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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「新橋鶴八」訪問。
先週の水曜は「新橋鶴八」。その前の週に、コロナ関連でキャンセル多発してるだろうとメッセージ送ると、早い時間は全部埋まっていると。商売順調じゃないか。ただ翌週は空いているというので予約しておいたのだった。

仕事帰り6時に入店すると、カウンタにはまだ誰も居ない。後で満席になるとか。大常連O氏は居ないので一番奥の席で。居ないとダラダラと飲みや喋りに付き合わなくて良いのでなんだか楽だな(笑)

客足を聞くと、やはり仕事からみでのキャンセルは多いとの事。電話もジャンジャン掛かってくるのだが、入る予約は少ないのだと妙な話。ニュー新橋ビル2階は中国人比率高いから、クラスタ感染のリスクも高いからなあ(笑) 4月は特に予約はあまり入っていないとのこと。飲食業も常連が居ない所は2月、3月から客足は鈍っているようだが、諸外国の慌てたパニック対応を見ると、日本で良い常連の多い店でも、この自粛モードが続くと営業はどうだろうか。

まず冷酒を。東京芝の純米吟醸「江戸開城」。ふっくら甘い飲み口。西郷どんと勝海舟の故事に由来する東京の酒。

お通しは前にも出た「スペシャル」。マグロ血合の炙り。「良い赤身が入ったので」と。「美味いでしょう」と言うが、まかないで食えるかどうかの瀬戸際の味わいと思うが(笑)

つまみは、まずヒラメ。〆てから早く、まだ活かった身の感じがあり美味い。サバは生の感触を残した柔らかい触感で美味い。カツオは土佐だとか。もうそこまで上がって来ているのだろうか。分厚い身の皮身を炙って。身肉には爽やかな初夏のカツオ旨味がある。

アナゴの炙り。握りに使うアナゴとは違う、分厚く大きなアナゴを一夜干しにして塩で炙る。これはこれでつまみとして美味い。だが、種札にはアナゴ無し。握りに使うアナゴは今の時期良いものが無く、流通しているのは一番良い時期に冷凍した物なのだとか。

その後、カウンタには3組6名ほどお客が段々と入ってきて満席に。コロナの影響はあまりないのかな。

お酒のお替りは「農口研究所」の純米吟醸。最近、酒屋の飛び込みの営業が来て、真面目に頑張って来るので、話を聞いて取引する事にしたのだとか。そういえば、「すきやばし次郎」小野禎一 父と私の60年を読んだ時、「すきやばし」の二郎親方も、出入りの人間には素っ気ないのだが、真面目に来る人間は好きになって、取引してやる事があったという。「二郎は鮨の夢を見る [DVD]」の監督、David Gelbも最初は無視していたのだが、熱心にやっているのを見て、次第に「まかない食って行けよ」とか「来シーズンも取材に来いよ」と言うようになったのだとか。

鶴八伝来、漬け込みのシャコもつまみで。卵を持っていないほうが柔らかくて好きだ。ミル貝も炙ってもらってつまみで。

マグロ血合の「スペシャル」を、あっちの客にも出せよと言ってみると、五十嵐親方の言うには「あれは、お客さんには出せませんよ」というのであった(笑) まあ、大常連O氏には出しても大丈夫。逆に、これが出てこないと常連ではない。真面目な「新橋鶴八」ファンは、これが出てくるまで熱心に通わないといけないと思うなあ(笑) 

その後、焼酎の水割り、ロックとお替りして、この辺りで握りに。

酢飯は6時過ぎに切ったばかり。しかしきちんと温度はコントロールされている。アジは肉厚でふっくらした旨味あり。コハダは鶴八伝来のネットリした〆。酢飯も米の旨味を残すふっくらした出来。マグロのヅケ、中トロも、ふっくらした酢飯に実によく合って美味い。漬け込みのハマグリも鶴八の仕事。ツメが酢飯に溶けて実に美味い。

「鶴八」伝来の仕事を堪能して、新橋駅からタクシー帰宅。



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神保町「鶴八」訪問。
先週の木曜日は神保町「鶴八」。夕方に電話すると、女将さんが出て7時までなら空いているとの事。早目に入店。

既に2組3名のお客さんがカウンタに。座ると石丸親方が「時間は大丈夫ですから」との事。まあしかし大常連O氏ではないので、3時間もダラダラ居たりしないのである(笑)お酒飲んでつまみ取って握ってもらって、急げば1時間でも大丈夫。1時間20分あればゆったりできる感じか。逆に最初からお茶で握りだけだと30分くらいが適正寿司屋滞在時間だと思うが。

その後でもう一組2名入店してカウンタはほぼ満席。コロナの影響もあろうに、早い時間も混んでいるし大繁盛。親方によると、キャンセルもあるが、殆ど初めての客。予約帳見ると「この人キャンセルだよ」とピンと来るのだとか。逆に新橋からずっと続く常連さんは、客足は大丈夫かと顔を出して頂いてありがたいとの事。しかし飲食業全体はやはり冷え込んでおり、豊洲の市場も閑散としていると。

お酒は菊正の冷酒。お通しはハマグリの柱ヅケ。旨味が凝縮している。

親方と大阪場所が無観客興行になった事など。親方も相撲好きなのでよく相撲談義をしているが、「無観客になったニュースで真っ先にお客さんの顔が浮かびましたよ(笑)」と。そういえば、大阪場所初日に遠征する事も前に会話したなあ。

つまみはまずヒラメ。肉厚で身に旨味あり。塩蒸しも身の旨味を炒りつけたような濃厚さ。サバは生の風味を残す柔らかさなのだが塩はしっかりと効いて旨味を引き出している。サヨリはもう閂の大きさでは無いのだがまだ肉厚。皮は串に打って炙る。漬け込みハマグリもつまみで。肝臓の薬になる気がする滋味。

この辺りでお茶を貰って握りに。まず中トロ。米の旨味をふっくら残す酢飯に旨味が溶ける。コハダは肉厚ネットリした旨味。アナゴは軽く炙るのだがこれまたトロトロ。最後はカンピョウ巻。何時ものものが何時ものように美味い「鶴八」を堪能。

親方が「うちももう、あと何年できるか」というので「すきやばし」なんか90歳を超えてもやっているし、まだまだ現役で大丈夫ですよと激励(笑)弟子に寿司種を切らせて握るだけでやればよいのではと言うと、「いやいや、切りつけが一番難しいんで、それを自分でやらないと握った事にならないんですよ」との返事。

その後で「すきやばし」の長男の話になり、親父がずっと元気だと大変だなあと雑談。「もう70歳くらいになるんじゃないんですか」と石丸親方が言うのだが、エッ? そんなに年取ってたっけ。60歳くらいじゃなかったっけと言うと、親方は「いやいや、もう70歳くらいのはずですよ」と。そうなんだと一応納得。

家に帰って、「すきやばし」長男を取材した本を引っ張り出すと(そうなんです、好事家なので、そんな妙な本も買ってるのでした)、すきやばし、小野二郎さんの長男は1959年生まれで昨年が還暦とのこと。本人が預かり知らぬ所で、勝手に70歳にされてちょっとお気の毒であった(笑)




「新ばし しみづ」訪問。
コロナ対策で、仕事の会食や宴会、出張は自粛で個人的には大いに結構だが、かといって国民全員が家に引きこもり、やるのはトイレットペーパーの買い占めだけというのでは経済がどんどん縮小してゆく。特に小体な店はキャンセルが出ているのではと土曜日の昼に「新ばし しみづ」に電話。カウンタ空いてるとのこと。

夜は5時半の開店と同時に入店。全般に新橋界隈も人通りは少なかったが、店には既に3組7名入店しており、カウンタは満席。人気店は違いますな。

常温のお酒を貰い始めてもらう。お通しは菜の花辛子和え。

清水親方にコロナ禍の影響を問うと、やはり会食や出張の自粛でキャンセルが多発しており、特に先週末などが酷かったとのこと。まあこればかりはこのご時世。キャンセルされても、あまり文句は言えないか。

歌舞伎も公演中止、野球のオープン戦も無観客、汐留の大会社でも次々在宅勤務と、他のお客さんも交えて昨今の大混乱をあれこれと総括する。女将さんもチケットを取った明治座花形歌舞伎の2日が中止だとか。私の場合は歌舞伎座の観劇日はまだ中止になっていないが、大相撲大阪場所の初日が問題だなあと。

何時も通りつまみからおまかせで。

ヒラメは生と昆布〆。上質な旨味。昆布〆はネットリした旨味。春子は酢〆された白身がホロホロと口中で崩れる。タコも歯ごたえある旨味。

ナマコ酢が供される。子供の頃は何が美味いのかと思ったが、大人になって食すると、独特の歯ごたえがある乙な味なのだよなあ。サバはしっかりと〆られているがネットリした旨味。しかし、そろそろシーズンも終わりなのだとか。

アナゴの稚魚であるノレソレもポン酢で。確かに微かに舌に当たるヒレの感触などにアナゴの気配あり。そろそろ白魚も出てくる季節になってきた。白浪五人男ですな。北寄貝もつまみで。ここで北寄貝を食するのは珍しいかもしれない。金目鯛は切り身を軽く炙って煮切を塗る。これも旨味あり。

ウニもつまみで貰ってお酒終了。お茶を貰って握りに。

握りは何時も通り。中トロは力強いここの酢飯に旨味が溶け崩れる。しっかり〆られたコハダも美味い。アナゴは塩とツメと。最後はカンピョウ巻を半分。いつもの「しみづ」を堪能した。

勘定を済ませて「P.M.9」。やはりこのところ人が少ないとの事。バーテンダーM氏と雑談しながら、アイラのシングルモルトを二杯ほど飲んで酩酊。少しだけお金を回して経済に貢献した(笑) 新橋からタクシー帰宅。


銀座「鮨 み富」訪問。
先週、金曜日の夜は、銀座「鮨 み富」で一杯。当日夕方に電話すると席が空いていた。

カウンタは他に一組4名。入店して昨今の景気を三橋親方に聞いてみると、どうもコロナの影響で銀座の人出が少ないのではないかとのこと。出張や会食の自粛などが客足に影響ある模様と。確かに、金曜の夜というのに、銀座を歩く人出は何時もより明らかに少ない気がする。

この店は「食べログ」でのネット予約も受け付けているのだが、これも最近キャンセルが多いらしい。やはり世間の自粛ムードか。

豊洲の市場でも、中国人の団体で賑わっていた店に打撃があり、仕入が減っているのだという。「み富」は中国人依存比率が殆どないので、まだ大丈夫との事であったが。

お酒はお勧めの純米吟醸の新酒を貰う。爽やかな飲み口。

まずお好みでつまみを。ヒラメは大振りの個体。シマアジ。タイラギ。ミル貝。ヒモは炙ってスダチを添える。香ばしくてなかなか美味い。サヨリ。まだ産卵はしていないが最近閂の大きさがあまり出てこないと。皮は串に巻いて炙って供される。

煮たヤリイカもつまみで。ツメ、煮切りを半分ずつつけて。大きいのは大味な気がするので、小ぶりなのを選んでもらった。

このあたりでお茶を貰い握りに以降。まずタイ昆布〆。昆布の旨味が良く効いている。マグロヅケも一貫。軽めの酢飯に良く合う。カスゴ、コハダと〆ものを。酢〆の仕事は古式を残す新富寿司伝来。漬け込みのハマグリも1貫。これも江戸前特有の仕事。ツメが効いて美味い。最後はこの店名物のカンピョウ巻。甘辛の味にしっかり煮られたカンピョウがたっぷりと入る。この店に来た客の8割は最後に頼むのだとか。

店を出て銀座を歩いてもやはり人出は少ない気が。ほろ酔い気分でタクシー帰宅。




今年初。「新橋鶴八」訪問でダラダラ喋る。
金曜の夜は「新橋鶴八」で一杯。前の週にショートメッセージを送るとこの日が空いていると返事が返って来ていた。

早目の時間に入ると、既に大常連O氏が一番奥でトグロを巻いている。カウンタには他にお客なし。5時から飲んでいるらしい。だからこの日に空いていると呼んだんだな。O氏は、いつも9時半くらいまでは居るらしい。本日のカウンタは7時半まで他のお客が来ないとか。

O氏が「コロナウイルスの巣窟にようこそ」と言うのだが、確かにこのニュー新橋ビルは中国人経営のマッサージ屋や地下の居酒屋の呼び込みも中国人と、中国人比率が実に高いものなあ。

五十嵐親方によると、隣のマッサージ屋で働いていた雇われの女性は春節で故郷の武漢に帰省して、それきり帰って来てないのだとか。今頃、隔離施設のベッドに居るとしたら気の毒だが。まあ、無理して武漢から脱出して、出稼ぎに帰って来てもらっても困るけれども。しかし寿司屋が感染したら、手で握るから、あっという間にアウトブレイク。ニュー新橋ビルで感染者が出たら、ビル全体が封鎖ではないかなどと、五十嵐親方、大常連O氏と物騒な話をしながら。

お酒は「久保田」純米吟醸で始めてもらう。

裏でゴソゴソやっていると思ったら、お通しが出てきた。O氏によるとこれは最近開発した、常連にしか出ない特別な物だという。箸をつけてみると、アッ!「マグロ血合い」の煮付けじゃないか。普段なら捨てる部位だろう。五十嵐親方によると寿司には使わないが煮付けにすると美味いのだと。

「神田鶴八鮨ばなし」によると、「柳橋美家古」加藤親方の兄弟子、「千束町の親方」と呼ばれた内田市之進は、天才と呼ばれた職人で口の奢った高給取り。あちこち美味いものも食べ歩いていたが、自分が独立して店を開いたら、商売が軌道に乗るまで、飲む酒は安い泡盛、つまみは普通は捨てるマグロの血合いだけしか食わず「血合偏に泡盛と書いて内田市之進と読む」と言われたと書いてある。

大トロだ中トロだと、美味いものばかり食っていたら人間駄目になるという教訓を含んだ一品ですな。勿論、煮付けると、なんだか美味い。

生の血合は握りには使っていないと(当たりまえか)。昔シカゴで通っていた日本飯屋の親方が、韓国人経営の寿司屋に行ってマグロを注文すると血合を握ってきた。「あのな、この部位は、握りには使わないんだ」と教えると「これがうちの寿司だ。嫌なら出て行け」と言われた話も思い出した(笑)

つまみは、まずヒラメ。上品な脂。旨味もあり。ブリの腹側のブロックを切りつけているのかと思ったら、メジマグロだと。魚体の大きさは似ているがメジの腹側トロ部分は身がブリより柔らかく脂はあるもすっきりした旨味。

他のお客さんはまだ居ないので3人であれこれ雑談。五十嵐親方が、最近行われた「鶴八一門会」の話など。石丸親方を筆頭に「しみづ「新橋鶴八」以下、「まつもと」「ほしやま」まで集まるらしい。破門を解く話などしたというから、まるで「コーサ・ノストラ(血の盟約)」、「ゴッドファーザー」の如き話(笑) 「しみづ」の弟子がデンマークに今回進出したし、一門は世界へ広がる(笑) ちなみに「しみづ」出身と称して水天宮で売出し中の某店は、破門ですらなくクビだと五十嵐親方が。O氏と私以外はお客さんがいないので、他にも色々と書くのはどうかと思う話も聞いて面白かった。

ホタテは煮切りを塗って軽く炙りつまみに。磯辺焼き風に海苔も添えて。子持ちヤリイカの煮付け。個人的には、つまみには小さなヤリイカをアナゴ風に煮付けるのが好きなのだが、この店の仕事は塩味で煮付けて醤油をつけるやり方。肉厚で卵もびっしり入っているが。

タコとカツオもつまみで。カツオは鹿児島で揚がったもの。「み富」でもカツオが好きな仲卸があって年中置くと言っていたが、今頃でも南のほうでウロウロしてるカツオがあるんですな。

この辺りで握りに。普段なら5時の開店直後から握りを食する客がいるのだが、この日はつまみでダラダラやるO氏以外に他のお客はおらず、7時位にようやく酢飯を切り始める。硬めの炊き上がりながら、米の旨味を残したふっくらした酢飯だが、普段よりも若干温度が高いかな。勿論、この温度辺りが好きなお客もいるだろう。

握りの最初は昆布〆。昆布の旨味が染みたヒラメの身と酢飯の相性が実に良い。温度計で酢飯の温度を測る寿司屋もあると聞くが、いつもより若干だが温かい酢飯と合わさった種の美味さも、またあるなあとしみじみ感じた。

マグロヅケ。赤身の旨味が十分ある。仲卸は「内藤」だとか。頭を下げてようやく良いものを分けて貰うようなマグロ屋では買いたくないとか。「マグロを売り物にする寿司屋にはなりたくありません」という、師匠の現「神保町鶴八」石丸親方の哲学とちょっと似ている。

五十嵐親方によると「寿司屋で儲けるやり方は分かっている。だけど「鶴八」の暖簾を継いでいる以上、それはやらないですよ」との事。石丸親方の教えが伝わっているのは実に良い事。儲けるには、高い種を仕入れて開始時間と終了時間も設定した、おまかせのコースだけを、高い値段でやればよいのだ。

もっとも一人で仕込みから寿司の提供までやるのは大変。師匠の石丸親方も弟子を雇えと言っているが、なかなか実現していない。「鮨竹」の二番手やってるような奴なら何時でも雇いますけどねえ、などと言っていたが、これまた縁もある。

出禁になった客の話も聞いたし、せっかく横に大常連O氏もいて他の客が居ないので言っておいたのだが、ここの店はO氏が長時間滞在するので、頼まなくても長居して良いのだと了見違いをしているような一人客がたまにいる。「お好み」で頼んで長時間以上居るのは本来おかしな話。サッと腰を上げるのが粋だと思うけどなあ。

ここに来ると私も他の店よりは長い時間いるのだが、それは何時も大常連O氏の隣に座らされて、注文ができず店のペースで「おまかせ」しかないから。これは私の責任ではないのだ(笑)

赤貝は肉厚。コハダは大型を鶴八伝来の技でネットリと仕上げる。これまた酢飯との相性良し。最後はツメを塗った漬け込みのハマグリ。本家よりも若干軽めの味付けか。しかし大ぶりのなかなか良いハマグリだ。

お茶を貰う頃にもまだ他のお客さんは来ない。親方、大常連O氏とずっと雑談していて、握りに以降しても、ガリが出てないよとか、まるで居酒屋営業の如しであったが、まあ、これはこれで面白かった。6時前に入って、勘定したのは7時半位かな。ちょっと居過ぎた。大常連O氏は、まだまだカウンタ一番奥で居座る気配。年も年なのに、元気で凄いよなあ。

西大島「與兵衛」訪問。
2月1日、「豪風引退相撲」の日、夜に西大島「與兵衛」訪問。

1月中に顔を出す予定だったが、大相撲初場所観戦などもあり、結局、2月になってしまった。しかし本年初めてであるから「本年もよろしく」とご挨拶。親方によると1月は店を結構休んだとのことなので、無理に都合つけても予約が入らなかったかもしれない。

お客は他に3組5名でカウンタはほぼ満席。だいたい同じ時間にスタート。

飲み物はまず、本日の大吟醸。「明鏡止水」長野の酒。仄かな甘味がすっと消え、澄み切った味わいが残る。

まず供されるのは、玄妙にして複雑な味わいの牡蠣スープ。寒い日には有難い。お通しの一皿は、ヒラメ縁側づけ、マグロ中トロ炙りづけ、ホタテ煮浸し、エビ頭づけ、スミイカゲソ、タラ白子など。どれも酒のアテに結構。

お酒はその後、「十四代本丸」、「醸し人九平次」とお代わりを。

コロナウイルスの話やなんやらで、親方や女将さんも入れて話は盛り上がったが、やたら大声でずっと喋り続ける常連の恰幅の良い親父が一人居て、面白かったけれども若干の迷惑でもあった(笑)

握りは、何時も通り固めに仕上がって、若干温度の低い酢飯。この酢飯の独特の風味が大変によろしい。理想の酢飯があり、種には酢飯に合わせた仕事をするのだというのが鈴木親方の持論通りの出来。

まずマグロ赤身漬け。ヒラメはまず甘酢づけ。一味を噛ませ酢飯にあさつきをつけて握る。胡麻醤油づけはワサビで。スミイカも軽くづけに。

シマアジは皮目を香ばしく炙ったづけで、薄く切りつけた3枚をつけるこの店の素晴らしい必殺技。エビは才巻の大きさだが、軽く酢を潜らせてオボロをかませる古式の仕事。

北寄貝は軽く火を通して甘酢につけてある。甘味と身肉の歯ごたえが最高。この店でしか食べた事がない仕事。

光物は脂の軽いものから脂の乗ったものへと、サヨリ、コハダ、サバ、イワシと4連発。イワシは脂が蜜蝋のようにびっしりと酢〆で固まった濃厚な脂が口中で溶ける。

煮ヤリイカを一貫。漬け込みのハマグリは古式を残すツメの風味が美味い。白くふっくらと煮あがったアナゴは、保温して暖かいままでツメをつけて供される。これまた他の店では食した事のないこの店の必殺技。小柱すり身を入れた玉子焼きを最後に貰って〆。

他のお客さんは更に二巡目に行って様々な種をお代わりするのだが私は一通り出してもらったらもう十分。お勘定をお願いした。

店を出る際、女将さんから、「毎年渡しているお年賀の手拭いは、発注していたはずなのに、何故か注文が通ってなくて、今、再発注してるの。今度来た時あげるね」との事。店名入りで染めてあるから時間がかかるのだろう。しかし、そんな事があるんだねえ。


本年最初の神保町「鶴八」訪問。
すっかり更新するのが遅れてしまった。大相撲初場所が終了した次の日。月曜の夜は、神保町「鶴八」。当日の夕方電話したのだが女将さんが出て入れると。

入店するとカウンタには先客1名だが、もう握りも終わりかけの様子。直後に入って来たお客さんは、二階の個室に上がって行く。今日のカウンタは何故かガラガラ。

もう松の内も過ぎてしまったが、今年初めての訪問なので「本年もよろしくお願いします」とご挨拶。酒はいつもの菊正冷酒。お通しはさっと湯通ししたスミイカのゲソ。何時も淡い甘みが素晴らしい。石丸親方に「相撲行きましたか」と聞かれたので、天覧相撲や驚愕のびっくりした徳勝龍幕尻優勝の事など、あれこれ相撲談義。

「遠藤は序盤が素晴らしくて優勝するかと思ったけど、後半崩れましたよねえ」と親方は残念がる。炎鵬に負けてから、ガタガタと調子が悪くなった。元々怪我の事は何も言わない力士だが、またどこか痛めたのか心配ではある。

最初に白身を切ってもらう。まずタイ。「海が荒れていて、ヒラメは留め置きのものしか無かったので、今日は鯛です」と。皮目を湯引きして塩を当ててあるので皮目の旨味が引き立つ。

先客が帰った後はカウンタはガラガラで、「こんな日はゆっくりしていってくださいよ」と言われて、女将さんや鶴八最後の弟子も入れてあれこれ雑談ばかりしてなかなか面白かった。

塩蒸しは香りよし。ブリもまだ大丈夫だと。腹の脂の乗った身。サヨリもつまみで。漬け込みハマグリもつまみで。肝臓に良い気がするなあ(笑)

お茶を貰って、握りは中トロ2、コハダ2、アナゴ2。〆はカンピョウ巻。マグロは甘い脂が乗っている。コハダもネットリした鶴八系独特の〆具合。アナゴは脂が溶ける程度に炙るが、トロトロで美味い。

のんびりと雑談ばかりで飲み食いしたので、勘定を済ませたのは8時ちょっと前位になってしまった。しかしそれでも、大常連O氏がトグロを巻く「新橋鶴八」に行くよりもずっと早く終わるので助かるなあ(笑) 

入店前はまだ、大関豪栄道引退のニュースが流れておらず、店を出てスマホ見てビックリ。大関陥落が決まって即引退。豪栄道らしく実に潔い進退であるが、こうなると大阪場所を見に行く興が削がれるのであった。

銀座「鮨 み冨」本年初訪問
金曜日の夕方に電話すると空いているというので、銀座「鮨 み富」訪問。

6時に入店すると、既に2組5名の客がカウンタに。昼から通しでやっているからなあ。

三橋親方に「本年もよろしく」とご挨拶して始めてもらう。新年は9日からの営業。魚河岸も最初の頃は魚が揃わないのと、この店の〆ものは仕込んでからしばらく時間をおかないと出せないからとの由。長めの正月休みだったようだ。普段が年中無休だものなあ。

お酒は親方お勧めの新酒から女性杜氏の酒を。名前失念。しかし、旨味もキレもある美味い酒であった。

まだ「食べログ」のネット予約をやっているのか確認すると、急に止めるとカレンダーに全ての日が予約不可と表示されるので、そこが考えどころだとか。まあ、ネット予約で来るお客がいる以上は続けても良いのかもしれない。


まずヒラメ。上質の脂が乗る。ブリ。色味は若干悪いが雑味無く脂の旨味あり。ミル貝もつまみで。独特の食感。紐も炙ってすだちを添えて供される。火を入れると甘味と風味が更に増す。サヨリは細切りで。普通はしないけどと、串にまいた皮の炙りも出てきた。「鶴八」でも供されるが、酒飲みには嬉しいんだよね。

アジもつまみで。生姜醤油で食す。大ぶり肉厚な身で脂が実に良く乗っている。漬け込みのシャコもつまみで。べったら漬けももらってお酒は終了。お茶をもらって握りに。

握りはお好みで1貫ずつ。ヒラメ昆布締め。大きな片身を昆布に当て分厚く切りつける。旨味十分。マグロヅケも軽めのここの酢飯にほぐれて美味い。カスゴ。通年で置いてあるとのこと。白身が酢〆にされてホロホロ崩れるこの具合が良いのだよなあ。コハダは片身を丸づけで。シットリと仕上がっている。イワシ酢〆。これも脂が固形化したようなネットリした旨味。漬け込みのハマグリ。甘辛の濃い味は古式の江戸前を残す。新富寿しから名物のカンピョウ巻で〆。

親方に、昔の「新富寿し」話を聞くのも面白い。昔の店には、大相撲の力士や親方、歌舞伎役者など有名人が多数来訪していたとのこと。そして、独立した今は、自分の店も軌道に乗り、仕事をするのが楽しくて仕方がないと。

銀座「新富寿し」で雇われで彼が働いていた時、他に客が居ない時に雑談になり、「自分の後は若いのが入らない」とぼやいていたので、寿司屋の仕事はきついけれども、一人前になるまで修行したら、一生食って行ける技術が身につくのになあ、という話になったのを思い出した。大学なんか出たって食えるかどうか分からない。真面目に職人修行をしたほうが確実かもしれない。そしてその時の話は、まさに今、この店に実現しているのであった。善き哉。


「新ばし しみづ」で本年の寿司始め

1月3日の昼は「新ばし しみづ」で本年の初寿司。

年末年始で飲みすぎて散々肝臓を痛めつけたが、もうひと頑張り(笑)

入店して新年のご挨拶など。毎年元旦休むだけで正月営業は凄いねえ。つけ場の奥には、摩宙君に色々教わっている若手あり。雰囲気が似ているので親戚が新人に入ったのかと聞いたら、似てるとは言われるのだが、某人気寿司店から短期の修行に来ているのだそうだ。そういえば以前「新橋鶴八」にも某店から若手が1ヶ月だけ来ていた。結構、寿司屋は横のつながりもあるのだなあ。

まずお屠蘇代わりに発泡した生酒がグラスで振る舞われる。その後は日本酒常温に切り替え。さすがに飲む速度は疲れが出て何時もより遅し。

お通しは、明石焼き穴子の茶碗蒸し。穴子の出汁が美味い。焼き穴子は白味噌の雑煮に入れても美味いよなあ。

最初は何時も通りつまみで。ヒラメ、イカ、タコ。サバ、赤貝、青柳。

ブリは切りつけて軽く炙り辛子をつけて。ナマコ酢、ウニもつまみで。私は握りはそれほど食さないので、他の人とは出てくるつまみの種類と順番がちょっと違う。しかしこの辺りで握りに。何時も通り中トロ2、コハダ2、アナゴ2、最後にカンピョウ巻半分で〆。年賀の手ぬぐいを頂いて今年もよろしくお願いしますと勘定を。

今年初の寿司を「しみづ」で終了。正月なのに何時ものように美味い。良き新年の始まりなり。

見送りに出てきた摩宙君は、この正月営業が終わったら、デンマーク、コペンハーゲンに発つ。途中で2年ほど病欠したが、通算10年ばかり、清水親方の下で修行したのだ。「あなたは真面目な努力家だし、何処に行っても大丈夫だよ」と最後の激励。「P.M.9」は正月お休みなので、深酒せずに助かった。

年末寿司屋巡回、最後は「新ばし しみづ」
昨日の夜は「新ばし しみづ」で本年の寿司納め。

「もうお休みですか」と清水親方から聞かれたので、金曜から休みで10連休だと答えると親方は「うちは31日と1日の2連休です」とぼやいてみせる。来年も新年2日から正月営業をするのだ。まあしかし売上が上がる訳だからなあ。

そして今年から、「しみづ」は定休日の月曜に加えて、月1回は日月火の3連休を取ることにしているのだとか。今年はさほど通わなかったので気づかなかった。「久兵衛」も週休二日だとか、寿司屋の働き方改革談義(笑)

お酒はまず常温で。お通しはなめこおろし。毎年定番のお通しだが、なぜか今年はこれが妙に美味い。不思議だ(笑)

つまみはまずヒラメ。塩で食しても旨し。スミイカ細造りはネットリ甘い。タコは脚と頭の身。サワラは皮目にさっと火を入れて焼霜に。塩とワサビで食する。ネットリした脂が美味い。

親方が行った矢沢永吉のディナーショーの話やら、女将さんが行った「ナウシカ歌舞伎」の話なども。

サヨリは結構大型。独特の爽やかな旨味。ブリは煮切をつけて軽く炙り、辛子を添える。白子ポン酢。一品温かいものがあるとこの季節には嬉しい。赤貝に青柳。サバは軽めの〆で身肉はトロりと柔らかい。最後にウニもつまみで。

ここでお茶を貰って握りに。中トロ2貫。身肉はシットリと柔らかく、マグロの旨味がこの店の強めの酢飯に溶けてゆく。コハダも2貫。水分を極限まで飛ばした強い〆がここの酢飯に抜群の相性。アナゴは塩とツメと1貫ずつ。カンピョウ巻は半分で。「しみづ」の寿司を堪能して、「良いお年を」と挨拶して店を出る。

見送りに出てきた摩宙君は正月の営業を手伝った後、デンマークで働くために店を去る。真面目で良いお弟子さんであった。昔は親方が留守で彼が稽古で握る特別営業に客として立ち会ったこともある。頑張りなよと激励。

せっかくなので向かいの「P.M.9」も、今年最後の訪問。まずドライ・マティーニを貰ってバーテンダーM氏と雑談。この店は年内30日まで。新年は6日から営業とのこと。シングル・モルトもおまかせで2銘柄飲んで結構酩酊。こちらも「よいお年を」と挨拶して店を出る。これで本年の寿司屋巡回は全て終了した。

本年のblog更新もこれにて終了。皆様、どうかよいお年を!






寿司屋巡り年末進行、「新橋鶴八」訪問
今週火曜日は本年最後の「新橋鶴八」。

今月初旬にアメリカ人弁護士2名を連れて行った帰り際、「24日に入れときますから」と、五十嵐親方が勝手に予約を入れたのだった(笑)

ニュー新橋ビルに着いたのは6時ちょっと前。暖簾をくぐった際、カウンタ一番奥に爺さんが見えたので、大常連O氏かと思ったがよく見ると知らない人。O氏と会うと毎回あれこれ喋りながら酒も飲むので、結局食べたものを忘れてしまうから、今回は出くわさなくて実に良かった(笑)

まず加賀鳶の冷酒。お通しはホタテに軽く火を入れたつけ焼き。貝の甘みが際立つ。最近、平貝が良くないのでホタテにした由。年末進行で飲みが続いているので疲れが蓄積しており、最初はなかなか調子が出ない。

ヒラメは当日の〆。身がまだ活かっており、肉厚で旨味あり。カツオはもはや戻りではないと思うが、迷って回遊している群れなのだろうか。腹のほうの身だが脂が実によく乗っている。炙って香ばしい皮目がまたよいアクセントに。身肉に癖がなく、へたな大トロより美味い。生姜醤油で。

アナゴ塩焼き。煮上げのアナゴとは違う大型を仕入れて、一夜干しにしてから炙るのだとか。これまた上品な脂があって皮目はパリパリと香ばしく、煮上げのアナゴとはまた違った美味さ。山椒を振ってもきっと美味いだろうなあ。

漬け込みのシャコもつまみで。タコは香りと旨味が良い。ミル貝は軽く炙ってもらう。甘みが増して美味い。最近、ミル貝は不漁とのこと。

日本酒は2杯で、その後は焼酎水割りに切り替え。年内は30日まで営業。新年は6日から営業だとか。しかし年内は予約でもう一杯とのこと。この日は「しみづ」が矢沢永吉のコンサートチケットが当たったとかでお休みであったから、事前に予約が入っていて助かったといえば助かった。

握りは、まずサヨリ。独特の爽やかな旨味。フックラと米の旨味を残した酢飯が良い。ただ握りのサイズは、神保町の本店よりも「しみづ」よりも若干大きい気がする。赤貝も食感良し。マグロヅケはネットリした旨味。漬け込みのハマグリは、神保町より色が薄い。飴だけに漬け込むのではなく煮汁も混ぜた汁に漬け込んで若干薄味に仕立てているのだとか。アナゴは鶴八伝来の味。

この日が今年最後の「新橋鶴八」訪問。結構酒が回ってタクシー帰宅。

寿司屋巡り年末進行、神保町「鶴八」
土曜日は、「歌舞伎座」昼の部の後、一旦自宅に戻って休憩の後、神保町「鶴八」まで。予約を取るにはこの日しかなかったのだが、早い時間は一杯との事で夜7時から。

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入店してみると、ちょうど早い時間のお客が全員帰り、カウンタには誰もいない。まるで貸し切りの如し(笑)しかし、暫くしたら次々とお客さんが来てカウンタは満席に。

年末年始の営業を石丸親方に尋ねると、年末は30日まで。新年は6日から営業とのこと。

菊正の冷酒を貰う。お通しは平貝つけ焼き。つまみの最初は白身と決めているので、注文せずともヒラメが切られて出てくる。肉厚で旨味あり。

塩蒸しも貰う。この日は他のお客さんに何故か生のアワビが人気でぶつ切りを所望する人多し。「歯のほうは大丈夫ですか」と石丸親方が冗談を言いながら切りつける。生のアワビは硬いものねえ。私は断然塩蒸し派である。この時期は蝦夷アワビなのだが、鶴八流に煮汁を炒りつけるように火を入れると滋味が凝縮して実に美味い。磯の香りさえ旨味に昇華する気がする。

サヨリ。なかなか肉厚。皮は串に巻いて炙りで供する。サバもつまみで。強めの味付けだが身肉の中心はまだ柔らかく生の風味を少しだけ残す。漬け込みのハマグリもつまみで。

石丸親方から「11月は行ったんですか」と聞かれて一瞬何のことだっけと思ったが、大相撲九州場所であった。13日目から千秋楽まで遠征しましたよというと「朝乃山がなかなか強いですねえ」と。初場所は休場者が少なく最後まで優勝争いが盛り上がってほしいものである。令和初の天覧相撲あるかな(笑)

この辺りでお茶を貰って握りに。注文は何時も通り。全て2貫ずつ。まず中トロ。脂の具合がなかなか結構。ネットリしたコハダは鶴八独特。アナゴは身表と皮表とどちらもツメで。ハマグリ出汁のお椀もいつも身体に染み込むよう。最後はカンピョウ巻で〆。何時もの鶴八伝来の仕事が何時ものように美味い。「よいお年を」と挨拶してほろ酔い加減で神保町の町をブラブラと家路についた。




寿司屋巡り年末進行、銀座「み富」
年末寿司屋巡回は続く。先週、水曜日は、早い時間に予約して、銀座、「鮨 み富」。

まず白龍の新酒を冷酒で。すっきりした喉越し。この前本屋で立ち読みした「東京最高のレストラン2020」に掲載されていた事など三橋親方と雑談。昨年開店したばかりで掲載され2年連続なのだから立派な達成である。昼から夜までの通し営業、適価のおきまりあり、お好みで何を頼んでも自由という。本来の寿司屋があるべき使い勝手の良さがあり、新富の伝統仕事を受け継いでいるのだから、お客さんがつくのも当然と思うが、ひとつには本家の「銀座 新富寿し」が再開できず廃業してしまったというのも大きかった。

何時も通り、まずつまみを切ってもらう。ヒラメ。ブリは、背と腹と用意があるというが脂のある腹の部位を。もう佐渡で揚がっているのだとか。

塩辛は如何ですかと言われて貰う。お酒は白龍を継続。上品な旨味。スルメイカは握りには使わないが、塩辛用に仕入れるのだという。他のイカはワタが多くないので塩辛には向かない由。そういえば鶴八系でもいつも塩辛は置いてあったなあ。

タコもつまみで。供する前にちょっと酢をつけるのがここ独特の仕事。ミル貝もつまみで。貝を入れる仲卸では最近、本ミルがあまり入荷しないのだとのこと。仲卸も拾い買いしていると良い物が継続的に買えないので、やはり毎日買うのが大事とのこと。量が捌けるようになると買う量も増えて仲卸との信頼も強固になってゆくようだ。

ミルのヒモは炙ってスダチを添え。火を軽く通すと甘みが増す。サヨリは閂と呼ぶには若干小さいというのだが、独特の爽やかな風味あり。漬け込みのシャコもつまみで。これも新富独特の古式を残す仕事。

この辺りでお茶を貰って握りに。酢飯は塩も酢も最近の流行りからすると軽めなのだが、すっきりして種の味との相性が良い。形としては小ぶり。ヒラメ昆布〆は昆布の旨味が身肉にじっとり染み込む。マグロヅケも旨し。コハダ、イワシと〆ものもいつも種類を置いているのが新富譲り。サバ、アジ、カスゴなどもラインアップにあった。漬け込みのハマグリ、カンピョウ巻で〆。

年末進行で酒が続いており、酒も握りも控えめにしたが、新富寿しの伝統を継承した江戸前を楽しんだ。本年の訪問はこれが最後。「良いお年を」と挨拶して店を出る。海苔のお歳暮を頂いた。


寿司屋巡り年末進行、西大島「與兵衛」訪問。
お世話になっている寿司屋を巡る年末進行。先週土曜日の夜は西大島「與兵衛」。しばらくご無沙汰したので年末寿司屋巡りでご挨拶を兼ねて。7時に入店するとカウンタは2組5名のお客さんが既に並ぶ。一組はご近所からこの日初訪問との事で、鈴木親方の相手を煙にまくジョークが次々炸裂して面白い。

もう一席空いているのはニューヨーク駐在で出張帰国のお客さんなのだとか。この夜はカウンタ全員で盛り上がり、あれこれ冗談交じりに語りあって実に面白かった。この店ではよくあるのだけど。

最初のお酒は大吟醸「東魁盛」。爽やかな口当たりだが、米の旨味が口中に残る美味い酒。その後、「十四代」「醸し人九平次」とチェンジ。まず冬場の定番牡蠣のスープが供される。リッチで複雑なスープの旨味に大ぶりな牡蠣。「この牡蠣は注射を打って、大きくしてるんです」と親方が得意のホラを吹くのが面白かった。お通しの一皿は、エビ頭ヅケ、ゲソ、中トロヅケ、ホタテ煮びたし、白子など。酒が進む

握りはいつも通り、まず赤身のヅケ、イカヅケ、オボロを挟んだ才巻海老、ヒラメの甘酢漬け、胡麻醤油漬け、シマアジ炙りヅケ、北寄貝甘酢などこの店の定番が順に供される。どれも與兵衛にしかない仕事。

光り物は、サヨリ、コハダ、サバ、イワシだったっけな。これまた〆具合を変えて、軽いものから脂がネットリした順に供される。白醤油で煮上げたふっくらしたアナゴ、ハマグリには独特のコクのあるツメ。最後に玉子焼き。これもまた秀逸。

勘定を済ませ、「早いですがよいお年を」と挨拶して店を出る。年が明けたらまた行かなければ。他の何処にもない「與兵衛の寿司」を堪能できる場所は此処しか無い。親方と女将さんも明るく、気さくに話しかけて初見のお客の緊張を解き、冗談で笑わせる接客も相変わらず良い。何時もながら感心した。

寿司屋巡り年末進行、「新ばし しみづ」訪問。
そろそろ寿司屋巡りの年末進行が立て込んで来た。「新ばし しみづ」を訪問して、今年最後の予約と来年最初の予約を入れなければならない。

先週木曜は、朝、病院に立ち寄りだったので、店に電話してみると清水親方が出て、なんと当日に一席空いていた。珍しいね。

仕事帰りで入店してみると、カウンタは賑やかな4人客と、ワインの話題で盛り上がっている3人の間の一席で、居心地が素晴らしく良いとは言い難い。もっとも、1人客が多くて静まり返っている夜もあるのだし、店屋の居心地は日によってあれこれ。文句言う筋合いでもない。しかし、以前からあちこちの寿司屋で顔を合わせたI氏に久しぶりに再会して実に良かった。

お酒は常温で、いつも通り始めてもらう。お通しはなめこおろし。このお通しには、普通、特に感想は無いが、この日はなめこが妙にネットリして美味かった。不思議だ(笑)

つまみはまずヒラメ。結構である。歯ごたえあるタコは塩で。スミイカは細切りに。サワラは皮目が焼霜で香ばしく、身肉は旨味が充満してネットリ。白子ポン酢は冬場に心が温まる味。サバ、青柳、小柱、赤貝、ウニなど貰ってお酒終了。最後にモズク酢を。これも今年からだと思ったが歯ごたえ良く美味いな。更に、年末最後の訪問と新年最初の訪問を予約。

ここからお茶を貰って握りはいつも通り。中トロ2、コハダ2、アナゴ2.最後はカンピョウ巻を半分。相変わらず力強い酢飯が美味い。見送りに出てきた弟子の摩宙君に聞くと、正月営業は手伝うが年明けすぐにデンマークに出発するとの事。人生色々な旅立ちがある。新天地での健闘を祈りたい。


アメリカ人を連れて「新橋鶴八」
何時も来日すると「新橋鶴八」(旧分店}に連れて行くアメリカ人弁護士2名がいるのだが、また日本に出張するので何時もの場所に連れて行ってくれと、むこうの秘書からメールあり。

ただ連絡があったのが2週間前で、「新橋鶴八」に連絡するも3名だと夜8時からしか空かないという。確認するとそれでも良いというので、7時半に待ち合わせして食前のカクテルをバーで一杯やってから店に行く事にした。勿論、早く空いたら店から連絡貰う事にしているが、「新橋鶴八」の客はみんなだらだら長居するからなあ(笑)

アメリカ人は当日アメリカから到着するので、ホテルにチェックインして休んでいればよかろうが、こっちは、働き方改革もあって、そんなに遅くまでオフィスに居れない。6時に「P.M.9」に入店して、ゆるゆる飲みながら時間をつぶす事に。

まずジントニックをちびちびと。この日の夜に藤田水産のマグロ番組があるのだとバーテンダーM氏から教えてもらう。帰宅したら観なくては。まだ時間がたっぷりある。二杯目に「GLENLIVET」のウィスキーソーダ。バーテンダーM氏が個人的に一番好きなものだとか。爽やかスッキリした味。それでもまだ1時間しか時間がつぶれていない(笑)結局、3杯目も軽いウイスキーソーダを。寿司を食う前に酩酊して倒れるよ。

頃合いに「P.M.9」を出て、ニュー新橋ビルの前に来ると、アメリカ人2名発見。「Nice to meet you again」と握手したのが7時半。しかしまだ店からは空いたとの連絡はない。バーで一杯やるかと聞くと「勿論」というので2名を連れて再び「P.M.9」に戻る。一体何をやってるのだろうか(笑)

一人は「ネグロニ」。もう一人は私と同じジン・トニックを飲みつつ、雑談して時間を潰す。「しみづ」の親方も女将さんも「こんばんは」と挨拶に。考えてみれば「しみづ」に予約入れればよかったよな(笑)

7時50分になってもまだ店からは連絡無いのだが、ここで更に飲むともう酩酊してしまう。「店に5分前に到着し、粘っている客にプレッシャーをかけよう」と提案して、アメリカ人の「It's a good idea!」との賛同を得て、「P.M.9」を出る。

「新橋鶴八」に着いたのは8時5分前。入店すると、案の定まだ前のお客は帰っていない。「もうしばらくお待ちください」と手伝いの女性に言われ、しばし店の外で待つほどに、ようやく先客が勘定を済ませて出て行った。やれやれ。

3人でカウンタに座って、まず純米大吟醸冷酒で乾杯。もう既に酒が回っており、食したものはあまり覚えていないなあ。五十嵐親方によると、この日も早い時間から、大常連O氏がトグロを巻いて長居していたとの事。あれを見ているから皆、自分もダラダラ長居しても良いと思ってしまうんだよなあ(笑)

つまみでは、タコ、ヒラメ、サバなんかが出たかな。シャコが出て来て、アメリカ人が「これは何だ」という話になり、「海老の親戚だが、進化の系統樹で言うともっと下等な種なのだ」と適当な話をしてやると、「確かに味は海老のように洗練されておらずワイルドだ」となかなか適格な感想を述べる。カツブシという卵なんかも海老の卵に比べるとちょっと下等な味がする。勿論、シャコ独特の美味さはあるが。

適当な所で握りに移行し、アメリカ人は沢山、私はちょっとだけ食べた。握りは、昆布〆、サヨリなんかが美味かった。ブリも脂が乗っている。ヅケや中トロも出た記憶が。アメリカ人はウニタワーと鉄火巻を貰っているが私はパス。最後にアナゴを貰う。アメリカ人たちは食欲旺盛で、サヨリ、サバなどをお代わりしていた。日本酒は2杯飲んでもうギブアップ。酩酊して新橋からタクシー帰宅。





「新ばし しみづ」訪問。
先週の火曜日の午前中、「新ばし しみづ」から、「本日ガラガラです。もしもよろしければ」と携帯にメッセージあり。空いていたので早速訪問を約する。

仕事帰りに入店すると「しみづ最多来店記録保持者」「ミスターエブリディ」ことF氏が既にカウンタに。同じく呼び出されたとの事(笑) 久しぶりですねとご挨拶して、隣の席で始める。清水親方によると、先週は神保町鶴八の一門会で韓国に旅行したと。魚は駄目だが他の食い物が美味い。国と国とは仲が悪いが、旅行すれば向こうの人は皆親切で楽しい旅行だったらしい。結構ですな。

清水親方は、矢沢永吉のコンサートの抽選に何度も申し込んで、ようやく当たったと思ったら、高額のホテルディナーショーにも当選し、12月の掻き入れ時に店を休んで出かけるのだとか。永ちゃんのコンサートはチケット不当転売の規制がきっちりしていると共に、ドレスコードが厳しい。ジャージやバスタオルとかは禁止。また紋付羽織袴も禁止なのだとか。日本の正装なのに妙な話だが、正装で来る場ではないし、羽織袴で来る連中は、沖縄の成人式風の返って鬱陶しいのが多いのではと。面白いなあ。

お酒は常温の開運。お通しはなめこおろし。F氏と大相撲の事など雑談しながら。

鯛は素晴らしく脂が乗っている。スミイカは細切りにしてネットリ甘みが。タコ。白子もみじおろしを添えて。

貝紐串焼き七味添えもつまみには好適。サバはしっかりした〆に旨味が凝縮。青柳。ブリの切り身は煮切を塗って軽く炙り辛子を添えて。脂が良く乗っている。赤貝はヒモと共に。ウニとイクラは器に盛り合わせて。

摩宙君は来年早々にはデンマーク出発だと。1月の営業までは居てくれるよう頼んでいると女将さんに見送りの時に聞いた。春になると新人が入る予定とのことだが。

この辺りで握りに。マグロは実にシットリした旨味ある部位。この店独特の厳しい〆のコハダもここの酢飯には実に良く合う。アナゴは今日は2貫ともツメで。最後は干瓢巻を半分。「しみづ」の寿司を堪能した。

その後で、最多来店記録F氏と「P.M.9」に移動。バーテンダーM氏も入れて、あれやこれや酔いつつも雑談。

F氏が、「しみづ」出身、祇園「まつもと」の娘さんが宝塚音楽学校に入ったのだと教えてくれる。松本朱梨さんというのだそうである。携帯の写真を見せてもらうが、キリッとした男役のような顔立ちだが、そんなに身長は高くないとか。松本親方の奥さんも美人だったものなあ。これからどうなってゆくだろう。

楽しく喋って飲んで、すっかり酩酊したのだった。


銀座「鮨 み富」訪問。
先週、水曜日の夜は、銀座「鮨 み富」。当日の夕方、外での仕事を終えて電話をかけると手伝いの女性が出て「入店から1時間ほどでよろしければ」と。まあ、私の場合、お酒の量とつまみを調整すれば、幾らでも時間は短縮可能。「しみづ」でも元「新橋鶴八」でも、飲んでつまみと握りで1時間以内に切り上げた事は幾らでもある。現「新橋鶴八」は大常連O氏に合わせたノッタリペースで仕事をするので1時間で切り上げるのは不可能なのだが(笑)

それでも早く着いたほうが、余裕がある程度生まれるわけで、急いで銀座に向かい入店。早い時間なのだが既に3組お客さんあり。席について直ぐに酒を発注しようとしたら三橋親方が「時間は大丈夫ですので、ゆっくりやってください」と。何か行き違いがあった模様。まあ時間をあまり気にしなくてよいのは結構な話。

お酒は白龍の冷やおろし。米の旨味を感じるふくよかな口当たり。

何時も通りつまみから切ってもらう。まずヒラメ。次にブリ。腹の脂がある部位と尾の脂の軽いほうと聞かれたが、やはり腹の身が旨い気がする。貝類では平貝。ミル貝。ヒモは炙ってスダチを添え別に出てくる。このヒモも歯ごたえあって旨し。

おまかせの握りが終了したお客が、まだ食べてない貝類を確認して、握りにするならどちらが旨いか尋ねると、三橋親方の答えは明快で「うちはお寿司屋なんで、何でもお寿司にしたほうが旨いです」との事。まあそりゃそうだ。〆物も煮物も、基本的につまみではなく酢飯に合う事を考えていると以前に聞いた事あり。

お隣のご夫婦は、以前よく「銀座 新富寿し」に行っていたのだが、雑誌の記事か何かを読んで、ようやく本日「み富」にたどり着いたのだと。ネットで検索すると直ぐなんだけどねえ。

ちょっと昔の「新富寿し」の話など隣のお客さんとも雑談。三橋親方によると、以前の新富のカウンタは広かったし、社長はあまり商売気が無く、お客が気に障る事を言うと無視するなど、あまり愛想も良くなかったので、お客さんとの会話やお客さん同士の会話は無かったと。自分がやるなら、お客さん同士が会話できる小さな店がやりたかったとの事。その通りの店ができた訳である。

昔の「新富」はいつも空いていたので常連も大抵予約などせず、フラっと来る。だから顔は知っていても名前を知らないお客さんが多かったとのこと。まあ「み富」は小さな店なので予約推奨。予約電話で、初めて名前を知った新富時代からのお客さんもいるのだとか。

ずっと閉めたばかりの「新富寿し」の社長は、もう商売やる気は無いのだが、初代を継がなかった父親がご高齢ながらまだご健在で、自分が家業を継がなかった引け目もあるのか、店を畳む事に難色を示しているようだと。まあ歴史ある店だったからなあ。

漬け込みのシャコもつまみで。シャコは一時、新富の社長が今風にしようと軽い味付けに変えたのだが、この店で、昔習った通りの古式に味付けを再び戻したのだと。

この辺りで握りに。赤身づけ、中トロ、コハダ、春子、酢〆のアジ、ハマグリを1貫ずつ。サッパリした酢飯に、種には昔風のしっかりした味の仕事。最後はカンピョウ巻。ここにも昔の「新富寿し」がそのままに残っている。訪問するお客さんは殆ど最後に頼むのだとか。

1時間で帰るつもりで入店したが、三橋親方と昔の「新富寿し」話などしていると結構時間が経っていた。社長のエピソードなんかも面白いんだ(笑)


「新ばし しみづ」訪問
先週の木曜は「新ばし しみづ」。

朝8時から予約の電話を受け付けているのは知っているが、普段は午後にしかかけた事がない。「席が空いてなければそれまでよ」でやっていたのだが、この日は何故か電話をかけてみる気分になった。5時半からで大丈夫ですかと言われたのでちょっと早めに仕事を終えて店に。

この店は開店時間前に入るお客が多く、5時半ピッタリに扉を開けると既に殆どのお客がカウンタに並び、もう飲み物が出ているという場面に何度も遭遇した。この日は平日であるせいか、私が最初の客。その後で一人客が入って来たが、この日のお客は何故か登場が遅かった。

「P.M.9」で聞いてはいたが、まだ摩宙君が奥で働いている。デンマークの労働ビザがなかなか下りないとの事。しかしデンマークで職人として働くというのは大変なのではなかろうか。私も行った事がないから詳しくは分からないが。

やはり人が足りないせいか、久々に女将さんが店に出ている。お酒は常温。ラベルは「開運」。お通しはなめこおろし。何も言わずともそのままつまみが出てくる。

まずヒラメ、そして鯛の腹の身。どちらも上品な脂が乗っている。スミイカも細かく包丁を入れて。塩で食す。お客も段々と入って来て満席に。

タコも香りが良い。青柳、赤貝と貝類も。この日は一人客が多く、誰も喋らないのでまるでお通夜の如し。時々こういう事があるんだよなあ。

鯖はしっかり〆てあり旨味あり。アジは季節外れと思ったが脂が乗っている。青森産とのこと。昔は青森のアジなど入らなかったというが、やはり温暖化の影響か。

カツオ背の身は青ネギを叩いた薬味で。ブリは煮切りを塗って軽く炙ってつけ焼きに。天然のヒジキの小鉢。バリバリした食感が珍しい。いくらとウ二の盛り合わせでつまみ終了。

ここでお茶をもらって握りに。

握りは、まずマグロ2。脂も段々と乗ってきて身肉は実にシットリ。強めの酢飯が美味い。強く〆たコハダ2。この店独特。「鶴八」系の仕事から更に水分を抜いた仕事。これはこれで酢飯との相性が抜群なのだ。アナゴは塩とツメで半分ずつ。ハマグリが1貫。最後にカンピョウ巻を半分。久々に「しみづ」の寿司を堪能した。

勘定を済ませて外に出て女将さんとちょっとだけ雑談。結局「P.M9」に寄り道する事に。
マティーニを飲んだ後、ラフロイグ25年なるものを。10年もちょっと貰って飲み比べ。まったりした芳醇な飲み口。度数が高いので結構酔いが回った(笑)

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「新橋鶴八」訪問。
月曜の夜に「明日空いています」と「新橋鶴八」から携帯にメッセージ着信。飛び石の祝日だし、台風の後でもある。河岸も休み。おおかたキャンセルでも出たんだろう。とはいえ予定はなかったので、訪問することに。

5時半からと言われていたのだが、入店すると既に大常連O氏が一番奥でトグロを巻いて飲んでいる。手伝いの女性も休みのようで、飲み物を出すのも全て五十嵐親方一人であるから、なかなか大変そうだ。

お通しは鯛の酒盗。普段より種札は少ないが、やはり台風の影響で仕入れは大変だと。最初に切ってきたのはヒラメ。大振りな身。

その後、立派な身の塩蒸し、香り良し。そろそろシーズンは終わりとのこと。その後は、大常連O氏と、ラグビーの事や即位の礼の事、あるいは昔の寿司屋の話など、拉致も無い事ばかり喋ってたのであんまり記憶が無いなあ。

ホタテに軽く火を入れたもの、ブリ切り身のつけ焼き、漬け込みのシャコが出たのは覚えている。

握りに移行すると、昆布〆、中トロ、コハダ、茹で上げの車エビ、ハマグリが1貫ずつ出たっけか。酢飯の具合は相変わらず秀逸。しかし、ここで海老を食したのは初めての気がするが。他に何か食したか、もうサッパリ覚えていない。

私の方は翌日は仕事。引退して、毎日が日曜日で、本日もまだダラダラ居る気満々の大常連O氏には付き合っていられない(笑)先に勘定を。しかし、全体にこの店はダラダラ居る客が多いが、これはO氏を見習っている影響ではないか(笑)。寿司屋に長居してそんなに楽しいかな。適当な所で切り上げて、立て込む前にサッと帰るのが良いと思うけれども。まあ人それぞれだが。

新橋駅からタクシー帰宅。

神保町「鶴八」訪問。
神保町「鶴八」久々の訪問。

先々週だったか昼間に電話したが出ない。アレ?と思ったら、定休日の水曜日だった。そうかそうかと思って仕事に戻ったら、知らぬ間に携帯に「鶴八」より不在着信あり。掛け直してみると「鶴八最後の弟子」が出た。休みでも何か仕事があって店に居て着信履歴を見たらしい。「今日はでも定休だよね」「はい、お休みです」「じゃあ、また電話します」という、なぜ掛け直したかサッパリ分からない会話であった(笑)

西大島「與兵衛」も水曜日定休だが、電話しようとすると、なぜか大抵、その日が水曜なんだなあ(笑)

この日は入店したらカウンタにはまだ誰も。菊正の冷酒を所望。お通しは、ハマグリの柱醤油づけ。のんびりと親方や女将さんと雑談など。台風やら仕入れの話。親方は、15号の時は計画運休が明けたので駅に行ったら3時間待ったとか。19号の時はさすがにキャンセルばかりで店も休業。まあ仕入れも大変だろうし。

いつも最初は白身の刺身と決めているので、親方が「鯛でいいですか」と切ってきた。ここで鯛があるのはそんなに高い確率ではないのだが、上品な旨味がある質の良いもの。身もまだプリプリに活かっている。

「鶴八最後の弟子」に豊洲の駐車場事情など聞くと、やはり足りなくて大変なのだという。彼はバイクで行っているのだが、「鮨竹」が自転車で豊洲市場から帰るのにすれ違ったと。配送は頼んでいるようだが、朝早くから仕事熱心ですな。「新橋鶴八」はタクシーで行っていると聞いたが。

つまみは、塩蒸し。旨味も香りも凝縮した仕事。北海道の天然ブリは癖の無い脂、噛み心地良し。サバはしっかり〆てあるが脂が乗って味わい深い。

お酒をお代わりしながら、台風の被害の事なども雑談。私自身は、武蔵小杉に昔、住んで居た事があるのだが、その当時は東横線の東側は、ちょっと荒んだような工場地帯で、JR横須賀線の駅も無かったしタワマンなど影も形も無かったなあ。ハザードマップ見ると浸水の予想されたエリア。元は川底などで地価が安いから工場地帯になっていたのかねえ。

この辺りで握りに。まず中トロ2。かなり脂のある部位。旨味もあり。ふっくらした酢飯に脂が溶ける。コハダも2。柔らかくネットリした身肉の旨味は、何時もながら鶴八伝来の美味。アナゴもトロトロでツメも旨し。最後はサッパリとカンピョウ巻で〆。店が立て込んで来たので早めの勘定。しかし美味かったな。

銀座「鮨 み富」訪問。
日曜日は、暑さも去ったので朝は外をちょっとランニング。気持ち良い気温。午後は録画したラグビー・ワールドカップの日本―サモア戦など観戦。ラグビーを見ると不思議な事に負けているチームを応援したくなる。終盤はサモアに肩入れしていた(笑)Underdogを愛好するイギリス生まれのスポーツだからだろうか(笑)

この所行ってないなと思い立って電話で銀座「鮨 み富」を予約。5時に入店するとまだ他のお客さんはいない。何時もの席に案内される。ほどなく外国人を一人連れたアテンド系会社員のグループ入店。

お酒は白龍の冷おろし。あっさりスッキリした飲み口。二杯目からもう少し米のふくらみがあるものに変更。

昨今の店の景気など聞きながらつまみを切ってもらう。開店したのが去年の夏だから1年ちょっとで店は安定軌道に乗った。三橋親方によると、やはり修行店の「銀座新富寿し」が閉店になったのが一番大きく、元の新富の客がなんだかんだで探して、殆どこの店に来てくれるようになったとのこと。まあむこうは閉店してしまったから、別に修行先の客を盗った訳ではないものなあ。

つまみは、まずヒラメ。そして北海道のブリ。脂のある腹の部分だが、癖は無く軽く感じる良質な脂。ミル貝はまな板に叩きつけると丸まってしまうほどの鮮度。

ふらりと予約無しの爺さんが一人で入って来て握りを注文。空いてれば何時でも入れるのも良い所。ただ「新富寿し」は何時でも必ず入れたが、ここは席数が少ないから予約したほうが安全だが。

漬け込みのシャコ、煮たアワビは古式な仕事。なかなか立派なサイズ。肝も添えて。

この辺りで握りに移行。ヒラメ昆布〆、シマアジ、コハダ、イワシ、秋刀魚。どれも1貫ずつ。〆ものは新富伝来の技。自分の腹具合に合わせて自由に頼めるのが良い所。握りは若干小ぶり。酢飯も赤酢使用とのことだがそれほど酢は立っていないおとなしい物。

勘定を頼んだ爺さんが、「Dancyu」観て来たんだよと。兄弟子はどうしたかと尋ねる。「新富」の昔のお客さんなのだ。「三井さんは今日お休みですが、この店で仕込みをずっと手伝ってもらってるんですよ」と。

親方によると、「Dancyu」効果もまだ残っているという。ネット使う世代だとこの店もすぐ探せるのだが、紙媒体もなかなか重要。最近、仕込みの手伝いに未経験者を入れたのだが、三井さんはなかなかの理論家で、仕込みにもまず仕事の理由から教えているとのこと。もう見て覚えろの時代じゃないんだな。

予約の3名様がご来店になったので、そろそろ帰るかと勘定を済ませて店を出てる。扉を出てすぐのエレベータに乗り込むと、先ほど入店した中の一人の女性が店を出て来て、「すいませんすいません」とエレベータに乗り込んでくる。びっくりしたが、「お元気でしたか」と名前を呼ばれてまたビックリ。

とりあえず1階まで降りて会話すると、なんと以前頻繁に訪問していた築地本願寺裏「鮨 つかさ」で働いていた女性であった。黒縁眼鏡をかけていたので分からなかったよ(笑)

「つかさ」は、そもそもフジタ水産の藤田社長に紹介されて随分昔に訪問したが、良い物を置いてあるし、親方の人柄も良い。気に入って何年も通っていたのだが、高橋司親方が突然の病気で倒れて急な閉店。それからすっかり顔を合わせる事も無くなってしまったのだった。しかし高橋親方も、病気からなんとか快復したと教えてもらう。とても懐かしい再会。「この店にはよく来るんですか」と聞くと、今回初めてなのだと。実に奇遇だが、嬉しい再会であった。一度高橋親方にもどこかで会う機会があればよいのだが。



「新橋鶴八」、五周年直前の訪問
先週木曜日の午後、携帯に「今夜空いてますよ」と「新橋鶴八」からメッセージが入った。大方、ドタキャンを食らったのだな。この週は週末も含め、ほとんど予定が入っているのだが、この日だけは空いていた。お互いにラッキー(笑)

仕事帰りに「新橋鶴八」訪問。一番奥の席には大常連O氏のための座布団が。やっぱり今日も来るのかあ(笑)

お酒は純米吟醸の冷酒(銘柄失念)を頼んで、つまみから始めてもらう。房総は結構港も台風の被害にあい、停電で冷蔵設備も水も港も駄目だと。親方の実家も千葉県だが被害は少ない地域であったと。

最初はおまかせで刺身を。もう白身はヒラメの季節。白身に関しては、以前から思うに、神保町の身の活かった旨味とこの店の熟成したような白身は若干違いがあるような気がする。五十嵐親方は「またひどい事書こうとしてるでしょう」と警戒するのだが(笑)、仕入れの事や醤油などあれこれ質問。

醤油は神保町と同じ。仕入れについては、神保町より大きな個体を好んで仕入れているらしい。仲卸で他の店と分割して半身だけ貰う事もあるとの事だが、やはり締めるタイミングなど、結果的に違うのかもしれない。

先日の台風で千葉の漁業も大打撃だろうが、房総の巨大なアワビ塩蒸しが入っている。香りよく身肉もぷりぷりした旨味が素晴らしい。鶴八伝来の仕事。

大常連O氏が登場。種札が今日は少ないなと。このところ貝類があまり良い物が無いとのこと。光り物もちょうど端境期か。のんびりとあれこれ雑談。

カツオは皮目を焼き霜にして生姜醤油で。ブリがもう出ている。北海道産とのこと。天然独特の噛み応えあり、癖の無いあっさりした脂。アカムツの身の酒蒸し。漬け込みのシャコもつまみで。

この辺りで握ってもらう。大常連O氏は、だいたい何時も、俺もじゃあ握りだと言うのだが、何時もながらダラダラ飲んで注文の気配もない。何時ものペースで3時間以上居座る気のようであった。

スミイカは肉厚。独特の口中で砕ける甘い触感。酢飯も米の旨味を残して軽く仕上がっており実に結構。ここの昆布〆もネットリした旨味が身肉に入り実に旨い。

マグロヅケも酢飯との相性が実によい。コハダは若干脂が薄い気がしたが、ネットリした身肉の旨味は鶴八の伝統。漬け込みのハマグリ、最後はトロトロのアナゴで〆。

勘定を済ませて帰る際、五十嵐親方が見送りに出て来て、「この9月21日で開店5周年になります。ありがとうございました」と。そうか、早いものでもう5年。今やすっかり予約の取れない押しも押されもしない人気店になった。素晴らしい達成である。おめでとう!


歌舞伎座前に「新橋鶴八」、急いで訪問
大相撲仙台巡業見物の仙台から戻った次の日の火曜日。夜は「八月納涼歌舞伎」第三部観劇の予定。前週に「新橋鶴八」に連絡を取るとこの日の早い時間が空いているというので予約してあった。

歌舞伎は6時半開演なので、「新橋鶴八」5時に入店して、6時10分には出ないといけない。5時2分前位に入店。まだ他のお客はなし。「しみづ」なら時間だけ告げれば、その通りきっちりおまかせでやってくれるのだが、この店は万事のんびりしているので、こちらでコントロールしないと時間通りにゆかない(笑)

随時こちらから注文して進行を急かしながら。まず冷酒「酔鯨」純米。日本酒は眠くなるので、次からは焼酎水割りに切り替え。お通しは新イカのゲソ。あとで握って貰わなくては。今日は河岸が営業しているが明日から店はお休みで土曜日は開けるとか。

まず白身を注文。カレイ。次は塩蒸しを注文。

某常連客氏が予約の電話しても出ないとボヤいていた事に関して、神保町「鶴八」の石丸親方が「私が電話しても出ませんよ」と言った事を伝えると、五十嵐親方は「出ない事ありませんよ。親方からの電話は履歴に残ってませんよ」と反論。とんでもない弟子だと話が盛り上がったんだがなあ(笑)一人で仕込みをしているから電話が取れない時間もあるということらしいが。しかし一人でやってる店だって電話は普通出るけどねえ(笑)

「しみづ」の錦木が辞めたとの話を聞く。そういえば前回訪問の時も居なかったな。この業界も人の出入りが激しい。この店も募集しても弟子は来ないとか。

漬け込みのシャコもつまみで所望。ここまでは自分で頼んで急かせたが、カツオが出てくる。腹の身。皮目を焼き霜に。もっちりした旨味あり。生姜醤油で。

前に「しみづ」に居たのが水天宮に出した店を知っているか聞くと、早川光の番組を見たという。「あれは破門されたんじゃないですか。変わった奴だったなあ」と。私自身は彼と殆ど口をきいたことが無いが、馴染みの客が来ると、親方を差し置いて勝手に自分からあれこれ話かけて盛り上がり、店の雰囲気を壊していたしなあ。まあよくわからんけども(笑)

注文を忘れていたら、新イクラが出てきた。そうかもう出ているのだ。ただ粒はまだ小さく旨味は軽い。この辺りで握りに。早く終わらせねばならないので(笑)、こちらも自分から注文。

まず昆布〆を1貫。昆布の旨味が染み込んだネットリした身肉。酢飯は米の旨味が残るフックラしたもの。実に結構である。これで親方が電話に出て予約が取れて、1時間ちょっと位でおまかせが終わったらもっと通うがなあ(笑)

次は新イカを注文。一杯丸づけの大きさ。淡い甘みが口中で酢飯に溶ける。雑味がまったく無いのが良い。味わいの点ではコハダ新子よりも新イカのほうが旨いかもしれない。

珍しくイワシがあったので次に頼もうと思っていたら、コハダが勝手に出される(笑)まあ何時も食すけれどもねえ。この後は何時ものアナゴ。干瓢巻を半分だけ。お茶を貰ってさて勘定だ。五十嵐親方の見送りを受けて店を出たのは6時5分くらいかな。歌舞伎が終わったら戻ってきて、飲みに行きましょうよ、というのだが、それは疲れるので丁重にお断り。

都営浅草線新橋駅から東銀座に行く予定だったが、新橋駅でタクシー客待ちあり。これに乗ると歌舞伎座前まで殆ど信号待ち無く乗りつけて、悠々と6時15分の到着であった。

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部、弥次喜多
8月8日にUKへの出張から帰国して、その夜はこんこんと眠って疲れを取った後、9日は、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部。この日が初日であった。

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幸四郎、猿之助の「弥次喜多」も、八月納涼歌舞伎の目玉となって、はや4年目。

最初は紗の幕に今まで3回のダイジェストが映像で流れる。それが終わると、屋根の上で寝ている弥次郎兵衛と喜多八の場面になり、今までの「弥次喜多」は全て夢であり、再び二人がお伊勢参りを決意するという幕開き。

今までの「弥次喜多」は、ラスベガスに吹っ飛んでいったり、歌舞伎座での殺人事件を解決したり、地獄にまで旅をしたりしたが、今回は、歌舞伎の世界に若干回帰してきた。

「鈴ヶ森」、「一本刀土俵入」、「滝の白糸」、「女殺油地獄」などの歌舞伎名作の舞台が随所で場面設定に取り入れられている。

演出の趣向としては、幸四郎、猿之助の二役の早変わり。水芸。巳之助のカツラ吹っ飛び。中車のカマキリ先生。七之助の「いだてん」ネタ。本水での大立ち回り。最後の宙乗りと大変に忙しいが、観客は大いに笑い、沸く。

染五郎、團子も4度目の「弥次喜多」だが立派に成長してきた。幸四郎との親子ネタの後、染五郎の美少年ぶりは親父のおかげと幸四郎が得意になると、猿之助が團子に「お前は親父は駄目だが、爺様が偉い」と中車Disをぶち込むなど、台詞も仲間内の楽屋ネタ満載で観客は大笑い。

歌舞伎名作の本歌取りや楽屋落ちについては、コアな歌舞伎ファンは眉をひそめるのかもしれないが、本職の歌舞伎役者が本気でやっているのであるから、観客としては大笑いするしか仕方ないのであった。

宙乗り前の台詞では、今回が最後の「弥次喜多」のような雰囲気も。宙乗りで幸四郎が何度も身体をグリングリン回転させるのは役者の身体能力を示して驚異的であるが、空に舞い上がって行く形としては、流石に熟練の猿之助の形がきまっている。

打ち出しは時間割より押して5時50分頃。どこに行くあてもないので、銀座松屋の「乾山」にフラッと入って一杯。〆張鶴冷酒。つまみで、コチ、シマアジ、アジ、石垣貝、サザエ壷焼き、鰻くりから焼など。握りは数貫に中トロ細巻。お酒3杯。種、仕事、酢飯、どれも特筆すべき所は無いが、「しみづ」「鶴八」よりも勘定が高い不思議。


銀座「鮨 み富」訪問。
土曜日の夜は、銀座「鮨 み富」。当日の午後に電話したら席が空いているというので入店。入店するとちょうど一組いたお客が帰るところ。あとはカウンタ私一人。6時過ぎから満席になるとのこと。

前回来た時には気付かなかったが、窓の外に店名の看板が出ている。結構目立って良いとのこと。

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まずお酒は四国の「美丈夫」純米吟醸。爽やかな口当たりの酒。

夕方早い時間は誰もお客が居ないので、三橋親方とあれこれ雑談しながら。店を構えてほぼ1年。商売も軌道に乗り、豊洲の仕入先とも良い物を引ける関係が確立してきたようで結構な事である。

つまみをお好みで切ってもらう。まずホシガレイ。この日〆たばかりとのこと。活かった身肉に濃い旨味あり。シマアジも上質。アワビ塩蒸しは肝添えで。大原産とのこと。紀伊産も入れた事があるが、煮上がりの香りが違うという。

アジもつまみで。ふっくらした身。生姜醤油で。石垣貝。江戸前では置いてある店は少ないが、昔は結構使っていたらしいとのこと。現在は岩手の産。クリーミーな甘みと微かな酸味が旨い。

この辺りでお茶を貰って握りに。

ホシガレイ昆布〆は厚めの切りつけ。昆布の旨味が効いている。コハダ新子は3枚丸づけ。5枚づけよりも身は厚くなったが、まだコハダ本来の身肉の味はしない。季節の走りの清涼感だけを楽しむ種。

スミイカもすでに新子が出ている。1匹丸づけで1貫。パキパキした食感は無いが仄かで癖の無い甘味あり。新子ではコハダよりも旨いとのことで親方と意見一致(笑)イワシの酢〆も新富ゆずりの光り物。アナゴも一貫。最後はこれまたこの店独特の甘辛いカンピョウ巻で〆。


神保町「鶴八」訪問
木曜日の夜は、夕方に思い立って電話すると空いていると言う事なので、仕事帰りに神保町「鶴八」に。

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入店してまずいつも通り冷酒を注文。お通しは平貝のつけ焼き。石丸親方が「名古屋場所は行ったんですか」と聞くので初日に遠征した話から、女将さんも加わってあれこれ相撲談義など。石丸親方は初代貴ノ花のファンであった相撲好きである。

女将さんが「鶴竜と逆鉾は似てますよねえ」と言う。今の井筒親方だが似ているかな。しかし師弟関係であるから、段々似てきたりするのかな(笑) 親方によると以前、井筒三兄弟の長男、鶴嶺山と次男、逆鉾が引退後に連れ立って「新橋鶴八」に来たのだそうだ。寺尾は来なかった由(笑)

前に訪問した時、親方が、オリンピック開会式の30万円のチケットを申し込むと言っていたので当たったかどうか聞いてみると外れたとのこと。全部当たったら100万円以上払わなければいけなかったので、外れてかえってよかったかもしれないと。私も開会式30万円、閉会式22万円どちらも外れてちょっとホッとしたのだった。

いつも通り、まずつまみから切ってもらう。白身はホシガレイ。マコよりも最初に舌に当たる旨味が濃い。アワビ塩蒸しは香りも旨味も十分。アジも身がフックラして脂の甘味を感じる上質なもの。

つまみはもう一品何を貰おうかと迷って、何がよいかなと聞くと石丸親方は「カツオも旨いですよ」とお勧めがあったのでカツオを。生姜醤油で。身肉にネットリと脂が乗っている。気仙沼で上がったものだと。この前「笹田」で出たのも気仙沼だったな。

「鶴八最後の弟子」君が、この前来た大常連O氏が会いたがっていたと伝言を。まあしかし、O氏がいつもトグロを巻いている「新橋鶴八」は最近予約取れないらしいからなあ。別の店で会った常連が、「最近は電話しても出ないので、もう行かない」と言っていた旨を親方に話すと、「最近、私が電話しても出ませんよ」と。まあ手が足りないのだろうが、まったくもってしょうがない弟子である(笑)

この辺りで握りに。まず中トロ2。大トロと称してもよい霜降りの身。脂が甘く溶ける。米の旨味を残したふっくらした酢飯も結構。

コハダは肉厚のもの2貫。ネットリした旨味は鶴八独特。 アナゴは煮汁を塗って軽く炙って温度を戻し濃厚なツメをつけて。トロトロに身が崩れる2貫。ハマグリ出汁に豆腐を入れたお椀が出て、最後はカンピョウ巻。

何時ものものが何時ものように旨い。満ち足りた気分で家路に。帰って大相撲録画を見なければ。

銀座「鮨 み富」で新子を食す
6月最後の週末。なんだか天気も悪く肌寒い夕方だったので、季節はずれではあるが、「やす幸」で、おでんでも食するかとタクシーで銀座まで。しかし四丁目の交差点で降りると、何故か寿司が食べたい気分になって、銀座「鮨 み富」に電話。入れるというのでそのまま入店。

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二階の窓の看板は、今まで気付かなかったなあ。

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一階入り口に掲示されていたメニューも、後ろにLEDが装着された電飾のメニューに。

入店すると、まだ夕方早い時間なので他にお客はおらず、三橋親方のハマグリの仕込みが終了する所。

お酒は夏酒。福井、女性杜氏の酒蔵「白龍」の、「きりり」。爽やかで軽い飲み口。夏には良いなあ。

まずつまみを切ってもらう。本日の白身はホシガレイ。いつもマコを求めるのだが、時折「今日は星があるよ」と勧められた時は入れてみるのだとか。コツンと舌に来る濃い旨味あり。次にシマアジ。これも天然にしかない、上質なプルンとした舌触り。

開店してまだ1年経たないが、商売が軌道に乗って、明らかに以前より良い物を入れている。結構な話である。

まだ他にお客さんがいないので、親方に最近のマグロ仲卸事情など聞く。前にTVのドキュメンタリーに出ていた「やま幸」が、廃業する店の権利を買って次々に勢力を伸ばしているのだとか。「石宮」が豊洲移転を機に店を畳んだというのは知らなかった。「石司」は健在とのこと。なるほどねえ。

貝は今週でもう終わりだというトリ貝を名残に。能登産だとか。来週からは、石垣貝を入れるとのこと。石垣貝はミルク色のトリ貝の如き味の貝。江戸前の伝統的な種ではなく、置いてある店は少ないが、なかなか旨い貝ではある。

つまみでは、アジを生で。生姜醤油で食す。フックラした旨味。アワビ塩蒸しは房総のなかなか立派な身。肝も添えて。

夏酒「きりり」は2回お替りしたが、この辺りで握りに。

まず、マコカレイ昆布〆。昆布の旨味が、さっぱりした軽いこの店の酢飯に良く合う。「銀座新富寿し」の仕事は江戸前仕事でも古い部類だったが、この店がきちんと継承しなければいつか途絶えて居ただろう。古い仕事は新しい船に受け継がれ、新しい航海に出たのだ。「銀座新富」は新しい職人も探していたようだが、結局閉める事に決めたようだとのこと。

コハダ新子は、ちょっと前から出ているのだが、最初はキロ13万円とかしており、とんでもなかった。しかし、最近、ちょっと値が落ち着いて、100グラムずつ小袋に入れてあるのを、2袋残ってたので買ったとのこと。三橋親方も修行を始めた頃は精々お盆過ぎに二枚づけくらいだったとのことだが、だんだんと5枚付とかになってゆき、最盛期は10枚づけとか握ったと。メダカですな。

コハダ本来の味はしないのだが、爽やかな香りがある初物を喜ぶ種。5枚付を握ってもらう。6月中にコハダ新子を食するのは初めてかもしれない。普段寿司屋では写真など撮らないが、今回は他のお客さんもいないし、初物の記念で1枚撮るかと言うと、「煮切りを塗る前に撮ったほうが良いですね」と出してくれ、iPhoneで写真を撮った後に煮切りを塗ってくれる。

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ペラペラで旨味は無いのだが、爽やかな香りあり。

小柱軍艦、酢〆のアジ、酢〆のイワシ、アナゴ、漬け込みのハマグリと貰って、最後は、この店の名物、甘辛のカンピョウ巻。これを食わないとこの店に来た気がしないのだった。

西大島「與兵衛」訪問。
昨夜は西大島の「與兵衛」。

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金曜に電話して週末の空きを確認すると、土曜のほうが空いているよと親方。確かに私以外はあと1組だけ。大勢で来て賑やかなお客も同席すると場が盛り上がって面白い場合もあるけれども、煩い場合もある。カウンタ商売は難しい。6名位の予約だと貸し切りにしてしまうとのこと。来週は結構貸し切りの日があるとの事で商売繁盛ですな。

まず最初のお酒は大吟醸、静岡「醴泉」。軽く爽やかな飲み口。親方と雑談していると、女将さんが裏から一眼レフを持ってきて「ちょっと写真撮らせて」と。なんでも亡くなった父親の遺品で幾つも古いカメラがあったのだが、使えるかどうか、試しに常連客の写真を撮ってみるのだとか。

デジタルではなく、ニコンの銀塩フィルムカメラ。シャッター音がなんだか今のデジカメよりも、実に精巧な機械感があって趣きがある。しかし最近は、写真の現像を頼むような町の写真屋がすっかり少なくなったよなあ。フィルムの現像を頼むような場所は、言われても思いつかない。

まずお通しの一皿。海老頭づけ、立派な房総の塩蒸しアワビは切り付けて煮切りを。北寄貝ひものづけ、白イカゲソ、マグロ赤身づけなど。どれも酒の肴に好適。お替りしたお酒は醸し人九平次。軽い酸味が立った旨味。

親方も女将さんも話好きなので、親方がデュッセルドルフ時代の話や、季節の寿司種の話で、もう一組のお客さんも含めて、あれこれ場が盛り上がる。寿司種の仕入れも、それに施す仕事も、なんでも気さくに教えてくれるのは、自分の仕事に対する確固たる自信の故と何時も感心する。

この辺りで握りに。まずマグロづけ。相変わらずの旨さ。本マグロの最高級を握る寿司も確かに旨いと思うけれども、づけにして旨味を引き出した赤身が、この店の硬めに炊かれた酢飯と口中で崩れて行く時、寿司のマグロの旨さというのは、此れ位で程よいのだと言う気が確かにするのだった。

マコカレイは、最初に甘酢づけ。一味とアサツキを噛ませる。爽やかな白身の脂に薬味が効いてこれまた安定の旨さ。胡麻醤油づけも同じ身がネットリした旨味に変わって変化を楽しめる。イカの軽いづけは白イカ。握りにはスミイカが一番で、アオリは酢飯との相性が悪いのでこの店では使わないとのこと。

皮目を炙ったシマアジもこの店のスペシャリテ。巻海老にはおぼろを噛ませて。途中でお酒は十四代本丸にお替り。その後はお茶で。北寄貝は甘酢につけて、この店でしかない独特の甘味を引き出している。握りはここまでが何時もと変わらない序盤の定番種。どれもいつもながら上出来。

ここから季節を反映した光り物の連続になる。皮目を軽く焼き霜にしたキスは軽い夏の脂。アジは軽く〆てあるが脂が爽やかで甘味あり。そしてイワシは〆て皮目を焼き霜に。3枚に薄切りしてつけるのだが、濃厚で実にネットリした脂が蜜蝋のように固まっている旨味。酢飯と一緒に口中で崩れ消えて行く。そしてこの時期だけ供される鮎は、香りが良い。

ハマグリは古式を残すツメとの相性が素晴らしい。フンワリと白く爽煮のように煮上がったアナゴもトロトロの脂の旨味濃厚。最後に玉子をつまみに。

最後に、古酒を盃に一杯振る舞われて味見。実に芳醇な香りと旨味を堪能していると、親方が、「うちで使っている味醂も旨いですよ」と盃に注いでくれる。アルコールの無いシェリーの古酒みたいな感じがする。調味料にも拘りあり。

何時もながらの満足感で店を出て、タクシー帰宅。西大島は、新宿線沿線の人以外は、ちょっと交通が不便なんだよねえ。まあ江東区はどこでも南北の移動が不便だが。

銀座「鮨 み富」訪問。
木曜の夜は、銀座「鮨 み富」訪問。数日前に予約したのだが、当日、銀座に出る前に、本屋で今月の「dancyu」をパラパラ立ち読みしていたら、「東京で、いまスゴイ店、7店」にこの店が出ていた。

入店後早速、親方に聞いてみると、やはり「dancyu」掲載効果は、今までのどこの雑誌よりも凄く、ランチの予約も立て続けに入り、夜まで客がひっきりなしとの事。最初は名乗らずに2回ほど覆面で来てその後に取材依頼があり、記事を書くライターが来るのだとか。

「dancyu」効果で仕込みの量も増え、つけ場も忙しくなかなか仕込みも手伝えない。以前は2時頃に終わっていた仕込みが夜までずっとかかるようになって、主として裏で仕込みをやっている元「新富」の兄弟子も働き詰めで大変らしい。ご飯を炊く量も倍近くになったとか。「新富」での22年を振り返っても、今が一番忙しいのだとか。まあ商売繁盛で結構な話。

「新富」時代の馴染みのお客さんは、大体予約無しでフラッと来る人が多いので、最近ちょっと入れなくなって申し訳ないとの事。まあ「新富」は店も広く、何時行っても必ず入れたからなあ(笑) 

ただ、ランチについては、「新富」でもお決まりの一人前を提供していたので残したが、さすがに大変で、来月から4000円に値上げするとか。一人前でのカード使用もご遠慮願うことにするとか。まあ3000円でカード会社に手数料払っていたらやってられない。

私がこの店に来たのが去年の7月末の開店直後。「新富寿し」が長く閉まっていたので、ネットで調べていて、twitterでこの店に辿り着いたのだった。独立したいので退店したいと「新富」の社長に申し出たら、特に慰留もされずに恬淡と認めてくれたが、人手が足らず「新富寿し」は閉店する事に。しかし開店1年で商売が軌道に乗ったのは、やはり「新富寿し」ブランドのおかげもありましたと親方。「新富寿し」が再開しなかったのも競合しなかったので良かったと。それはその通りだろうなあ。

お勧めの日本酒。「白龍蔵元」吉田酒造の夏酒純米吟醸「游」がふっくら米の甘味を感じさせながら淡麗な飲み口でなかなか旨い。

まずつまみから。マコカレイは宮城産の立派な身。肉厚で旨味も十分。シマアジも上質。カツオは生姜醤油で。タコもふっくらした身肉の旨味。タイラギ。生のアジ、トリ貝と。

お茶を貰って握りを1貫ずつ。カレイ握りは昆布〆で。酢飯の酢は「新橋鶴八」と同じだと聞いたが、すっきり目の味付け。握りも「新富」流で若干小ぶり。シマアジ。酢〆のアジ。握りには酢〆のほうが合うなあ。酢〆のイワシ。ネットリとした身肉の旨味。小柱は軍艦巻で。大星はもう無くなって来たと。アナゴは供する前に軽く炙る。古式を残す風味あるツメが結構。甘辛に炊いたカンピョウがぎっしりのカンピョウ巻は「新富」名物。これを食さないと此処に来た気がしないのであった。