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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「マリリン・モンロー 7日間の恋」


「マリリン・モンロー 7日間の恋」を見た。原題は「My Week With Marilyn」。

セックス・シンボルと呼ばれアメリカ映画界のトップ・スターになったマリリン・モンローは、イギリスの名優ローレンス・オリヴィエが監督・主演する映画に出演するため、新婚の夫、作家のアーサー・ミラーと共にロンドンにやってくる。アメリカのスターを迎えるイギリスの熱狂。

単なるセクシー・ドールから脱却しようと、リー・ストラスバーグにメソード演技の指導を受け、演技者としての道を模索していたモンローはしかし、異国での滞在や異なる演技指導からくるプレッシャーに混乱し、オリヴィエやスタッフとも軋轢を起こし、消耗し孤立してゆく。そしてたった一人すがった若い助監督との淡い恋。後に監督となったこの助監督の手記に基づく実話だという。

マリリン・モンローは、周りから孤立し、子供のように不安にかられて怯え、以前からの薬物依存は更に進み、精神不安定に。それでも時として、期待されたアイコンを見事に演じ切って名優、オリヴィエをも驚かせる天性の素質。しかしカメラの前から離れると、素の女性に戻って人に依存し、誘惑し、周りを傷つけ、そして自らも傷ついてゆく。スーパースターの光と影に彩られた孤独で複雑な性格を、ミシェル・ウィリアムズは見事に演じている。今年度のアカデミー主演女優賞ノミネート。

実際のMichelle Williamsは、画面で演じた役柄とはずいぶん違う外見。女優というのも恐ろしい職業ですな(笑) 私自身は、マリリン・モンローには世代的に何の思い入れもないが、映画の主人公は本物の幻影を背景にきちんと成立していた。

映画中の撮影される女優としての演技、マリリンとして仕事のスタッフと接する場面、そして恋する場面での素顔がきちんと演じ分けられているのが素晴らしかった。マリリン・モンローをよく研究して似せているが、特に一人の素顔の女性に戻ったマリリンの魅力が、きちんとスクリーンに焼き付けられている。

「People always see Marilyn Monroe. As soon as they realize I'm not her, they run.(人々はいつも私にマリリン・モンローを見る。でも本当の私が違うと分かったらどこかへ行っちゃうの)」、「Why do the people I love always leave me?(なぜ、愛した人はいつもいなくなっちゃうんだろう)」などなど、スターの孤独を描いた台詞は、若干類型的ではあるものの、丹精にきちんと効果的な場所にちりばめられていた。

初心な青年を翻弄したマリリン・モンローが、ラストシーンのパブで「Don't forget me.」と呟くシーンも彼女の心の孤独を印象的に描き出している。本物の彼女の奔放な恋愛遍歴は、ケネディ大統領を含めてそれからも続いたが、その人生は必ずしも全てが幸せではなく、36歳の時に薬物過剰摂取により謎の孤独死を遂げる。彼女の本当の人生の場面で、彼女はこの台詞を何度も繰り返した事があったのではと思わせる、実に効果的な台詞。

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