97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、五月團菊祭昼の部を観た
GW終盤戦。木曜日は、歌舞伎座五月團菊祭昼の部に。

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昼の部は3演目とも以前に他の役者で観た事あり。毎月歌舞伎座に通いだしたのは2014年の2月からだが、そろそろ二周目に入ってきた感じか。もちろん何周も回り続けて、ほとんどが何度も観た演目というのが歌舞伎通の見巧者という事なんだろうけれども。ほとんどの演目は観たという所まで来たら、二等席や三等席でもよいのだが。最初に勉強するにはコストがかかる。

今月は、明治期に始まった「團菊祭」であって、七世尾上梅幸、十七世市村羽左衛門の追善公演。そして、初代坂東楽善、九代目坂東彦三郎、三代目坂東亀蔵襲名披露。また、彦三郎息子が亀三郎を名乗って初舞台。そして、尾上菊五郎の孫、寺島しのぶの息子の寺嶋眞秀が初お目見得と、何が何やら分からないほど賑やかに満艦飾の公演。

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二階の売店でスパークリングワインを貰ってソファに座り、筋書きを事前にチェック。最近、アバンギャルドな派手派手系が目立った祝い幕は、今回上品な和風であるが、真ん中の紋はなんだかJALを思い出すよなあ(笑)

最初は、楽善、彦三郎、亀蔵襲名披露公演。「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり )」。鶴ヶ岡八幡社頭の場。人形浄瑠璃から移された歌舞伎でも人気演目の時代物。以前歌舞伎座で、幸四郎、吉右衛門で見ているが今回は羽左衛門型での上演とのこと。

浅黄の幕が切って落とされるとそこは鎌倉の鶴ヶ岡八幡。音羽屋軍団総出の演目。大向こうも「音羽屋!」の声の嵐で、誰への掛け声かタイミングでしか分からないほど。

九代目彦三郎は、特長である歯切れの良い明朗な口跡で印象的な梶原平三。今回が初役だが立派に成立している。この役は、上演記録を見ても歌舞伎座では立役の大名題のお歴々しかやっていない役。祖父の追善と自らの襲名披露という好機で掴んだ大役を立派にこなした。赤っ面の俣野五郎も亀蔵の朗々たる良い声が立派に響いた。右近の梢もなかなか印象的。

二つ胴の試し切り部分も、幸四郎で見た時とちょっと違う。舞台大詰め、手水鉢を後ろから割り、そこから手水鉢を飛び越えて前に出て来るのは初めて見た型。確かに客席に背を向けて手水鉢を切るやり方よりは、今回の型の方が派手で収まりがよい。

菊之助が奴、松緑が剣菱呑助でお祝いを兼ねて同座する。呑助は普通酒づくしの台詞だが、今回は襲名や追善、初お目見得など、賑やかでお目出度い数々の趣向を寿ぎ、各々の名跡を入れ込んだ祝福の台詞となっており客席が暖かく沸く。女暫の下足番や「どんつく」の曲芸でもそうだったが、松緑はこの手の役を滑稽にやるべく真剣に演じるので、きちんと成立している。ふざけてやったら逆にダメなのだろう。

兄の彦三郎が主役の梶原平三を張るが、二歳違いでも弟の亀蔵は赤っ面の俣野五郎。襲名の序列というのは、お互いに立役やる限りはずっと変わらないのだろうか。兄弟が生まれると片方は女形やる例が多いのも分かる気がする。

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ここで30分の幕間。花篭で「襲名いわい膳」で一杯。

次は義経千本桜の内、舞踊劇である「吉野山(よしのやま)」の段。

藤十郎や染五郎が静御前を演じた公演を観たことがあるが、今回は舞台装置も演出もかなり印象が違う。というか毎回あれこれ違う気がするけれども(笑)團菊祭の次代を担う、海老蔵と菊之助が共演。意外にこの二人は共演が少ない気がするが。

吉野山全山に満開の桜と清流。静御前、菊之助の山道からの出は、美しいもののなんだか随分と動きがスローで年寄りじみた印象を受けたが、あれは山道を遥々やってきたという心持ちなのだろうか。しかし全体として静御前は比較的起伏に乏しく、淡々とやっている印象。

狐忠信、海老蔵は逆に元気で、踊りながら、妙に大仰に流し目くれたり目を剥いたり睨んだりと、顔面の演技が悪目立ちする程忙しい感があるが、他の役者もあんな風にやってたっけ。二人の絡みは一幅の絵のように美しく、全体として面白く、あっという間に時間が過ぎる。逸見藤太の男女蔵は、息抜きの軽妙な演技。花道七三の忠信から投げられる笠のキャッチはお見事。

切りの演目は、新皿屋舗月雨暈 「魚屋宗五郎 ( さかなやそうごろう )」

これも何度も観たことがある人気の世話物。菊五郎劇団のおハコ演目で、全員手慣れた調子で掛け合いもテンポよく演じられる。

菊五郎の孫である寺嶋眞秀が、初お目見得。酒屋の丁稚役。4歳だというが、しっかり台詞も言えて凄いね。菊五郎の宗五郎は自家薬籠中の役柄でこれまた手慣れたもの。時蔵の女房おはまも宗五郎との息がピッタリ。酸いも甘いも噛み分けた老練な家老、浦戸十左衛門には左團次が間然とするところなくはまり、松緑の殿様が最後を締める。

尾上菊五郎の孫、寺島しのぶの息子の寺嶋眞秀の初お目見得は、自分で酒樽を持って花道を歩いて登場。台詞もしっかり入っており大きな声で演じ、客席から大きな拍手が。4歳なのに凄いよなあ。

酒を飲み、酒に飲まれた酒乱の酔態とやらかす一大事が面白く、最後は目出度くハッピーエンドの大団円。打出しには好適な世話物狂言。若干時間は押したが、歌舞伎座を出てもまだ外は明るい。もう初夏だ。

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