97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「アルゴ」を見た
「アルゴ」を見た。映画館で予告編見た時から気になってた映画。「Based on a true story」と出るが、1997年に秘密解除された実際のCIA作戦を描いたもの。



パーレビが亡命し革命下の動乱にあるイラン、米大使館が襲撃され大使館員が全員人質になったのは有名だが、6名だけはこの難を逃れて大使館外に逃亡。カナダ大使の私邸に匿われていた。いずれ捜査が迫ればこの6名は発見され、そうなるとスパイとして殺される可能性もある。

この6名を、カナダ人の映画クルーと偽り、ニセのパスポートで空路出国させるという驚天動地のCIA救出作成。極限の状況下で行われた作戦であり、素材がよいので実に緊張の高い映画に仕上がっている。

ニセ映画を宣伝するために協力したハリウッド映画界の住民を描いた部分はなかなかユーモアもあって面白い。脱出が成功するかどうか手に汗握るサスペンスが続き、これは成功している。ただサスペンスを盛り上げる演出手法は、どちらかというと古典的で、あまり斬新さは無いような。

イスラム民族の描き方も、暗愚の大衆が大暴れというもので、イラン人が見たら「俺達は何か、誰でも疑心暗鬼で偏執的に調べて、興奮したら怒鳴り散らすのか」と不快に感じるのではと若干心配になる(笑)。

救出に当ったCIAエージェントの勇気と成長がサイドストーリーにはなってるのだが、ミッション成功後、壊れかけた家庭が元に戻るのに、あまり説得力がない感じもあり。ただ、俳優はみな達者で映画としてのカタルシスは素晴らしい。エンドロールでは実際の人物の写真も映るのだが、本物と実に似た俳優を使ってたことには感心。

実に面白い映画で、DVD出たら買うと思うが、アカデミー賞まではどうかなあ。極限のサスペンスで最後は大盛り上がりだが、人間としてのドラマはちょっと描きが浅かったようにも思う。

ただ愛国的な映画なので、ちょうど大統領選に沸いているアメリカでは大いに受けるのでは。クリントン大統領が本件に関する機密を解除したのは1997年とあったが、ちょうど最初の任期を終えて再選を目指す年だったので、同じ民主党のカーター政権時の成功を喧伝する目的もあったのかもしれない。

イラン大使館人質事件だけでなく、911も含めて、中東とアメリカとの関係はこじれにこじれたまま。もともと石油利権と対ソビエト戦略のために、アメリカやイギリスは中東に手を突っ込んで政権を転覆させるなど、あここれ画策していた歴史が反発を呼んでいるのだが、そもそもの原因は富の偏在。「シリアナ」でも、石油資源確保に暗躍する凄まじい陰謀が描かれていた。

今更詮無い話だが、もしも原油が中東に集中的に埋まっていなければ、イスラム世界はいまでも貧しい宗教国家として他の世界とは没交渉で存在し、世界は今よりもちょっと平和だったのではないだろうか。エンドロールを見てそんなことを考えたり。

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