97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖」
「デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖」は、なかなか興味深い本。

1998年から翌年にかけて、にわかに「崖(がけ)ブーム」が起き、毎日新聞社から『日本崖っぷち大賞』(安斎肇、泉麻人、山田五郎共著)なる書籍まで出版された、とAmazonの書籍紹介にはあるが、「崖ブーム」のことはサッパリ知らなかった。

この本は、「崖マニア」、「崖研究家」とも呼ぶべき著者が、江戸城、愛宕山、神田山、麻布など、東京に残る崖地形を巡り、その歴史を語るという本。

東京は関東平野というくらいだから、中心部には大きな山脈はない。一面が関東ローム層におおわれ、岩石が露頭した崖もない。東京都内に見られる起伏は、火山灰地が河川や海などで侵食されて作られた崖ばかりなのだという。では崖はどこにあるか。

例えば都内の起伏で一番に思い出すのは上野の小山。西郷隆盛の像は一段高いところに立っているし、銀座線の植野駅から上野公園に行くには坂を登る。そして、JR山手線に乗れば、鶯谷から日暮里にかけてはっきりと分かる線路西側に続く崖。

もっとも都市化に伴い、地面には建物が林立し、至るところで昔からの崖や起伏が見えづらくなっている。この本では、東京の衛星写真をデジタル処理して垂直方向の起伏を強調することにより立ち上がってきた地図を呈示して、我々が今まで見たこともなかった異形の江戸、東京の姿を鮮やかに描き出してみせる。

東京の街にもあれこれの起伏や崖がある。路面電車や交通路は起伏を避けて低地を走り、交通の要衝やランドマークになる建物の位置にも地形の影響がはっきりと残っている。普段何気なく通る町角にも、よく観察すると昔からの崖が隠されている場所がある。それに気付くと街歩きが更に楽しくなるだろう。東京都内散歩には、好適かつ実に興味深い本だった。

もう一点興味深いのは、「崖都市」である東京には、崖崩れなどで災害時に被害が予想される場所が意外にあるという著者の警告。大雨や地震など、災害はいつか必ずやってくる。それへの警鐘は、確かに深刻に受け止めなくてはいけないと思うのであった。


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