97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「へルタースケルター」
「ヘルタースケルター」を見た。



原作は岡崎京子の書いたコミックだが、この出来がとても素晴らしく、感心して2003年に過去日記で感想を書いている。

デブで不細工だった少女が、その完璧な骨格をモデル・エージェンシーの女社長に見出され、違法医療を行う秘密クリニックで完璧な全身改造をほどこされる。美のサイボーグと化したモデル「りりこ」の芸能界での上昇と転落、そして破滅。

メディアが支える大量消費社会。大衆の空恐ろしい欲望は美や若さを使い捨てにしてゆく。「りりこ」は消費され、自らの肉体と精神を使い尽くし、そして周りの者をもむさぼりつくす。内部から腐敗し崩壊してゆく改造された肉体と、終わりの予感、そして出口の見つからない狂気。

コミックを読んだ時には、「まるでよくできた映画のよう」と感想を書いたが、今回の映画は原作を極めて忠実に映画化している。いくつかのエピソードが削除されており、ラストシーンは若干演出変更があるが、ほぼ原作通りといってよい映画化。細かい台詞や描写も丹念に原作から拾っている。

特に沢尻エリカは、まさしく原作の「りりこ」そのもの。美しくそして不安定で、人に依存し人を傷付けて、破滅してゆく主人公を実に印象的に演じている。確かに美貌だが、年齢からいっても、実生活でのゴタゴタを考えても、現在が役柄にはギリギリかも。しかし、主役として実に印象的に成立している。魑魅魍魎の跋扈する芸能界で、沢尻があとどれだけ生き延びられるかは分からないが、この映画は彼女の代表作のひとつになるだろう。

蜷川実花監督は週刊誌のインタビューで「りりこは最初から沢尻エリカしかいないと思っていた」と語っているが、確かにその通りの適役。思い通りの主役を得て、脇にも印象的な俳優を配置して、巧みに原作を映像化してみせた。りりこの部屋のインテリアは、ほとんど蜷川監督の部屋のものを使ったとのこと。

寺島しのぶも桃井かおりも、沢尻と同じフレームに映ると、顔がデカくてまるでオッサンの如し。まあ、いかに沢尻が小顔かということなのだが、特に寺島は映画では、冴えない不細工な役。よくあんな役を引き受けたなと感心。原作では20代前半のフリーター上がりの小娘の役柄なのだが。

全般的に原作のオーラが随所にあり、よく出来ていたと思うが、りりこの顔と身体が崩れ出し、精神も変調をきたして物語としては第4コーナーに入ったあたり、いよいよラストスパートというところで、映画の進行が急にスローダウンしたような印象あり。最後のモタモタした部分を少し削ったら、一層の疾走感をもって衝撃のラストがもっと立ち上がってきたと思うのだが。まあ、しかし、久々に印象的な日本映画を見た。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック