97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
BSで「チャイナ・シンドローム」
先日、BSで放映された「チャイナ・シンドローム」を録画しておいたので、昨夜に観賞。

原発事故を扱った映画だが、公開された12日後に実際に全米を震撼させたスリーマイル島の原発事故が起こったという事もあり、観客動員が伸びたのだとか。

極端な反核の姿勢はなく、あくまでも一種の社会派サスペンス。それでも、ジェーン・フォンダ扮するTVレポーターがたまたま原発を見学した際に原発に異常事態が起こり、あわや冷却剤喪失に至る寸前のコントロール・ルームの緊迫感など、実によくできている。

異常が起こったら壁面のパネルのアラームが一斉に点灯し、プリンタからは山のような異常メッセージが吐き出され、いったいどこに真の故障があるのかが分からない。水位計の表示が誤っており、実際には蒸気が漏れて推移が下がっているのに、水位が異常に上がっているものと判断を誤り、配管から蒸気を逃がして圧力容器内の冷却剤を減らしてしまい、メルトダウン寸前になるというのは、直後に起こったスリーマイル島の事故をまるで予言していたかのようなシチュエーション。

TMIでは原子炉が自動スクラム後、圧力容器内の冷却水が沸騰しており、蒸気が水位計に流入して水位計が正しい水位を示さず、運転員が冷却水過剰と誤判断し、非常用炉心冷却装置は手動で停止され、メルトダウンにいたったのだった。

手抜きの工事を隠そうとする施工会社、原発の安全性を過信し悪い情報を隠そうとする電力会社などの、悪しき原発推進体質は、この映画でも見事に捕らえられているし、反原発派と原発推進側の対立も、類型的であるが、きちんと描かれている。

しかし、この映画での反原発派の描き方は、原発建設の公聴会で、母親達が集まり自分達の子供達の写真を掲げ、名前と年齢を読み上げたり、どうせ自分達の意見は聞き入れてもらえないからと、最初から自分達にさるぐつわをかませて持ち時間をすべて沈黙で使うなど、ダイ・インなどをやる極端なグリーンピース的、あるいはプロ市民的なパフォーマンス風。

原子力発電の恐ろしさを印象的に描いた出来のよい映画ではあるのだが、反核運動の描き方は、あまりにもエモーショナルなその戦法では、原発建設廃止は実現困難だろうなと思わせる出来。反原発派のバイブルとなってしかるべき映画でもあるが、そうなっていないのは、反原発運動の描き方が、彼らの反感を買った点もあるのでは。まあ、実際に、ウソをついてでも原発の危機を煽るという極端な反原発運動は、いまだに世間の理解を得られていないのだが。

映画に出てくる半核運動の科学者が映画内で、チャイナシンドロームについて説明する。核燃料がメルトダウンすると発電所の床を突き抜けて地中に沈み込み、理論的には中国にまで達する。しかし実際には地下水にぶつかると爆発を起こし、放射性物質が大気中に撒き散らかされ、風向きによって多数の死者が出る。そしてその後、ガン死が増加するのは当然として、ペンシルバニアに匹敵するエリアが永久に居住不能となる、と。

チャイナ・シンドロームというのは学術的な言葉ではなく、あくまでも俗語。メルトダウンした核燃料は確かに高温になるが、地殻を溶かしてズブズブと地中に沈み込んでゆくことは事実として証明されている訳ではないし、万一沈み込むにしても重力によるのであり、いくら沈んでも地球の中心(コアに達する前に回りの高温・高圧とと既に区別できなくなっているに違いないが)に達したらそこでストップするのが当たり前。要するに起こりえないことを言っているのだが、今回の福島事故でも反原発の科学者が、この映画で語られるほぼその通りを事実の如くしゃべってるのには、どうも違和感を禁じえないなあ。

原子力プラントに勤務してきたが、欠陥工事を知りプラントを止めようと立ち上がる運転主任を演じるジャック・レモンは熱の入った好演。ジェーン・フォンダも実に印象的だった。

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