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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
和歌山毒物カレー事件
和歌山毒物カレー事件で、最高裁は上告を棄却して林真須美被告の死刑が確定。最近、裁判の進行が早くなった気がしていたが、この事件はもう11年も前。最高裁判決までずいぶんかかった印象。

事実認定については、高裁判決から変更なく、おおむね次のようなもの。
・被告は、砒素を使った殺人未遂や保険金詐欺を長年に渡り何度も繰り返していた
・被告の自宅から犯行に使われたものと同種の砒素が発見された
・被告の頭髪からも高濃度の砒素の反応があり、砒素を扱っていたと推定される
・当日、カレー鍋近くで被告の不審な行動を目撃したものがいる

しかし、これらの起訴事実は、林真須美被告が逮捕された前後に、週刊誌やTVで繰り返し報道されたものとほとんど変わらない。裁判の過程は全然フォローしてなかったが、検察は公判の過程で、カレーへの砒素混入と林被告を繋ぐ、もっと強固な直接的証拠を呈示したに違いないと思っていた。しかし、高裁判決の時点で、それがないのがちょっと驚き。これでは確かに、犯行を直接裏付ける証拠が無いとの批判が生じてもおかしくないような。

まあ、林真須美被告は、何度も砒素を使った殺人未遂や保険金詐欺を繰り返しており、元々モラルのない犯罪者であることは間違いなかろう。どの面下げて冤罪の被害者みたいな顔をしてるんだとも思う。しかし、根っからの犯罪者ではあるが、何の得にもならない毒物混入を、なぜやったのかという疑問は、やはり抱かざるを得ない。

判決文は、「上記事実を総合的に認定して、犯人であることは間違いない」、「犯行動機が解明されていないことは、被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない」、と述べる。

今回は5名の裁判官が完全に一致して上告棄却となったのも若干の驚き。先日話題となった、痴漢で逮捕された大学教授の場合も、最高裁で3対2と判断が割れたのだが、本件は、少数意見無く5名全員一致とはねえ。俗に「疑わしきは罰せず」というが、この判決は、若干、「疑わしいから罰する」にまで踏み込んでいるような印象さえ抱くのだが。

もちろん、個人的には、林真須美がやったのだろうという印象を持っている。逮捕前にご本尊は、得意顔であれこれメディアに登場していたが、あれはイノセントだから平気な顔が可能だったのではない。根っからの犯罪者で、いくらでもウソをつける人間だから、あんな風に堂々たる態度でTVに映ってたのだというのが私の感想。第一審での黙秘についても、検察がカレーへの砒素混入の直接証拠を握ってないことを察知し、自供だけは絶対にしてはいけない、そこが命綱だと犯罪者の悪知恵で理解してたものと推測する。

まあ、もしも本当に真実がそうであれば、この最高裁判決は痛快な「正義の鉄槌」ということになる。しかし、被告がカレーに直接毒物混入したことを証明する確たる証拠が呈示されてないのが、どうにもひっかかるのである。まあ、十中八九やってるに違いないとは思うが、それが合理的疑いを超えるほどに立証されてるだろうか。

もし私自身が裁判員になって、死刑かどうか問われたら、この死刑判決には若干のためらいを感じるような気がする。まあ、最高裁の職業裁判官5名が一致して死刑支持なのだから、それが正しいと言われればそれまでだが。

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