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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
この2週間の食日記
ふと気づいてみると、このところ、毎日気の滅入るような事ばかり書いている。まあ、気の滅入るようなニュースしか流れないということもあるのだが。ただ、実際には、私もお坊さんのように家で自粛生活をしている訳ではない。しばし書くのを止めていたが、ここ2週間の食日記など。

節電にはできるだけ協力するし、買い占めはしない。赤十字の震災基金に寄付もした。買い物したつり銭は、店に募金箱があれば置いてくる(しかし最近、コンビニの募金箱に札を入れてる人が多いのが印象的だなあ)。できる事はやるが、それとは別に、使うお金はちゃんと使ってお金を世間に回さないと被災地以外の世の中の景気も悪くなってしまう。

地震後、東京の飲食店はどこもキャンセルが多発して閑古鳥が鳴いていた。 飲めや歌えの大騒ぎは時節柄マズかろうが、どちらにせよどこかで晩飯は食うのだもの。予約キャンセルが続く馴染みの店には、応援をかねて通常通り、というよりも頻度を上げて通っている。早く帰宅して家の電気点けるより、帰宅が遅くなれば節電にも貢献(笑)

考えてみると被災者自身の声で、「被災地以外の人は自粛しておとなしく家に居てもらいたい」というのも聞いたことがない。東京の景気が悪くなれば、復興も寄付の集まりも更に悪くなる。過度の経済生活自粛もよろしくないのでは。そもそも、「この非常時に」とか「被災者のことを考えろ」と声高に他者を非難する輩を私は信じない。今までも信じずに生きてきたし、これからもそうするつもりだ。人は人、我は我、お互い信じるように生きるだけの話。大した金ではないけれど、私が使ったお金だって、いつかはまた寄付なりに還流してゆくことだってあるだろうし。


11日(金):地震の日、交通機関は全て止まったが、私は徒歩で帰宅できるので会社を出た。しかし、どこかで食事はしなくてはならない。帰宅途中の「新ばし しみづ」に飛び入りで。同じく予約無しで飛び入りした2名がいたが、カウンタはガラガラ。地震の被害なし。「久」も「P.M.9」も被害はなかったと聞いて安心。6時半の予約の人が本当に来たら、「P.M.9」のほうに出前しますと親方が冗談を言うのだが、実際には全てキャンセルではとのこと。あの日は携帯がほとんど通じず、キャンセルの連絡すらなかったケースが多かった。もちろん、帰宅難民で、外食どころではなかった人も多かっただろう。新橋から歩いて帰宅。エレベータが止まってたのは難儀した。

13日(日):再び「しみづ」。いまだにキャンセル続いてるとのこと。まあ、余震も続いており、遠くから来る人は駄目だろう。築地の市場にはちゃんと魚が揃っており、種札もいつもと変わらない。宮城の赤貝を食する。この次にこの赤貝にお目にかかれるのは、いったいいつの日か。

14日(月):予約が全部キャンセルになったと聞いて、急遽夜に和食の店「新ばし 笹田」訪問。金曜、土曜、月曜と全て予約がキャンセルになったのだと。しかし、こんな状況では文句もいえない。やはり交通の便と計画停電の影響。店は揺れたが被害無し。金曜は、仕込み中で、おもわず出汁の鍋を押さえたと。その夜は、遠くに住む常連が、帰宅できなかったから店に泊めてくれと訪ねてきたらしい。相当困ってたのだなあ。しかし、この分では、普段予約が取れない人気店もガラガラなんではなかろうか。それでも、お造りの魚もちゃんと揃っている。すっぽん豆腐の椀、太刀魚の幽庵焼き、若竹煮など美味し。

16日(水):築地「つかさ」訪問。こちらの店も被害なし。しかし金曜土曜は全部予約キャンセルで店をお休み。月曜もお休みしたと。この店で何回も同席した「寿司哲人」氏と久々の再会。金曜に哲人の弟氏が2名で予約してたのだが、心ならずもキャンセルとなり、埋め合わせに呼ばれて再訪したとのこと。「こんな時だから、僕はこの店を応援に来たんだ、あなたもそうでしょう」と言われて、その通りと意気投合。まあ、肝臓を気にしつつ、できる範囲で回せるところにお金を回さなければ。寿司種はちゃんと揃っており、スッキリしたこの店の酢飯を堪能。

17日(木):再び「笹田」訪問。月曜訪問時に、木曜も全部キャンセルになったと聞いてたので当日予約。しかし2組新規で予約が入っていた。復活のきざしだとよいのだが。キャンセルの電話はいったん止まったが、来週のお客が本当に来るのか不安だとのこと。ガソリン不足で自宅や河岸との移動に使ってるバイクのガソリンも入れられないらしい。 お椀はアマダイとタケノコ。焼き物、煮物は先日と同じだが、どれも結構。自宅には買い置きの食料や水など何ひとつないのだが、夜露はちゃんとしのげる。外でちゃんと炊きたてのご飯を食せるというのは東京に住む幸せだ。

18日(金):しみづの弟店「久」訪問。実は会社の部下の送別会で4名で予約入れてたのだが、会社では、「懇親会、会食、ゴルフの自粛」が通達に。もっとも自腹でご馳走するつもりだったし、会社の金を使う訳ではないので批判されるいわれは何ひとつ無いのだが、まあ延期することにして3名分を前日キャンセル。自分一人で訪問。申し訳なかったなあ。今度埋め合わせするからと言いながら飲んでると、60歳前後と思しき3名のオヤジが予約無しで飛び込みで来訪。オヤジ達のかけあい漫才のようなやり取りは、まるで小津安二郎映画に出てくる、佐分利信、中村伸郎、北竜二の悪友3人組佐の如し。この店は、面白いオヤジの客がなぜか多い気がする。寿司屋よりもカウンタでしゃべりやすいということがあるのかもしれない。しかしカウンタが埋まってなんとなくホッとした。帰りは「P.M.9」で一杯。バーテン氏の自宅部屋はあれこれ倒れたりグラスが割れたりして大変なのだが、面倒なのでまだ一切片付けてないのだと。大変ですなあ。

19日(土):「しみづ」。地震からもう一週間過ぎたとはまるで夢のようだなあと親方と雑談。客足はまだまだ本調子でないと。魚は一時順調に西から築地に届いていたのだが、売れ行きが悪いので卸会社が既に買い付けを控え始めたのだと。しかし、この店の種札は以前と変わらず同じように揃っている。三陸の赤貝はギリギリ先週の水曜まで持たせたが、そこで底を尽いたと。あの津波の様子では、三陸の海の底は、復旧にとてつもない時間がかかるのでは。三陸や常磐は魚の宝庫だったから、これからの料理屋や寿司屋の仕入れには大きな変動があるだろう。。

22日(火):「新橋鶴八」に当日電話したら、石丸親方はすまなそうに、6時半で満員になるんですと。この店は接待客ではなく、年季の入った個人の常連が実に多いから、案外地震などの影響ないのかもしれぬ。ということで「しみづ」に。夕方電話しても、「ご用意できます」とお弟子さんが元気よくすぐに返事するのも逆に寂しいもの。「しみづ」は、本来なら祭日の月曜は営業するのだが昨日は休んだとのこと。もともと馴染み以外は先の予約を受けないので、キャンセルという形での影響は少ないのだが、やはり客足は本来の調子にはほど遠い。カウンタに座ってる時の電話の数でも分かる。その後「P.M.9」に。いつものジン・マティーニ2杯。隣の客と、「こんな時こそ、使える金は使わないと」と意気投合。最近、やたらにどの店でもこの話題で知らない客と意気投合するのだが、ちょっとした罪悪感の投影か。まあ単にお互い酔っ払ってただけという説もあるのだが(笑)

24日(木):「新橋鶴八」訪問。入店すると石丸親方は、「この前は断っちゃって申し訳ありませんでしたね」と。いつもよく覚えている。地震の日は、店は被害無かったのだが、お客はサッパリだったので、そのまま飲みに行ったとのこと。ニュー新橋ビルは築後40年以上になるのだが、竣工当時はハイテクビルだったので、意外に頑丈にできてるのだとは、石丸親方談。まあ確かに重心低く頑丈な感じがする。最近やたらに周りに増えた怪しげなマッサージ店では、地震後中国人の店員が総員逃げ出して、出て来なくなったのだが、今週になってまた戻ってきたのだとか。風紀も悪くなるから戻って来んでもよいけどなあ(笑)この店も先週はキャンセル続出。まだまだ影響ありで仕入れも控えていると。しかし種札はきちんと揃っているのがさすが。銀座辺りの接待専門高級寿司屋が大変な話など興味深く聞きながら。

25日(金):休肝日にしようかと思ってたのだが、帰宅前、新橋「久」に電話すると用意できると。8時半からは貸切とのことだったが、早い時間はガラガラ。どこでもお好きな場所にというのだが、まあ端のほうに。しかし、その後2組ばかり飛び入りが入り、ほとんど満席に。これは結構なお話。福島、二本松の酒「大七」を冷で飲みながら、酒蔵もこれからどうなるかなあ、などと。マコカレイ、カツオの刺身、メカジキ西京焼き、ロースとビーフとフライ美味し。久志氏に見送られて店を出て新橋方面に歩くと、「しみづ」店前で清水親方にバッタリ遭遇。

26日(土):昨夜ばったり店前で親方に会った時に予約したので夕方に訪問。やはり普通の土曜日の客の入りではない。電話の数も実に少ない。しかし、いつもと同じ時間に、いつもと同じ店のカウンタに座ってると、地震後の混乱が、まるで夢のように思えるが、重たい現実はまだちゃんと控えてるのであった。常連らしい隣の老夫婦と、地震の日の帰宅苦労話など。親方から、地震の日の夜に予約無しで店に来た客が複数いると聞いてやたらに感心しているので、「実はそのうち一人は私なんです」と告白(笑)

最近、馴染みの店を巡っていて不思議なのは、どこも普段よりも客は確実に少ないのだが、飛び込みで来る客はちゃんとおり、しかもそれが常連ではなく、会社員風でもない、ヒゲ面の人である例が不思議に多いこと。普通のサラリーマンは、やはり仕事からみのゴタゴタや接待自粛が続いているが、自由業系、フリー系の人から、意外に外に出始めているのではないだろうか。

もっとも、これらの店は、接待客が主な店ではなく、どちらかというと個人の根強い常連客が多い店。それでもかなりの影響あるのだから、接待専用の高級店はもっと大打撃なのでは。高級ホテル、ブランドショップなんかも厳しいのでは。

本日は銀座界隈をブラブラ。デパートは営業時間を短縮しており、歩行者天国も中止されているのだが、しかし意外にも、人出は以前と変わらない気がする。社会の不安がなんとか収まり、人々の生活が戻りかけているのなら実に結構なことなのだが。共産党系の東京都知事候補が選挙カーで演説。しかし、都知事選挙もいったいどうなるか。

いや、しかし、結構な長編になってしまった。しかも食したものはほとんど書いてないという(笑)

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