97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ハンコック」~嫌われ者のスーパーマン
ホテルのペイパービューで、時間つぶしに「ハンコック」を。しかし、最近SF物の大作というと、ウィル・スミス主演しかいないかのような人気。

空を自由に飛びまわり、一掴みでトラックを放り投げる怪力、弾丸をも平気で跳ね返す不死身のスーパーマン役がウィル・スミス。しかし、このスーパーマンは、人助けに飛び回るのだが、思慮が足らず、粗忽に暴れまわって街を破壊し、来る前よりも混乱を大きくするため、すっかり街の鼻ツマミ者となり、誰からも嫌われているという、実に変わったスーパーマンだ。

そういえば、昔、藤子不二雄のSF短編で、暴君と化し、嫌われ者になったスーパーマンの話があったが、設定がよく似ている。あの作品名は何だったか。

気楽なドタバタ系のSFなのだが、穿って見るなら、この嫌われものスーパーマンには、正義感にあふれて、スーパー・パワーを奮って世界に出て行くが、あちこちで大問題を引き起こすアメリカという国そのものが、戯画的に投影されているように思える。
・「アフガニスタンにビン・ラディンがいる」と攻め込み、タリバン政権を崩壊させるも、ラディンは見つからず、アフガニスタンという国そのものを、内乱と焦土の国に変えてしまう

・「イラクに大量破壊兵器があるからやっつける、お前らもついて来い」と子分連れて出てゆくが、最終的には、多数の民間人も巻き添えにしたあげく、「大量破壊兵器はなかったなあ」とケロっとのたまう。それなりに平穏が保たれていたイランという国のインフラを崩壊させ、内乱の国に。

・「金融を規制緩和して自由化せよ」と唱えるも、サブプライムに起因する今回の金融危機で、次々破綻したのは、お膝もとの規制の甘い証券会社。デリバティブによる波及損失は、世界の金融市場に雪だるまのごとく広がっている。

人助けに行ってはビルを壊し、鯨を海に返すために放り投げたらヨットを転覆させる。「ハンコック」での愚かなスーパーマンの衣装には、アメリカン・イーグルが刺繍されているのだが、そんなところも、やはりアメリカの暗喩とも思える。

映画のほうは、その後、広告マンと知り合い、イメージアップに取り組んだり、更に大きなドンデン返しもあるのだが、全般に気楽にドタバタを楽しめる映画。

嫌われ者のスーパーマンという設定だけをもっと追及しても、なかなか面白い映画になったと思うのだが、ウィル・スミスは、あまり細かい演技ができないので、屈折したスーパーマンの内面を詳しく描くのは、やはり難しいのかも。

それにしても、個々のアメリカ人は、誰も進取の気性があり、明るく陽気で人当たりがよいのだが、巨大なスーパーパワーとして世界に出てゆくと、はっきりいってロクな事をしないのが不思議。この辺が、実に興味深いところではあるのだが。
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