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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
今世紀で人類は終わる
「今世紀で人類は終わる?」(マーティン・リース/草思社)読了。

著者は、大英科学振興協会の元会長で宇宙物理学の世界的権威。原題は「Our Final Century?」。科学の進歩は人類を滅亡させるのではないかという観点から、科学と人間のかかわりについて語る科学エッセイ。

昔、オウム真理教は、武器となるエボラ・ウイルスを求めてアフリカに採集部隊を派遣したといわれている。しかし現在では、エボラ・ウイルスの遺伝子情報は解析後データベース化されており、世界には市販のDNA鎖を利用してエボラ・ウイルスを合成する技術を持った人間は何千人といると著者は述べる。一個人が大災害を引き起こす、悪意のバイオ・テロは、決してありえない話ではないのだと。

1937年全米科学アカデミーは、今後行われる科学上の大発見についての調査を行った。しかし、原子力、抗生物質、ジェット機の開発、ロケットによる宇宙開発、トランジスタ集積回路、コンピュータの出現等、20世紀後半の世界を大きく変えた大発見については、まったく予測できなかった。

だとすると、今後100年の科学の進歩について、現時点で果たしてどれだけの予想が可能だろうか。そして、めざましい科学の進歩そのものによって、現時点では誰も想像していない、個人が人類を滅亡に追い込むような恐ろしい技術が生まれてくるのではないか。そのような科学の進歩と人間は、いったいどのように共存してゆくべきか。

科学技術発展に潜む負の側面に触れながらも、科学の持つ可能性や今後の人類の発展についても俯瞰し、題名から来る深刻な印象とは裏腹に、割と気軽に読むことができる本。

しかし、もしも地球上の人類が今世紀で終わっても、他の恒星系に知的生命が幾多も存在するのなら、宇宙的にはその影響は比較的小さいということになる。「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス」も随所で思い出した。

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