FC2ブログ
97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「コンテイジョン」
「コンテイジョン」を見た。contagionは「感染」という意味。



最近の映画は予告編でほとんど全ての見どころを出してしまうようなのも多いので、なるべく予備情報は持たずに映画館に行くようにしている。もちろん、エイリアンの地球侵略物だと思って観に行ったら、難病にかかった子供を巡る感動のドラマだったなんてことになっても困るので、最低限の内容だけはチェックするのだが。(映画館の後に上記のトレイラー見たが、この映画の場合観賞の妨げになるようなものではなかった)

本作は、マット・デイモン主演。致死的ウィルスが地球規模で広がってゆく世界を描いた社会派サスペンスというところだけが予備知識。

シネコンでの上映スクリーンも小さく、地味な映画だと思っていたのだが、冒頭から、グゥィネス・バルトロウが出演しているのでびっくり。そして、オイオイ本気かよというくらい、あっけなく亡くなってしまうのにまたびっくり。あ、ローレンス・フィッシュバーンが出ている。あ、ケイト・ウィンスレットもいる。Webジャーナリストは、ジュード・ロウじゃないの。あれ、マリオン・コティヤールだ、と次々と豪華な出演陣が出てくるのには驚きの連続。後でCM見ると、豪華キャストが売りのひとつなのですな。

CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)の危険を顧みないフィールド調査や研究など、ウィルスとの果敢な戦いが映画の中心軸となっているのだが、ちょうどH1N1ウィルス(豚インフル)騒ぎの時はアメリカに住んでおり、毎日CDCのサイトでサンフランシスコ・ベイエリアにおける感染の広がりをチェックしていたので、なんだか懐かしい気が。

CDCの調査員であり、八面六臂の働きで世界を救うヒロインになるのかと予想していたアカデミー女優が、パルトロウに続いてこれまたあっけなく感染して亡くなる展開もちょっと驚いた。ウィルス感染が人を選ばずに進行してゆく恐ろしさを淡々と描く演出。目に見えないウィルスの怖さがひしひしと迫ってくる。

そして、それぞれの登場人物を巡って詰め込まれた細かいエピソードも、よく練られている。感染過程の調査で明らかになる不倫、人の移動や接触により次々と拡大してゆく感染、最後まで病院で患者を診察したがためにウィルス感染した医師とワクチンを研究するその勇敢な娘、ネットを利用してデマを拡大し金を掴むフリー・ジャーナリスト、静かに社会を蝕んでゆく恐怖。

派手な暴力シーンやアクションはなく、誰かが大活躍して人類を救うという大仰なカタルシスもないのだが、切り返しの早い鋭利な画面の緊張感は高く、端正な演出がパンデミックの恐怖をリアルに伝えてくる。サスペンスを保ちつつ静かに最後まで観客を引っ張って行く、スティーブン・ソダーバーグ監督の優れた演出。

映画エンディング部分、若い二人だけが居間で踊るプロム・ナイトは、これまた淡々と復活への小さな希望を象徴して、心温まる良きシーン。そして最後に、神の視点からウィルス感染の原初が解き明かされる「DAY 1」。映画の冒頭がなぜ、「DAY 2」から始まっていたのか、一瞬にして全てがフラッシュバックするラストシーンにも感心した。DVDが出たら買って再見したい映画だ。

インフルエンザ・ウィルスは常に変異を繰り返しているから、強烈な感染力を持つ致死的ウィルスがパンデミックを引き起こす可能性は常にある。「四千万人を殺したインフルエンザ―スペイン風邪の正体を追って」を読んだ時の不気味な記述が蘇って、映画館を出た後で咳をしてる人が気になったりして(笑)。そういえば、今年の冬のインフルエンザ流行はどうなってるのだろうか。

まあ、現実的な教訓としては、香港で中華のシェフと握手してはいかんということですな←オイちょっと違うぞ。



スポンサーサイト