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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「中田英寿 誇り」
特段、サッカー・ファンという訳ではないが、スポーツ選手の内面を描くノンフィクションには興味がある。三省堂書店でふと購入した、「中田英寿 誇り」読了。そういえば、同じ著者が中田のセリエA移籍前後を描いた前作「鼓動」も以前読んだ。

この本は、ドイツワールドカップ直前、中田の現役引退決意を知らされた著者が、おそらく現役として中田最後の試合となるだろうドイツ・ワールドカップで中田に密着取材し、中田本人のインタビューを交えて、現役引退にいたる中田の心象を描き出そうとするもの。

前作もそうだったが、やや対象に近づきすぎ、ともすれば全面的な中田礼賛に陥りがちなところが少々鼻につくのだが、容易に人には心を開かないように見える中田個人の肉声がきちんと捕らえられており、その点で実に興味深いルポルタージュとなっている。

ブラジル戦終了後の振舞いでもなんとなく推察できるが、やはり、日本代表チームでも中田は浮いた存在だったように思える。もちろん、プレイのレベルや目指すものの高みが違いすぎたなど、好意的に見ることもできようが、基本的には、自分を理解してくれる人としかコミュニケートできない、中田本人の社会的な幼さに起因する問題が多いのではないかとも思えるのだが。

仕事のマネジメントをまかせるのは、女性社長が仕切る会社で、CM契約、広報やスケジュール管理も仕切るのは女性スタッフ。反面、中田に常に帯同して身の回りの世話をするのは男性のチームという、チーム・中田の実情も、なかなか変わっていて面白い。

中田のマネジメントを引き受けた、「サニーサイドアップ」次原悦子社長の言には感銘を受けた。19歳の中田に会い、マネジメント契約を行うにあたって、彼女は、「プロとして活動している間に生涯暮らせるだけの有名無形の財産を作ってあげたい」と決意する。どんなスポーツ選手でも現役でいられる間は短く、その後の人生のほうがずっと長いのだから。

スポーツ選手をマネジメント・フィーの材料として使い捨てるのではなく、女性独特の感性と視点を持ち込むことにより、女性にしかできないプロスポーツ・マネジメントを行う会社。そんなスタンスが中田の信頼を勝ち得た大きな要因に思える。最近は、以前在籍した前園の事も気にかけ、面倒をみようとしているのだそうである。

中田は確かに、日本サッカーの歴史にも残る素晴らしいプレイヤーだったが、これからの現役引退後の人生のほうがずっと長い。朝青龍とモンゴルでサッカーしたニュース以来あまり消息聞かないが、「世界一周自分探しの旅」は、まだ続いているのだろうか。
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