97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
和風総本家「銀座寿司物語」
日本ビデオ屋で、「和風総本家」で放映された「銀座寿司物語」の回DVDをゲット。9月初旬に放送されたもの。以前、別のところでこんな番組があったと教えてもらったのだった。寿司の名店2代目が銀座に進出するまでをドキュメントにしたのだという。

どこの店かと思ってたら、勝どきにあった「さゝ木」。ここの先代は有名な職人で、先代の時、勝どきの店も一度だけだが訪問したことがある。寿司種についてあれこれ聞いてもきさくに教えてくれて、なかなかよい店であった。その時は、この息子はもう修行から帰って店に立ってたと思ったが、先代が私の前に立って相手するのを遠目に見てるだけで、一切仕事はまかされてなかったような記憶が。

番組ではこの先代佐々木氏が、銀座「青木」の先代が急逝した時、後を継いだ青木親方に「分からないことがあったら何でも聞け」と声をかけ、昼の休み時間に青木まで来て仕込みのあれこれを教えてくれたエピソードも紹介されている。

先代佐々木氏は、「なか田」で修行した後、某巨大寿司チェインの総料理長になり、多くの職人を監督、指導。文春ビジュアル文庫「握りの真髄」では、紀尾井町の「はしぐち」も、佐々木氏に指導を受け、世話になった話が出てくる。独立する際の店(旧「青木」の場所)も佐々木氏が紹介し、開店の前には、まだ教えてなかった仕事があるからと、「さゝ木」を手伝わせて指導したり、開店当初は材料がはけないからと、築地で落ち合って、買ったマグロを「はしぐち」に分けてやったりと、「はしぐち」の恩人でもある。

しかし、若干奇異に感じるのは、この「さゝ木」2代目の息子が親父と目をあわそうともせず、ロクに口もきかず、新店開店直後に先代佐々木氏が訪れると、店の外に逃げ出すように出てしまうこと。男親と息子というのは、確かに面と向かうとなんだか気恥ずかしいものだし、親父が偉大であればあるほど息子としては忌避する心が生まれるのだろうが、それにしても40歳を超えた息子のこの態度は、人間としてちょっと狭量ではないかという気さえしてしまう。

結局のところ先代は息子が握った寿司を食べることもなく店を出る。番組ゲストは、新店に前の店のカウンタが使われていることを挙げて、「親父さんの心はちゃんと伝わってるんですよ」と言うが、あれは勝どきの店を息子が継いだ後に、青じゅうたん赤ビロードの椅子で有名なA工務店に頼んで全面改装したカウンタのはずで、先代の思い入れは無いんじゃないかなあ。

番組によると、この息子は親父の元では修行せず、札幌「すし善」で修行したのだそうだが、これもおそらく、どこに行っても親父と比較される東京を避けたのではという気もする。銀座の店を激励に訪れた師匠「すし善」の親方は、先代と兄弟弟子でもあり、それとなく先代の事を口に出すのだが、この息子にはおそらくその真意は伝わっていない。

多くの寿司職人を親身に指導し、慕われる稀代の名職人にしても、自分の息子を教える事は難しい。先代佐々木氏の仕事は、おそらくこの息子にはまったく伝わっていないという気もする。親の心子知らずとはよく言ったもので、寿司屋の裏側を描くというより、親子関係は実に難しいなあと感じさせるような番組だった。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック