97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「銀座ナイルレストラン物語」
「銀座ナイルレストラン物語 日本で最も古く、最も成功したインド料理店 」読了。

飲食店の一代記というのは、例えば「神田鶴八鮨ばなし」もそうだが、実に興味深いものだが、この本もまた面白い。

私自身は、「ナイルレストラン」には一度も行ったことがないのだが、古くから実に有名な店。店に入るとインド人の怖い親父がいて、メニューを所望する前に、「ムルギランチね?」と言う。「あ、あのメニューを」と言うと、「ムルギランチいちばんおいしい!」と言い張る。しかたなくそれを頼むと、サービスする時に煮込んだトリの骨を取ってくれて、「よく混じぇてね!」と言われるのだが、混ぜて食べるとこれが本当に美味い。そんな話はあちこちで読んだ。

この本によると、ムルギランチを一押しで勧めてたのは長く店にいた古参のインド人店員らしいのだが、店を創設した初代のA.M.ナイルもまたインド独立運動の闘士であった頑固親父。自身は料理を作らず、店のメニューを味見することもなかったが、自分の店のスタイルを決して崩すことはなかったのだという。

二代目として店を引き継いだ息子、G.M.ナイルの語りがこの本の元になっているのだが、インド人の父と日本人の母の元に生まれたこの日印ハーフの二代目の語りが実に軽妙かつ含蓄があって、この本を実に興味深いものにしている。

二代目ナイルは子供の頃からの警察マニア。銀座界隈で事件があるとすぐに現場に駆けつける。「犯人は一人だな」と呟く刑事に、「違う違う、これは2人だ」と口を挟んで激論になり、「お前はいったい誰だ」と呆れられたが、その後その刑事と親友になり、火事で店が全焼した時に土地の所有者との交渉事にその刑事が手弁当で奔走してくれた事など、店にまつわるエピソードのあれこれは最初から最後まで聞き飽きない。

店の味に関しては一切口出ししてなかった初代が亡くなったら、「味が落ちた」などとしゃべる知ったかぶりがいる、許せん、などと語る部分も、親父が創業した自らの店を愛し、昔のままに次代に継承しようとするプライドの表れ。この本読むと、一度はナイルレストランに行きたいなという気分になる。

名物ムルギランチとサッポロビールかねえ。もっとも常連ばかりでいつも混んでるという話なのだが。

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