97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「1Q84 BOOK 3」を読んだ
休暇中に読んだ本の話など。

村上春樹の「1Q84 BOOK 3」は、発売日には出遅れたものの、Amazonに発注してだいぶ前に手元に。しかし、まだ手をつけてなかった。

忙しかったのもあるが、以前にBOOK 1と2を読みたまたまエホバの証人世界大会にも出くわした、ここホノルルの地でのんびり読むのが一番よいのではないかという結論に達して、今回の休暇まで待ち、その他の本と一緒にバッグに入れて持ってきたのであった。

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風の吹くラナイで、陽光を浴びながらページを読み進める。1と2をもう一度再読してからのほうがよいかとも思ったが、3から読んでも、それまでの印象的なシーンが思い出せるような描写が随所にあり、ああ、そうだったと、フラッシュバックを鮮やかに感じながらページを繰った。

文章は実に丹念に練られており、たいへん読みやすい。あちこちにちりばめられた衒学的小ネタや、主人公達のまるで翻訳小説のような気がきいた会話も印象的。読み進むうちに物語世界にいつの間にか引き込まれ、なかなか途中で本を置く気にならない。小説を純粋に読み進むだけで得られる悦楽。こんな得がたい読書経験を与えてくれる本もあまりない。

1と2で呈示された伏線はおおむね回収され、青豆と天吾のラブストーリーには(このラストにはひょっとして賛否両論あるのではと思うが)一応、ちゃんと解決がついている。

もっとも、現実世界に不思議な介入をする、物語の奥底に横たわった異界の謎や、主人公達に様々な影響を与えてる「教団」の謎について、この物語がきちんとした解決を与えているとは言えない。もちろん推理小説ではないのだから、深い森の中の謎がすべて白日の下に晒される大団円は必要ないし、謎は謎のままでもよいのではあるが。

ただ、ラストに近づくにつれ、この物語が急速に現実寄りに小さく収斂され、あっけなくも主人公二人のラブ・ストーリーとして終了するという印象も持たざるを得ないところ。勿論このラストでも、実に面白い小説としてカタルシスを持って成立しているのだが、しかしそれでもなお「1985年」の青豆と天吾について、もう一幕あっても十分続編が成立するのではないか、そんな気がする。

あくまで私の勝手な妄想だが、もう一冊続編を出しても売れるだろうと踏んで、村上春樹はもう既に続編を密かに書き進めているのではないか。彼は天才的な表現者であるが、逞しい商魂もまた持ち合わせているというのが私の観測。別にその2つは必ずしも同時に成立しない訳ではないのだし。

そうなると、次作の名称は「1985 BOOK4」となるのでは。これならジョージ・オーウェルに遠慮して「Q」を使う必要もなかろう。しかし、そうなると題名の継続性が失われてしまうのは事実で、ううむ、はて、この案はどうかなあ(笑)

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西海岸とは3時間の時差があり、ここHonoluluに来ると、朝はどうしても早く目が覚める。まだ夜明け前。満月とその光を反射する海。いびつな形をした緑色の小さな月は空のどこにも浮かんでいない。2010年5月。

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コメント
この記事へのコメント
月の写真がいいですね~。
 
私は四国出身で、瀬戸内海に近いところに
住んでいたので、小さい頃はほぼ毎週土曜日に両親に兄と共に釣りに連れていかれました。釣りは、夕方が1番良い時間だと両親が言うので、それ故お昼の1時30分に学校から帰るとお昼ご飯をすぐ食べて、3時過ぎまでに宿題を終わらせないと駄目で、かなり厳しかった。日曜はピアノだの習字など習わされてそれはそれで忙しかったわけで・・・。

夏休みもほぼキャンプと釣り三昧。本当にありとあらゆる場所に遊びに行きました。瀬戸内海は小さな島が多くて、けどよい波止場もあり、そういう島に渡るときは夜釣りになり眠くて仕方なかったですね。車ごと船で島に渡り、眠くなると車の中で寝る。島にコンビニや気の利いたスーパーなどありませんから、お弁当やお茶やジュース、お菓子などをクーラーボックスで氷で冷やし持って行って食べる。空になったクーラーに釣ったものを入れていく。

朝起きると奇麗な景色が見れると思いきや霧であまり視界がよくなかったように思います。・・・でもとても良い思い出です。
2010/06/04(金) 17:29:37 | URL | あのん #mgVVhau2[ 編集]
>あのん様

私も神戸出身ですから、瀬戸内海は懐かしい海です。住んでた場所もそうでしたが、小学校から高校まで、学校もいつも高台にあったので、海が常に見えました。なにしろ坂の街ですから(笑)

そういえば、親戚筋がいたので、子供の頃は、広島の鞆の浦や仙酔島あたりに行ったり。小豆島にも何度も行ったなあ。

香川県なら、栗林公園や屋島、金比羅など訪問したこともあります。源氏平家の戦いの跡ですねえ。

関西以西の人間にとって、瀬戸内は、とても懐かしい故郷の海です。海の傍の町で生まれた人間として、今でも海の傍でないと、どうも落ち着けない気がします。

2010/06/05(土) 15:27:01 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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