97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「走ることについて語るときに僕の語ること」
「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹)をハワイで読了。

村上春樹は、日本で、ハワイで、あるいはマサチューセッツ州ケンブリッジで、この23年近く、ほとんど毎日ジョギングしている。毎年1度は必ずフルマラソンに挑戦し、数限りない他のレースにも出場するという「ランナー生活」。その著者が、「走る」ということをテーマに、自らを語るエッセイ集。

20年以上に渡り、平均で毎日1時間、10キロ走る生活を続けているというのも凄い話。以前にも著者の旅行記やエッセイは読んだ記憶があるが、これほどまでのランニングへの傾倒は、実際のところ記憶に残っていなかった。一時期は、トライアスロンにも挑戦していたのだとか。

人はいかにして「ランナー」になってゆくのか。肉体の変遷だけでなく、小説家としての自分の内面に「走る」ことがどんな影響を与え続けてきたのかを内観する部分など、実に興味深い。

私の場合、走るといっても、土日にそれぞれ6マイル、50分程度。月に9日走るとして、54マイルだから月に86キロ。そして寒い冬場はお休み予定(笑)。まあ、本書で書かれた「走る」という範疇には到底及ばない数字だが、その程度の運動の最中でも、「走る」ことの意味や、精神と肉体の関係性などについて幾分考えたりすることがある。その意味では、特段「ランナー」でなくとも興味深く読めるエッセイ。

「走ることについて語るときに僕の語ること」という題名の、やや屈折した"self-consciousness"は、よくも悪くも、いかにも村上春樹だなあと思ったら、これは、レイモンド・カーヴァーの短編集"What we talk about When we talk about love"を参考にしたのだと。

カーヴァーの題名の"we"は、日本語には訳さないでもよい"we"。 「愛について語る時に語ること」とでも訳すか。 しかし、「僕」という主語に変えるだけで、ずいぶんと村上風味を感じるのが、なんとなく不思議。
スポンサーサイト