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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「The Bucket List」 最高の人生のみつけかた
SFO-SYDのフライトが出発するのは夜の11時近く。水平飛行に移ってから食事が出るのだが、乗り込み前にRed Carpet Clubでワイン飲んでたし、食事が終わると座席を倒してひたすら就寝。寝る前に1本だけ映画を見た。

The Bucket Listは、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという大物2名が共演する、いわゆるヒューマン・ドラマ。ロブ・ライナー監督。日本でもこの5月から、「最高の人生のみつけかた」という邦題で公開されているようだ。

孤独な億万長者(ニコルソン)と、家族のために自分の夢を犠牲にして、車の修理工として働き続けてきた真面目な男(フリーマン)。この2人が、たまたま末期がんの病室で出会い、そして奇しくも同じく数ヶ月の余命と知らされる。二人は、意気投合し、死ぬまでにやってみたかったことのリストを作り、世界各国二人でそれを実現してゆく、というお話。

「Kick The Bucket」とは、英口語で「くたばる、往生する」を意味する。原題の「The Bucket List」とは、「死ぬまでにやりたいことのリスト」。

余命を宣告された2人は、どうせ短い命とばかり、金にあかして、自家用飛行機で世界を巡り、楽しい経験をしながら、「The Bucket List」に書いた項目を次々に消化してゆく。しかし、最終的に、彼等の想いが収斂してゆくのは、どのように死に向き合い、彼等自身の人生をどう終えるかということ。このあたりのドラマの作り方は、なかなか上手い。「世界一の美女にキスする」という項目の結末など、予想つくとはいいながらよくできている。

ロブ・ライナー監督の手馴れた演出に、主演二名も手馴れた好演。いつも思うが、この手のアメリカ映画というのは、そのまま戯曲にして舞台で演じることも可能であると思えるほど、脚本がよく練れている。アメリカの脚本家の層の厚さを感じる出来。

ニコルソンには、関係が断絶して何年も会ってない娘がいる。訪ねて仲直りしろと勧めるフリーマンに、ニコルソンは、「今更どんな面さげて会えるっていうんだ。『一人で死ぬのが嫌だから訪ねて来たよ』と言えるとでも思ってんのか」と怒鳴る。

「Everyone's afraid to die alone. (皆、一人で死ぬのは不安さ)」
と諭すフリーマンに、ニコルソンは、
「I'm not everyone!」
と返す。

短い台詞への翻訳は難しいが、心にひっかかりを残す、そう「クオリア」に満ちた台詞である。「(分かった風に勝手に『皆』扱いするな)オレはオレだ」というところ。日本の上映ではどんな風に字幕がついてるかね。

そしてこの「I'm not everyone」への言及は、映画の終盤、フリーマンからの手紙にも再度出てくるのだが、これもしみじみと印象深い。

You once said you're not everyone. Well, that's true-you're certainly not everyone, but everyone is everyone. My pastor always says our lives are streams flowing into the same river towards whatever heaven lies in the mist beyond the falls. Find the joy in your life, Edward. My dear friend, close your eyes and let the waters take you home.

そういえば、君は以前「オレはオレだ」といった。その通り、君は誰とも違う君なのだが、でも誰もと同じ君でもあるのだよ。私の牧師はいつもこう言っていた。我々の命の流れは、同じ川に流れ込み、やがては、滝にかかる霧の彼方、天国が存在する場所へとたどりつくのだと。我がよき友エドワード。人生の喜びを見出して、眼を閉じ、故郷に帰る大きな水の流れに身をまかせるのだ



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