97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
厳しく責任を問う「国会事故調査委員会報告書」
国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は、昨日報告書を発表。ただ、アクセスが集中して、ダウンロードページがずっと倒れていた。FacebookやTwitterに専用アカウント持って情報発信するのも結構だし、福一事故が想定内だと主張するのも結構だが、肝心の自分の報告書へのアクセス集中について、まったく想定してないとはちょっとお粗末だ。

まあ、一日以上経って若干アクセスが落ち着き、ZIP版もアップされたのでそちらをダウンロード。報告書本編、要約版、ダイジェスト版、参考資料の4つが入ってたのだが、本編は実にページが多い。要約とダイジェストは何が違うのだろう。Digestの和訳が「要約」なのだが。ページ見るとダイジェストのほうが格段にページ少ないので、いわばこれが「Executive Summary」なのだなと判断して通読。あとは本文の気になったところだけを拾い読み。時間ある時にゆっくり眼を通そう。

この国会調査委報告は、政府調査委が「原因究明はするが責任追及はしない」という立場だったのに対して、責任追及をする構えが満々であるところがスタンスの違いか。まあ、後知恵で断罪すれば何でも言える訳でやり過ぎてはいけないが、ダイジェスト見る限りでは、まあ内容は妥当な範疇に思える。

【事故の根源的原因】の部分では、原発の安全対策について東電、安全委員会、保安院、経産省がそれまで当然に備えておくべきこと、実施すべきことをしていなかったからだと明言しているのが特徴的。

本来原子力安全規制の対象となるべきであった東電は、市場原理が働かない中で、情報の優位性を武器に電事連等を通じて歴代の規制当局に規制の先送りあるいは基準の軟化等に向け強く圧力をかけてきた。この圧力の源泉は、電力事業の監督官庁でもある原子力政策推進の経産省との密接な関係であり、経産省の一部である保安院との関係はその大きな枠組みの中で位置付けられていた。規制当局は、事業者への情報の偏在、自身の組織優先の姿勢等から、事業者の主張する「既設炉の稼働の維持」「訴訟対応で求められる無謬性」を後押しすることになった。このように歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する立場とされる立場の「逆転関係」が起き、規制当局は電力事業者の「虜(とりこ)」となっていた。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していたと見ることができる

現在までの報道でも明らかにされている事ではあるが、やはり原子力に関する規制・監督機能には実効が無かった。この改善こそがなによりの急務。世間では、値上げの前にボーナスゼロにしろ、もっと給料下げろと東電叩きだけが目立つ風潮もあるのだが、本来は保安院や経産省のお役人も東電とまったく同罪で「人災」の一翼を担っている。保安院や経産省の役人のボーナスや給与も下げてしかるべきだと思うのだが。

【事故の直接的原因】については、津波が全電源喪失の原因ではない可能性に言及し、1号機において地震によって既に小口径配管破断(LOCA)が起きていた可能性にも言及しているのが、政府事故調とトーンが違うところ。ただ、これについては明確な証拠は無いので、ここまで言及するのは若干踏み込みすぎの感もあるのだが。

【運転上の問題の評価】については、そもそもの東電の備えが悪かった組織的問題で、運転員の責に帰すべき大きな非はないとの意見。

【緊急時対応の問題】では、事故が発災した後の緊急時対応について、官邸、規制当局、東電経営陣には、その準備も心構えもなく、その結果、被害拡大を防ぐことはできなかったと明確に断罪。確かにその通りで、原発近くでは避難訓練も行われてはいたが、訓練のための訓練に堕しており、実際に大きな事故が起こった時に役に立つような代物ではなかった。

事故の原因を踏まえた各種の提言については、それぞれ納得のゆくもの。ただ、実効ある規制がきちんとできるような改善がまだ何もなされていないうちに、電力不足解消のためとはいえ大飯3号機4号機は再稼働。抜本的な改善がなされないまま、なし崩しにどの原発も再稼働されてしまうと、万一の事故が起こったらまた大変な事になる。それだけは政府にきちんと考えてもらいたいところだ。

余談ながら、SPEEDIの活用について本文の39ページにこうある。

しかし、ERSS とSPEEDI は、基本的に一定の計算モデルをもとに将来の事象の予測計算を行うシステムであり、特にERSS から放出源情報が得られない場合のSPEEDIの計算結果は、それ単独で避難区域の設定の根拠とすることができる正確性はなく、事象の進展が急速な本事故では、初動の避難指示に活用することは困難であった。(中略)本事故においては、ERSS から長時間にわたり放出源情報が得られなかったため、保安院や文部科学省を含む関係機関では、SPEEDI の計算結果は活用できないと考えられ、初動の避難指示に役立てられることはなかった。安全委員会が公表した逆推定計算の結果は、あたかも予測計算であると誤解されたために、すみやかに公表されていれば住民は放射線被ばくを防げたはずである、SPEEDI は本事故の初動の避難指示に有効活用できたはずである、という誤解と混乱が生じた。

SPEEDIの計算結果が隠蔽された。SPEEDIさえ公開されていれば無用な被曝が避けられた。という誤解はずいぶん世間に広がっており、政府への信頼を損なう大きな要因となっている。このあたりは陰謀論の人、放射能恐怖症の人にもよく読んでもらいたいところだなあ。

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この記事へのコメント
this way
それでも日本人は、原発の再稼働を選んだ。
一億総ざんげへの道。動き出したら止まらない。
この道は、いつか来た道。ああ、そうだよ、民族の歴史は繰り返す。

意思のあるところに方法はある。(Where there’s a will, there’s a way).
意思のないところに解決法はない。
意思は未来時制の内容であり、日本語には時制がない。
それで、日本人には意思がなく、解決法が見つけられない。
自然鎮火を待つのみか。

耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。
座して死を待つか、それとも腹切りするか。
私の父は、玉砕した。何のお役に立てたのかしら。
安らかに眠ってください。過ちは繰り返しますから、、、、

ああしてこうすりゃこうなると、わかっていながらこうなった、、、、、
12歳のメンタリィティには、知恵の深さが見られない。
わかっちゃいるけど やめられない。ア、ホレ、スイスイ、、、、

白く塗られた黒いオオカミの足を見破ることは難しい。
だます人は悪い人。だまされる人は善良な人。おとり捜査は難しい。
この調子では、人の命はいくつあっても足りるものではない。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/


2012/07/06(金) 22:10:12 | URL | noga #sqx2p0JE[ 編集]
貴重なご意見どうもありがとうございました。
2012/07/08(日) 14:29:09 | URL |  Y. Horiucci #-[ 編集]
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