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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座「二月大歌舞伎」、二部、三部を見た。
2月の13日は、歌舞伎座の「二月大歌舞伎」二部と三部を見物。

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前の週に見た第一部の客席は、残念ながらガラガラだったが、第二部はニザ玉、第三部は十七世中村勘三郎三十三回忌追善。チケット販売時から一階中央前列は全て空き無し。

一階でかろうじて空いていたのが桟敷席のみ。コロナ前なら二人で座って弁当も運ばれ、飲食できる席だが、コロナ禍では座れるのは1名、飲食禁止とあっては、あまり人気が無い。しかし感染予防の観点からは、前後に客はいないし左右も椅子席よりも距離があり、なかなか快適。そして客席は、前後左右を開けながらもほぼ満席。

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第二部最初の演目は、四世鶴屋南北作「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」 土手のお六。2018年3月の歌舞伎座でもニザ玉で見た事あり。

今回も、お六を玉三郎、その連れ合いの悪役、鬼門の喜兵衛を仁左衛門が演じる。

土手のお六は「悪婆」と呼ばれる鉄火な女の悪役。仁左衛門の悪役は凄みと色気があるが、軽妙さも兼ね備えて、二人共あちこちで笑いを誘う演出。策略を凝らして大店を強請るが、歌舞伎では大体、ゆすりたかりは上手く行かない。

最初のうちは勇ましいが、形勢が段々と悪くなって口数が少なくなるお六がコミカルで面白い。さすがに鬼門の喜兵衛もやり込められて負け惜しみ。最後は軽妙な掛け合いで両者が駕籠をアラヨっと担いで花道を去る。気楽に見物できる演目。大店の場では、寺嶋眞秀が小僧で出演。幕間では両親がロビーに居た。

次の「神田祭」も18年3月と同じ、仁左衛門と玉三郎の舞踊。粋な鳶の頭と恋仲の芸者が、目出度い祭りを背景に連れ舞いを見せる。もともと初演時に二人用に振りがつけられたというが、手慣れたもので、まるで本当にキスするんじゃないかというほどデレデレいちゃいちゃの仲の良さを粋な舞踊で表現。最後は花道でもいちゃついた後、「どうも失礼しました」と交代で客席に挨拶してご機嫌で去る。客席は大いに沸いた。

二部の終演と三部の開演には1時間半の間あり。早めの夕食を鰻屋で。アサリのしぐれ煮、鰻の酢の物で一杯。締めは鰻丼。

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第三部の開演は5時半。第三部もA2、A3ブロックは一席も空いておらず、また一階桟敷席で。

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第三部は、十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言。最初の演目は「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)」 袖萩祭文

男と出奔して落ちぶれ果て盲目の瞽女になった娘が、父親が切腹を賜る危機にある事を知る。親に一目会いたい、孫娘に会わせたいと、勘当された家に最後に会いに来る。しかし武士の忠義を通す父親は会う訳にゆかない。封建時代の道理が親子の情愛を引き裂く悲劇。

七之助は袖萩を初演で演じる。見巧者の爺様に言わせるとおそらく、あれこれ芸に足りない所があるのだろうが、例えば雀右衛門と比べて単純に優れているのは七之助が痩せている事。女形が肥えていては、役の哀れさがあまり出ない。先代雀右衛門は、年取ってからも太らないよう節制していたそうであるが。

勘九郎の次男、長三郎は娘お君をなかなか頑張って演じる。歌舞伎での子役のテンプレートは、子役の演技力に依存せずに通用するよう出来上がっているのだが、それでも以前よりずっとしっかりしている。子供が大きくなるのは本当にあっという間だ。勘九郎も出演。追善らしく、芝翫、歌六、東蔵、梅玉と重厚な脇役陣が花を添える。

次の演目は、河竹黙阿弥作「連獅子(れんじし)」

勘九郎と長男の勘太郎が親子の獅子を演じる。十七世勘三郎は子息の十八世勘三郎と度々この演目を務めたが、十八世も子息の勘九郎、七之助と演じている。中村屋の伝統は孫の代へと受け継がれた。

勘太郎の9歳は、歌舞伎座で子獅子を演じた年齢として最年少だそうである。しかし、足を踏む音にも力強い若さが溢れ、親獅子との息もピッタリ。体力も必要だが、しっかりした舞踊で最後まで踊りきってあっぱれ。中村屋の血だねえ。




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