97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「老人と放射能~FUKUSHIMA~第一章」
「ザ・ノンフィクション」は、フジテレビには珍しい(?)硬派ドキュメンタリー番組だが、対象を長期に渡って密着取材した興味深い作品も多く、毎週の放送を録画している。

先週日曜の放送は、「老人と放射能~FUKUSHIMA~第一章」。

妻に去られ、子供は既に独立した老人が、余生を自然の中で送ろうと愛犬一匹と福島第一原発に近い浪江町に移住する。しかし老後の蓄えを怪しげなNPOに全額貸しつけたところ、NPOは破綻し代表者は行方不明に。老人は、山水を使い、畑を耕し、自分の食い扶持は自分で作る自給自足の生活で生きることを決意する。電気だけは通っているが、ガスも水道も使わない隔絶した田舎暮らし。しかし浪江の自然は美しい。

TVクルーの取材は2010年に始まっており、全財産を失った後、しばらくは引きこもりがちだったこの老人が立ち直り、ライフワークであった幻灯機を使った子供向けの上映会を、地元の小学校で再開するところまでで第一章が終わる。続きは来週。

しかし我々は既に知っている。浪江町はその後、3.11の福島原発事故で放出された放射性物質によって、山も畑も水も激しく汚染され、避難地域に指定され既に人が住んでいないことを。浪江町の大部分は、航空機モニタリングの結果を見ても、セシウム137の汚染度ではチェルノブイリの強制移住地域を超えている。

チェルノブイリの知見によれば高線量で汚染された森は除染できない。もしも本当にやるとなれば木々を全て根こそぎに切り倒し、地表の植物も土壌も全てはぎ取ってどこかに埋めることになる。しかし、生態系が全て破壊されたハゲ山は、既に故郷の里山とは到底呼べないものになっているだろう。

原子炉の蓋が爆発で吹っ飛び、減速材の黒鉛が数日間燃え盛ったチェルノブイリに比較すると、原子炉近隣におけるプルトニウムやストロンチウムの飛散が2桁ばかり少ないのはよいニュース。しかしそれでも、いつか浪江町に帰れると、現時点でそんな約束ができる者がいるだろうか。落とせない空手形を発行しても、不渡りになるばかり。近隣住民には実に気の毒な話ではあるのだが。

第二章は来週1月22日(日曜)に放送されるのだが、この老人は、既に家には住めず、この山里を追われたのは確実。この原発事故をいったいどのように受け止め、今はどのような生活をしているのだろうか。何が起こったのかを最後まで見届けたいような、逆に見たくはないような、実に複雑な心境になるドキュメンタリー。

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