97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「無法松の一生」
「無法松の一生」DVDを見た。

なぜこんな古い映画のDVDを購入したのかというと、この映画について伊丹十三のエッセイで触れられていたのを思い出したから。伊丹の父、万作がこの映画の脚本を担当。幼少の十三の記憶に残る父親は、病床でこの映画の脚本に手を入れていたのだが、この映画は、まだ小さい我が息子を残してこの世を去らなければならなかった万作の、わが子へのメッセージのように思えるのだという。

稲垣浩監督のオリジナルは戦前に阪東妻三郎主演で製作されたのだが、戦時中の軍部の検閲にあい完全版は残されていない。同じ伊丹万作脚本で1958年にリメイクした戦後版をDVDで入手したのだった。

乱暴者だが人情味があり、一本気で竹を割ったような性格で誰にでも愛される無法松を三船敏郎が演じる。人力車夫の無法松は、ふとしたことから陸軍大尉の息子を助け、家族と知り合いになるが、大尉は病気ですぐに死去。無法松は未亡人(高峰秀子)への思慕を心の奥底に隠しながら、腺病質でひ弱な遺児の父親代わりとして、影に陽に親子の力となってゆく。

高峰秀子も実によいが、三船敏郎が素晴らしい。

無学の乱暴者であるのだが、アウトローではない。自らを律する規範をきっちりと引き、許されぬ相手を心密かに慕い続ける純情な男を見事に演じきっている。身分制度が残る大正期を舞台にした日本的物語なのだが、国境を越えて人の心を打つ普遍的ストーリーでもあり、ヴェネチア国際映画祭グランプリを受賞。

一時期、小津映画はDVDボックスを次々購入して凝ったのだが、他にも日本の昔の映画には実によい作品がたくさんあるはず。新規の邦画にはもう期待していないが、今後はもう少し昔の映画を掘って行くか。

伊丹万作は46歳で、当時13歳であった伊丹十三を残してこの世を去っている。それはそれは心残りだったろうと、映画を見ながらそんな事も考えた。


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2010/11/09(火) 06:49:00 | | #[ 編集]
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