97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「日本をダメにしたB層の研究」
「日本をダメにしたB層の研究」読了。エクセントリックな題名が気になってつい書店で購入したもの。

現代日本で起こっているさまざまな「くだらない」現象は「B層」というキーワードで総括できる。近代大衆社会が生み出した愚民達が「B層」であって、この横行によって社会に大きな害悪が垂れ流されているのだと批判する本。

「B層」というのは、もともとWikiによれば、2005年、小泉内閣の進める郵政民営化政策に関する宣伝企画の立案を内閣府から受注した広告会社「スリード」が提示した概念。

国民を「構造改革に肯定的か否か」を横軸、「IQ」を縦軸として分類し、「IQ」が比較的低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層を「B層」と定義。ここへの分かりやすい浸透が効果的だと提言したとされる。

ある対象を、縦軸と横軸で4象限に分類するのはマーケティングでよくある手法だが、なかなか有効ではある。先日紹介した「10年後に食える仕事、食えない仕事」の分析もこの手法を鮮やかに使って仕事を分類していた。

ただ、この本で著者が使ってる「B層」の定義には若干疑問が。著者の使う「B層」とは、「IQ低く騙されやすい(マスメディアに踊らされやすい)人々」を意味すると思われるのだが、これはオリジナルの定義のような2軸で分けた4象限になっているだろうか。「騙されやすい」度合いと「IQ」を2つの軸にすると人間は次の4つに分類できる。

①騙されやすいIQ高い層
②騙されにくいIQ高い層
③騙されやすいIQ低い層(これが著者の言う「B層」)
④騙されにくいIQ低い層

②と③はまあ分かるけれども、①と④は世の中にそんなに存在するかねえ。この分類は単に、「IQ高いものは騙されず、IQ低いもの(B層)が騙される」という単純な命題であると思える。

IQ以外の軸がないとするとこの著者は、単に自分と意見の違うものや気に入らない層を「お前はB層だ!(IQ低い!)」と罵倒しているだけという風にも見えてくるのだが。

しかし言いたい放題の言説なのである意味痛快ではある。「アジェンダ」「癒し」「世界市民」「首相公選制」などを唱える奴は「B層」だ(馬鹿だ)というのは割と説得力あるようにも思えるなあ(笑)「コスパ」「コスパ」を連発するグルメ評論家が馬鹿だというのは誠にその通り。この意見は強く推したい(笑)

ただ、「シェフの気まぐれサラダ」や「常連」というキーワードを好む奴も「B層」だ、と言うに至っては、どうも何かの八つ当たりではないかとも思えてくる(笑)

寿司に関する例え話が多く寿司好きらしいのだが、「常連ぶるのはたいてい本当の常連ではない」などと書かれているのを見ると、寿司屋でなにか嫌な眼にあったかね。まあ確かに寿司屋のカウンタで常連顔するのにロクなのはいないけど。

民主主義が集愚政治に陥る可能性があるというのは、実際に何度も我々の社会が失敗してきたことで、一度間違えてもそれを反省して試行錯誤してゆく以外に対策はない。しかし、自分と違う感性、思想信条を、すべて「B層(馬鹿)」だとレッテルを貼って罵倒するだけでは何の解決にもならんような気もするのだが。

痛快な断定も随所にあり、読み飛ばすにはある面で面白い本ではあるが、この記述に手を打って喜んで教条主義的にありがたがり、他者に「おまえはB層だ」などとレッテル貼りする人がいたならば、彼らもまた、小泉改革に根拠なく熱狂した「B層」と同じだと思えるのだった。
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コメント
この記事へのコメント
かつて小泉改革に根拠なく熱狂し、根拠なき期待によって民主党政権を樹立させ、今は維新に熱い眼差しを送っている、ってトコロですかね

2012/11/07(水) 06:36:43 | URL | nono #-[ 編集]
まあ、まさしくそれが著者の云うB層なんですが、それ以外にも気に入らん者を好き放題に罵倒して、敵を作り過ぎてる感のある本なんですよねえ。
2012/11/07(水) 11:39:50 | URL | Y. Horiuchi #-[ 編集]
はじめまして
ふと思うんですが日本人て右翼
なんでしょうか??

実は中身の無い左翼的思考の
持ち主。これが大半なんじゃないでしょうか
。自分が怖いと思うのはすでに日本人の
半数は新興国の高学歴層に負けてる
という現実を知らないw事にあります。

2012/11/11(日) 22:39:04 | URL | トミー #iabZQsck[ 編集]
自民党支持者はもともと保守層だったと思いますが、小泉改革への根拠無い熱狂以来、何が保守で何が革新かがだいぶブレてきた気も。

日本のガチガチの保守かつ右翼が憲法改正を是としており、これが一般的に言う保守と革新思想と比較してねじれを生んでいるのも過去日記に書きましたが、割と当ってるようにも思います。

新興国の上位層の若者が日本人以上に真剣に勉強しているのはその通りかと思います。日本はあまりに成熟化してしまいました。
2012/11/12(月) 22:32:49 | URL |  Y. Horiucci #-[ 編集]
確かある外国人作家の本に
『略奪大国・日本』という本が最近
出ているのですがざっと立ち読みw
させていただくと日本は90年代に
兼業農家(このスタイルの家は関東
にもありますが)に分配する補助金
で何かのスペシャリストを育成していたら
今はいい意味で変われたのではないか?
という指摘にハッとさせられましたが。
すぐに思いつくのが語学・IT・新手の商人
・地域密着産業の主など。
今や兼業崩壊=家庭崩壊、最悪地域衰退
ですわwこれも田吾作の自民妄信の被害者が農家の息子自身だから笑えない…
2012/11/14(水) 04:58:31 | URL | トミー #PBmSULb6[ 編集]
まあ、もともと自民党政権は、税金を官僚と結託して地方の土建に流し、その利権で潤ってたのですよね。道路、ダムの利権脱却で民主には当初ちょっと期待しましたが、官僚の抵抗もあり瓦解。

まあ、自民党の旧悪が、「留守の間苦労させて悪かったな。これからは、前と同様、一緒に利権を山分けしようや」と官僚との関係修復に戻ってくると思うと、実に忸怩たる想いです。

まあ、できることは選挙の投票だけですが、第三極にも投票できるところが思いつかないのがちょっと。

2012/11/14(水) 21:54:07 | URL |  Y. Horiucci #-[ 編集]
B層知的弱者のまずい所は
劣化政治、経済の被害は己に
降りかかって来る事すら読めない
ところですね。投票が託す意味では
なくてお灸をすえてやるくらいに
思ってる。あのオバマを持ち上げた
小浜市を見て日本人の知的レベルも
危険水域に入ったと断定してもいいでしょうね。
2012/11/20(火) 02:52:37 | URL | トミー #PBmSULb6[ 編集]
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