97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「一万年の進化爆発~文明が進化を加速した」
「一万年の進化爆発~文明が進化を加速した」読了。

人類が道具や火を手に入れ、いわゆる文明というものを築いてからは、動物に働くような自然淘汰による進化圧は働かず、人類は生物種としては何万年も進化が止まっているという説が一般的。

この本は、この説に異を唱え、むしろ文明によってこの一万年において人類の進化が進んでいるのではないかという仮説を説明するもの。

生物の進化には何十万年と時間がかかるという説もあるが、狼から分離された犬が、人為的な交雑によるとはいえ、チワワからグレートデンまで、同じ種とはもはや思えないほどの生物としての多様性を獲得しているのは、進化の速度というものが従来考えられていたよりも早いからだと著者は説く。

ネアンデルタール人と原生人類との間には交配があった。農業の発展による定住と人口の集中は権力や富をも生み出したが、人類にも大きな進化圧と遺伝子的影響を与えることになった。インド・ヨーロッパ語族が世界に広まったのはなぜか。などなど各章で取り上げられるテーマは、どれもセンス・オヴ・ワンダーを刺激する実に興味深いもの。

アシュケナージ(ヨーロッパ)系ユダヤ人に傑出した学者が多く、明らかに知能が高いのも進化の現れだという説も、奇矯に聞こえるのだが、自然による淘汰ではなく、文明あるいは社会による淘汰が人類という生物種に行われている証拠だと考えれば、確かにそんなこともあるのだろうかと思えてくるのが不思議。

もしも現在でも人類が生物種としての進化を続けているのなら、やがて人類から「スター・チャイルド」が生まれてくるだろうか。「2001」や「幼年期の終わり」を思い出すなあ。

ミトコンドリアDNAやY遺伝子の解析は、「ミトコンドリア・イブ」や「人類出アフリカ説」などの根拠となり、人類史に新たな光を当てつつある。今後も続く分子生物学の進歩は、人類進化の謎についても我々に新たな地平を見せてくれるのかもしれないと思わせる興味深い本だった。



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