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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「幼年期の終わり」
日本滞在中の読書記録を書き忘れていたので、もうひとつ。

アメリカから持参した文庫本、「幼年期の終わり」 (光文社古典新訳文庫)読了。

この文庫シリーズは初めて手にしたが、シェイクスピアやスタンダールなどの古典文学の新訳を専門にやってる模様。「幼年期の終り」も、まあ、SFとしては確かに古典と称してもおかしくはないか。

A・C・クラークの傑作だが、初版が書かれてから36年後に、世界情勢の変化を鑑みてクラーク自身が第一章にだけ手を入れたというもの。しかし、それもすでに20年近く前の話であり、細かい部分について古い部分があるのは否めない。

しかし、それでもなお、作品の輝きは決して失われていない。地球人より遥かに高い知性を持つ異星人との遭遇、人類の種としての断絶的進化を描き、「ファースト・コンタクト」を扱うその後の様々な作品に、深い影響を与えた金字塔的作品。「2001」のスター・チャイルドにも、この作品のラストが投影されているし、「インディペンデンス・デイ」のUFO飛来シーンなんかも、この映画の冒頭にインスパイアされている。

新訳については、決して悪い出来ではないのだが、今でも記憶に残っている旧訳との細かいニュアンスの相違がやはり気になる。まあ、それは、ハヤカワ文庫の福島正実訳が素晴らしい名訳であったということなのだが。

今ならこれを原作にして、CG使えば素晴らしい映画が出来るのにとの感想は変わらないが、この文庫の著者後書きによれば、クラークは、ずいぶん昔にこの作品の映画化オプションを売却しているとのこと。その後、この映画化権はプロデューサー間を転々と売買され、今でも誰かが保有したまま塩漬けになってるらしい。製作しないのに原作権保有するなら、誰か作る気のあるプロデューサーに売却してくれればよいのに、なんとももったいない話である。

ただ、Wikipediaによると、この作品は、欧米では長らくクラークの代表作とは見做されておらず、それはキリスト教的史観に馴染まない終末観が原因とのこと。確かに、一種のアンチ・ユートピア、アンハッピー・エンドとも言えるエンディングではあるから、ハリウッドでは製作が難しいかもしれない。
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