97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
中国スパコン1位は、本当に事業仕分けと関係あるか?
蓮舫さん、2位じゃだめです…中国スパコン1位

この読売の記事は、見出しは扇情的だが、中身を読むとニューヨークタイムズの記事紹介に蓮舫の名前を適当にくっつけただけで、他には何も有益な情報を付加していないお粗末な記事。

中国のスパコンが一位になったのは、昨年の事業仕分けで蓮舫が予算カットしたからなのか? 事業仕分けで予算カットしなければ(実際には復活したようだが)今頃日本のスパコンが1位になってたのか? 何ひとつ自分で検証せずに、見出しだけ「蓮舫さん、2位じゃだめです」と書くのは、記者の、単純な世論を誘導する単なる汚い書き逃げに過ぎない。

蓮舫は目立ちたがり屋のでしゃばりで、ロクな人間ではないと思うが、そもそも芸能人上がりなのだから当たり前といえば当たり前。私も別に好きではないが、事業仕分けでスーパーコンピュータ予算を削ったから日本が中国に負けたかのように誘導するのは誤りなのでは。

新聞は事業仕分けでの蓮舫の発言を興味本位で取り上げるばかりで、果たしてスパコン関連予算が、本当に必要な事業予算なのかについてほとんど検証した記事を見なかった。文春だったか新潮だったかの検証記事によると、この予算に当初から反対していたのは、日本の「スパコン開発の父」と呼ばれる学者。

このスパコン開発には、当初計画から大きく環境に変動があり、経営環境悪化から国産コンピュータ・メーカ2社(日立・NEC)が開発プロジェクトから撤退。残るは富士通1社のみ。この段階で本来はプロジェクトを大きく見直すべきであったが、「追加で予算を投じれば、将来のほんの一瞬だけ日本が一位になる可能性がある」という想定の元に請求された予算だったという。

官僚は計画の変更や失敗の責任を追及されるのを大いに嫌うから、この計画にしても自らの主導権とポジションを失わないための絵に描いた餅であった可能性が強い。本来的には却下して出直しするのが当然だったプロジェクト予算。

その意味では、「2位ではいけないんですか」という言葉は、抜本的な見直しを行わず、失敗の可能性には頬かむりして、ほんの一瞬だけでも世界一になるからいいでしょう、という官僚に対する正当な批判だったのではないかと思う次第。

今回のスパコン1位になったのは、中国の国防科学技術大。当然ながら莫大な軍事予算が投入されているだろう。その前の1位が、アメリカのオークリッジ国立研究所だが、この機関も、原爆開発のマンハッタン計画に大きな貢献をした事で知られる国立の施設。ここにも巨額の軍事関連予算が投じられているはず。原子力発電やコンピュータ、レーダーやインターネット、通信衛星や様々な新素材、世界を便利にしてきた技術の発展の多くが、軍事技術開発に基づいている。

日本のスパコン開発の場合、コンピュータ産業の振興が、高度成長時代の国策として、通産省の肝いりで補助金と共に進められてきた背景を無視することはできないのだが、スパコン研究開発について、民間コンピュータ企業の持ち出しに頼っている面があり、軍事予算の一環として巨額の金を使える軍事大国と競り合うのにはおのずから限界があるだろう。

日本の新聞は、事業仕分けでの科学技術予算の削減を槍玉に挙げて得意顔だが、では軍事予算の枠内で、このような科学技術の発展に予算つけると政府が決めたらもろ手を挙げて賛成するだろうか。あるいは、原爆級プルトニウムの精製と核弾頭の爆縮技術について日本は先進国と比べて大変に遅れており、一位にならないといけないので予算つけますと言ったら、新聞はどう書くだろう。

本当に国策としてスパコン1位がどうしても達成すべき目標というのなら、官僚がボロ隠しの計画を掲げて予算をかすめ取るような絡め手などではなく、国の政策としてきちんと掲げて国の研究所を設立し、巨額の予算を投下するなどするのが本筋という気がする。

個人的には田舎の箱物や高速道路建設を中止して、それを基礎科学技術開発に投入するのが国家百年の計としてはよいと思うのだが。

まあ、しかしリーマンショックの景気刺激策でアメリカがばらまくインフラ科学技術関連予算が1,100億ドル、日本円にして90兆円。ちょっと桁が違うので、なかなか勝負にならないのは目に見えているのではあるが。

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