97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
84億円を会社から借りる
日経ビジネスに「大王製紙に見る企業の不統治」の記事。

すでに先週の週刊誌ではずいぶん報道されていたが、大王製紙創業家の御曹司、井川意高会長が、グループ会社から84億円を個人的に借入していたことが発覚して退任に追い込まれたというお話。

なんでも父親である元社長の井川高雄名誉顧問が、個人的に弁済を申し出ているため会社に損失は出ない。まあ最初から親父に借りておけばそれでよかった訳なのだがなあ。

昔はよく、法人税務調査等で、社長への貸付金が役員賞与と認定されて所得税課税されたり、社長の愛人の住居を会社の社宅として借り上げていたり、会社側が仮払金の使途を明かすのを拒否して使途不明金として認定されたりなんてエー加減な会社の話を聞いたものだが、このコンプライアンスの時代にあって、まだこんな杜撰な事がまかり通っている上場会社があるんだなあとびっくり。

日経ビジネスの記事は、社外監査役の怠慢など企業内部のガバナンスに問題ありと指摘するのだが、これは確かにその通り。経営を世襲する同属企業というのは、たとえ上場したとしても、ガバナンスなんぞあって無きが如きかも。

しかし、会計処理はいったいどうしていたのかと興味を持って、平成23年度3月期の有価証券報告書を会社のWebで閲覧。

連結財務諸表に計上された長期貸付金は50億円しかない。短期貸付金は区分経理が無く残高不明。若干異様に感じるのは、流動資産全体に対する貸倒引当金が4億しか計上されてないのに、固定資産の貸倒引当金が24億円もあること。貸付残高そのものも前期比較で13億円増えてるのがやはり奇異に感じる。もう返してもらえないと判断した子会社が貸倒積んだのか。しかし普通に親会社の役員に対する貸付金に貸倒れなど計上していたら、J-SOXによる内部統制上もまずいことになってたはずなのだが。

しかし、「連結財務諸表提出会社の連結子会社と関連当事者との取引」には、井川意高会長への貸付の記載があり、ここに短期貸付金23億円が記載されている。「市場金利を勘案して金利を合理的に決定しています」と注記があるのだが、この貸付金は前年度はゼロであり、ここにも異様な事態が見て取れる。監査を通した23億円から、1年足らずで貸付金が84憶円まで急増したのかねえ。あるいは前年度の決算で既に糊塗した金額があったのだとすると、有価証券報告書の虚偽記載に当たる場合もあるのでは。どうもあれこれきな臭い財務諸表ではある。そうか、会計監査人はトーマツか。

この御曹司は、東大に現役合格してるというから、まあ、金持ちのアホボンとはちょっと違うのかもしれないが、週刊誌報道ではマカオのカジノに注ぎ込んだとか、宗教からみだとも噂されている。それにしても84億も会社から金引き出せるとは、うらやましいもんですな。<オイ。



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コメント
この記事へのコメント
異常な注記
こんばんは。

平成23年3月期の関連当事者取引の注記に23.5億の貸付の注記が出ていますが、この注記についてよく誰からも指摘を受けることなく有報が世に出てきたなと思います。たとえ、オーナー会社とはいえ・・・。形式的に問題なくても、上場会社が個人に24億もの金を貸すのは異常だと思うのが普通じゃないですかねえ。
2011/10/06(木) 01:40:25 | URL | Ryo #-[ 編集]
>Ryo様

そうですね。前年度末有報の、あの辺りの記載で、全てがもう土俵際だったので、社長が退任を勧めたのでしょうか。

上場企業でまだこんな会社があったかと驚きですが、世襲の零細・中小企業では、スケール小さくとも、同じようなことをやってますね。

2011/10/06(木) 23:29:09 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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