97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「官僚の責任」
「官僚の責任 (PHP新書)」読了。

著者の古賀茂明は、「日本中枢の崩壊」もベストセラーになったが、改革派の経産省キャリアで、自公政権時代から渡辺喜美行政改革担当内閣府特命担当大臣に頼りにされ、公務員改革の知恵袋となり、民主党政権でも内閣官房に設置された国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任した人物。

しかし、自公政権下でも渡辺喜美は大臣を退任して公務員改革は頓挫。政治主導を詠った民主党による公務員制度改革も、結局のところ完全に失敗に終わる。役所に戻れば、保守派の官僚からしたらとんでもない裏切り者、獅子身中の虫であって、梯子を外されて閑職に追いやられる。何も仕事を与えられず、結局退職勧告を受けて先月経産省を退職。

まあ、経産省改革派として順調に出世してたのだが、出世争いに敗れ、渡辺喜美のところに走って公務員改革のブレインとなったが、一度裏切った者を官僚機構は決して許さなかったという事なのだろう。

本書では、お役人の習性やその仕事の実態についてあれこれ批判が書いてある。予算と天下りポストは一度得たら絶対に手放さない。国益よりも省益優先。先輩の決めたことは絶対に覆さない先例主義。年功序列で出世し、同期が次官になれば全員が退職し天下る独特の人事制度。一種合格キャリアは役所にしがみつけば一生食うに困らない現代の科挙のごとき公務員試験。夜中まで庁舎には煌々と灯りがついているが、幹部は宴席に出かけており、下の者はただ上の退庁を待ってるだけで、実は何も仕事してないことなどなど。しかし、これらの指摘は、実は公務員を内部批判する本を一冊でも読んだ事がある人には、何ひとつ目新しくない周知の事実。

官僚の生々しい実態については、むしろ政治記者が書いた「財務官僚の出世と人事」のほうが興味深い出来だったようにも思える。

著者の主張する、「年功序列人事の廃止」、「天下り規制の強化」や「事務次官廃止」などの主張は、興味深い点もあるが、やはりその官僚機構批判の裏返しであって、それほど斬新なアイデアとも思えない。しかし分かっていても実行できないのが、この問題の根が深く難しいところ。

民主党は「官僚主導から政治主導へ」をマニフェストにしたのだが、政治家のほうにロクな者がおらず、官僚を上手に利用することすらできずに自滅していったという著者の指摘については完全に同意。

自民党の政治システムは、官僚と共存して利権を分け合うという、国民不在の政官だけによるwin-win構造だったのだが、各委員会に所属し、族議員となる過程において、官僚からのレクチャーをずっと受け(癒着という問題が反面としてあるものの)、政策についてもきちんと勉強していた議員も多かった。民主党で大臣となった名前も聞いたことなかったような議員達は、やはり能力の無いバカばかりで、官僚からはソッポを向かれ、サボタージュに遭い、何一つロクな仕事をできなかったのは連日報道されている通り。

まあしかし、そうなると、やはり日本では、官僚と政治家だけが密室で利権を貪る旧自民党型のシステムしかきちんと動くものはないという、実に暗澹たる結論になってしまうのだが。

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