97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
上限350ミリシーベルト
福島第1原発:作業員被ばく上限350ミリシーベルト要求

なんで今頃、こんなことを発掘して毎日新聞が騒いでいるのかよく分からないが、ネットでは食いついて騒いでる人もいるようだ。もっとも現時点では基準は元の100ミリシーベルトに戻っているとのこと。

この発表で、放射線審議会が、昨年3月に緊急作業従事者の被曝上限100ミリシーベルトを、250ミリシーベルトへの引き上げを承認した際も、「国際的には、この値として500mSvが推奨値として示されており」とある。ある意味250ミリは国際基準よりも低めに設定してあり、350ミリシーベルトが即非人道的な数値ともいえないのではないだろうか。もちろん被曝が少ないにこしたことはないのだが。

ICRP国際放射線防護委員会が、福島事故を受けて昨年3月21日に発行した声明でも、ICRPの過去の勧告を引きながら、緊急被曝状況時に救助活動に従事する者の線量として、確定的影響が発生することを回避するための線量である500mSv又は1000mSvを推奨することが繰り返されている。その点では、350ミリに上げても、まあ日本の基準だけが高かったとはいえないが。

しかし、このICRPの勧告が怖いのは、上記の推奨値に続けて、「危険を知らされた志願者による人命救助のためなら、救助によって得られる利得が救助者のリスクを上回る限りにおいて、被曝には限度無し」としていること。

これが指し示すのは、「あの弁を開けるために誰か死を覚悟して行ってくれるか」という決死隊のこと。チェルノブイリの時は、爆発した炉のすぐそばの緊急消火活動に投入された消防士等が高線量被曝による急性病状で30名以上が事故直後に亡くなっているが、彼らは危険を知らされていなかったので、実はこの基準には当てはまらない気の毒な犠牲者。

幸いなことに、今回の福島事故では、シーベルト単位を被曝して急性病状が出た作業員がいない。それにしても、果たして原子炉の過酷事故が進行中の最中に、確定的影響は出るが作業に行ってくれと命じることのできるものがいるだろうか。もしも決死隊を編成して何らかの作業をしていたら、燃料溶融と水素爆発は防げただろうか。繰り返す余震と津波の恐怖、そして全電源喪失という手足をもがれた状態で、福島第一の現場で達成できた事は少なかったとも思うのだが。

もっとも、原発事故が曲がりなりにも安定化した現在、そこで働く作業員の被曝については、これを更に極小に抑えるべきなのはその通り。原発作業者の実態を描いた潜入ルポルタージュの名作、「原発ジプシー」では、原発内部を熟知した作業の班長である「ボーシン」が、下請けや臨時雇いの作業者に事前に指示手順を教え、自らは低線量領域に留まって、部下による高線量作業領域における仕事を監督する場面が出てくる。自分が現場でやればもちろん一番早いのだが、そうすると自らの被曝線量が増え、後の作業の遂行が不可能になる。自らの被曝量をコントロールしながら、高線量エリアに未熟練工を人海戦術で投入して作業を進めて行くのである。

炉心溶融や放射性物質漏れを起こしていない稼働中の原発定期点検においても、被曝線量を常に気にしながら作業しなければいけないのであるから、建屋内や敷地内に放射性物質が漏れ、あちこちで未だに高線量が観測されている福一の廃炉作業にあたっては、今後、被曝限度を遵守しながら、本当に人手が足りるのかが問題。

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