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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
プルトニウムの飛散は少なかった
だいぶ出遅れた週末前の報道だが、原発敷地外でプルトニウム…福島・双葉などという記事。オリジナルの文科省発表はこちら。あんまり大騒ぎになってないようでなにより。なぜなら、これは、福島原発事故ではプルトニウムは(皆無ではないが)あまり放出されてない、というむしろ不幸中の幸いという事実を伝えているのだから。

プルトニウムは、今までも見つかってなかった訳ではなく、福島原発敷地内で、ごく微量だが既に検出され発表されている。量的には過去の核実験時代に降ってきたフォールアウトの範囲内に収まる程度。

今回の調査は今年6~7月、原発周辺の100か所の土壌を採取して行ったもの。日本全国には1960年代に世界各地で行われた大気圏核実験の影響で、各地にプルトニウムが沈着しているのだが、今回検出されたプルトニウム238の最大値は、浪江町の1平方メートル当たり4ベクレル。これは過去の測定の最大値8ベクレルの半分。239+240の沈着量も、事故発生前に全国で観測された値の範囲内に入る実に微量なものであったという結果。

核種の比率から、明らかに福一由来と判断できる汚染は半径30キロ+飯館村地区の中に収まっている。その他に微量に検出されているのは、おそらく核実験の昔から既に沈着していたプルトニウムだ。半減期が長いから減ってないのだなあ。

しかし文科省のページにあるように、実効線量率に換算すると実に微量。こうしてみると、今回の福島事故ではプルトニウムの拡散は非常に少ない。チェルノブイリはどうだったか。

このサイトには、事故後20年後に刊行された、Chernobyl Forumの報告書に掲載された核種ごとの汚染マップコピーが掲載されている。

チェルノブイリ事故の際に環境に放出されたプルトニウムは、239+240合計で、避難エリアの30キロ圏内に3,700Bq/m2以上の濃度で広く拡散している。今回の福島の測定値では、どこも数ベクレル/m2で、放出量は3桁少ない。

大気内核実験の場合は爆発の火の玉が時として成層圏にまで吹きあがるのだから、プルトニウムがジェット気流に乗って全世界に拡散しても不思議はないが、それに比べれば核爆発など起こしていない福一のプルトニウムの環境への拡散がごく少なくても当然といえば当然。

ストロンチウムに関しては、プルトニウムよりも若干広いエリアに拡散しており、特に海の汚染は今後も更なる調査が必要。しかし、チェルノブイリの際は111,000Bq/m2以上のストロンチウム90汚染エリアが、半径30キロ圏内を遥かに超えて広がっていたのだが、今回調査のSr90の濃度は一番高いところで4,800ベクレル/m2。これまたチェルノよりも2桁少ない。

福島事故で大気中に放出された放射性物質総量は、現在までの推定では、ヨウ素換算でチェルノの10%~10数パーセントと推定されているが、プルトニウム、ストロンチウムの環境への拡散は、それより更に規模が小さいという結果。

チェルノのように圧力容器の蓋が爆発で吹っ飛び、炉心の黒鉛火災とメルトダウンが直接大気に開放された中で盛大に起こったという、まるで地獄の釜の中身を大気に直接ぶちまけたような事故と比較すると、まあ、まがりなりにも格納容器が或る程度は遮蔽の用を足していたという事ではないだろうか。

結果として、プルトニウムはそれほど飛散していない。この点は実に不幸中の幸いだったのではと思える調査結果。

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