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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「クラウド アトラス」を観た
「クラウド アトラス」を観た。ずいぶん前にYouTubeで予告編を見た時に、歴史物とSFが意味不明に交錯するシーンに度肝を抜かれて、いったいこれはどんな物語かと記憶に残っていたのだが、日本でもようやく公開。



19世紀の奴隷交易の時代から、文明崩壊した24世紀の未来まで、時空を超えて語られる6つの物語。オムニバスをシャッフルしたかのように目まぐるしく物語を飛び移りながら映画は進行する。

普通ならば、6つの物語が同時並行すると混乱しそうだが、それぞれのシーンの切り替えは、俳優、台詞、小道具、あるいは音楽やシチュエーションなど、不思議な連関を保ちながら行われ、観ていて混乱は生じない。ストーリー・テリングは実に巧みだ。例えば、養老院に閉じ込められた編集者が叫ぶ「ソイレント・グリーン」の台詞は、アンチ・ユートピア的未来で働くクローン人間達の末路に反映されてゆく。そして、それぞれの物語の主人公が持つ流れ星のあざ。

複数の時代をまたぎながら、人々の運命は最初から最後まで、不思議な調和をもってつながっている。無意味なものなどない。そんなメッセージが基調音として全てのストーリーに反映されてゆく。作曲家が書くのが六重奏(Sextet)であり、主人公の一人の名前はSixsmith。メロディーは重なりあい、ひとつの壮大な物語を作り上げて行く。

西洋的思考では、長々と言葉を尽くして説明しなければ納得ゆかないだろうが、実はこのモチーフを東洋的思考で理解するのは簡単。この世の全ては因縁に結ばれており、人々は転生輪廻してゆくのだ。

脚本も演出も優れているが、SFXを使った映像もテンションがあふれて、172分は決して長く感じない。俳優がメイクアップにより何役もこなすところがまた面白い。最後のエンドロールで種明かしされるのだが、観てる時に分かったものも、エンドロールでビックリしたものもあり。俳優ではトム・ハンクスが6エピソード出ずっぱりで、映画に統一感を与える重要な役割。ハル・ベリーも印象的。自我に目覚めクローンとして革命の殉教者となる役の韓国女優、ぺ・ドゥナも印象的だった。欧米人には多分区別がつくまいが、日本人にはいない、奇妙な魅力を感じる。

ポリティカル・スリラー、コメディー、ドラマ、SFと様々なストーリーが交錯して、濃密に、かつジェットコースターのように目まぐるしく疾走するのだが、きちんとある種のメッセージ的つながりを持った壮大な物語として印象的に成立しており、172分はまったく長く感じない。ブルーレイ出たら買わなくては。というかもう一度映画館に見に行ってもよいな。

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