97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
食品の暫定基準値引き下げがようやく視野に
セシウムの食品摂取上限引き下げ…厚労相が方針

小宮山厚労相は、タバコ値上げ問題でも、思いつきで発言するところがあるのでイマイチ信用できないが、まあ本当ならば結構な話。食品のセシウム暫定基準値については、今までも過去日記で何度か書いている。

食品のセシウム暫定基準再び
人間の食べ物は豚のエサ以下?
暫定規制値は早く下げなければ

現在の食品暫定規制値は、ブタの餌よりも高い訳で、原発の状況がなんとか安定してきた現段階では、誰が考えても早急に下げるのが当たり前。「500ベクレル以下ですから安全です」はもう誰も信じていない。

食品安全委員会のQ&Aで、福島原発後の食品の放射性物質規制値についての経緯を再度整理するとこの通り。

まず、厚労省が事故直後の3月17日に食品の暫定規制値を設定。これが現在まで継続している基準で(ヨウ素はもうほとんど存在しないので除外すると)セシウムで、水と乳製品はそれぞれ200Bq/Kg、野菜、穀類、肉・卵・魚で500Bq/Kgという基準。

これは食品安全委員会の評価を受けずに設定されたため、順序が逆になったが、3月20日に「これでよろしいでしょうか」と後付けで厚労大臣からリスク評価を食品安全委員会に依頼。食品安全委員会は、緊急時の措置としては「セシウムによる実効線量5mSv年の被曝を妥当」とした「リスク評価緊急とりまとめ」を発表して、厚生労働省の暫定規制値は十分な安全性を見込んでいると追認した形に。

しかし、これはあくまでも緊急のとりまとめであって、その後継続的に検討され、7月に新たな評価案を発表。パブリックコメントを受け付けて、10月27日に食品安全委員会としての「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価」を発表。

これによると、生涯における追加の実効線量として健康に影響が見出せるのはおよそ累積100mSv以上。それ以下では健康影響の言及は困難としている。

100mSv以下の低線量被曝について「健康影響の言及は困難」というのは、本文を読めば分かるが、確率的影響において統計的に有意な知見が得られていないため、影響を判断することができないということ。これは、放射能危険デマを撒き散らす人々が言ってるように、「低線量被曝ではどんな被害でも起こりうる、どんな被害が起こるか分かっていない」ということでは決してない。起こるとも起こらないともハッキリ言えないほど影響が小さすぎる(あるいは発ガンについては飲酒、喫煙などの生活習慣によるノイズのほうがずっと大きい)ということに過ぎない。

まあ、いずれにせよこの結果が正式に厚生労働大臣に通知されたため、厚労省も暫定基準値を改定せざるをえないのは朗報。現在の暫定規制値の建て付けでは、全ての食品の基準値が限度一杯であれば年間の実効線量が5mSv。これでは食品安全委員会の生涯累積線量100Svに達するまで20年しか持たないので、到底長い間是認できる水準ではない。ようやく改定となったわけだが、それでも改定は来年4月予定というのだからあまりにも呑気な話。

もっとも食品の放射性物質は(到底十分ではないとはいえ)都道府県により測定され、厚労省により随時発表されているのだから、結果を見て自ら放射性物質濃度の高い食品を忌避すれば、基準値が改定される前でも内部被曝を低減することが十分可能。

厚労省のページ以外に、食品の放射性物質調査などのまとめページがあるので、各自で基準を設定して忌避すればよいと思うのだが、一般的には、

・汚染された地域と汚染度を知る
・しかし、モラル無き生産者と流通業者により産地偽装されている可能性を考慮する
・特異にセシウムを吸着・濃縮する食品を知る(キノコ、牛肉、野生動物の肉、栗、ゆず、カボス、淡水魚等)
・福島、茨城海域の魚介類はセシウム汚染度が高いので忌避する(ただし福島の漁業は休止中)
・ストロンチウムを考慮するなら骨ごとの魚は食べない

程度に注意して普通に暮らせば、食品による被曝は非常に低く抑えられるはずで、手当たり次第に食品を測定して、金切り声を上げて「汚染されてる!」と叫ぶ必要があるとは到底思えないのだが。

ただ一点留意すべきなのは、食品調査は出荷時期が近づいた産物を選んで調査され、旬が過ぎると調査対象から外れること。例えばタケノコなどは一時期ずいぶんセシウムが検出されていたものの、旬が過ぎた今ではもう調査されていない。現在スーパーに並んでいるタケノコ水煮の中には、500ベクレル以下であっても結構セシウム値の高いものが混ざってるのではと思う次第。

食品の汚染については、セシウム137の半減期が30年であるからまだまだ長丁場。まず1年を通じて、どの時期の、どこの産物にどれだけ出るかをデータベース化し、次の年にもどれだけ検出されるかを注意深くチェックする必要あり。

もしも同じ産地で毎年高度に出るようなら、その農地の転作を推進するなどのフィードバックを行わなくては、国民全体の内部被曝を低減してゆくのは不可能だろう。個々人がこんなことをやってられないので、ちゃんと政府機関がなんらかのシステムを構築してほしいものだが。


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