97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「10年後に食える仕事、食えない仕事」
仕事関連で読んだのだが、「10年後に食える仕事、食えない仕事」がなかなか面白かった。

「これからの経済はグローバル化だ、皆が英語を操って世界を相手に丁々発止のビジネスをしなきゃいけない、キャリアアップして世界に通用する人材にならないと生き残れない─。そんなまことしやかな言説がはびこっている昨今だが、それは英会話学校やビジネススクールの営業トークに過ぎない。」
と著者は言う。グローバル化がいくら進もうが、日本人の仕事として日本に残る仕事は必ず残るのだと。しかし、グローバル化とIT化が進むと、競争に巻き込まれ、無くなる仕事、賃金が下がり続ける仕事も必ずある。自分の職がどこに属するのか、10年後もその職があるのかを見極めて世の中を渡ってゆかなければならないのだと。

詳しい内容は本を買って読んでもらいたいが、この本の肝は、全ての職がどこかに入るという、職業を4分類したマトリックス表にある。

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縦の軸は「スキルタイプ」。下にゆくほど「技能集約的」になり、上にゆくほど「知識集約型」になる。誤解を恐れずに要約すると、下がブルーカラーで上がホワイトカラーのヒエラルキー。この本の面白いところは、横軸に「日本人メリット」、すなわち、「日本で生まれ育っていないと身につけづらい特殊性」を置いたこと。左に行けば行くほど、日本人でなく、どこの国の人がやってもよい仕事になる。

この4象限に分かれた職業マップで、左下、日本人である必要なく、技能集約型(逆にいえば知識もあまりいらない)職を著者は「重力の世界」と呼ぶ。ここはグローバル化が進んだり、規制緩和が進んだり、IT化が進むと賃金の安い中国人やインド人と職の奪い合いになり、世界レベルの最低賃金の泥沼へと沈み込んで行くエリア。ここからは一刻も早く逃げ出さなければならないのだと著者は説く。

このエリアに具体的にどんな職が入るのかは、本書を読んでいただきたいが、既に外国人にリプレイスされつつある日本の職を見ればいくつかは誰にも明らか。工員、作業員、下級プログラマ、給与計算などの単純事務、汎用品の設計職など。日本に来た外国人にリプレイスされる場合もあるし、ITの進展によって職そのものが一気に外国に移転することもある。

それでは、「重力の世界」が無いエリアから離れて垂直上方に、すなわちスキルを身につけて、知識集約型の職を目指せばいいのではないかとは誰しも思うところだが、著者は「日本人メリット」の効かないここのゾーンを「無国籍ジャングル」と呼ぶ。

真にグローバルなこの分野で成功すれば報酬は青天井。例えば、カルロス・ゴーンや世界企業のCEO等はこのエリアの最上位に位置するだろう。しかし同時にこの分野は世界70億から選ばれたBest & Brightestな人材が殴り合いをしながら勝ち残って行くエリア。競争はおそろしく熾烈。欧米の一流大学を出て、理系なら博士号があって、文系ならMBAか弁護士資格があって、英語がペラペラで、欧米の有名企業に最初から就職するくらいで、ようやく「多国籍ジャングル」の入り口に立ったという感じだが、日本人でこのエリアの最上層に辿りついた人は数少ないだろう。というか、ほとんどいないのでは。

この分類でいえば、「日本人であることのメリット」を活かせる右側の2つの象限の職を選ぶべきだというのが著者の結論。詳しくは本書を参照してもらわねばならないが、右下の「ジャパン・プレミアム」の代表は、日本人でなければできない技能職、例えば寿司職人ですな。その他、日本人相手の営業専門職などもここだ。

右上の「日本人でなければできない知識集約型」の職業は、医師や弁護士など。例えば、楽天の三木谷社長やソフトバンクの孫社長は、左上上方ではなくこのエリアの最上方に位置することになるだろう。孫正義の場合は、この右上から買収によって左上に移行することを目指していると思うが、果たしてうまくゆくかな(笑)

もちろん、サラリーマンであっても、それぞれの会社の中の業務にもこのマップは適用できる。会社の中で、単なる単純なプログラミング、伝票入力や計算事務をやる職は、「重力の世界」に属しており、これは危ない。

日本人がやる必要ない仕事は、いずれ「重力の世界」の最下層に引きずり込まれて日本には無くなってゆく。早くこのエリアからは逃げ出さねばならない。日本人であることのメリットを活かせる、日本人にしかできない職種につかなければ。これから世の中の荒波を長く渡って行かなければならない若い人が読むと、何かの参考になるのでは。


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2012/11/02(金) 14:28:28 | | #[ 編集]
誤解まねいたら申し訳なかったですが、楽天三木谷氏やソフバン孫氏を右上に分類したのはこの本ではなく、私ですので(笑)念のため。どちらの企業も日本人が日本人の顧客に日本でやってますので、左上には入らないと思います。ご両人も国際的な場で外国人と競争したことはないでしょう。孫氏は朝鮮人差別を日本で跳ね返したという点で凄いと思いますが、やはり日本国内での活躍に過ぎません。楽天は社内公用語を英語にしたと言われますが、海外売上高は全体の5%以下で、基本的に日本人が日本人のためにやってる事業だと思いますねえ。

国際的な学者については、この本でも左の上の範疇「無国籍ジャングル」の覇者です。ノーベル賞の山中教授などは正にそうですね。しかし、国際的な業績なく、日本の大学で教えてるだけなら、右上の範疇「グローカル」な成功ということになるでしょうねえ。


2012/11/02(金) 20:31:53 | URL |  Y. Horiucci #-[ 編集]
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2012/11/04(日) 11:14:03 | | #[ 編集]
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