97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
認めてしまったら身も蓋もない真実
「千代白鵬ら3人、八百長への関与認める」

八百長については、映画にもなった、「ヤバい経済学」でも分析された通り、本場所の勝敗を統計的に解析すれば、大相撲において、なんらかの星の貸し借りが存在することはほぼ確実。

しかし、この星の貸し借り(あるいは売買)は、大相撲という閉鎖的な古い世界でみんな一緒に呑気に生きている相撲取り達が伝統的に行ってきた、本音と建前の間、峻厳たる勝負の世界と現実の相撲界の間の潤滑油であり、必要悪だったのではないかと思う。

怪我や病気で負け越す力士に勝ち星を貸してやる。下の者から買って下さいよと乞われれば、本気でやれば負けるはずはない横綱でも、下位力士に小遣いやるために星を買ってやる。そんな貸し借りや人情の世界であって、本来的には一時的なもの。八百長のことを相撲界の隠語では「注射」というが、まさにその通りで、弱い力士が金で大関や横綱に登り詰めることができる訳ではない。

この大相撲の八百長は、本当に糾弾されるべき大犯罪だろうか。公営ギャンブルにおける八百長は確かにまずいだろうが、大相撲に助け合いの星の貸し借りがあったとして、その被害者は誰で、どこにどんな被害が存在するのだろう。

そして、正直は確かに美徳であるけれども、しかるべき幻想を維持するためには、明かしてはいけない身も蓋も無い真実というものがある。

暗黙の了解として八百長を否定しないのと、やりましたと告白するのは次元の違う話。大相撲協会は今まで一度も公式に八百長の存在を認めたことはない。八百長について語ったのは、全て引退して相撲協会から去った力士のみ。それが今までの大相撲防衛の最後の一線であったし、今回も八百長など無いと突っぱね続けるべきであったと思うのだが、現役力士の証言が飛び出るというのは、やはりまずかった。

フーテンの寅さんではないが、「それを言っちゃあ、おしめえよ」の世界である。

理事長の元大関魁傑は、真面目で愚直な力士だったから、本人は星の貸し借りをしたことはないかもしれない。弟子の大乃国もガチンコ力士として有名で、横綱が本場所皆勤して負け越しという驚天動地の記録を作っている。しかし相撲界に蔓延する星の貸し借りの習慣を知らなかったはずはない。理事会が力士を尋問して告白させたとのことだが、相撲取りが相撲界を壊してどうするという気がするなあ。

大相撲・朝青龍問題のカテゴリーで何度も何度も書いてきたのは、大相撲は、神事であったが、伝統芸能でもあり、興業でもある。相撲取るしか能のない呑気な相撲取り達だけが生きる古い世界であって、彼らが何をやろうが、別に世間には何も迷惑をかけていない。社会の常識を投影して目を三角にして声高に糾弾したり、老いぼれの学者や役人を委員に任命して、嬉々として正義の鉄槌を振るわせるのは止め、彼らを昔ながらの伝統の世界でだけ生きさせてやればよいではないかということだ。

「おすもうさん」という本を読めば、自ら相撲を国技と称したことすらない相撲取り達が、、世間から国技という重荷を背負わされ、それによっていかに翻弄され、右往左往してきたかの気の毒な歴史がよく分かる。

星の貸し借りがあろうが、なかろうが、実は相撲界内部だけの話。放っておいてやれと言いたいが、矛先を見つければ、なんでもかんでも目を三角にして袋叩きに糾弾する、昨今のメディアに誘導された世論は果たしてこれを許してくれるだろうか。

理事会が、今回白状した力士達だけを、琴光喜のように「臭いものにフタ」で切り捨てて、それでオシマイにできると計算してたとしたら、大いなる計算違いになる気がする。

この八百長問題が、大相撲の終わりの始まりにならないとよいのだが。

まあ、世論に袋叩きになり、本当にどうしようもなくなったら、公益法人の資格を返上するかわりに、文科省や相撲界以外の理事にも全てお引き取り願い、相撲取りだけの世界に戻って、ひっそりと伝統に生きてゆくしかないのではないか。

そして、たとえそうなっても、伝統の世界に生きる、相撲を取るだけしか能のないちょっと哀しい大男達を、私は応援したいと思うのだが。
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コメント
この記事へのコメント
携帯にメールが残っていたらしいですから言い逃れしづらかったんじゃないでしょうか。
証拠に明らかに残るような仕方してたのもまずかったですねぇ・・・
電話やモールス信号で密談すればよかったのに(笑)

お客さんは八百長の存在を薄々は知っていたでしょうからそんなに世間からは糾弾されないんじゃないでしょうか。騒いでるのはメディアだけのような気もします。

文部省は不祥事が起きた場合公益法人を取り消すこともあるらしいですから
おっしゃる通り、これで相撲協会も解散→伊藤滋一派退任→細々と一般芸能として一からやり直して出発するのもいいのではないでしょうか
2011/02/06(日) 09:56:40 | URL | maru #pcqW7CJ.[ 編集]
携帯メールで八百長の相談するというのも、実に現代的ですが、相撲界にはなじまない気がしますねえ。

星の貸し借りは、大相撲の伝統でもありますから、まあちょっとやそっとでは改まらないと思います。
2011/02/06(日) 10:53:30 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
特別調査委員会座長のおいぼれ学者は、嬉々として、「しつこく調査する」と発言。

学者の本分は学問であって、相撲協会の改革ではない。

余計なことせずに、早く学問の世界に帰ってもらいたいと思うのだが。
2011/02/06(日) 15:16:09 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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