97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「新橋鶴八」訪問。
火曜日は、早く帰れる目途がついたので夕方「新橋鶴八」に電話。すぐに石丸親方が出た。

親方が出る時は空いている場合多し。案の定早い時間に入れるか聞くと「勿論です!」とエラク気合が入った返事。退社してすぐに入店。カウンタには爺様の先客が一人。親方とは古い付き合いのようで結構なお年だが、冷酒を次々にお代わり。すごいね。

今日の予約は遅い時間から入っているが、早い時間は空いているとのこと。まず冷酒を貰って、お通しは平貝つけ焼き。

最初はいつも通り刺身を切ってもらう。まずヒラメ。歯応えの良い分厚い身肉に旨味が乗っている。握りの種ならば、熟成してある程度温度を戻した薄い身も酢飯に合う。しかし刺身には、ちょっと冷たい活かった身を分厚く切るやり方も実に旨いよなあ。

塩蒸しの次はアジもつまみで。分厚く立派な身はこれでないと脂が薄いのだとか。鹿児島の出水産。旨い魚は結構西から下って来る。

他にお客さんは入って来ないので、石丸親方とあれこれ雑談。相撲には行ったんですかと尋ねるので、初日と次の週の週末三連休に大阪遠征した話を。親方も相撲好きなので、あれこれと相撲談義。親方が子供の頃に九州に巡業が来て、観に行った時の素直な驚きを、「そうなんだよ!凄いんだよ!」と、一心に「新橋鶴八最後の弟子」君に語る様が面白かった。相撲人というのは、驚きを持って迎えられる異界の人なのだ。

照ノ富士14日目の変化については、やはりあれはダメだなあとお互いに同意。「外国人はいつ変化してはいけないかの機微が分からないんじゃないですかねえ」と親方。確かに、立合いの変化を是認するかどうかは、TPOに依って変わってくる。

弱い者、小さい者、年寄りは立合いで変化しても仕方ない。舞の海や安美錦が変化しても誰も文句言わない。しかしあれだけ身体が大きい大関照ノ富士が変化すると話は別。もうひとつは大一番での変化。負けたら琴奨菊の大関復帰に引導を渡す取組で変化したら、それは文句を言われる。他の条件としては、元々大阪場所の観客がガラ悪いという話など(笑)

築地での話などしていたら、親方の言うには、さすがに年を取って疲れるようになったので、来年からは日曜の他、水曜も休みにするかと。何しろ毎日河岸に行って魚を仕入れては、その日の分だけ仕込みをするという「鶴八」伝来の真面目な職人仕事は実に大変。河岸の連中には、毎日仕入れに来るなんて最近珍しいと言われる由。支店が何店舗もある大店は仕込みの後に冷凍したりしているし、鶴八系総本家の「弁天山」も仕込みは何日分かまとめてやっているとの事。しかし、愚直で真面目な職人仕事をずっと続けているのが「鶴八」系の素晴らしい魅力。勿論、無理してほしくないが、伝来の精神は「しみづ」や「分店」にしっかり引き継がれている。

つまみは、トリ貝を追加で。柑橘系を思わせる独特の甘い酸味。この貝もほとんど養殖なのだが、貝類の場合は餌を撒くわけではなく、稚貝を放して後は貝は勝手に自分で育つ。海水の環境が良くないとダメなのだ。確かに舞鶴は成功したが、他は聞きませんよねと親方。何かの成功を左右するノウハウがどこかにあるのだろうかね。

この辺りで握りに。まず中トロ。ふっくらとした酢飯は相変わらず素晴らしい。ネットリした旨味のコハダも鶴八系燻し銀の旨味。アナゴもトロトロでツメが美味し。お椀も貰い、最後はいつものカンピョウ巻で〆。

最初に一番奥に居た爺様が帰った後は、店は私一人で貸し切り状態。次の予約客が入る前に勘定を。先客の爺様は、ご本人の弁では親方より10歳上とのこと。親方に聞くと、今でも冷酒を4~5杯飲むそうである。私よりずっと年なのにもっと飲むじゃないか(笑) 地方の大きな企業の会長なのだそうであるが、偉いから元気なのか、元気だから成功したのか。ま、両方か(笑)


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