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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ボクは吃音ドクターです」
「ボクは吃音ドクターです」読了。

子供の頃からどもる自分に悩みながらも、吃音の治療法を研究しようと医者になった著者が語る吃音者の現実と悩み。

吃音については、周りにもいないし、まったく知識がなかったので、著者が描く吃音の実態は、初めて読む話ばかりで実に興味深かった。

例えば、難発、無声型の吃音は、電話をかけ、相手が出た時にもう声が出ない。電話の受け答え、窓口で名前を名乗る、人の名前を呼ぶ、などの際に急に言葉が出てこずに、顔が真っ赤になって苦しむというのは、社会生活を送る際に実害が出てくる実に気の毒な症状。いったいなぜそんな症状が出るのか。

吃音は、精神的緊張に起因すると言われるが、緊張してなくても言葉が出てこないことがある。練習をいくらしても、どもる時にはどもる。脳や発声器官の器質的な異常や遺伝要因も研究されてはいるが、未だに確定的な結論は出ていない。要するに吃音の原因が不明なので、これといった治療法がないのが現実。人がどもるのを真似してからかっているうちに、自分もどもるようになってしまったという冗談のような本当の事例が結構あり、これも吃音の原因について謎を深める。

幼児の頃の吃音発生率は男女とも同じなのだが、大人では女性の吃音は男性の1/3。吃音は治らないともいうが、女性に関してはなんらかの治癒が起こっている可能性がある。男性はなぜ治らないのか、これまた不思議な話。

著者は、「吃音はあっても勉強は誰にも負けない」という決心で中学の頃からTVも見ずに毎日勉強に打ち込んだのだそうで、医者になったのも吃音の治療法を研究するため。吃音により、一人で抱え込んできた心の傷の大きさ、そしてそれをバネにして、果敢に人生に挑戦した著者の勇気に心打たれる。

本書に収載された「吃音者宣言」は、どもる自らと真正面から向き合い、人生に向かって勇敢に立ちあがろうとする全ての吃音者に灯りを点す、吃音者達によるエールである。
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