97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ブラック・スワン」DVD
先日のアメリカ出張で、SFO-NRTのUnited Airline機内ビデオで見たのが「ブラック・スワン」。New ConfigurationのB-747ビジネスクラス席は、フルフラットになるし15.4インチのパーソナルビデオがついており、なかなか楽しめたのだが、機内で見る映画は、音響も画質もイマイチ。やはりもう少し大きな画面で見たいなということで、「ブラック・スワン 3枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー」購入。

ブルーレイだけしか必要無いのだが、Amazonでは、DVDとデジタルコピーと称するディスクも一緒についてくるこのバージョンしか見当たらなかった。

主演のナタリー・ポートマンが演じるのは、NYのバレエ団に属するダンサー。成功しなかった元バレエダンサーの母親に過保護に寵愛され、小さな頃からバレエだけのために生き、常に完璧を求める生真面目な優等生タイプの彼女に「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。無垢な美の象徴であるホワイトスワンと、ダークサイドの象徴であるブラックスワンを一人のプリマが演じるという演出構想。ホワイトスワンは踊りこなせても、邪悪な官能性を象徴するブラックスワンの役は彼女の手に余る。この大きな挑戦の重圧に、生真面目なニナは追い詰められ、次第に精神に変調をきたしてゆく。

いわゆるスポ根物かと思ってたら、サイコ・ホラーの範疇にある映画。アメリカでのレイティングは「R」になっており、かなり際どいセクシャルなシーンあり。UA機内版はある程度カットされてた模様。メイキングによると、映画はかなりの低予算で制作されたとのこと。

ナタリー・ポートマンは、重苦しく迫る大役の重圧に精神の崩壊をきたしてゆく主人公を好演しており、アカデミー主演女優賞受賞も頷ける出来。

楽屋やけいこ場で見せるダンサー同士のむき出しのライバル心や嫉妬、キャスト獲得を巡るつばぜり合いなど、バレエ界の内幕を描いた部分は、ちょうど監督のダーレン・アロノフスキーが「Wrestler」で場末のプロレス興行の内幕を描いて見せたのを思い出すリアルな出来。あれも小品ながらよい映画だった。

主人公のブラック・スワン役獲得を脅かす、サンフランシスコからきた奔放なダンサー、リリー役のミラ・クニスが魅力的だし、監督役のヴァンサン・カッセルも印象的。ダンサーとしての盛りを過ぎ、監督の寵愛を失って自暴自棄になるダンサーを演じるウィノナ・ライダーも、ちょうど「Wrestler」にミッキー・ローク自身が投影されてたのと同じ凄みを感じる。そもそも「Wrestler」と一本の映画にしようとの構想があったが、あまりにもストーリーを盛り込みすぎるということで、別の映画になったらしい。確かに別の映画にして正解だった。

身近で次々に起こる、現実か幻想か分からない奇異な出来事。潔癖なまでに完璧にこだわるが故に奔放に羽ばたけなかった主人公が、自分の内部深く潜んでいたどす黒い衝動、その魔性を探り当てた時、観客の前に見事なブラック・スワンが姿を現す。たった一度だけ。

「I felt it. Perfect. I was perfect.」 絶望の淵から這い上がった歓喜と暗い陥穽。ラストシーンは実に陰惨であり、かつまた感動的だ。

「Wrestler」も、もう一度DVDを引っ張り出してこよう。





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2011/11/20(日) 05:50:27 | | #[ 編集]
最後の劇場で、名演を見つめていた母親も主人公の幻想であったかどうかについては、どちらの解釈も成り立ちますが、個人的にはあれは本物だったと思いますね。

チケットは既に持ってたはずなので、見に行って不思議はないし、娘を溺愛しながらも娘が自分を超えることを畏れる母親と、母親からの支配を逃れようとした娘が、最後に和解するシーンですから。あれまでも幻想だったとすると、あまりにも哀し過ぎる気が。

ポートマンは、確かに「レオン」のマチルダ役が記憶にずっと残る出来でしたねえ。

2011/11/20(日) 19:09:32 | URL |  Y. Horiucci #-[ 編集]
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