97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「懲役」を知っていますか?
「「懲役」を知っていますか?~有罪判決がもたらすもの」読了。

古くは、元ヤクザ安部譲二の「塀の中」シリーズに始まり、その後も刑務所の中を描いたルポルタージュはずいぶん出版されている。その中でも、花輪和一の「刑務所の中」は、極めて優れたルポルタージュだった。やはり、普通の人間には見知らぬ世界であるから、その中を覗いてみたいというのはごく自然な心の働きというか。

この本は、極道など「懲役のベテラン」が書いた体験記ではなく、長年サラリーマン生活を送ってきた平凡な市民が詐欺罪で有罪になり、塀の中に落ちた実体験を元に、いわゆるアマチュア目線で、逮捕から拘留、裁判、服役という刑務所にまつわる実態を紹介するもの。

裁判への出廷前の待機場所が屈辱的なことや、刑務所に初めて入った時の配置決めの話など、やはり体験した者でないと決して分からない話もあれこれ。

ホモだと申告すると(例え嘘でも刑務所側では判別するすべがないので)刑務所の中では雑居房でなく独房に収容されるのだそうで、それを聞いて著者が実践してみる場面なども面白い。

懲役というのは役務をする刑罰なのだが、著者が配属された工場は、身体障害者や認知症の傾向のある高齢受刑者たちが集まった場所。著者は彼らの世話をする作業の担当となるのだが、認知症などに対する治療は刑務所の中では一切行われておらず、悪化する一方という実態は実に残酷なもの。

出所した後も、ハローワークに登録する際、前科を正直に書くと、まず100%求人は来ないという話を読むと、刑罰だけ与えるが社会復帰に対する支援が無く、再犯者を多数作り出している日本の刑罰制度が、本当にこのままでよいのか疑問を感じるところ。もちろん著者が服役したのは罪の軽い初犯が多い刑務所で、本当の極悪人には会ってないのだが。

病気があっても、ほとんど治療はしてもらえないのだが、懲役達に騒ぎを起こさず早く眠ってほしいからか、睡眠導入剤は頼めば刑務所内でも比較的容易に貰えるというのも興味深い話。

こんな話を読むと、麻薬中毒で逮捕された田代まさしが、服役中に睡眠薬を多用するようになり、結局また麻薬に手を出したのも頷けるような気がするのだった。まあ、懲役の実態を知るにつけ、その感想は、「やはりムショに入れられるような事はやってはいけない」という事に収斂してゆくのだが。

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