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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「The Book of Eli」(ザ・ウォーカー)を見た
COMCASTのオンデマンドで、「The Book of Eli」を見た。料金は4.99ドル。

日本では「ザ・ウォーカー」という題名で公開中らしい。

世界最終戦争の後で文明が崩壊し、荒廃しきった世界。廃墟となったアメリカを、デンゼル・ワシントン演じる男がただ西に向かって歩く。背負ったバッグパックには、世界でたったひとつ残った本が。そしてその本を巡って起こる争い。

いわゆるアンチ・ユートピア的近未来を描いたSF作品はたくさんあって、この映画にも、「マッドマックス2」や「ポストマン」などの世界が投影されているのだが、世界観には破綻が無く、実にリアルな無法地帯を描ききっている。荒涼とした色彩で描かれる大地と空の映像が実に印象的。

日本サイトの予告編では、「最後に残った本」とは何かという謎を強調しているかにも思えるのだが、英語圏の人間にとっては、この本が何であるかは映画が始まる前に原題見ただけで分かるし、物語前半にワシントン演じる主人公が口にする聖句でも明らか。

別にこの本が何かという謎が映画の主題ではなく、最初から知ってても映画の面白さは損ねないので明かしてしまうと、これは聖書である。「The Book of Eli」を訳すなら、「イーライによる聖書」あるいは「イーライ書」だが、この題名そのものがラストのオチにも結びついている。その点では、邦題の「ザ・ウォーカー」はちょっと感心しないなあ。

この本を聖書と分かった上で見るならば、なぜ最終戦争後の世界でこの本が無くなったか、水源を独占して街を牛耳っているボスが、なぜこの本を渇望するのか、この映画が描き出している皮肉なディテールが、実によく腑に落ちて分かりやすく見えてくるだろう。

主人公イーライが語る、崩壊前の物質に満ち溢れた現代文明批判も、この映画の終末論的背景に映えて鮮やかに成立している。
People had more than they needed. We had no idea what was precious and what wasn't. We threw away things people kill each other now. (誰でも必要以上のものを所有してたし、何が貴重で何がそうでないかも、まったく分かってなかった。今なら手に入れるのに殺し合いになるものさえ平気で捨ててたんだ。

荒野で獲物を誘うおとりの女、日本民話の鬼婆の家を思わせる荒野の一軒屋、イーライの剣を使ったアクションなど、描きこまれた細かいシチュエーションもなかなか面白い。

ゲイリー・オールドマンはやたらに年取ってるように見えて、昔出演した「ドラキュラ」を思い出した。あれはやはり、核戦争後の紫外線が増えた気候を反映したメイクなんだろうなあ。ジェニファー・ビールスが出てたのはなんだか実に懐かしい気が。まだ健在でしたか。

本来ならこの手の映画はウィル・スミスの縄張りという気がするが、結末から考えると、ウィル・スミスの演技では、ちょっとイーライに説得力がなかったかもしれない。気楽に楽しめるが、宗教と物質文明を再考させられる印象的なシーンも満載。なかなか面白い映画だった。



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コメント
この記事へのコメント
>COMCASTのオンデマンド
あ、私以前はCOMCASTでした。○む○コどっ○こ○の掲示板見たらCOMCASTはオンデマンドが充実していると書いてる人がいて、そういえば一度も観なかったことに気づいて後悔しました。今のに代えてからも観てないですね。でもCOMCAST程は充実してない気がします。

>The Book of Eli
予告編を観たらなかなかおもしろそうですね。詳細たすかります。
私の契約しているところのオンデマンドのプログラムをみたらなさそうなので、DVDで観てみます。

>ゲイリー・オールドマン
「レオン」のときのゲイリー・オールドマンの、きれまくったというか狂気に満ちたというかそういう演技が良かったです。バットマンのビギンズ、ダークナイトで警官役で出た時は、普通の良い親父さんという感じになっててちょっとがっかりした記憶が。公式でみた写真では確かに、ちょっと老けたかんじですね。メークのせいなんですね。もしきれた演技なのなら結構嬉しいです。
2010/07/06(火) 21:45:53 | URL | あのん #VttPGAsU[ 編集]
DVDの値段が高くなければ、一見の価値はあると思います。

ゲイリー・オールドマンは、エキセントリックな悪役を演じさせたら独特の魅力がありますね。

今回の役も狂気をはらんだ悪役として好演してるのですが、さすがに「レオン」の時には及ばないかもしれませんね。あの役は凄かった。

2010/07/07(水) 03:48:11 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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