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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」の信憑性
だいぶ前に、「不都合な真実」と「環境問題のウソ」で、「地球温暖化は嘘である」と信じ込むのも、これまたあまりにもnaiveではと書いた。もう少し知識を得ようかと、最近ベストセラーになった、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」(武田邦彦)続けて読了。

リサイクルの問題については、興味深い知見を紹介した上で、著者独特の主張が展開されており、なかなか面白い。

ペットボトルは、熱心に分別するほうが環境に悪いという説。ダイオキシンは猛毒ではなく、ゴミはある程度分別せずに燃やしてもよいという説。再利用に向かないゴミまで無理にリサイクルするほうが環境に悪いという説など、なかなか納得ゆく主張に思える。学問的な論文ではないので、引用されたデータなどの信憑性にもよるとは思うのだが。

温暖化ガスの削減を定めた「京都議定書」は、実は日本だけが損をする不平等条約だったとの論考は、確かに頷ける点あり。日本だけを騙す目的でやったとまでは思わないが、欧米列強に比較して、日本の政治力・外交力は色んな面で劣っている。彼らの利益になるよう、いいようにやられたのは事実かもしれない。排出権取引で気前よく他国に巨額の金を払うのは、確かに考え直したほうがよいかもな。

もっとも、著者の主張には、ところどころ極端なところあり、全てにおいて得心ゆくわけではない。

バイオ燃料は役に立たないというが、成功していない木材油化とトウモロコシだけ取り上げ、一番進んでいると思われるブラジルのサトウキビについて触れてないのは何故か。

GDP単位当たりの資源消費量のグラフ2表だけを使用して、「欧州が日本よりエコロジーにおいて進んでいるのは幻想だ」と一気に切り捨てているのだが、この資源消費量の定義は?

ネットで調べると、著者のペットボトル再生のデータは捏造だとして批判されたらしいが、他にもデータ面で、いったいどこからどんな根拠で拾っているのか不審なものが散見されるような。

ペットボトルの分別回収が進んだから消費量が上がったというのも、因果関係を間違えてると思われる。

「節電すると石油の消費量が増える」というくだりも実に恣意的で疑問。節電したらお金が余る、そのお金を何かに使ったらどうせ石油を使った製品を買うことになる。あるいは銀行に預けたら、それを借りて事業を行い石油を使う人がいる、だから節電すると石油の消費量が増えると著者は説く。

しかし、これは、余った金の使い道を自分で勝手に次々と妄想した我田引水の勇み足。社会に循環するお金は、(著者の主張に都合よく)石油を消費する行動ばかりに使われる訳ではない。みんなが節電すれば、電力需要が減り、火力発電所の稼働率が減り、電力会社の業績は落ち、石油の使用は減る。単純にマクロでそう考えるのが正しいと思うのだが。

全般に、消費行動の因果律や、お金が絡んだ経済の動きなど、著者の専門外の分野の主張には、疑わしい部分多し。その他、核融合の実用化や、石油の2030年枯渇を、まるで当然のように断言する部分にもやや疑問を感じた。

さて、肝心の地球温暖化だが、著者も引用する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の「第4次報告書」は、著者の引用によらずとも、環境省のページで、その主な結論及び「Summary for Policymakers(政策決定者向け要約)」が和文で読める。興味ある人にはこちらの一読を薦めたい。

私自身、まだザッとしか読んでないのだが、IPCCを信ずるなら、気候システムに温暖化は起こっており、人為起源の温室効果ガスの増加がその原因と断言されている。ここまで言い切っているとは知らなかった。

将来の気温の上昇、海面水位の上昇についても(シナリオによりレンジに幅はあるが)確実なものとされている。温暖化否定論者がよく引き合いに出す、「北極海の氷が解けても海面は上昇しない」という「アルキメデス原理」だが、「要約」に示された海面上昇の要因は、海水の熱膨張と、陸地にある氷河・氷帽、そしてグリーンランド氷床の溶解であり、地上の氷が溶ければ、アルキメデスの原理とは関係なく、海面は上昇する道理。これを読むと、温暖化否定論者の主張のほうが疑わしく思えてくる。

まだ未翻訳だが、IPCCのページでは、Q&Aなども英語で読める。地球温暖化については、もう少しIPCCの報告書を直接自分で読んでみたい。


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