97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
暴力団はお断り
有馬温泉、組長出所へ先手 暴力団員「利用お断り」約款

現在服役中の山口組6代目、司忍組長の出所が来春に予定されている。有馬温泉は神戸の山口組本部から近い一大温泉街。暴力団の宴会などが予定されるため、暴力団関係者の宿泊拒否や予約解除ができる規定を宿泊約款に明記するホテル・旅館が増えてるのだそうである。

有馬温泉というのは、神戸から六甲山を越えた裏にあたる温泉地。宴会場完備の巨大旅館も多々あるから、使うには便利なところだが、暴力団が集結するのも困るということなのだろう。

一流ホテルで大規模な暴力団の宴会があったとはあまり聞かないから、大手では宴会営業の担当がお客の事前スクリーニングをかなり厳密にやってるに違いない。しかしいったん客の正体を知らずに予約を受けてしまうと、後で暴力団の宴会だと分かっても、断りづらいのも事実。

約款に最初から記載してあれば、キャンセルする理由に使えるのだろうが、暴力団にも一応の基本的人権はある訳で、ヤーさんだから泊めないとまでは言えないのでは。ゴルフ場でも「刺青の方のご利用はお断りします」などと書いてあるが、あれも果たして効果があるのだろうか。

学生時代、神戸は元町の大きな宴会専門中華料理店でウェイターのバイトをしてたのだが、ここで一度暴力団員の出所祝いが大々的に行われたことがある。300人くらい入れる店を貸切。店も最初から暴力団と分かって予約を受けたのではないらしいが、常連客の紹介で貸切予約を受け、打ち合わせに先方が現れた段階で、これは堅気ではないことがはっきり分かった。

主催する組の組長は杖ついた年寄りで、温厚な好々爺に見えるのだが、戦闘服姿の明らかなヤーさんを数名連れている。打ち合わせ中にも、「ワシが昔、最初に人を叩き斬った時はなあ」などと刑務所の話を大声でする。途中で入り口に並んだ戦闘服姿のチンピラには、「お前ら、そんなところに立ってたら他のお客さんに迷惑だろうが、あっち行け」などと怒鳴る。明らかに「オレは只者ではないのだぞ」と周りを威嚇する手馴れた態度なのであった。

予約責任者の店の専務が応対してたのだが、断る訳にも行かずそのまま宴会を受けることに。

当日は10人がけのテーブルを30近くセットして、派遣されたコンパニオンが各テーブルについて飲み物をサービスするので、ウェイターの我々は料理運ぶだけで実に楽なもの。全国各地から黒塗りのベンツに乗ったヤクザが次々に到着。受付で記帳して分厚い祝儀袋を渡し、席に適当に座って一杯飲み、料理をちょっとつまんだら10分程度で次々と席を立って帰って行く。ヤクザとしては、出所祝いのような義理がけの席は、必ず来ることが大事だが、長居する必要はサラサラないのだった。

受付を見てると、あっという間に祝儀袋がダンボールで2箱以上になってたから、あれはずいぶん集まったのではないか。出所祝いをしてもらう本人は羽織袴の正装だったのだが、眉毛をそり落として刺青にしており、明らかに堅気とは違う異様な人相風体。

宴会の中では杯を交わした義兄弟の挨拶も。カラオケの披露などもあったのだが、これが聞いたこともないような泣き節のド演歌。弁舌達者な司会者が「我々も本日ここに、ますます任侠道に励むことをお約束いたしまして」などと述べるなど、実に興味深いものを見せてもらった。人生の中であれだけの数のヤーさんを一気に目にしたのは、後にも先にもあの日だけだったなあ。

料理運ぶ時など、余計な粗相をしないようにだけは気をつけたが、義理がけの宴会には、ヤクザでもそれなりの幹部が来る訳で、公の席で堅気に迷惑かけるようなまねはしない。その点が助かった。

宴会の数日後、噂を聞きつけたのか、兵庫県警の暴力団担当の刑事が来店。何人来たか、誰が来た、支払はどうした、祝儀はどれだけ集まったかなど根掘り葉掘り事情を聞いた上で、今後はこのような反社会勢力の宴会は受けないよう言って帰ったが、店も商売だし、正体分からずにいったん予約受けると、断りづらいのも事実なのだよなあ。

余談ながら、暴力団担当の刑事というのは人相風体も悪く、一見すると暴力団と見分けがつかない。違いはただ一点。ヤーさんは全員いつもピカピカのエナメルの靴を履いているが、刑事はそうではない。足元見れば、ヤクザか刑事か一目瞭然なのであった。

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コメント
この記事へのコメント
有馬温泉は一度かなり交通機関を乗り継いで行きました。やーさん300人一挙結集を見たり 刑事に質問受けたりと貴重な体験をしましたね。300人ものヤーさんは見てみたいものです。

私の叔母は、以前喫茶店をしていました。ある日、アルバイトの人が帰った後突然扉があき、男性が数人入ってきて「ここに絵を置かせてもらえないだろうか。月々○万円だけど、もし何かトラブルがあったら解決してあげるし。」当然話の内容からヤーさんなのは明白で、叔母は「トラブルあれば警察に電話しますから。結構です」と断ったそうで、賢明な選択をしたのでは、と。かなり時が経過した後、ある日親分自身がやってきてこう言ったのだそうです。
「ワシはなぁ~この3年旅に出かけてた(刑務所に服役してたことだと思うけど)のだが…ワシの子分が来たはずだけどあの例の話、そろそろどうだろうか。」「あっ、いいですよ、来月からでもいいですか。」と叔母が答えたので上機嫌でいろいろ頼んで食べた後帰っていく親分さん…その月一杯で店を閉めることになってるのも知らずに…。まあ多分叔母の店のある地域のお店からみかじめなるものを取っていたのでしょうね。
2010/08/15(日) 12:56:30 | URL | あのん #VttPGAsU[ 編集]
>あのん様

神戸は我が愛する故郷ですが、組織暴力の総本山、山口組の本拠がある地でもありまして、ずいぶんとその筋の人もおられます(笑)

しかし、眉を刺青にするなどの見るからにコテコテのヤーさんは、(これは幹部ではなく鉄砲玉系と思われますが)ディープ大阪のほうが多かったような気が。まあ、神戸も昔の新開地なんかに行くと、明らかに堅気ではない雰囲気の連中がいましたが。

ヤクザ者を声高に糾弾するのは容易なのですが、その問題の根っこには、やはり差別が横たわっている面があり、歴史が古く民族差別や部落差別の「本場」である関西にヤクザが多い理由もそこではないかとも思います。まことに恥ずかしい話ではありますが。

民間企業に、観葉植物を置いたり、絵を置いたりして一種の「みかじめ料」を取るというのは総会屋系のヤクザも、昔東京でもずいぶんやっておりまして、有名な企業でも払ってたところが多々あったはずです。

暴対法等の成立以降、総会屋系は次々摘発され、バレると総務部長のクビが飛ぶというのが常識になって、最近の企業ではもうすっかり姿は消したようですが。

まあ、街場の店にやってこられたら大変で、払う店もあるでしょうがねえ。
2010/08/15(日) 13:47:45 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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