97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「SUPER8/スーパーエイト」を見た。
「SUPER8/スーパーエイト」を見た。先週封切りされたばかり。

監督・脚本・製作はJ・J・エイブラムス。スティーブン・スピルバーグ共同製作。

1979年のオハイオ州の小さな町。駅舎で自主製作8ミリ映画を製作していた少年達が、たまたま大規模な列車脱線事故に遭遇する。その事故の撤収にやってきたのは軍隊であり、彼らは全てを秘密にして事故の痕跡を消し、何かを捜索しているようだった。この事故の直後から、町には不思議な数々の事件が起こり始める。貨物列車に積まれていたのはいったい何だったのか。

スタートレックの監督やクローバーフィールドの製作を手掛けたエイブラムスが、「未知との遭遇」や「ET」にインスパイアされて製作したかのようなSF物。


(ここから先は、若干の作品のネタばれを含むので、これから見る予定のある人は読まないほうがよいかも)










昔、墜落したUFOがあり、搭乗していたエイリアンが空軍基地に捕獲されていたという設定は、ロズウェル事件やエリア51を思わせて、なかなか興味深い。そして、そのエイリアンが事故を起こした列車に載せられており、これが脱出して活動を始め、様々な怪異現象を町に引き起こすというのも、なかなか引き込まれる設定。

しかし、もうひとつストーリーの軸となり、時間を費やして描かれる、少年達のゾンビ映画作製の物語は、エイリアンのほうのサスペンスと、あんまり折り合いがよいとはいえない。むしろ作品全体のテンポを遅らせる面もあるような。

例えば、事故現場で軍の指揮官が、逃げる少年達が落としていった8ミリフィルムの箱を手に取る。この伏線から観客が想像するのは、少年達のカメラに何か異常なものが映っており、現場にいたことが軍に判明して、子供達が軍に追われるというストーリー。

しかし、事故後も少年達は呑気にゾンビ映画を撮っているし、軍隊はなかなか少年たちが現場にいたことに気づかない。事故現場の少年たちのカメラに映った映像についても、若干出し遅れ気味で、もっと早めに観客に映してほうが、サスペンスを盛り上げることができたと思うのだが。

この映画のエイリアンの設定で、若干失敗ではないかと思うのが、まるで「クローバーフィールド」に出てきたような醜悪な怪物で、残虐であるということ。まあ、軍の指揮官を殺すのは、研究のために空軍基地に幽閉されて虐待された積年の恨みということで理解できないこともないのだが、人を食うという設定はちょっとやり過ぎのような。この映画を見た観客は、このエイリアンを気の毒に思ったり感情移入したりは全くできないだろう。

だから折角、エイリアンを開放しようとする元科学者や、少年とのテレパシーによる意思疎通を描いても、こんな人殺しの怪物相手ではなあ、と誰しもが思ってしまう。

「District 9」では、最初「プロウン(海老)」と呼ばれ化け物のように見えたエイリアンが、話が進むにつれて人間味をもって見えてくるのだが、この映画はそこが違う。

最後のペンダントのシーンは、「ET」へのオマージュとも思えるが、エイリアンそのものが、同情も感情移入もできない人食いの怪物として描かれているため、あまり有効に機能していない。エイリアンと少年が意思疎通できたというより、「やれやれ、恐ろしい怪物がようやく去ったわい」という安堵しかわかないのだった。

主役の少年がエイリアンに捕まって食われそうになった時、テレパシーによって意志が通じる。少年が繰り返す「Bad Things Happen」という言葉は、悪いことはおこるものだ。すなわち、運が悪かったんだよ、とか誰にも責任はないよ、という意で、これは少年が母親の死を受容して超克することに繋がっている。しかし、これもいまいちカタルシスを感じない。なせかというと、しゃべる相手のエイリアンが人食いの怪物だから。


全体にずいぶんスピルバーグの好きそうなネタを詰め込んで気を使って作ったんだなという感じだが、「未知との遭遇」や「ET」や「グーニーズ」は実によくできてたなあという感慨を抱く。スピルバーグはどうやったら観客に受けるかを冷徹に考え抜く、「少年の心を持った商売人」で、エイブラムスも、もうちょっとこの商売人のところを勉強しなくては。

エンドロールが始まってから画面に映される、完成した少年達の8ミリゾンビ映画はオマケなのだがなかなか面白い。主演の少年役のジョエル・コートニーも、ガールフレンド役のエル・ファニング(ダコタ・ファニングの妹なのだそうだが)も実に印象的。エイリアンが人食いではなく、もうちょっと少年少女との魂の触れ合いがあったなら、かなり映画の印象が変わったと思うのだが。

画面には、時折水平の青い光が映りこむのだが、あれは単なるレンズの反射か、あえてやってるのだろうか。何の効果なのかちょっと不思議だった。







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コメント
この記事へのコメント
あの青い光は、SUPER8という題名に ちなんだ演出だそうです。
現在のデジタルカメラによる映像では、青い光のハレーションは写らないのですが、8ミリカメラで撮影した場合は、青い光のハレーションが写るのだそうです。

今年はエイリアンの活躍する映画が多いですよね!?
本日公開(日本は秋公開)のエイリアン&カウボーイは、主演がダニエル・クレイグ、助演がハリソン・フォードで、映画館で見た予告編がおもしろそうだったので、かなり期待しています。

スカイラインは未視聴で、レビュー助かります(もちろん他のレビューも)、DVDは買う価値有りそうでしょうか?
2011/07/31(日) 11:07:02 | URL | maru #wE7856n.[ 編集]
ああ、そうですか。やはりあれは、意図的な映像上の演出なのですか。8ミリカメラを持ったことはないのですが、あんな風な光が映るんですね。

エイリアン&カウボーイは、予告編見ましたが、なかなか凄そうですね。

スカイラインは、CGに関しては実に素晴らしいので一見の価値ありますが傑作ではなく、おそらくDVDになってしばらくすると大幅に値崩れするので、安くなってから買うのがよいのではと思います(笑)

2011/07/31(日) 20:15:17 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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