97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「緩い」食品暫定基準値の改定案
昨日の毎日jpの解説。

食品の放射能規制:新基準、海外より厳しく 現行の値「緩い」は誤解 改定後はより子供に配慮

ベラルーシで事故の後何年も経って制定されたような極端な数字を持ち出して、日本の暫定基準が甘すぎると叫んでいる人がネットにもいるが、これはある意味事実誤認。しかし同時に、この記事にあるように日本の現行基準が「緩いのが誤解」とも思わない。現行基準はやはり「緩い」。

現状の食品暫定基準は原発事故直後に発表された暫定値。事故がどう進展するかも不明で、あの時点で厳しい基準を出すと最悪の場合、食べるものが無くなって社会的なパニックが起きる。すぐに健康には害が無いような「安全の範囲内で」、「しかし緩め」に勘案して設定したから「暫定」なのであって、最初から厳しい基準のはずがない。

諸外国の基準は、欧州でもチェルノから26年経ち、近隣では原発事故が起こっていない前提の数値。しかし原発事故が庭先で起こった日本では、放射性物質による食品汚染は「現実にすぐそこにある危機」であり、原則、日本産の食品のかなりの部分が放射性物質に汚染されているという前提で規制を行わなければならない。諸外国と同じのんきな基準ではまったくダメなのである。

というわけで、この毎日の記事の、「日本の暫定基準は決して緩くない」というのはミスリーディング。緊急対応として暫定値で「緩く」設定したが、現行基準を生涯に渡って適用して何の影響もないと太鼓判は押せない。だから、原発事故が曲がりなりにも安定してきた今、早急に見直して低く下げないといけないというのが正しい認識だろう。

もっとも、実際のところ食品の汚染は、一部食品で特異的に高いものの、出荷制限がかかっている。暫定規制値上限に近い食品も少なく、各地で行われている学校給食の測定でも、食事に含まれているセシウムは非常に低いレベル。おそらくこの9ヶ月で健康に影響あるほど食品から放射性物質を摂取した人はほとんどいないのではないか。

ともあれ、最大で年間5mSvとなる現在の暫定規制値の建て付けでは、食品安全委員会の「生涯の追加的被曝100mSvで健康影響が出てくる」という食品安全評価を満たす基準を理論的に満たすことができないのは明らか。第一、農水省が決めた豚のエサの基準(400ベクレル/Kg)よりも甘いのだから。

そして、本日のNHKによると、新たな規制値案が固まったとのこと。

食品の放射性物質 新たな基準方針

一般食品が100ベクレル/Kg。牛乳と乳児用食品は50ベクレル。飲料水は10ベクレル。

検査結果見ている限り、一般食品は50ベクレルにしても農水産業に甚大な影響は及ぼさなかったと思うのだが、まあ、あまりに低く設定するのは厚生省のお役人が好まないのだろう。それでもこの改定は、これ以上の食品を流通させてはいけないという公的な規制であって、内部被曝を低減するためには実によいニュース。

厚労省の食品放射能検査をチェックしても、セシウムが3桁出ている食品は、割と少ない。まあ気になるなら今から忌避してもよいのではないだろうか。


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