97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
ハマコーの遺言 「YUIGON」
「ハマコー」として知られる政治家、浜田幸一の書いた、「YUIGON ~もはや最期だ。すべてを明かそう」読了。

これは、暴れ者ハマコーが、自らの人生を振り返る自伝。木更津のダニと呼ばれ、人を刺して服役した若い頃。児玉誉士夫や稲川会との関係。代議士として政界入りしてからの青嵐会での活動。そして、政界入りしてから見聞きした、自民党内の派閥争いなどの記述は、昔出版した自著、「弾丸なき抗争」や「日本をダメにした九人の政治家」に書いてあることと若干の重複があるが、なかなか興味深いもの。

最初こそ川島派に入ったが、その後は無派閥。本人は田中派の「伏せ駒」だったというが、この真相も、田中角栄無き後、もはや明らかになることはない。

当選7回だが閣僚経験一度も無し。金丸信の奥さんに気に入られ、金丸に処遇を頼みこんでくれてなんとか就任した予算委員長も、「宮本顕治殺人者発言」でたったの10日で辞任。金丸の奥さんからは、「お前なんか死んじまえ」と泣きながら電話があったというが、まったくその通り。自分がこうだと思ったら辛抱が効かない、ハタ迷惑で回りを振りまわす粗暴な男なのである。

しかし、世間では暴れ者として恐れられるハマコーも、実は政界ではあまり重きを置かれていなかった。

皇民党事件では、副幹事長として日本皇民党に単身乗り込んで顛末を金丸に報告するも、金丸は「あ、そう」と気のない様子。しかし、後に分かったところでは、金丸は裏で暴力団稲川会の石井会長に仲介を依頼していたのだ。ハマコーは、「石井会長はヤクザ時代の私の兄貴分だったのに、なんで私に言ってくれなかったのか」と憤慨しているのだが、要するに師事していた金丸信にも、あまり重用されてなかったということでは。

自民党が行った野党への金ばら撒きや、田中角栄の金権の実態にしても、よく読むと、ハマコーそのものが大きな役割を果たしたのではなく、当時の政界では小物として横で見ていたに過ぎない。本当の実態を知る自民党の大物は、今まで決して語ったことはないし、鬼籍に入った者多し。そして今後も、決して語ることはないだろう。

しかし、この本には何点か驚くべきことが書かれている。

ひとつは自分の選挙区で金をばら撒いて票を金で買っていたという告白。もはや公職選挙法違反も時効であり、82歳のご本尊にとっては何も怖いことはないのだろう。金権千葉とはよく言うが、だいたい一票一万円と相場までアッケラカンと語っているのには驚いた。

もうひとつは、ロッキード事件の際に取り上げられたハマコー・ラスベガス事件。カジノでの150万ドルの負けを小佐野に立て替えてもらい、これにロッキードの賄賂が流れていたという疑惑。この本では、この金がいったいどこに行ったのか、どんな性質の金だったかの真相についてもまた、驚くべきことをハマコーが暴露している。もしも本当だったら、その詳細をどうしても追求したくなる話。ただ、本当にハマコーの言う事が真実なのかどうか。真相は闇の中で、もう明らかになることは永遠にないのかもしれないが。

そして、自らの引退について語った後、小沢一郎の政界での経歴と不正蓄財疑惑に触れ、
小沢君、もうそろそろ潮時だと思う。君の剛腕に期待する国民も少なからずいるようですが、君にはどうも説明能力が決定的に不足している。これは現代民主主義国家のリーダーとしては致命的な欠点なのだよ。

と語った部分には、誠に同感する。確たる政策もなく、政治の権力闘争だけに長けた古参政治家は、そろそろ退場の時期なのでは。小沢が今、日本の総理になったとして、何ひとつ状況が変わるとは思えない。彼の政治資金団体の財産がまた増えるだけの話である。

魑魅魍魎が跋扈する政界を、誰にも頼らず一匹狼として、周りからは冷ややかに扱われながらも、最後まで泳ぎ切った。なんとも変わった暴れ者の、まさしく「遺言」として、なかなか奇妙な読み応えを持った一代記であった。

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コメント
この記事へのコメント
父親はギャンブルで一文無しになったらしいですから受け継いだ資産もなかった上にヤクザだったりしたのにどこから政治資金集めたのかすごく不思議ですが、そのあたりのお金の流れについて本に書かれていますか!?

>君の剛腕に期待する国民も少なからずいるようですが
そうそう、未だに小沢の信奉者が議員の中にもいるのが不思議ですよね。
2,3日前の渡部恒三との合同誕生日パーティーには民主党議員が140人以上結集したらしいし 
絶対未だに総理の座狙ってますよね
2011/05/26(木) 17:17:15 | URL | maru #pcqW7CJ.[ 編集]
>maru様

本には、父親は地元の名士であったが、戦後の公職追放で没落するように書かれてましたかね。もっとも、財産などまったく継承した話も書かれていません。

そして、国会議員になるための資金はどう工面したかも。

やはり、ヤクザから、町会議員、県会議員と階段を上ってゆく課程で、それなりに(合法かどうか知りませんが)集金マシーンを作り上げたのではないでしょうか。

政治権力の亡者、小沢は、国難とも言うべきこの時期に、いまだにこれを「政局」としてしか捉えてないようで、これに辟易します。本人が首相になって、本当に何かできるのかどうか。多分、何もできないでしょう。
2011/05/26(木) 20:30:02 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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