撲興行を見に行った。備忘の為に写真のみアップ。小柄だが大学時代の素晴らしい実績を引っさげて大相撲に。幕下付け出しから2場所で関取。大学力士としては最長不倒の関取在位記録の保持者。稽古熱心で素晴らしい力士だった。

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銀座「鮨 み冨」本年初訪問
金曜日の夕方に電話すると空いているというので、銀座「鮨 み富」訪問。

6時に入店すると、既に2組5名の客がカウンタに。昼から通しでやっているからなあ。

三橋親方に「本年もよろしく」とご挨拶して始めてもらう。新年は9日からの営業。魚河岸も最初の頃は魚が揃わないのと、この店の〆ものは仕込んでからしばらく時間をおかないと出せないからとの由。長めの正月休みだったようだ。普段が年中無休だものなあ。

お酒は親方お勧めの新酒から女性杜氏の酒を。名前失念。しかし、旨味もキレもある美味い酒であった。

まだ「食べログ」のネット予約をやっているのか確認すると、急に止めるとカレンダーに全ての日が予約不可と表示されるので、そこが考えどころだとか。まあ、ネット予約で来るお客がいる以上は続けても良いのかもしれない。


まずヒラメ。上質の脂が乗る。ブリ。色味は若干悪いが雑味無く脂の旨味あり。ミル貝もつまみで。独特の食感。紐も炙ってすだちを添えて供される。火を入れると甘味と風味が更に増す。サヨリは細切りで。普通はしないけどと、串にまいた皮の炙りも出てきた。「鶴八」でも供されるが、酒飲みには嬉しいんだよね。

アジもつまみで。生姜醤油で食す。大ぶり肉厚な身で脂が実に良く乗っている。漬け込みのシャコもつまみで。べったら漬けももらってお酒は終了。お茶をもらって握りに。

握りはお好みで1貫ずつ。ヒラメ昆布締め。大きな片身を昆布に当て分厚く切りつける。旨味十分。マグロヅケも軽めのここの酢飯にほぐれて美味い。カスゴ。通年で置いてあるとのこと。白身が酢〆にされてホロホロ崩れるこの具合が良いのだよなあ。コハダは片身を丸づけで。シットリと仕上がっている。イワシ酢〆。これも脂が固形化したようなネットリした旨味。漬け込みのハマグリ。甘辛の濃い味は古式の江戸前を残す。新富寿しから名物のカンピョウ巻で〆。

親方に、昔の「新富寿し」話を聞くのも面白い。昔の店には、大相撲の力士や親方、歌舞伎役者など有名人が多数来訪していたとのこと。そして、独立した今は、自分の店も軌道に乗り、仕事をするのが楽しくて仕方がないと。

銀座「新富寿し」で雇われで彼が働いていた時、他に客が居ない時に雑談になり、「自分の後は若いのが入らない」とぼやいていたので、寿司屋の仕事はきついけれども、一人前になるまで修行したら、一生食って行ける技術が身につくのになあ、という話になったのを思い出した。大学なんか出たって食えるかどうか分からない。真面目に職人修行をしたほうが確実かもしれない。そしてその時の話は、まさに今、この店に実現しているのであった。善き哉。


令和2年初場所初日、写真日記
令和2年初場所、初日を国技館にて観戦。備忘の写真日記など。

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新年初の場所の初日。新しい板番付も、なんだか清々しい気がする。

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栃ノ心も高安も陥落して、大関パネルは2人だけに。豪栄道もカド番。なんと初日、北勝富士に敗れて黒星発進になるとは思いもよらなかったが。貴景勝のパネルだが、171cmの私が前に立っても自分より背が低い。豪栄道と比較しても、あまりにも小さく作り過ぎだと毎回思うのだが。

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この日は2階椅子席。見晴らしは良い。まず「雷電」にてちゃんこ定食で腹ごしらえ。寒い時には美味いね。

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いつも空いている2階の弁当売り場で缶チューハイを買う習慣。顔なじみのおばちゃんに、「本年もよろしく」と新年のご挨拶。何時もはおばちゃんに現金を渡すだけだったのだが、POS付きのレジを導入し、商品をスキャンする手間が。中には電子マネーを使おうとする迷惑な客も居て、機械が読み取れず、おばちゃんは、「もうわかんないよ」と、隣のカフェの店員を読んで調べてもらうなどテンヤワンヤ。大変だな(笑)

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今回の優勝額序幕は向こう正面側。御嶽海と白鵬。

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十両土俵入り先頭は豊昇龍。十両の一番下でもう負け越しは許されない。頑張れよ。千代鳳は怪我にも腐らず、頑張ってよく関取まで戻ってきた。幕内目指して頑張ってほしいなあ。

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初日の協会ご挨拶。まさか4日目までに2横綱が居なくなるとは、初日には思いもよらなかったが。

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白鵬の優勝杯、優勝旗返還。

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御嶽海と白鵬の優勝額除幕式。毎日新聞社提供。

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報知新聞社提供の、令和元年最優秀力士賞は白鵬。年間最多勝は朝乃山だったのだが、まあ内容も加味するとやはり白鵬で文句ないところか。

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東京中日スポーツ提供、令和元年最優秀新人賞は、炎鵬。これもまあ文句の無いところ。しかし大銀杏が体格に比べて大きすぎて、子供が土俵に上がっているようなシルエットは、よく見ると結構滑稽な感じがあるなあ。

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この日も満員御礼。

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この日一番の好取組は、朝乃山に御嶽海。立合いの当たりは御嶽海が圧倒したが朝乃山こらえ、御嶽海の引きに乗じて寄って出る。御嶽海は左上手を何度か掴んだが、朝乃山は前に出つつ相手の上手を切る技量を見せて寄り切り、館内は万雷の拍手。今場所の朝乃山はなかなか調子が良い。

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遠藤ー鶴竜も注目の一番。遠藤はのど輪で鶴竜を押して出て、左を上手く差し右前みつで寄る。鶴竜が右に回ったため身体が浮き、微妙なタイミングで物言いに。椅子席からは見えなかったが、鶴竜の左足が下がった時に俵を踏み越しており、軍配通り遠藤の勝ち。行司は良く見ていた。遠藤は今場所はいつもとは違って力強い。

初場所初日はなかなか熱戦が多くて実に面白かった。





歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」、夜の部
先週の土曜日は、歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部。昼の部の「袖萩祭文」のような泣きの幕が無いので、全体に雰囲気は明るく正月気分。

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最初の演目は、「義経腰越状(よしつねこしごえじょう)」。義経が鎌倉に入る前、腰越から頼朝の許しを乞うた書状を出した故事に由来。元々は人形浄瑠璃だが、徳川幕府を題材にしていたので上演禁止になり、時代を鎌倉時代に移して台本を書き換えたというのは歌舞伎では良く聞く話。しかし徳川のどんなエピソードが義経の物語に仮託されたのかについては、イヤホンガイドの解説でも筋書読んでも、あまりよく分からないのであった。

前半部分には確かに義経が出てくるのだが、物語の主眼は後半、白鸚演じる五斗兵衛盛次が酒に酔って踊る「五斗三番叟」。今月の公演では、昼に吉右衛門が「素襖落」で、夜には「義経腰越状」で白鸚が、へべれけに酒を飲んだ酔態の演技を披露している事になるが珍しいな。吉右衛門は明るい酒だが
、白鸚は目が据わったアル中気味に見えるのも面白い。

「義経腰越状」はそれほど上演が無い演目で、白鸚も初役。この年齢で初役に挑むというのは見上げたもの。上演記録を見ると以前に吉右衛門が演じている。白鸚は自分もやっておかないとと思ったのかもしれない。

酒が注がれるそばから飲み干す「滝飲み」はアル中一直線に見える大技(笑)。名軍師の大酔態は、割とお正月気分でなかなか面白かった。

次の演目は「連獅子」

市川中車の息子、團子が、父親の従弟にあたる当代猿之助に指導を受けて「澤瀉十種」に挙げられたこの演目を踊る。前シテの親子獅子の踊りは、團子が教わった事を一点一画おろそかにせず真面目に踊る姿勢に好感が持てる。猿之助も親父ではないものの親戚の若者を指導している訳で眼差しは真剣だ。

合間の宗論では、福之助と男女蔵が、なかなかテンポよい掛け合いで客席を沸かせる。

後シテで毛振りの装束に着替えてまた親子獅子の踊り。子獅子が両手を伸ばして花道を後ろ向きに後退して行く振りがあるのだが、花道横で見ていると、被った長い毛は股を潜って前に伸びている。一つ間違えて毛を踏むと たちまち花道で仰向けに転倒しかねない。よく見ると大変に難しい技。なんでも踵は上げて歩を進めるよう教えられるのだそうである。

切りの最後の毛振り。猿之助は若干身体のキレが重いように思えたが、子獅子役の團子が若さ爆発で「大丈夫か、首か背骨が折れないか」と心配になるくらい毛を振るので、猿之助もさすがに煽られたか後半少し盛り返した印象。経験浅く技能も高くはないとしても、やはり若さは素晴らしいですな。

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ここの幕間で食事休憩。6時44分からであるから結構遅い。おでん定食など頼んでみた。

最後の演目は、三島由紀夫作の新歌舞伎、「鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)」

今日はたまたま花道横だったのだが、以前「十七世十八世中村勘三郎追善十月大歌舞伎」で同じ演目「鰯売」を見た時も花道横。その時は、父親の追善初日が無事に終わって感極まったからか、勘九郎が花道幕外の引っ込みで、滂沱の涙を流しており七之助が驚いていたのだった。

勘九郎の声は、追善の時はもっと勘三郎に似ていた記憶があるのだが、意図的にちょっと寄せていたのだろうか。あちこちに笑いが起こる全体的に気楽な世話物で、新年に気楽に見るのにふさわしい演目。割とデタラメなストーリーであるが、目出度くハッピーエンドで終了。
新年最初、「新ばし 笹田」訪問
先週、木曜の夜は「新ばし 笹田」。

去年の年末、カラスミを受け取りに行った時に新年初訪問の予約をしていたのだった。金曜日は年休にしたので、本日はのんびり飲んで食べて。キャンセルがあったとかで、意外に空いている。

まず、入店して笹田親方と女将さんに新年のご挨拶。お弟子さん達も挨拶がきちんとしている。まだ他のお客さんが居ないので、笹田氏としばし雑談。新年は6日月曜から開店したので、結構長い年末年始のお休み。しかし笹田氏はどこにも行っていないとか。知り合いの店で購入したお節を食べていたのだが、3日になるともう飽きてきたとの事。

まずお酒は、九平次純米大吟醸。爽やかな酸味とふっくらした米の旨味のバランスが良い。

最初は、濃厚な白味噌の雑煮。海老芋、人参、小さな丸餅。ごく小さな器だが、あえて味噌味をちょっと濃くしてあるそうで、身体が実に温まる。

香箱蟹とズワイ雄の脚ほぐし身蟹味噌添え。香箱は香住産。漁は昨年内で終了したのだが港で囲ってあるものが新年に名残で出るとか。この日のは7日に入れたおそらく最後の物と。旨味のある味噌とオレンジの内子、プチプチした食感の外子。香箱は昨年末で終わりと思っていたが新年早々に予約して実によかった。ズワイのほぐし身は、蟹本来の身肉の美味さ。昔、冬に金沢を訪問して、港近くの寿司屋でカニづくしコースを食したのを思い出すなあ。

ふぐ白子焼。タラよりも癖が無く、しかし底光りする純粋な旨味が濃い。フグの白子は、1月、2月が旨くなってくるとの事。銀座「福治」の話など笹田氏として実に面白かった。

ナガス鯨の尾の身。アイスランド産。入店した時に、もしも飽きていたらローストビーフとも差し替えできますよと聞かれたが、牛は何処でも食えるからなあ。しかし鯨が嫌いな人の為に用意しているのか。この店で料理が出されたお客が「これ食べられないんです」と言い、「それは申し訳ありません」とすぐに別の食材で何か作って差し替える場面は何度か目にした。仕入れに厚みもあるのだろうが、何時も素晴らしい気配りだと思う。

尾の身にも筋の部分があるそうで、生では食感が触るのでと筋の多い部分のしぐれ煮も貰う。鯨赤身肉の大和煮缶詰なんて昔はあって感心しなかったが、生の尾の身をしぐれ煮にするとネットリして美味いなあ。

定番の壬生菜と油揚げ煮物。プロが仕事して作るとお惣菜がこうなるのだという感慨をいつも感じる。この辺りで酒肴は終わって日本料理の基本である一汁三菜に移行する。

お造りの小さな天塩皿は、醤油がワサビ用と生姜用、そして塩。青森のヒラメは上品な脂。塩でも大丈夫。佐渡のブリは脂のびっしり乗った腹の身。天然独特の歯応えと癖のない旨味。カツオは仙崎だったか。脂は全体に乗って旨味もある。タコも身肉の旨味あり。どれも上質。ここのお造りは何時も素晴らしい。

お椀は、鯛にゅうめん。「笹田」の鯛にゅうめんは、滋味深いがくどくない出汁に、ほのかに鯛の風味が香る。具になる鯛のほぐし身も美味い。細い三輪そうめんに、出汁が一杯に含まれている。一気に食した(笑)最近のラーメン屋で、養殖の鯛のアラを大量にぶち込んでスープを作る所もあるらしいが、笹田氏によると鯛の出汁はごく控えめにしているとのこと。

焼き物は白甘鯛の塩焼き。皮目はパリパリに香ばしく、身肉はフックラと甘い脂が乗って素晴らしく美味い。煮物は、この店名物の京野菜おでん。串に刺した鶏皮、魚介すり身揚げ、半熟のうずら卵、蕪、海老芋、京人参。「おでん」と称しているものの、出来合いの素材を同じ鍋で炊いたものではなく、それぞれの素材が個別にしっかり調理され、最後に器で出汁と共に蒸し上げる。

食事は、炊飯土鍋で炊きたてのご飯。ちりめん山椒、お新香、ワサビ漬、赤出汁以外に、この日は宍道湖の天然鰻炊き上げが添えられる。大きな身の鰻を、甘辛の味で長時間炊いたのだとか。ご飯に良く合う。ご飯はお焦げを入れてお替りを。日本人はやはり炊き立てのご飯だ。

お茶が番茶から煎茶に変わって、最後の甘味は何時もの白玉団子の冷製ぜんざい。この日は、美味いもの尽くしで、本当に満腹であった。

勘定を待つ間、奥の焼き場にいる「笹田の海老蔵」に「旨かったよ」と声をかけると笑顔で駆け寄ってきて「白甘鯛ですよね!」と言う。そう、皮目は焦げていないがパリパリで香ばしく、身肉はフックラと柔らかく旨味をしっかりと残して焼き上がっていた。「腕を上げたね」と褒めると、「違うんです。素材が本当に良かったんです」と。しかし、自分のやった仕事を誇らしく思えるのは素晴らしい話である。これからも元気に修行してもらいたい。