97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
野田聖子の「それでも私は生みたい」
先週の週刊新潮に掲載された野田聖子衆院議員の、「それでも私は生みたい」という手記を興味深く読んだ。週刊誌の発行前にメディアには報道されてしまったが、野田聖子は、ドナーより卵子提供を受け、事実婚のパートナーの精子と体外受精。その受精卵を子宮内に移植。自ら出産するのだという。

野田聖子は夫婦別姓推進論者で、事実婚2回。不妊症であることが明らかになり、体外受精を何度も試したのだが、全て失敗。

野田聖子は、二度目のパートナーと出会って以降、自分の血にこだわらず、養子も選択肢に入れて検討したのだという。

これはアメリカではごく普通の選択で、ショッピング・モールなどに行くと、明らかに人種の違う子供複数を連れた家族というのは珍しくない。アメリカでは妊娠中絶は合法化されたものの、キリスト教原理主義者を中心に根強い反発があり、養子斡旋は、若い貧しい母親が、望まなかった子供を殺したり捨てたりしなくてもすむような、一種の社会的セイフティ・ネットとして働いている。

驚いたのは、日本で孤児などの養子縁組を斡旋する機関の基準が大変に厳しく、野田聖子が高齢を理由に養子斡旋を断られていること。子供の将来の幸せを考えれば、成人するまで働いているだろう若い親のほうがよいのは分かる。しかし野田は、自民党の二世代議士で、引き継いだ選挙区の地盤は磐石。自民政権時代は将来の女性首相候補とも言われている。そんな女性が里親として不適格なら、日本で養子斡旋を受けれるのは、いったいどんな人だろうと深刻に疑問に思うのだが。

そして最終的に彼女が選択したのは、他者から卵子を提供してもらい、自分が代理出産するという方法。昔、高田延彦と向井亜紀夫妻が米国で代理出産してもらった(DNA的には自分達の)子供と帰国し、日本の法制では実子と認められないと言われてだいぶもめていた。そもそも日本の民法は代理出産を想定していないから。

今回の野田聖子の場合、日本の法制化では、問題なく自動的に彼女が母親になるのだが、生まれてくる子供は自分とはDNA的にはまったく関係ないというのが実に奇妙なところ。「お腹を痛めた子供」とはよく言うが、女性はお腹さえ痛めれば、他人の子供であっても我が子と考えることができるのだろうか。これは代理母となって他人のために子供を生む女性とはまったく逆の心性であって、実に興味深いところ。

この手記を読んで、更に驚いたのは、「卵子提供者には、若い女性であることと、血液型以外は、国籍も含めて一切の条件を提供者につけていない」と書いてあること。本当にドナーの人種については、一切条件をつけてないのだろうか。アフリカ系やヒスパニック系はドナーとしてはあまりニーズが無いので少ないとは思うが、それにしてもどんな人種か生まれてくるまで分からなくて本人は大丈夫なのかねえ。まあ、世界人類みな兄弟の立場に立てば、実に立派な態度とも言えるが。

そういえば、アメリカの日本語コミュニティペーパーには、時折、日本人女性あてに、卵子ドナーを募る広告が掲載されていることがある。ドナーになれば、何千ドルかの報酬がもらえるのだそうである。やはり日本人の夫婦が卵子ドナーを探す時には、日本人に対するニーズは確実にあるようだ。しかし体外受精や代理母出産は、そんなにポピュラーなものだったとは今まで考えたことがなかっただけに、ちょっと驚いたニュースだった。

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コメント
この記事へのコメント
野田さんが行ったのは「非配偶者間体外受精」で、日本の不妊学会では認められてないのです。
代理母も、同学会に認められていないので、これらの治療を希望される方は、海外に行くしかありません。
野田さんは自分の責務として国内でもこういう治療をうけられるような仕組みをつくりたいと、ある高齢出産のSNSで発言されてました。

私も超高齢の母になるのですが、それだけでも偏見の目でみられます。たははw
一般人ですらそうなのに、あの立場で詳細を発表し、さらに自分を鼓舞するかのような野田さんの生き方、なかなか真似できるものではないですね。あれこそ、野田聖子なんだなって。
あんまり好きな議員ではありませんでしたが、その覚悟には惚れそうな気がしました←簡単やなー。
2010/08/31(火) 10:17:17 | URL | kai_nene #k9MHGdfk[ 編集]
>kai_nene様

日本はまだとんでもなく暑いようですが、お元気ですか。

日本の法律は、このような医学の進歩を想定していないので、親子関係の同定や相続等、やはり様々な問題が想定され、日本の医学会としても軽々しく認める訳にもゆかないのでしょうねえ。

DNAだけに着目するなら、代理母出産した子供を認知手続きによって、真の親の子供とすることは認められてよいようにも思いますが、そうすると野田聖子の場合は、母親と認められない訳で、整合性を取って取り扱うのがなかなか難しいだろうなと。

しかし政治家でありながら、堂々と公開する勇気は、確かに凄いなと感心しました。事実婚で、非配偶者間体外受精で自分が母になる。大変な決断です。

2010/08/31(火) 13:01:46 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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