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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「諸星大二郎 異界と俗世の狭間から」
過去日記でも感想書いたことがあるのだが、先週後半から、なぜか諸星大二郎マイブームが再来して、本棚から、「暗黒神話」、「孔子暗黒伝」などを引っ張り出して再読。

さほどの漫画好きでもなく、持ってる作品はごく限定的なのだが、本棚を発掘するとその他の諸星作品も次々出てきて、懐かしくも読み返した。ペンで精密に書かれた背景、しかし写実的ともいえない独特の画風。異界と現世が交錯する、センス・オヴ・ワンダーに満ちた作品世界。

「彼方より (諸星大二郎自選短編集) 」
「汝、神になれ 鬼になれ (諸星大二郎自選短編集)」
「妖怪ハンター 地の巻」
「妖怪ハンター 天の巻」

しかし、考えてみると著者本人については、今までまったく知識が無かった。諸星大二郎特集ムック、「諸星大二郎 異界と俗世の狭間から」もAmazonに発注。

休み前に届いたので早速読了。本人への2万字インタビュー「現代の神話を語り続けて」は実に読み応えあるが、それ以外にも著名人の寄稿多数。

インタビューでは、アシスタント使わずに一人でカリカリと作画していること、まず映画のようにシナリオを書き、その後で作画に入ることなど、製作にあたっての興味深い事実も述べられているのだが、「日本のSFはほとんど読んだことがない」と語っているのにもびっくり。世に出るきっかけになった「生物都市」は極めて映画的な手法で描かれた、日本のSF史に残る漫画なんだがなあ。

なんでも、日本のSFファンは、SF漫画を描くとSFマニアだと決め付け、更には筒井康隆を一杯読んでいるだろうと先入観を持ち、あれこれ言ってくることがある。そういう人たちとはまったく話が合わないので、SFファンには嫌われたというのだが。熱烈な筒井マニアとの間で相当嫌な思いしたのかね(笑)

個人的な印象では、筒井康隆には確かに熱狂的なファン層がおり、これこそSFだと押し付けがましい輩が多いような気もしないでもない(笑) 筒井もSFだけれど、筒井以外も当たり前だがちゃんとSFなのだが、そこが分からん人がいるというか。私自身は、なぜか体質が合わなくて筒井は数冊読んだだけだから、あんまり過度な思い入れないなあ。

諸星大二郎には、いわゆる日本の古代史や土着の民族伝承に基づく、いわゆる伝奇SF、あるいはオカルト・ミステリーの範疇に入る作品も多いのだが、博覧強記のバックグラウンドについて聞かれても、「大した数の本は読んでいないし、取材もあまりしてない」と恬淡と語っていたって謙虚である。作家には変わった人も多いものだが、ご本人に奇矯なところがなく、ごく常識的な普通の控えめな人物であることもビックリ。

しかし作品を思い起こしてみると、虚と実の間に飛翔する息を呑むようなイマジネーションの背景に脈々と流れているのは、確かに普通の日常を生きる生活感であるともいえる。なかなか興味深いインタビューだった。


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