97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
旧暫定基準に固執するべきではないと思うが
個人的には若干意見が違うが、たむらと子どもたちの未来を考える会のコメント、「誰のための基準値」を興味深く読んだ。生産者の立場からは、食品の放射性物質基準値が厳しくなることに対する警戒感があるのは理解できる。

特に文中でも言及されている、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会資料は一読の価値があるもの。

資料の中では、「食品からの放射性物質摂取量の推定」が大変によいニュース。流通している実際の食品を購入して測定したが、放射性物質濃度は低く、内部被曝量も非常に低いというもの。食品の内部被曝はもちろん重要な問題だが、全ての食品が高濃度に汚染されている訳ではなく、必要以上に恐れる必要はない。(まあ、自然由来のK-40からの被曝と比較してずっと低いという論法には納得できない人もいるだろうが)

ただ、上記「誰のための基準値」に書いてある、「国内産食品自給率1%の東京都民がなぜ、新基準値100Bq/kgを要求するのですか?」(これは後に修正され、「都市部のみなさんは、国内産の食料品の摂取量が極端に低い事は明白です」に書き換えられたようだが)は論拠が間違っていると思う。

確かに農水省の都道府県別の食品自給率をみると、東京都のカロリーベース食品自給率はたったの1%。これは驚愕の数字だが、しかしこれは、上記サイトが書いてるように東京都民はカロリーの99%を外国食品に依っているという意味ではない。都道府県ごとの食品自給率の解説を読むと、1%とは、東京都の人間が摂取するカロリーの1%しか「東京都内で生産されていない」ということ。摂取カロリーの99%が「外国産食品」ということではない。カロリーベースの食品自給率は、以前読んだ、「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率」によると農水省の利権確保のために低く計算された指標であり、実際には日本の農業生産額は先進国では第二位であるという。

「東京都民の口にする食品は(外国産もあるが)日本全国から集まってきている」というのが正しい理解であり、地産地消のエリアよりもむしろ注意が必要なくらい。「東京都では国内の放射性物質汚染を気にしないでよい」という理屈は成り立たない。

そして、「「誰のための基準値」ではこのように書かれてある。
福島産の干し柿やあんぽ柿が新基準値により出荷停止となります。カレイやヒラメ、ドンコやアイナメ、シイタケやアミタケ、畑ワサビやコゴミにタケノコ・・・。たくさんの福島産が出荷停止となるでしょう。
上記にかかれた産品は確かに調査で100Bq/Kg以上が検出されており、基準値が改定になれば当然出荷禁止になる。放射性物質汚染は福島県の第一次産業従事者の責任ではないのだから、実に気の毒な話。しかし100Bqにしたらそんなに甚大な影響があるかと言われると、それもまた過大評価なのでは。

モニタリング検査における放射性セシウム基準値超過割合を見るならば、10~11月に福島県で100ベクレルを調査した品目数は全体の9.2%。1割が流通できなくなると大きいように思えるが、特に超過が沢山発見されている魚介とキノコ類を除外すると、福島県で100ベクレル以上が検出された産品の割合は4%にすぎない。確かに漁業は厳しいが、農業が崩壊するような率とは思わないのだが。

福島以外の地域の10月~11月の超過品目数は全体の4.8%。しかしこれも、特に数が多く超過しているお茶とキノコを除けば0.7%。食品の放射性物質基準値を100ベクレルに落としても、農水産業に与える影響は極めて限定的だ。

個人的には、福島産だからといって放射性物質が検出されていない産品までヒステリックに避ける必要はなかろうと思っている。農産物の大部分は100ベクレルに基準が厳しくなってもまったく大丈夫。しかし福島の農産物検査への信頼は、安全宣言の後で、後出しでゾロゾロ高い値が出てきた米の検査で崩壊してしまっている。

100ベクレルから499ベクレルが検出される極めて限定的な一部の産品を救うために旧暫定基準値に固執すると、100ベクレル以下の福島の農産物も全て消費者に忌避され、結局は共倒れになって壊滅しかねないと思うのだが。

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