97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
アメリカ大統領選 オバマvsロムニー
アメリカ大統領選の開票は、オフィスで時折チェック。なかなか面白かったが、オバマがオハイオを取った時点で勝負あった。CNNもFOX NEWSもオバマ当選を伝える。しかし前回ほど差はつかなかった。

もともと世論調査の支持率は、終盤になって拮抗していたが、YahooのElectoral College Tally(大統領選挙人獲得予想)では、すでにオバマが270の過半数に対して290名と、勝利確実な数獲得の予想になっていた。大統領選は現職が強いし、私自身のtwitterでも、オバマが勝利すると書いてきたが、まあその通りの順当な結果。

アメリカ大統領選は州単位に割り当てられた大統領選挙人を、その州の勝者が総取りする方式(一部州で例外あり)で行われる。今回オバマとロムニーは、Popular Vote(得票総数)ではあまり差がなかったが、選挙人獲得では結構な差がついた。ただ、あれが地滑り的大勝利かというとちょっと疑問。ロムニーは前回のマケインよりも選挙人獲得数を増やしている。

だいたい南部や山岳エリアの田舎では共和党が勝ち、ロス、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、NY、ボストンなどのメトロポリタンエリアを有する州では民主党が勝つ。オハイオ、フロリダはこの中間で、選挙のたびに結果が違っており、このあたりの州をどちらが制するかが焦点。

オッサンがトラクターで毎週教会に行くような州は共和党の独壇場だが人口が少なく、選挙人の割り当てが少ない。民主党はカリフォルニアでは必ず勝って55名の選挙人を総取りというのが強いところ。共和党は、サウス・ダコタ、ノースダコタ、ワイオミング、アイダホ、ユタなどの田舎でオバマに大勝してるのだが、選挙人獲得数は少なく、これは無駄な大勝。トラクターに乗った共和党支持者を、日本での某宗教団体方式で、何万人かの単位で有権者を、共和党の強い田舎からオハイオやフロリダに移住させておけば、ロムニーだって勝ってたかもしれないがなあ。←そんなことできないっての。


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ロムニーは一位の座を固めつつはあるが
ロムニー氏、首都ワシントンなどで3戦全勝

アメリカ大統領選挙、共和党の予備選は、ミット・ロムニーが着実に1位の座を固め、獲得代議員数は630名。サントラムの264名を大きくリードしているが、過半数の1,144名にはまだ届いていない。

前回の民主党予備選では、バラク・オバマとヒラリー・クリントンが最後まで一進一退の激烈なシーソーゲームを繰り広げ、全米の興味を引いたことが民主党に有利に働いたとの観測があり、今回共和党は、予備選が終盤まで盛り上がるよう、従来のウィナー・テイクス・オール方式による代議員獲得を得票に応じた比例配分にしたのだと言われている。確かになかなか勝負はつかないが、かといって共和党の予備選が人気沸騰かというと、そんなこともないような。

共和党候補は現職オバマで既に決定しており、共和党候補者同士が叩きあいの泥試合を続けていると、本選までにだいぶ共和党側が疲弊するような気がするのだが。ロムニーが共和党の候補になったとしても、穏健派、モルモン教の大金持ちということで、本来共和党が強い田舎の保守層、キリスト教右派には人気が無い。オバマ再選は、今のところ可能性高いように思えるなあ。



混戦だが、共和党はやはりロムニーか?
<米共和予備選>ロムニー氏優位鮮明も、異例の長期戦へ

共和党予備選は、スーパー・チューズデイでロムニーが優勢。一番多い州で勝ったものの、いまだ勝ち切れていない。穏健派のロムニーは、東海岸出身であり、共和党のそもそもの票田である、農夫のオッサンがトラクターで教会に通うような、いわゆるディープ・アメリカで人気無いんだよなあ。

とはいえこれまでの流れを鑑みると、おそらく共和党の大統領候補は、ミット・ロムニーに決まるとも思える。

もっとも本選で現職オバマと戦った時、「大金持ちでモルモン教」というロムニーのプロファイルは、果たして身内の共和党からどう思われるかが問題あるのではと思うのだった。


共和党候補は、ロムニーで決まりかねえ
共和党予備選は、ミット・ロムニーがフロリダ州で勝利。引き離されて2位に終わったギングリッチはまだ戦うようだが、ほぼ大勢は決したかもしれない。

予備選が始まる前は、共和党候補に名乗りを上げる構えで、「オバマ外国出生説」をしきりに説いていた不動産王ドナルド・トランプも、ロムニー支持を正式に表明

敵にすれば怖くて味方にすれば頼りがいのある人物というのも確かにいる。しかし、大統領選におけるトランプは、敵にしてもたいしたことなく、味方になると却って迷惑という感じではないかなあ。これがロムニーにとってよいニュースなのかどうか。

まあ、それにしても、ロムニーの写真を見るたびに思い出すのは、「エイリアンが地球侵略するB級SF映画に出てくるアメリカ大統領役の俳優」によくある顔してるなあということ。一見すると収まりがよいようにも思えるが、仔細に観察すると、なんだかそこはかとなく胡散臭いのだった。


ギングリッチはどこまで頑張れるか
共和党の大統領予備選挙は、資金と組織力で圧倒するミット・ロムニー前マサチューセッツ知事が、最初のアイオワ、ニューハンプシャーで勝利。このまま流れを決めてしまうかと思われたが、アイオワの最終得票が後に修正され、結果は2位に。

そして、南部サウスカロライナ州の予備選挙では、保守派のギングリッチ元下院議長がロムニーを大差で引き離して初めて勝利。先行きは若干混迷化してきた。

中道の穏健派であるロムニーは、大統領本選挙では、人気が凋落したオバマから中道無党派層の支持を大きく奪うかもしれないが、共和党内の一大勢力であるキリスト教右派等の保守派からは人気が無く、果たして共和党代表の座に辿りつけるかどうか。

納税履歴問題も存在すると伝えられているし、モルモン教徒であるというのも、ギリギリの争いになるとマイナス要因になるかもしれない。

一方のギングリッチのほうもプライベートに問題を抱える。Wikiによると、彼は19歳の時に自分の高校の数学教師であった26歳の女性と最初の結婚をしたという興味深い経歴の持ち主だが、この最初の奥さんがガンで入院している時に離婚。側近によると、
"She's not young enough or pretty enough to be the wife of the President. And besides, she has cancer.(彼女は大統領夫人になるには若くもないし綺麗でもない。おまけにガンなんだぜ)"
と言ったとされている。本人はこの発言を否定しているが(まあ、認めてしまったら大衆人気は最低になるので否定し続けるより他の策は無いのだが)、人格面に疑問を抱く人は多いだろう。南部の保守層には人気があると思われるが、果たしてどこまで頑張れるか。

アメリカ大統領選は国を挙げての人気投票で、WASPでないと勝てない、背の高いほうが勝つ、奥さんが美人のほうが勝つなど、あれこれ怪しいジンクスがあるものの、カトリックのJFKやアフリカ系のオバマが大統領になっている。プライベートや宗教問題がどこまでネックになるかというのも興味深いところだ。

大統領就任の宣誓を間違えた
オバマ大統領就任式について書いた一昨日の日記で、

就任の宣誓では、最高裁判所長官の言葉をそのまま繰り返せばよいのだが、オバマは、一瞬頭が真っ白になったのか、途中で言葉に詰まるという珍しい場面あり。あの演説巧者にしてそうなるのだから、やはり相当なプレッシャーだったろうな。

と書いたのだが、言葉に詰まった原因が判明。

CNNの記事によると、大統領就任宣誓の際の文言は、合衆国憲法に決められているのだが、先導したロバーツ最高裁長官が、一部間違えたため、オバマ大統領は一瞬言いよどんだのだが、そのまま復唱してしまったのだという。

具体的には、"I will faithfully execute the Office of President of the United States"とあるところを、ロバーツ長官は、faithfullyを飛ばして読んでしまった。

オバマ大統領はこれに気づいて一瞬言いよどんだのだが、ロバーツ長官が再度"faithfully"抜きで間違いを繰り返したため、"the office of president of the United States faithfully"と最後に"faithfully"をつけて修正を図ったが、結局語順を間違えたままの宣誓になってしまったのだという。

オバマ大統領はプレッシャーで言葉に詰まったのではなく、正確な文言を覚えていたから、「あれ、おかしいな」と一瞬考えたのだ。そういえば、「オイオイ」というように一瞬の笑みも見せていた。200万人の前でも沈着冷静で、逆に凄い話ではある。

合衆国憲法の解釈では、宣誓無しでも火曜の正午をもって大統領に就任しており、大統領就任は有効との意見が多数だが、要らぬ混乱を避けるため、同じコンビで昨夜に再度宣誓をやり直したのだという。

「準備はいいですか」と訊く長官に、大統領は、「今度はゆっくりやろう」とジョーク。今後とも、このロバーツ長官は、事あるごとに、「大統領宣誓の台詞を間違えた間抜け」として笑われることだろう。なんとも気の毒に。200万人の前では、確かに緊張するのも無理ないのだが。



そしてそれは、王殺しの祝祭にも似ている
本日のアメリカは、オバマ大統領就任の記念式典。もっとも、別に国民の祝日ではなく、会社は通常勤務。西海岸では、オバマ就任演説は朝の9時から。キッチンのTVには、結構社員が集まっていた模様だが、私自身は打ち合わせの準備等に朝からバタバタして、結局それどころではなかった。日本では夜中からNHKがライブで中継したそうだが、アメリカに住んでいて、ライブで見れなかったというのもちょっとオソマツだなあ(笑)。

帰宅後に、あちことTVチェックするも、途切れ途切れの映像だけで、再放送はやっていない。昨日、J Networkなるネット・サービスで録画予約しておいた、日本で放送されたNHKの就任式放映をチェック。

アメリカ人はお祭りが大好きだから、オバマ登場前からずいぶん盛り上がっている。就任の宣誓では、最高裁判所長官の言葉をそのまま繰り返せばよいのだが、オバマは、一瞬頭が真っ白になったのか、途中で言葉に詰まるという珍しい場面あり。あの演説巧者にしてそうなるのだから、やはり相当なプレッシャーだったろうな。

就任演説は、勿論、プロンプターを使用しているので、まったく流暢なもの。

アメリカは危機の真っ最中にあると認め、課せられた課題の多さと深刻さを述べる。しかし、アメリカの伝統的価値観への回帰と、国を作り上げてきた先人達の偉大な業績に触れ、問題はかならず解決されるだろうと、米国再生への宣言を述べる。

規制のない市場と拝金主義がもたらした混乱、地球温暖化への懸念を盛り込んだところは、やはり民主党カラーか。

米国は今後も世界で指導力を発揮してゆき、テロとの戦いについては、決して屈しないと述べるが、アメリカは、キリスト教だけでなく、イスラム、ユダヤ、ヒンズー、無宗教をも含む多様性を許容する国であり、イスラム世界との相互理解が可能であると呼びかけるところも、なかなかよかった。

アメリカの希望と再生、そして国民には責任と義務を説き、自由という贈り物を将来の世代に伝えるのだと述べるところは、昔のケネディのスピーチにも似ている。原稿はずいぶん練られている。ただ、各方面に配慮してあれこれ盛り込みすぎた感があり、後世に残るような名言は無かったような個人的印象。もちろん、アメリカ史上初の黒人大統領のスピーチとして感動的ではあった。

ただ、エモーショナルな選挙戦の最中のスピーチに比べると、穏当で謙虚なスピーチであり、聴衆もどこで歓声上げてよいか、若干戸惑ったところがあるようにも感じた。まあ、相手をただ攻撃すればよい選挙戦のスピーチと、大統領のスピーチとでは、自ずから性格が違う。

もっとも、戦争やるために大統領になったようなブッシュとは、やはり世界感が違うところを見せたスピーチであったと思う。これだけ期待を集めた新大統領もなかなかないのでは。まず、最初の100日に注目したい。

アメリカの大統領交代は、どこか、フレイザーが「金枝篇」で述べた「王殺し」の祝祭にも似ている。古い王を殺し、新しい若い王を得て、国土自体が再生する古代からの呪術的信仰。

アメリカの大統領というのは、政治家が段階的にキャリア積んで成り上がり、力を蓄えて最後にたどり着くポストというよりも、なにか運命的なものでその座に着く、「司祭」の座のような気もしてくるのだった。(まあ、蛇足ながら付け加えると、ブッシュは確かに殺されるべき王であったと思う)

いよいよオバマ大統領就任の日
土曜日は久々にゴルフで、その後、夕方にトレッドミルで20分だけジョギング。日曜、月曜とそれぞれ午前中に、筋トレの後外を4マイル走り。昼食の後、トレッドミルで約2マイル軽いジョギング。気温もさほど低くなく、外を走っても実に気持ちがよい。

なぜ月曜も走ってるかというと、Martin Luther King Dayで会社がお休みだから。全米でナショナル・ホリディとされたのは2000年以降の比較的新しい祝日。1月の第3月曜となっている。今年は1月19日の月曜日。

オバマ大統領就任式は、その翌日の1月20日。「非暴力主義」による公民権運動を指導し、メンフィスで凶弾に倒れたキング牧師を記念する祝日の翌日に、アメリカ初の黒人大統領が誕生するというのも、実に印象的な出来事。

「The inauguration ceremony」と称する就任式でのオバマ演説は、西海岸時間で朝の9時からと聞いたのだが、明日は会社が通常営業。キッチンでTV見る連中もいるとは思うのだが、私のほうは、朝に打ち合わせの予定が既に入っている。相手は、カナダから来るグループ会社の社員だから、アメリカ大統領就任演説には、きっと興味ないだろうなあ。ワシントンD.C.には、記録的な人数が訪れるというが、あれはみんな会社休んで行ってるのだろうか。

録画しようと思ったが、部屋には液晶TVとDVDはあるものの、よく考えてみると、TVを録画するデバイスなど買ってないのであった。普通、録画したいアメリカのTV番組なんてないものなあ(笑)。

ということで、日本のTV放送をネットでダウンロードできる、J Networkというサービスで、明日のNHKでの生中継番組を予約。アメリカに住んでいて、大統領就任式の放送を、日本の番組予約で見るのも妙なもんだが、ビデオが無いからしかたない。まあ、夜の10時からNBCで再放送があるようなので、それを見てもよいのだが。
「ブラッドリー効果」は無かった
アメリカ大統領選は、一部の州でまだ最終結果がコールされてないのだが、水曜朝の時点で、CNNの伝えるオバマの選挙人獲得数は349名。マケインの147名と比較すると、やはり圧勝。

Popular Vote(得票総数)でもおよそ52%を獲得して、世論調査の支持率とほぼ同じ。州別の勝敗についても、世論調査による予想とほぼ等しい結果が出た。投票前には、「ブラッドリー効果」が影響するとの見方もあったが、基本的には、今回の選挙にはほとんど作用しなかったと見てよい。

選挙結果と合わせて、「アメリカは黒人大統領を受け入れる準備ができている」という世論調査の結果は、建前ではなかったことが証明されたとも言える。これはアメリカの社会が、何はともあれ進歩していることの表れでもあり、誠に喜ばしい結果と言えるだろう。

上院も下院も民主党が勝利して多数派を占めた。大統領と議会両方を同一の党が支配するのは、アメリカのパワーバランスとしては珍しいが、ブッシュ8年の治世で、共和党がいかに国民の支持を失ったかということがよく分かる結果。本当は、4年前に落選させておかなければいけない大統領だったのだよなあ。

もっとも、アメリカの将来には、未曾有の金融危機が生み出した景気後退が待ち構えており、戦争もまだ継続中。誰がやっても実に困難な仕事であることは間違いない。就任後の国の舵取りは、オバマにとって実に深刻なチャレンジになるだろう。

Election Center 2008で各州の投票内訳がマップで閲覧できるのだが、これが面白い。オバマが61%を得票した民主党の牙城、カリフォルニアでも、内陸のカウンティに行くとことごとく共和党が勝利している。

たとえブルー・ステイトであっても、「オッサンがトラクター乗って教会に行く」ような土地では共和党が圧倒的に強い。同じ州内でも存在する、アメリカの根深い2面性を感じる結果でもある。
オバマ勝利の夜
帰宅して、TVをつけた段階で、CNNの選挙人(Electral Vote)獲得予想は、オバマ194、マケイン69。オバマは、すでに、オハイオ州で勝利したとの当確予測になっており、基本的にはこの時点で、ほとんど大統領選挙は勝負あったという感じ。

その後、中部、山岳部の投票時間が終了し、開票率がまだ低い段階で、それぞれの州の勝利予想がカウントされる。8時前の段階で、オバマ207、マケイン142。しかし、基本的に、西海岸は民主党の牙城であるから、もうこの段階で勝負はついていた。

そして、西海岸時間の夜8時。西海岸の投票時間終了とまったく同時に、全米メディアはオバマの大統領選挙勝利をアナウンス。西海岸は民主党の牙城で、今までの獲得代議員数からすると、何が起こってもオバマ当選はひっくり返らない。意外に短い時間で決まったなあ。

メディアも、出口調査で当確を打たず、西海岸の投票終了時間まで発表を待っていたようだ。しかし、前半のPopular Vote見る限りでは、マケインは最後にずいぶん追い上げた印象。

全米メディアは、当確報道と同時に、シカゴのダウンタウン、グラント・パークに集まって大歓声を上げるオバマ支持者の映像を放映。アメリカの歴史に残る夜。この日はシカゴにいてもよかったなあ(笑)

感心したのは、マケイン候補が西海岸時間で、8時18分頃には支持者の前で敗北の演説をしたこと。オバマ候補の勝利を祝福し、アフリカン・アメリカン市民には歴史的な日になったことに祝辞を。そして、オバマの祖母がこの日を見ることなく死去したことへの同情も述べ、敗北はすべて自分の責任であり、明日からは、アメリカのために、共に働くことを宣言。歴戦の勇者らしい、潔い敗者の演説であった。

二大政党制の下で、叩き合いの選挙戦を行うが、共和党の大会でも、民主党の大会でも、子供も含めて誰もが振っているのは星条旗。共和党も、民主党も、「アメリカが世界一偉大な国」という一点においては何も違いがない。このへんがアメリカの根本的な強さなのだなと感じる次第。

日本はなぜ、日本が嫌いな人々を拡大再生産しているのだろうか。
歴史がその記念碑的ページを開けようとする瞬間
本日がアメリカ大統領選挙の投票日。予備選に始まった長丁場だったが、ようやく全てに決着の着く日がやってきた。今夜は、ずっと開票速報を見なければ。

世論調査を信じるなら、バラク・オバマ候補の勝利は既に動かない。しかし、実際の投票では、オバマ票は必ず目減りするはず。果たして乖離がどれだけあるかが、まず一番興味深いところ。Yahoo! election 08によると、現時点のオバマの支持率は52.1%。オバマ票は、果たしてPopular Vote(総得票)の過半数を超えるだろうか。

また、大統領選挙は、Popular Vote(総得票数)での勝負ではなく、Winner takes allシステムを採用した州ごとの代議員獲得総数で勝敗が決まる。この州単位での攻防がまた興味深い。

前回の民主党候補、ジョン・ケリーが制した州は、基本的に大都市を有する先進的な州。これらが民主党の牙城であり、直近の世論調査でも、ほぼオバマが制するという予想が出ている。そして既に、前回ケリーが取れなかった、コロラド、ニューメキシコ、ネバダも、オバマが押さえた。これで獲得代議員数がちょうど半分。

前回ブッシュが取った州を、あとひとつでもひっくり返せばオバマの勝利が確定。そして、最後まで激戦が続いている、オハイオ、フロリダ、ペンシルバニアの各州でも、現段階ではオバマが優勢。世論調査と実際の投票行動が大きく違わなければ、ほぼ勝利は確定しており、これらの激戦州を全部オバマが取るなら、更に差が広がる。

ノースカロライナ、インディアナ辺りは、まだマケインが若干リードしているが誤差の範囲内。もしもオバマが勢いに乗ってここまでひっくり返すと、オバマ陣営に地滑り的大勝利がもたらされることになるのだが。

米国史上初の黒人大統領誕生。歴史がその記念碑的ページを開けようとする瞬間を、今夜この目で見届けたい。

同性婚(ゲイ・マリッジ)への賛否を問う住民投票
昨日、帰宅途中の交差点で、「Yes To Proposition 8」(プロポジション8に賛成を)というプラカードを持った人々が大勢集まり、道行く車にアピールをしていた。

大統領選挙と同時に、多くの州で、様々な法律に関する住民投票が行われるのだが、その提案が「Proposition」。それぞれナンバーがふられており、TVでもよく意見広告が流れている。

でもって、この「プロポジション 8」というのは何かと調べると、同性間の結婚を合法と認めたカリフォルニア州法を改正し、いわゆる「ゲイ・マリッジ」を違法にしようという提案。

まあ、今となっては信じられない事実だが、昔々のアメリカでは、白人と黒人の結婚さえ禁止されていた。この禁止を連邦に先立って撤廃した最初の州がカリフォルニア。時として「カリフォルニアはアメリカではない」とさえ言われるが、ヒッピー・ムーブメントの中心地でもあり、昔から、保守的なディープ・アメリカとは一風違ったプログレッシブな面がある。

同性婚についても、08年にカリフォルニア最高裁で、「同性婚禁止は憲法の下の平等に反する」という判決が出て、州内では同性同士の結婚も合法であることが確定した。

ややこしいのだが、今度の「プロポジション 8」は、いったん州法で合法と確定した同性婚について、それをまたひっくり返し、「同性婚は違反に戻そう」という住民提案。「Yes to Proposition 8」と掲げた人達は、「ゲイ・マリッジ禁止論者」なのであった。

この件については、Wikipediaでも「編集合戦」が行われた結果、11月4日の投票日までは編集に一定の制限がかかっているくらい様々な意見あり。

まあ、ゲイ・マリッジも、素朴な感想としては、ごく普通の世の中の習慣には馴染まず、やはり抵抗感があるのは事実。しかしまあ、心理的な抵抗はあるとしても、別に他人に迷惑をかけているわけでもなし、社会的に容認しても別段構わないというのが個人的感想。わざわざ同性婚を法律で禁じるまでもないのでは。

一方、ballotpedia.orgのページでは、これについて詳しい解説がされている。興味深いのは、大統領候補の間でも、オバマは、「プロポジション8」に反対(すなわち、ゲイ・マリッジ容認)、マケインは賛成とくっきり分かれていること。

そして、社会の各層グループ別に賛否を集計した表もあるのだが、この反応が実にクッキリ分かれており、見ると実に面白い。アメリカは決して単一の国家ではないことが分かるというか。印象的なグループを記録のため書き出してみた。












グループ賛成(%)反対*(%)
オバマ支持者2173
マケイン支持者8413
65歳以上6232
保守派8710
リベラル1086
沿岸部に住む住民3954
内陸に住む住民5737
高卒6227
大卒以上3361
プロテスタント6033
カソリック4448
*ここでいう「反対」とは、prop8への賛否で、「ゲイ・マリッジ容認」であることに留意


カソリック層が、比較的ゲイ・マリッジに寛容であるのに比較すると、上記の表でプロスタント層で抵抗が強いのは、この層の中に、福音派、原理主義派と呼ばれる、いわゆる「キリスト教右派」が入っているからだと思われる。

更に上記の表でいうなら、「マケイン支持」、「保守派」、「内陸部の住民」などが重なる部分に、キリスト教右派・原理主義者の大部分が入っているはずだ。熱心な「プロポジション8」賛成派(紛らわしいが、ゲイ・マリッジ反対派)の主張の根幹には、「聖書に書いてないからダメだ」、「伝統ある結婚という価値観を壊すもの」という論理があるだろう。

しかし、聖書には他にも、「予言者は殺されねばならない」と物騒な事も書いてあるし、パウロの手紙には、「しないですむなら、結婚しないほうがよろしい」とも書いてある。聖書を離れるなら、イスラムの「コーラン」では、「余裕があって、平等に愛することができるのなら、複数の妻を持ってよろしい」とも書いてある。

やはり、宗教にからんで全ての物事を判断しようとすると、なかなか難しいように思われるのだが。

バラク・オバマ候補がプライムタイム独占
昨夜は、夜の8時から、バラク・オバマ候補の30分間の選挙広告番組(Infomercial)が、CBS、NBC、Foxなどの全国ネットや、MSNBC、スパニッシュ・チャネルなどのケーブルTVで一斉に放映された。

討論番組ではなく、オバマ陣営が金を出して製作した、自らのイメージアップを図る宣伝番組。全体に、「中産階級の味方としてのオバマ」、「貧しい生い立ちから、アメリカン・ドリームを実現したよき家庭人、オバマ」のイメージ中心で、あまり具体的な政策を語るものではない。マケイン候補に対する批判もほとんど無し。30分の最後の部分は、聴衆の集まった会場からのライブ映像で盛り上げて終わった。

プライムタイムに、全国ネット3局含めた電波を30分間独占して、自分のCM番組を放送する費用が3百万ドルなのだそうだ。しかし、何千万人のアメリカ人に、自分で編集した自分のメッセージを発信できるのだと考えると、費用が日本円にして3億円というのは、考えようによっては、意外に安いもののような気がする。

昔の大統領選に独立系候補として立候補した億万長者、ロス・ペローも1992年に自分の番組を放送したらしいが、資金に余裕さえあれば、検討するべきオプションなのだろう。今回のオバマの集めた選挙資金は、150億円と大統領選挙史上最高額。マケインはその半分程度だから、金銭面ではマケインに勝ち目は無い。

選挙戦もあと4日を残すのみ。Yahoo! Election08による支持率調査では、オバマが50.0%、マケイン43.7%。依然として着実にオバマがリードを確保。州単位の予想を集計した選挙人獲得予想では、オバマ344名に対し、マケインは167名と、オバマの地すべり的大勝利が予想されている。

CNN Election Center 2008では、オバマ291、マケイン163と、若干オバマの選挙人獲得予想が少ない。もっとも、過半数の270名取れば勝利であるから、どちらの予測を信用するにしても、オバマの勝利は動かない。前回ブッシュが獲得したレッド・ステイトのうち、オハイオ、フロリダの両州を、本当にオバマが獲得できるのかについても実に興味深いのだが、おそらくこの2州を落としても十分勝てるリード。もしも万一、オバマ敗北ということになったら、世論調査に対する深刻な疑念が提起されることになるだろう。

一方、指名が発表された際、マケインの人気向上に一役買った副大統領候補サラ・ペイリンは、最近、マケイン陣営の選挙対策本部からも、余計者扱いで遠ざけられているとの報道あり。マケイン敗北の際には、スケープゴートとして敗北の原因扱いされるという、ちょっと気の毒な観測も。

しかし、そもそも、彼女を選んだのは、ジョン・マケイン本人。検討する時間も十二分にあった。自分に万一の事があった際、本当に彼女に大統領職が務まると思って選んだのだとしたら、やはり国を預かる器ではなかったと思われてもしかたない。今朝読んだとある記事には、マケインの過去の発言の後に、記者のこんなコメントがついている。

“The next president won’t have time to get used to the office,(大統領になってから仕事のやり方に慣れる時間などないのです)” McCain told a crowd in Miami on Wednesday.

“I’ve been tested, my friends, I’ve been tested.(皆さん、私の経験は十分に証明済みです。十分に)”

But has Sarah Palin? (でも、サラ・ペイリンは?)


コリン・パウエルの選択
アメリカ大統領選挙は投票日まであと15日。オバマ候補は9月に、過去最高となる1億5000万ドルの選挙資金を集めたとの報道。マケイン候補は、公的交付金による選挙で、使用できる金額に法定上限があり、総額が8千4百万ドルに制限されているというから、これはずいぶん大きな違い。

昨日、日曜には、元ブッシュ政権の国務長官、コリン・パウエルがTV番組でオバマ支持を表明。統合参謀本部議長として、先代ブッシュ政権での湾岸戦争を指揮した後、退役して著した自伝「マイ・アメリカン・ジャーニー」がベストセラーになり国民的ヒーローに。大統領選挙に出馬すれば当選確実との下馬評もあり、1996年には自ら大統領選挙出馬を模索したが、暗殺を心配する夫人に引き止められて断念。ひょっとしたら史上初の黒人大統領になっていたかもしれない男のオバマ支持には、やはりそれなりの重みがある。

パウエルは、ブッシュ政権での入閣歴から、共和党穏健派といわれるが、自伝では、自らの政治的立場については、慎重に明言を避けていた感があった。基本的には政治的人間ではなく、権力からの命令を忠実に遂行する軍人タイプといえようか。

しかし、ブッシュ共和党政権の一員でもあったパウエルが民主党のオバマを支持し、共和党の副大統領候補サラ・ペイリンについて、「万一の時に大統領になる準備はできていない」と批判したのは、マケインにとっても大きな誤算、かつ選挙戦終盤での大きな痛手。

中央政界にはまったく無名のアラスカ州知事サラ・ペイリンをランニング・メイトに選んだのは、共和党保守層を取り込む奇策ではあったのだが、このところ、副大統領候補としての資質があちこちで問われており、結果的にはやはり、マケインに対する逆風になったという印象。

CNN Election Centerの獲得代議員予想では、オバマ277 マケイン174と、オバマがすでに過半数の270を超えている。もちろん、まだ確実とは言えない州も多いが、少なくともマケインが逆転するには、前回の大激戦州、オハイオとフロリダ両方は必ず制し、しかも現在オバマが優勢な南部や東部の州をいくつかひっくり返さなければならない。

残された時間も限られており、選挙資金はオバマのほうが潤沢なことを考えると、マケインは相当苦しくなってきた。もっとも、オバマ陣営も、「これからが厳しい戦いになる」と、陣営の緩みを引き締め中。実際の得票は、おそらく世論調査よりも目減りする。現時点で6%のリード。選挙は、最後まで何が起こるか分からないが、果たして米国史上初の黒人大統領は誕生するだろうか。

最後のアメリカ大統領候補ディベート
昨夜は、アメリカ大統領選、最後の候補者ディベートをTVで見た。

東部時間で夜9時の開始。東部や中部ではプライムタイムだが、西海岸では夕方6時で、ちょっと早すぎる感あり。ひとつの国の中で(アラスカ、ハワイは除外して)3時間の時差があるというのも、やはり不便な話。

そういえば、以前の大統領選挙だったか、西海岸でまだ投票が続いている時に、東海岸の出口調査結果がネットワークで大々的に報道され、もはや大勢は決まったと、西海岸の投票率が激減したことがあるらしい。その反省からか、最近の選挙では、西海岸の投票が締め切られるまで、出口調査の結果は伝えられないのだとか。

3回目にして最後のディベートである昨夜は、司会者と同じテーブルについて議論するという方式。内容は、経済政策から所得税減税、健康保険や中絶など多肢に渡るが、主として内政問題が中心。

最近の世論調査では、ずっとオバマに差をつけられているマケインは、今回が大きく挽回する最後のチャンス。しかし、やはり焦りからか、オバマへの攻撃に裂く時間が、ちょっと多すぎたのではないだろうか。 ディベート後のCNN調査、「どちらが相手の攻撃により多くの時間を費やしていたか」という質問への回答は、80%がマケインと答えた。(オバマは7%)

昔の投票行動や支援者問題についても、マケインは執拗ともいえる攻撃。しかし、オバマの反応はなかなか冷静であった。副大統領候補について聞かれた時は、「ジョン・バイデンは私に万一の事があっても、立派に大統領が務まる」と明言。マケインはさすがにそこまでは言えないのが困ったところ。

ディベート中の態度については、共和党内で「一匹狼」と呼ばれるマケインの、あまり人好きのしない性格があらわになったような。マケインは明らかにオバマを嫌っており、それが態度から透けて見える。ブッシュvsゴアのディベートの際、ゴアが明らかにブッシュをバカにした態度をとって、逆に本人の人気が落ちた。人間としての狭量さと取られると、あの態度は、マケイン本人にとってマイナスだなあという気がした。ブッシュは愚かなのだが、態度は人好きするのだよなあ。公開の場で自分をさらけだすディベートというのも、実に難しい。

どちらが勝ったかについては、CNN調査では、「オバマ勝利」とした人が圧倒的。ただ、視聴者には、民主党支持層が多かったという報告もあり、単純には比較できないが。

マケインが、ディベートの最中に画面に向って何度も呼びかけた、オハイオ在住「ジョー・ザ・プラマー(配管工のジョー)」は、一躍有名人に。もともと、人を雇ってスモール・ビジネスを行う実在の一般人だが、前回のオバマ遊説時のキャンペインでオバマに質問したことから、マケインの目にとまったのだとか。今朝のネットワークには、一夜にして全国区の有名人となったご本人が登場。オハイオは、前回、前々回と激戦地であったが、果たして今回はどちらが勝つか。

本日のYahoo!サイトに掲載されている「RCP NATIONAL POLL AVERAGES」では、オバマ49.5%に対して、マケインは42.7%。このところずっとオバマが7~8ポイントのリード。

しかし、世論調査で、「あなたは人種差別主義者ですか」と聞かれて「イエス」と答える人間は少ない。日本では、「選挙に行く」と答える人は、必ず実際の投票率を上回る。調査には、常にこのような、「本年と建前の差」が含まれる。実際の投票になったら、オバマの票は世論調査より若干目減りすると見るのが妥当ではないか。どれだけ目減りするかが問題。これは果たして安全なリードか。ギリギリのような気もするが。

投票まであと3週間弱。金融市場や経済が大激動する中で、大統領選挙も、いよいよ最終コーナーを回った。
米国発金融危機と大統領選ディベート
リーマン破綻から始まった米国金融危機は、市場を大混乱に陥し入れ、AIG救済の発表に続いて、米国政府は、ついに7000億ドルを投じた債権買取機構設立案の発表にまで追い込まれた。しかし、お金が沸いてくるはずがないから、救済資金はどこかで調達しなければならない。最終的に国民に負担が来るのではと懸念する議会がすぐには承認せず、ブッシュ大統領は昨夜、国民にむけてTV演説まで行った。

日本の土地バブル崩壊との類似を指摘する声もあるが、世界中に広まった錯綜したデリバティブ取引に関連する、おそらく日本も経験したことのない世界的危機なのかもしれない。元FRB議長グリーンスパンは、この金融危機について、「50年に一度」と言いかけて、「いや、100年に一度の危機かもしれない」と言い換えたが、これは明らかに、前回の世界大恐慌から79年という時間軸を念頭に置いたもの。なかなか不気味な予言じみている。

そしてこの金融危機は、更に間の悪いことに、大統領選挙という、アメリカの最高権力の交代と時期を同じくしている。選挙まであと約40日。金曜夜に、最初の大統領候補同士のディベートが予定されていたのだが、ジョン・マケインは、金融危機対応が優先課題として、オバマに大統領との会談を呼びかけ、ディベートの延期と、自らの選挙キャンペイン、資金集めなどの一時的中止を発表。

ついでに、昨夜のデビッド・レターマン・ショーへの出演を取り止めたそうだが、これはまあ当然か。確かに、エンターテインメント・ショーに出演して、のんきにジョーク言ってる場合ではない。もっとも袖にされたレターマンは怒って、番組中でだいぶ辛らつなマケイン批判をやらかしたようで、どちらがよかったかは難しい問題かもしれない。

オバマはディベート延期について、「この時期こそ、アメリカ国民は、あと40日でこの危機に対して責任を持つ人間の考えを聞きたいと思っているはずだ」と述べて提案を拒否。「大統領は一度に複数のことを処理できなくてはならない。ひとつの事をやる時に、他の事を全て延期する必要はない」と批判しているのだが、さて、どうなるか。

金融救済法案は、本日、共和民主両党の議会と大筋の合意に達したと報道が。マケインはいまだ態度を保留。しかし、やることになっても、果たして準備は万全なのだろうか。ペイリン効果でオバマを逆転した支持率も、最近ではまたオバマがリード。金融危機を理由にディベートを引き伸ばすのは、あまり得策には思えないのだが。

ペイリン効果でマケインが逆転?
月曜にアメリカで発表された、USA Today/Gallupの大統領選挙世論調査では、マケイン50%、オバマ46%と、マケインの支持率がオバマを逆転。民主党予備選でオバマが指名を確実にして以来、マケインへの支持が、オバマをがここまで上回ったのは初めてではないだろうか。

各メディアは、共和党大会と副大統領候補ペイリンの相乗効果としている。ペイリンの貢献は、民主党票を取り込んだのではなく、元々の共和党支持者のマケイン票を増やしたことにあるとニュースでは分析しているが、確かにその通りなのかもしれない。

今まで、中央政界にはほとんど無名のダークホースだったペイリンだが、今週後半からは、本格的に各メディアのインタビューにも登場して、マケインとタッグを組んだ選挙運動が始まる。

ペイリン効果がどこまで続くか、副大統領同士の討論では、果たして古参議員のバイデン相手にどこまで通用するか。オバマvsマケインの激突以外に、副大統領候補同士の激突に注目が集まる。本選挙まであと2ヶ月。今回の選挙戦は見所満載だ。
共和党大会 マケイン候補が語る
昨夜の共和党大会はCNNの中継で見た。聴衆の雰囲気は、やはり民主党大会と違う。黒人、ヒスパニック、アジア系の少なさ、白人の多さが目に付く。大会の最後を飾るのは、マケイン候補の大統領指名受諾演説。

同じ都市で反戦主義者の抗議集会が行われていたらしいのだが、ひょっとしてそこから紛れ込んだ活動家だろうか、マケインの演説途中に横断幕をかかげて抗議の声を挙げた女性あり。しかし、あっという間に、回りの参加者に横断幕は取り上げられれ、駆けつけた係員によって会場外に女性が連れ出される一幕も。

演説そのものについては、やはりオバマのほうがアジテーションが効いており上手であるが、マケインの演説はマケインなりに、無骨ながら真摯な態度であり、これもまた聞き応えあり。

年齢にしては、実に元気だなあと思ってたら、会場の母親を紹介。この人がまた元気そうなのである。"She does't like me to say this but she is 96 years young(これを言うと嫌がるんですが、彼女はまだ96歳なんですよ)"と笑ってみせたが、やはり元気者のDNAを受け継いでるのだな。

国に尽くした自らの軍歴とベトナムで捕虜となった苦労、そして国への貢献が重要と語る部分は、特に会場にいる退役軍人達から、熱心なスタンディング・オベイションをもって迎えられていた。

民主党の指導者は国より自分優先、保険改革は国民と保険の間に官僚主義の無駄を作りだすことになる、民主党の政策は、増税と官僚主義、失業と大きな政府を招くという主張は、基本的に現状のアメリカ路線容認。もっともこれは、共和党政権が8年続いてるのであるから当然といえば当然か。ただ、ブッシュ政権の投じた膨大な戦費を考えれば、共和党が「小さな政府」路線とは、一概に決め付けられないところがあると思うのだが。

この選挙での政策論争に良く出てくるのが、「Energy Independent」というキーワード。他国に依存しない独立エネルギー政策のことである。前日のペイリン副大統領候補同様、マケイン候補も、石油を更に掘削し、原子力発電所を新たに建設する。クリーンな石炭エネルギー利用も進め、太陽光、風力、地熱など代替エネルギーの開発にも注力すると述べる。

世界一のエネルギー消費大国の大統領候補がこう述べると、なにかアメリカが、なりふりかまわずエネルギーを世界中からかきあつめるようにも聞こえる。もちろんこれは、最近の原油価格高騰がアメリカ国民の生活を直撃していることから、それへの対策を述べたもの。

しかし、「地球最後のオイルショック」や、「ピーク・オイル・パニック」を読んだ後で、このような発言を聞くと、なんとなく不気味に感じてしまうのも事実。共和党指導者層は、石油がピークアウトしており、生産は2度と増えないことを既に知っているのではないか、と。。。

いずれにせよ、石油資源は有限であることは真実。再生可能エネルギーの開発は、共和党にしろ民主党にしろ、避けては通れないテーマ。共和党が、地球温暖化に懐疑的なところが、やはり気になるのだが。

最後は、奥さんとペイリン副大統領候補が壇上に上がり、全員の喝采を受ける。直近の世論調査では、2週間前まで無名であったペイリン副大統領候補への高感度が急上昇し、オバマやマケインを超えたとの報道もあり。もちろん、ご祝儀もあるから、いずれは落ち着くに違いないが、来週からの支持率にどのように織り込まれてゆくか、実に興味深い。
副大統領候補、サラ・ペイリンが行く
先週末に、共和党大統領候補マケイン上院議員は、副大統領にアラスカの女性州知事、44歳のサラ・ペイリンを選択したと発表。以前に一度候補に挙げられてるのを見たことはあるが、本命とは誰も思ってなかっただけに、全米が騒然となったのも無理はない。

マケインが、なかなか副知事候補を発表しないのを不思議に思っていたが、オバマ陣営の副大統領選定を待って、一番ダメージを与える人選を行ったような気もする。

オバマは、女性のクリントンを選ばす、ベテランのワシントン・インサイダー、ジョー・バイデンを選んだ。そんな選択の双方に、ことごとく冷や水をかけるような選択。オバマ・バイデンとちょうどタスキがけのように交錯する正副大統領の組み合わせ。今後のレースを占う上でも、実に興味深い。

オバマ陣営から、一時ペイリンに対し、「公職経験少なく、外交経験もない人間に副大統領が務まるのか」との批判が行われたが、「では、大統領なら務まるのか」と反論されると答えに窮するだろう。マケインはなかなか老獪である。

NRA(全米ライフル協会)の終身メンバーで鹿打ちが趣味。子供が5人おり、19歳の長男は陸軍に入隊してイラクへ派遣予定。地球温暖化には懐疑を唱え、アラスカでの石油掘削拡大を唱える。このような横顔を見る限り、ペイリンは、たとえ同じ女性ではあっても、おそらく民主党のヒラリー・クリントン支持票は吸収しない。むしろ共和党内では左派と呼ばれるマケインの、共和党本流であるレッド・ステイトでの票の底上げに貢献するのでは。

もっとも、予想外の指名に全米の話題をさらったのはよいが、メディアの注目を浴び、今度は、17歳の長女が妊娠していると一斉にメディアで報道されこれまた騒動に。

以前、チェイニー副大統領の娘のsexual orientationについて報道されたが、どんな家庭にもそれなりの事情というものがあるはずで、本人に留まらず、家族のプライバシーがそこまでさらされるというのは、公職にある者とはいえ大変だろうと同情する。オバマもこの点については、「家族の事は選挙では触れてはならない」と表明。

日本で閣僚になる時も、「身体検査」なるものがされるというが、今回のペイリン候補も、夫が22歳の時に飲酒運転したやら、本人が許可証無しで釣りをして罰金を受けたことがあるなど、えらく昔の細かいことまですでに掘り起こされており、所得税申告書もマケイン事務所に提出済みとか。アメリカのバック・グラウンド・チェックも実に厳しいものであることが伺える。

17歳の長女は結婚するそうなのであるが、同じく17歳の相手の氏名も全米メディアに公表されており、相手も時ならぬ有名人になって、これまた大変だろう。今後の人生に余計な影響無いとよいのだが。

しかし、まあ、共和党支持者が多い、白人がトラクターに乗って教会に通うようなアメリカ田舎のレッド・ステイトでは、子沢山で、息子が軍隊行って、娘は10代で妊娠などというのは、日常茶飯事の出来事。こんな点でも、逆に意外な親近感を高め、ランニング・メイトとして、マケインの支持率向上に貢献するのではないか。ニューヨーク、マサチューセッツ、カリフォルニア、イリノイなど、民主党の票田である大都市部では、この人は人気出ないだろうと思われるのだが。

ま、しかし考えてみると、当選すると1期目の大統領としては史上最高齢となるマケインに、万一のことがあった場合、オバマよりも更に若く、公職経験も更に短いこの人が、自動的に米国大統領になる。このあたりがこれからの選挙戦で話題になりそうなところか。
ジョー・バイデンのスピーチ
民主党大会は、昨日の時点で投票に依らず、全会一致の形でバラク・オバマを正式な大統領候補に選出。

昨日の夜は、帰宅してみると、すでにビル・クリントンのスピーチは終了していた。ゴールデンタイム前の登場だったようだ。前日、観客席に座ってた時は、いかにも精気無く見えたが、ニュースの映像でチェックするに、大会壇上では実に堂々たるスピーチ。政治家というのは、大観衆の前の演説では、やはりとてつもない底力見せるなあ、と感心した。

ジョー・バイデンの副大統領指名受諾演説では、女性を暴力から守るための法案策定に尽力したエピソードや、奥さんと子供を事故で亡くして再婚した経緯などが語られた後、本人が壇上に登場。

オバマを賞賛し、アメリカのミドルクラスを復権させるためには、共和党政権をこれ以上続けてはならないと訴えるが、聴衆の反応は、やはりヒラリークリントンには及ばない。まあ、それはそうだろうなあ。

自分が副大統領になったら、"no longer will the eight most dreaded words in the English language be 'The vice president's office is on the phone.'(副大統領から電話がかかってます、という言葉が恐れをもって語られることはなくなるだろう"というのは、ブッシュ政権を影で牛耳るチェイニー副大統領を揶揄した表現だが、なかなか面白い。

しかし、自分が上院議員に選出された州の司法長官である息子がスピーチしたことや、演説最後に、東部のエスタブリッシュ然とした、全て白人の一族郎党がゾロゾロ壇上に出てくるなどの演出は、民主党支持者の一部にはあまり受けなかったのではないだろうか。もっとも、予定を変更して、オバマ候補が突然に会場に登場したため、会場は熱狂の渦に包まれてしまったのだが。
ヒラリー・クリントンは復活する
今週の月曜から大統領選の候補者を決める民主党大会がデンバーで開催中。巨大なホール、ライトアップされたステージ、繰り返されるスタンディング・オベイション。まさにアメリカ人の大好きなお祭り騒ぎである。

月曜の夜は、バラク・オバマ候補の妻ミシェルが登場して、自らの生い立ちやオバマ候補の人柄について語り、大きな喝采を受けたのだが、火曜日のメイン・イベントは、最後までオバマと民主党候補の座を巡って死闘を繰り広げたヒラリー・クリントン上院議員の演説。

会場に集まった代議員のおよそ半分はヒラリー・クリントン支持者であり、オバマを支持しないと表明している層も多い。本番の大統領選挙に民主党が勝つためには、党内の亀裂を修復し、一丸となって選挙戦を戦わなければならない。最後までオバマと戦ったヒラリーが、どのようなスピーチをするのかが注目を集める所以である。

会場にいた、ミシェル・オバマや、ジョー・バイデン副大統領候補は、若干ナーバスな表情も見せていたが、娘のチェルシーに紹介されてステージに立ったヒラリーは、大歓声の中で、自らに期待された役を完璧に演じてみせた。

自らを"Proud supporter of Barack Obama"と呼び、"Obama is my candidate. He must be our president."と続ける。そして、"No way. No how. No McCain.(どんなことがあっても、マケインだけはダメだ)"と、大統領選挙での党の結束を呼びかける。

保険が無く、悲惨な境遇に陥った貧者や病人に対する同情と国民皆保険政策の実現を強く主張し、共和党政権の8年を更に繰り返すことがあっては決してならないと聴衆に呼びかけるさまは、実に力強く、まるで大統領候補指名受託演説のようにも聞こえた。

この演説が党内の亀裂を修復したかと問われれば、やはり疑問が残る。あの演説を聴けば、ヒラリー・クリントン支持者は、やはりヒラリーのほうがよかったと思うだろう。なぜクリントンを副大統領候補に指名しなかったのかとの疑問も再燃しかねない。

ヒラリー・クリントンは、誇り高い敗者として勝者を称え、党の結束を強力に呼びかけた。自らに課された役割は完璧にこなし、誰からも非難されるいわれはない。そして同時に、自分は決して過去の存在ではないことを、実に果敢にアピールしたのであった。

予備選は終り、もはや支持率に一喜一憂する必要はない。もしも今回の大統領選でオバマが敗北したなら、ヒラリー・クリントンは確実に、2012年に復活するだろう。なんだかそんな予感のする印象的なスピーチだった。

余談であるが、それにしても、会場にいたビル・クリントンは、朦朧として、まるでアル中の親父のように見えた。大統領時代と比べると、ずいぶん年老いたなあ。本日は壇上に上がってスピーチするというが、ちょっと心配になるね。

そして、副大統領候補、ジョー・バイデンの指名受託演説も今夜。ヒラリー・クリントンではなく、自分を選択するのが、なぜ正しい選択であったかを、彼は自ら証明しなければならない。これは、ベテラン政治家にとっても、なかなか厳しいチャレンジである。
副大統領候補を選ぶ
米大統領選挙は、本日から民主党党大会。予備選は、オバマとクリントンの史上稀に見る壮絶な叩き合いで大変だったが、なんとか党としての、候補者正式決定までこぎつけた格好。

先週、オバマ候補は、副大統領候補を発表。選ばれたのは、ほとんど下馬評には上がっていなかったJoe Biden(ジョー・バイデン)上院議員。やはり、ヒラリー・クリントンを選ぶ訳には行かなかったようだ。

メディアの報道では、バイデン議員は、上院議員を35年務める大ベテランの老練政治家。司法制度や外交に明るく、外交委員会でも重鎮なのだそうである。副大統領候補は、大統領候補を補完する強みを持つ人物を選定するのがひとつのセオリー。例えば、ケネディの時のジョンソンは、南部票獲得のためだったと言われている。

その点では、オバマは、外交や内政での経験不足という、以前から指摘されていた自らの弱みを認めたという風にとらえることも可能で、実際にそのような批評もあちこちで。白人男性からの低い支持率を改善する目算も、もちろんあるだろう。対共和党、マケインとの選挙を考えるなら、ある程度納得のゆく選択。

しかし、オバマが常々語ってきた「Change(変革)」というキイワードに対比するなら、バイデン候補の持つイメージは、熟練のワシントン・インサイダー、現状維持派であって、若干の違和感は否めない。また、このバイデン上院議員は、どちらかというと共和党の重鎮のような風貌なのである。

以前、民主党の野田佳彦議員について田原総一郎が、「この人は将来の民主党を背負って立つ人物なんだけど、顔がいかにも自民党なんだよなあ」と残念そうに語っていたが、そんなことを思い出した。まあ風貌で決められたら、政治家もたまったものではないだろうが(笑)。

イラク問題の長期化に伴い、ブッシュ人気は凋落しており、議会では上院下院とも民主党が制していることを考えると、本来は民主党に大きな追い風が吹いているはず。しかし、現状の世論調査で、オバマ候補のリードは、2~3ポイントにすぎない。マケインが着実に追い上げている訳で、これから11月の本選挙まで、果たしてどのような事が起こるだろうか。


今後は副大統領選びが焦点
ヒラリー・クリントンは、オバマが指名を確実にした予備選終了の翌日、支援者へのメールで、「私は、オバマ上院議員が大統領候補に決定したら、最大限のサポートをするとキャンペインの最初から述べてきた。その約束を果たす時が来た」と事実上、大統領戦からの撤退を宣言。

本日、土曜日には、首都ワシントンで支持者を集めて集会を開き、大統領選挙からの撤退を正式に表明。大統領本選挙でのオバマへの支持を訴えた。これで稀に見る長い予備選もようやく決着。オバマの副大統領候補が誰になるのかが今後の焦点。しかし、クリントンは残念だったなあ。

オバマ側にはヒラリーを副大統領に指名する意図はないと伝えられる。クリントンが断る確証があるのなら、ポーズとして副大統領をオファーするだろうという穿った見方さえ存在する。ただ、民主党員集会で熱狂的支持を集めていても、本選挙で、果たして共和党マケインに勝てるかというと実に疑問。少なくとも、もう少し白人の男性層を取り込む必要がある。そのあたりが副大統領候補を指名するにあたってはキイになるだろう。

さて、万一オバマがオファーしたとして、ヒラリー・クリントンにとって、副大統領就任は受け入れられる選択だろうか。

副大統領は、確かに大統領に次ぐ地位であり、大統領に不測の事態があった時には、自動的に大統領に就任する。ケネディ大統領暗殺の時のジョンソン、ニクソン大統領辞任の時のフォードがその代表例。

しかし、そんな不測の事態を除くと、後に選挙で大統領に選ばれた副大統領は、今まで2名しかいないと何かの記事で読んだ。そのうち一人は、レーガン政権で副大統領を務めた、親父のほうのブッシュらしい。意外なことに、副大統領というのは、大統領への道の途中にある職という訳でもないのであった。そういえば、親父ブッシュの時の副大統領、ダン・クェールというのはボンクラで有名だったなあ。

もしもヒラリー・クリントンの最終目的が大統領になることであるなら、副大統領を受けるのは必ずしも得策ではないかもしれない。捲土重来を期して上院議員に戻り、大統領本選挙でのオバマの敗北を期待する。そしてマケインは、当選しても4年後にはもう75歳、クリントンには、再び民主党大統領候補として戦うチャンスがありうると思うのだが。ダメかねえ。
クリントンには、もう一夜だけ。
アメリカ時間、火曜日の夜は民主党予備選、最後の日。TVでもCNN、MSNBC、FOX NEWSなど、あれこれザッピングして。CNN見てると、この夜でオバマが、特別代議員過半数に達したとの速報が。まあ、そうだなあ。

ヒラリー・クリントンは、本日NYの演説で、「予備選で投票してくれた声無き人の声が、政治に届くよう。すべての人に健康保険を」と演説していた。確かに、それはその通りではないかな。

そして、民主党予備選結果については、「まだ今夜の段階では何も決断できない」と。ううむ。

オバマの副大統領候補として復権があるなどの報道があるが、どうだろうか。民主党の予備選は、プラスの効果もマイナスの効果も等しくあった。民主党予備選の投票も過去最大規模だったようで、これからがまた実に興味深いのだが。

ヒラリー・クリントンは、明日撤退を発表か
民主党予備選は、もめていたフロリダ、ミシガン両州の扱いがようやく決定。両州とも代議員の数を半分にカウントすることで決着。そして、オバマが登録していなかったミシガンの代議員は、クリントン69、オバマ59と配分することに。

これで、オバマが過半数を得るために必要な代議員数は若干増えたが、クリントン側の逆転には到底至らない。代議員ではなく、Popular Vote(投票総数)で逆転し、特別代議員の支持を得るのが唯一の逆転戦略だったのだが、それには、フロリダ、ミシガンの票をそのまま数えることが必須。

ミシガン州では確かにオバマは選挙名簿への登録もしてなかったのだが、オバマに1票も与えないのも確かに不公正。クリントンは、ミシガン州のカウント方式にはまだ異論を唱える権利を留保するとのことだが、大勢は決した。もはや万事窮すといったところ。

本日のYahooニュースでは、Bill Clinton hints at end to wife's campaign(ビル・クリントンは妻の選挙戦からの撤退を示唆)との記事。サウスダコタ州の遊説で、「キャンペインもおそらくこれが最後の日ですな」と述べたのだそうである。

アメリカ時間の明日、火曜日が予備選最後のモンタナとサウスダコタの投票日。しかし、クリントン候補は地盤のニューヨークに戻って開票を待つと発表。選挙スタッフもNYに呼び戻しており、おそらくそこで、大統領選からの撤退のアナウンスメントがあるものと噂されている。明日の夜はTV中継見ないとなあ。

史上稀に見る激戦であったが、やはり民主党はオバマで決着か。しかし、民主党と共和党が拮抗しているいわゆるSwinging Stateでは、オバマよりもクリントンが強かった。オバマが勝ったのは、本選挙では共和党が勝つことが確実視されている州が多い。予備選に強いから本選に強いとはいえないのが米大統領選の難しいところ。

大統領選挙本番は、これからが長丁場なのだが、なんだか共和党マケインが勝つような気がしてきたなあ。今後の焦点は、双方の副大統領候補選びなのだが、オバマークリントンはありうるだろうか。

クリントンはどこまで行くのか
昨夜、CNNの予備選速報を見ていると、ノースキャロライナではオバマが早々と圧勝。しかし、インディアナ州は開票率が95%を上回っても、どのメディアも当選を打たず、「Too Close to Call」のまま。しかし、見切り発車のような形で、集会でのクリントン候補の勝利演説が始まった。

確定の結果では、およそ2ポイント差でインディアナはクリントンの勝利。しかし、ノースキャロライナでの大差での勝利により、獲得代議員数では更にオバマがリードした。

確かに、一勝一敗ではあるのだが、今朝のメディアでは「もはやレースは終わった」との論調多数。当初劣勢が伝えられたインディアナ州では、クリントンが盛り返し、直前の世論調査ではもっと差がついていただけに、オバマがずいぶん善戦した。逆に言うなら、クリントンは最後に力尽きて失速した格好。個人的にはクリントンを応援していただけに、実に残念な結果。もはや大勢は決したか。

しかし、今朝の集会で、クリントン自身は、「指名が確定するまでやる」と宣言。もはや奇跡でも起きないと指名獲得は不可能に思えるが、いったいどこまでやるつもりなのだろうか。選挙資金も、この数週間で更に6百万ドルを新たに借り入れしたとか。

例えば共和党マケインが大統領になったとしても、年齢からして2期目は無理だろう。政治力を温存すれば、4年後の再挑戦もあながち不可能ではない。今後を考えるなら、今、撤退したほうがよい戦略のように思うのだが。

とはいえ、ビル・クリントンが撤退を勧めても、「あんたは黙ってなさい」と一喝されて終りなんだろうなあ。
アメリカの選択
アメリカ大統領民主党予備選、インディアナ州とノースキャロライナ州の投票日。これが終わればあとは比較的小さな州ばかり。これを書いてる時点ではまだ趨勢が判明していないが、世論調査によれば、少なくともクリントン候補はインディアナでは勝利するはず。

For Primaries in 2 States, a Variety of Scenariosという、New York Timesの記事では、いくつかの想定されるシナリオを検討しているのだが、オバマ候補が両州を制さない限り、すぐには戦いは終わらないと予想する。

しかし、実際のところ、クリントンが指名を獲得するチャンスは、もうほとんど残っていない。唯一残されたシナリオは、一般代議員数で可能な限りオバマに迫り(逆転はもはや不可能)、Popular Vote(得票総数)でオバマを逆転し(これは残った予備選で大勝利すれば一応は不可能ではない)、特別代議員に「本選挙では自分のほうが強い」とアピールして、特別代議員票で逆転する道。

得票総数での逆転には、もうひとつ奇策がある。前にも書いたが、カウントされていないフロリダ州とミシガン州の民意を反映させるべきだと主張する道。

両州の得票を勘定に入れれば、現在でもクリントンが上回っているという集計がある。ただ、両州は本選挙に代議員送る資格を剥奪されたことから、両候補とも遊説に行かなかったどころか、オバマにいたっては、ミシガン州では候補の登録すらせず、得票はゼロである。その数字を使うのも、確かに不公平な話。しかし、「登録しなかった者に選ばれる資格なし」との理屈でゴリ押しして、これをカウントさせる。果たしてそれが可能か。特別代議員へのアピール材料には使えるかもしれないが。

ただ、このところオバマ人気に若干、退潮の影があるのも事実。例の牧師問題が、ボディーブローのように効いて来ている。特にアメリカのマジョリティである白人層の支持が離れては、最終の勝利が覚束ない。

すでに、「次期大統領は共和党マケインで決まり」という気の早いレポートもあるようだが、これはどうか。マケインは、当選時には72歳になるが、一期目の米国大統領としては史上最高齢。つまり、次期大統領は、「年寄り」と「女性」と「黒人」の社会的弱者のうち、誰かが勝ち残る訳である。アメリカの行う選択が興味深い。
クリントンは勝っても、まだ負けている
しばらく空白期間があり、やや報道も沈静化していた米大統領予備選だが、昨日は久々に、Pennsylvania州での民主党予備選。帰宅後にCNN、FOX-NEWSを交互にチェック。

すでに獲得代議員数でオバマ候補に差をつけられているクリントン候補は、この州で負ければ、確実にノックアウトであったが、およそ10ポイントの差をつけて勝利。オバマは、クリントンの倍以上、11百万ドルの選挙資金を、このペンシルベニア州につぎ込んだと言われるが、失言問題も影響したか勝てなかった。

クリントンも土壇場になるとやはり強い。通算の獲得代議員数ではオバマがリードしているのだが、民主党支持層に勝ち馬に乗るような地滑り的勝利の雰囲気がまだ浸透していないことは明らか。クリントンを追い詰めてはいるのだが、最後のノックアウト・パンチがなく、ラウンド終了間際に逆に一発もらい、ガックリと膝が崩れるような脆さを感じる。

もっとも、ペンシルベニアで勝ったからといって大勢は変わっていない。AP電の記事、「Clinton's win still leaves her the underdog」とは、「クリントンは勝っても、まだ依然負けている」ということである。

予備選も終盤。現在の獲得代議員の差を普通に考えると、特別代議員が大幅になびくようなエポック・メイキングな出来事でもなければ、クリントンの指名獲得は事実上不可能。世論調査では、オバマへの支持率が常に上回っているのもクリントンに不利な点。

しかし、本番の大統領選挙は、州単位で勝った側が全部の選挙人を獲得する「Winner Takes All」方式。州単位の予備選結果を見ると、オバマが勝ったのは、本番ではまず共和党が勝つと思われる州が多い。

一方、大都市を含む、民主党牙城の大票田ではクリントンが順当に強い。特に先回、先々回の選挙で勝敗の鍵を握った、オハイオ州、ペンシルバニア州でクリントンが勝利しているのは大きい。参考投票とはいえフロリダ州でもクリントンがオバマの得票を上回っており、マケインとの一騎打ちになった場合、オバマが強いとは必ずしもいえないのではないか。

草の根運動と熱狂的な支持者により、党員集会を支配するのがオバマの予備選での戦略だが、本番の大統領選挙ではあまり通用しないような気もする。「演説の人」オバマは、逆に演説での一発の失言で浮動票を失う危険性もはらんでいる。

まあ、しかし、泥沼の予備選がこれ以上続くと、やはり共和党を利するだけのような気もしてきた。予備選段階から、なんとも実に珍しい大統領選挙ではある。

クリントンは撤退するか
民主党予備選は、次の州までやや間が空いたので、メディアの報道も比較的落ち着き、民主党支持者の間にも厭戦気分が広がってきたような。このままオバマvsクリントンの激突が長引けば、かえって共和党マケインを利することになるとの意見が強まってきた。

昨日の新聞では、「誰か、クリントンに、予備選はもう終わったと伝え忘れたんではないか」との社説が。確かに、フロリダ、ミシガンでの再投票は無くなり、クリントンにとって逆転は実に困難な情勢ではある。

世論調査の支持率でも、依然としてオバマが上。ただし、マケインとの直接対決の際の支持を問う調査では、オバマより得票率が高いのが目を引く。

従来、マケインとの直接対決ではオバマが強いといわれてたが、この面ではクリントンが逆転。これはおそらく、オバマの「牧師問題」が影響している。民主党支持者の間では、あの牧師の発言はそれほど忌避されていないと思うのだが、保守よりの浮動層がオバマから若干離れた。おそらくそれが、ヒラリーには差をつけていても、マケインに引き離されたという結果に現れているのでは。

いずれにせよ、マケインの支持率が上。候補を一本化して世論調査すればまた結果も違うかもしれないが、このままでは民主党の大統領本選挙での勝利がおぼつかない情勢。

予備選が長引いたほうが、メディアの報道が民主党に集中し、結局は有利であるとの観測もあるが、この意見を支持する民主党員は前回調査よりかなり減って過半数を割った。

しかし、クリントンがこのまま引き下がるとは思えない。党大会まで本気でやるつもりを固めているようなのだが、敵失を待つ以外、勝利をつかむ道はほとんど見えない。なかなか困難な情勢になってきた。


オバマ候補の「牧師問題」
最新の世論調査では、民主党オバマ候補への支持が下がり、クリントン候補が逆転したと。これは、いわゆる、オバマ候補に最近持ち上がった「Pastor Problem(牧師問題)」の影響。

オバマが20年来通っている教会の主宰者であり、オバマ結婚式や子供の洗礼も行ったジェレミー・ライト(Jeremiah Wright)牧師の教会での説法が、数日前にTVで報道された。これが大変に扇動的で、金持ちの白人がコントロールするアメリカ政府への、徹底した不信を現したもの。

オバマ候補は、この牧師との長年の関係を問われ、「それほど問題のある説教とは思わない」「いつも賛成できる意見を述べるとは限らない親戚のオジサンみたいなもの」とかわしていたが、さすがに批判が高まり、人種問題についてのスピーチまでするハメに。

1月11日の日記で、「ただ、過去の歴史を見ても、一発の失言で流れが変わることがありうる。オバマにしても、興奮したり感情的になったりすれば、「やっぱり、ジェシー・ジャクソンと同じじゃねえか」ということになる」と書いた。

ジェシー・ジャクソンは、一時は副大統領候補にも擬せられた民主党の有名黒人政治家。何かあると、やたらに「これは白人による黒人への差別だ!」と騒ぎ立てることにより名声を博したのだが、白人には嫌われた。

ルー・リード(Lou Reed)の歌には、貧しいものや差別される側への共感を感じるものが多いが、その彼にして「New York」というアルバムの中では、「ジェシー、(白人ばかりを目の敵にする)お前こそが人種差別主義者だ」と歌われてたくらい。

今回の大統領選挙では、オバマ本人は極めて慎重にふるまっていたものの、通っていた教会のライト牧師が、「ジェシー・ジャクソン」もどきだったいうのが大きな痛手。

そのライト牧師の説法を報道した映像は、例えば、これなど、多数YouTubeにアップされている。オバマが、今まであまり自分の信仰について語ってなかったのを不思議に思っていたが、この映像を見てある意味納得。TVで見たことしかないが、黒人教会の雰囲気というのは、普通に我々がイメージする欧米の教会とはまったく違う。それは、賛美歌と黒人霊歌の違い。クラッシックとブルースがまるで違うがごとく。

このライト牧師の説教も、実に過激に思えるが、日曜のケーブルTV、ブラック・チャンネルなどに映し出される黒人教会の説教を見たことがあれば、さほど違いはないような。金持ちが支配する国、白人が支配する政府への徹底した不信、そして神による唯一の救いを絶叫して、信者を興奮の渦に巻き込んで行く。常にスクリプター(あるいは原稿)を見てしゃべってるように見えるが、ひょっとすると優秀なライターがついてるのだろうか。

しかし、これがオバマに影響を与えた長年の導師であるという風に報道されると、アメリカ70%を占める白人票のうちかなりの部分は、やはり「引く」だろう。オバマ人気の潮目が変わる出来事になるような気もするのだが。

もっとも、このライト師の、911後のこの発言なんかは、日本人にとっては、ある意味その通りと思えるもの。
"We bombed Hiroshima, we bombed Nagasaki, and we nuked far more than the thousands in New York and the Pentagon, and we never batted an eye,(我々の国は、広島に爆弾を落とし、長崎に爆弾を落とし、NYやペンタゴンで死んだ何千人よりも遥かに多くの人を核爆発で殺しておきながら、まばたきひとつしなかった、そんな国じゃないか)"

もちろん、アメリカの白人は眉を顰めるに違いないのだが。