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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「中国は崩壊しない」
「中国は崩壊しない」読了。「毛沢東(ビッグ・ブラザー)が生きているかぎり」と副題にあるのに興味を引かれて購入。

以前読んだ「100年予測~世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図」では、中国は2010年代に分裂し、国力は減衰に向うとされていた。他にも、最近あちこちで中国崩壊論を目にするが、果たしてどれほどの真実味があるのだろうか。

この本は、マルクス主義の「細胞理論」は、組織論としては、少人数が国家を思うままに支配する優れた支配システムであるという考えを抱いた著者の一人、野村旗守が、中国出身の陳恵運氏に会い、自論を語ったことに始まる。

陳氏は、「それも一理あるが、中華思想に染まった中国人は、もともと独裁が好き、だから中国共産党支配は崩壊しない」と明快に断言する。その後、2名で行った議論と分析が共著として、「中国は崩壊しない」という結論を呈示するこの本に結実した。

共産主義と市場経済はそもそも相容れないが、「共産党」という一党独裁政権下での市場経済は、現在の中国で成り立っている。マルクス主義の細胞理論によって、磐石に築き上げられ、軍隊をも完全に掌握した中国共産党の一党独裁政権は、当分揺らがない。神格化された毛沢東は、始皇帝の再来であり、さながら「1984」のビッグ・ブラザーだ。

情報・言論の統制と、相互監視、密告制度と幼少期からのナショナリズム教育によって、現代中国は、まさに「1984」に出てきたような磐石の全体主義国家を作り上げた。戸籍制度はもともと中国の発明であるが、現在ではこの戸籍には、親族郎党、交友関係、思想信条、党への忠誠なども記録されており、政府はこの戸籍情報の電子化を推進している。現在でも全ての通信会社は国有で、ネットワークも完全に政府の支配下にある。中国はまさに、現代に現出した「1984」の全体主義国家なのだ。

中国は数千年の歴史で専制政治以外を経験したことがなく、民衆は強力なリーダーシップで統治されたがっており、誰も民主化など望んでいないと陳氏は述べる。

中国の部外者が書いた中国崩壊論は数多いが、中国人が、支配される者の視点から、中国共産党の磐石な支配を書いた本はちょっと珍しい。中国社会の実態を知っている人でなければ書けないようなエピソードの数々も読み応えがある。

天安門事件で人民解放軍が民衆に発砲し血の粛清を行った際、中国共産党最高幹部は国際社会から沸き起こった批判の意味が理解できなかった。国内で動乱が起きれば軍隊で鎮圧するのが中国の常識。こんな事態の際は警察力を使うのが西側のルールだと容易に飲み込めなかったのだという指摘は、実に興味深い。

大躍進政策の失敗と飢饉による死亡者や、文化大革命の粛清による死亡者は全土で何千万人と囁かれるが、中国国内で一切公式には認められたことはなく、一般の民衆は誰も知らないのだという。これまた「1984」の真理省を思わせるような逸話。

もちろん、中国四千年の歴史を見れば、どんな王朝も必ず崩壊している。中国共産党も歴史的観点から見れば例外ではないだろう。しかし、万一、崩壊の危機になったなら、中国共産党は市場経済のルールなど全て無視する。そして突き進むのは、戦争と外国資本をすべて接収、国有化しての再革命。最終的には中国全体を鎖国するだろうというのが巻末に書かれる著者達の怖い分析。

このような阿鼻叫喚のシナリオになるのであれば、たとえ人権を無視する全体主義国家であったも、中国が平穏に発展していってもらうことを我々は望むべきだという気さえしてくるのだった。



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